与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月1日

(平成23年4月1日(金) 9:32~9:52  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございました。

2.質疑応答

(問)まず震災の復旧、復興に向けた対策の基本法、検討されている基本法の中で、民主党案の中では震災国債の発行と、それを日銀が引き受けることも検討するということが今考えられているようですが、これについて大臣の御所見を伺えればと思うんですが。
(答)そういうことはあり得ないことですし、絶対にそういうことはさせないということです。
(問)それはどういった観点からというか、これは駄目だというのは何が一番の理由になってきますでしょうか。
(答)それは、日本銀行が市場から既発債を金融政策の目的で買うこともあるし、経営政策の目的で売ることもある。これは金融政策として当然のことですが、新発債を買うというのは日銀法自体が想定していないことであると同時に、そのような財政規律を無視した行為に出れば、日本政府及び日本銀行は国際的な信認を失うと。それはまた市場の長期金利にどう跳ね返ってくるか予想もつかないと。こういう観点からあり得ない、してはいけない。
(問)同じく、復旧、復興に向けた財源確保のために特別税を創設すべきだということも検討すべきだということですが、税のあり方については社会保障と税の一体改革にも少し影響してくる部分もあるかもしれませんが、復興と増税のあり方についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)いずれにしても復興に資金が必要であることは間違いない。これは政府の予算としても、民間としても資金が必要なわけです。国の資金をどう調達するかというのは、これからの課題で、まだ何も決まっていないわけです。これは、既定経費をどうするか、税をどうするか、国債をどうするか、いずれも誰もまだ議論をしていないところでございます。
(問)あともう一つ、東京電力の経営についてなんですけれども、原発の事故の処理にかかる費用が多額になるでしょうし、損害賠償の問題も出てくるという中で、ここに来て、政府による財政支援ですとか、公的資金の注入であるとか、様々な報道が出ておりますが、この経営をどう支えていくのかということについては、何かお考えございますでしょうか。
(答)航空会社ですと、1社が駄目になっても他の会社があるということはありますけれども、東電は東電の管内で唯一の電力供給会社なので、その存続について、誰しもがその存続を望んでいる。原子力損害賠償法という法律があって、そこに国と電力事業者の責任の区分が書いてありますから、それに従って損害賠償をするということですし、国もその法律に従って補償契約を履行したり、あるいは援助をしたりということであって、もともと法律は存在するのであって、その法律の原則に従って物事が処理されていくべきことだと思います。法律の解釈については若干意見の相違があるかもしれませんけれども、いずれも電力会社、国の責任、両方存在すると私は思っております。
(問)今日で震災からちょうど3週間になりますけれども、まだ原発がどうなるかも見えておりませんが、今一番政府としてやらなければいけないことは何かというのを改めて教えていただけますでしょうか。
(答)1つは避難されている方々の生活の御不自由をなるべく軽減していくということ。それから、被災地でライフラインと言われるもの、道路、水道、ガス、電気、なるべく早く復旧するということ。一方で、やはり原子力の被害の広がりというものを極力小さくするために事業者も国も相互に協力して全力を挙げるということ、この2つだろうと思います。
 一方でフェーズは少し変わりまして、復旧とか復興とかということを、勉強を少しずつ始めなきゃいけない時期にも入っていると私は思っております。
(問)昨日のテレビの番組の中でも仰っておりましたが、ホテルや旅館のお客さんが減っているといった2次被害、3次被害的なところの対応というのも考えなければいけないのではないかと仰っていましたけれども、これについてはいつ頃からどういうような形でやるのが望ましいのでしょうか。
(答)これは従来ですと、政府系金融機関が融資とか低利融資とか中小企業対策の予算の中でということで、一時期のことですから、それをされてきたわけです。恐らく2次被害、3次被害のところは数カ月間何とか維持をすれば元通りになるとか、色々な希望を持ってやっておられるので、そういう資金繰りや何かで窮迫しているところを政府、またできれば民間が積極的に助けるということが必要なのではないかと思っています。
(問)最後もう一点なんですけれども、税と社会保障の一体改革について、与謝野大臣は予定どおり4月、6月というスケジュールを描いていらっしゃいますが、民主党の中にはまだ時期尚早ではないかという御意見もありますけれども、こういった方たちにはどのような形で説得をされていくんでしょうか。
