与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年3月15日

(平成23年3月15日(火) 10:08~10:31  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございます。
 特に御報告することはございません。

2.質疑応答

(問)今朝、市場が開きまして、日経平均株価が9,000円を割り込んでおります。この麻痺が非常に長引くのではないかという見通しの下に株が売られていると思われるのですが、日本経済への影響が、かつての予想とどのくらい、現状で大臣の認識が変わっているかということを教えてください。
(答)今は混乱期でございます。政府としても、被災地の人命をいかに救助するか、あるいは避難されている方の食料、水、医療をどうするかということに加えて、想定していなかった福島の原子力のああいう状況と、2つのことが最も大事になっていまして、政府全体としては経済のところに、目はまだ行っておりません。日経平均が落ちているのは、それだけ悪い材料があるからでございますけれども、基本的には日本の生産力、あるいは経済力というのは落ちているわけではありませんので、市場の混乱は私は短期間で収束すると思っております。
 ただし、停電の影響というのは、一般家庭だけではなく、広く経済界にも及ぶ可能性もありますし、働く方々が職場に行くということも、非常に困難を伴うという状況ですので、願わくば東電の持っている火力等が津波の被害から一日も早く立ち上がりを見せるということを、今は期待をしております。
(問)先ほど、最優先すべきことに、救助と、それから原発への対応というのがありますが、これに注力するためにも、例えば株式市場などを閉じてもよいのではないかという議論もあり得るかと思うのですが、注力するためにそういうことをしてもよいというお考えにはならないのですか。
(答)全くありません。災害は、確かに2つの大きなものが起きていますけれども、その他の日本の経済は動いているということが大事であって、東京の市場というのは日本だけのためにあるのではなくて、世界経済の一翼を担った大事な市場なので、その市場の機能を停止するということは、国際的な影響が大きいということを考えれば、むしろ市場を開いて通常の活動をやっていくということが、国際的な責任を果たすことでもあると思っております。
(問)今日の閣議で、総理もしくは官房長官から、福島第1の原発についての説明があったのかどうか。それから、格納庫が破損している可能性もあるという非常に危機的な状況だと思うのですが、これが日本経済に与える影響をどうお考えになっていらっしゃるか。
(答)これは、心理的な影響が1つ。それから、日本の全体の経済、工業力、産業力に対して、皆がマイナスの視線を向けるという点では非常に残念なことになると思いますけれども、しかし、いずれ克服できる困難でありますので、今は起きた状況がもたらす被害を最小限にするということに、最大限の努力を注入しなければいけない時期だと思っております。
(問)閣議で、この件については何か報告があったのかどうか。
(答)勿論。皆様が知っているお話と同じレベルの話です。
(問)閣僚の間でそのことについて、議論もしくは他の閣僚から発言はあったのでしょうか。
(答)ありません。
(問)原発の、福島の2号機が、今朝、爆発が起こりましたけれども、3つ爆発しているというのは大変な異常事態だと思うのです。日本社会と日本経済にとって、今、最大のリスクは福島の原発問題ではないかと思うのですが、そのリスクについて大臣としてはどういうふうに考えていますか。
(答)1つは、既にある原発に対して国民がどう考えるかという問題。それから、エネルギー供給構造の脆弱性を持っている我が国にとって、新しい原発を建設することに関しては、これから大変な困難と時間がかかるというエネルギー問題としての原発という両面、非常に私は心配しております。かてて加えまして、海外で原子力をやろうといった国々、こういう国々の原子力に対する考え方がどうなるかということは、