(答)民主党の中のことは、私は不案内なので、これは藤井補佐官とか仙谷官房副長官等、歴代の調査会長がやってくださると思いますし、またそのことはお願いに行ってまいりました。
(問)大臣2点お伺いしたいんですが、1点目、先ほど日銀短観が出まして、足元についてはプラス1と、先行きについてはマイナス2ということだったんですが、震災前の集計が多いということで、改めて4日に集計し直して出されるということなんですが、短観について御所見頂戴したいというのが1点目と、2点目なんですが、昨日、日本商工会議所の岡村会頭が復興財源としてならば3年程度の増税もやむなしというような御発言、消費税も含めてということを御発言されましたけれども、その点についてお考えがありましたら、頂戴できればと思います。
(答)日銀の短観は7割ぐらいが震災前の数字なのですが、経済があの時点では少し上向き始めていたのかなと思っています。もう一度、日銀が短観をやり直すということなので、その数字を見ますと企業の経営者マインドがもっとよくわかる。そちらの方が、数字が今の経済の状況を表わしているのだろうと思っています。
 それから、岡村会頭がそういう意見を言われたというのは今日初めて伺ったのですけれども、これは今のところ復興財源をどうするかというのは百家争鳴の状態でございまして、私から確定的なことは申し上げられない段階です。
(問)先ほどの原発の、いわゆる被害に対する損害賠償ですけれども、原子力の損害賠償法によると、予想もしなかったような天変地異の場合は免責条項が働いていると、相当の免責条項が働いて、東電の負担は殆どなくてもいいというふうにも読めるんじゃないかと思うんですけれども、通産大臣もおやりになった大臣から見て、その辺の東電が賠償する程度というのを法律上はどういうふうに解釈されていますか。
(答)恐らく東電側は、こういう混乱している時期にあの条文を引き合いに出して物事を言われるということはないと私は思っております。おりますが、異常な天災というところ、その場合にはこの限りにあらずという条文がありますので、あの解釈は東電の立場とは別にどう解釈するのかというのは法律の専門家たちの大事な仕事ではないかと思っております。
(問)あと先ほど税と社会保障で、民主党の中の説得は仙谷さんたちの仕事だというふうに仰いましたけれども、大臣が個別に説得する必要は確かにないかもしれないと思いますけれども、集中検討会議の当面の議論をきちんとして、民主党の考えも含めてきちんと議論すると、それが国民にも民主党にも見えると、そういうことが民主党の理解と納得に繋がっていくのであって、そういうプロセスが出来ないところで、案づくりだけ一方的に進めるということが民主党の理解を逆に阻害するということになるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
(答)民主党の基本的な考え方というのは、藤井調査会の報告、あるいは昨年12月の菅内閣の閣議決定で明確にその方針はわかっているわけです。ですから、民主党の今までの物の考え方等は十分に生かしながら案をつくると。原案をつくった段階でそういうものに対する意見を十分伺うという、双方向的な、ちゃんと協議はするつもりでございます。
(問)大臣、社会保障と税の一体改革の関連なんですが、4月までに社会保障の改革案をまとめられる予定かと思いますが、原発の事故がかなりまだ長期化する見通しで、首相とか官房長官がそちらに忙殺されているという状況ですが、集中検討会議に4月中に首相が出席するめどが立たない場合は、成案、改革案を公表するというのが後ずれする可能性というのはあるのでしょうか。その1点を教えてください。
(答)その目標でやっております。しかし、原発の事故というのはまだ予断を許さないということをおっしゃっておられますので、それはそういう予断を許さない状況の中では4月末を目標にしていますけれども、何かあればより重要なものに精力を注いでいくというのは必要なことだと私は思っております。
(問)昨日の収録の中で、震災後の一つの懸念として貿易収支の赤字化、経常収支のお話がありましたけれども、あのお話はどこら辺が、日本経済にとって危険だというお話でしたけれども、どこら辺が危険になるのかをお願いします。
(答)まず日本の国際競争力というのは労働集約型のところではすっかり失われているわけです。日本の経済が勝負しているところは付加価値の高い、別の言い方をしますと、技術水準や科学のレベルの高いところで勝負しているわけですけれども、この震災で日本が遅れますと、日本のシェアが落ちてくる可能性もあって、過去にも貿易赤字になったことがあるわけですけれども、やはり経常収支が、所得収支を合わせた経常収支がマイナスになるようなことにならないようにやはり産業を育てる、経済の力をつけるというところが一番私は大事なところだと思っております。

(以上)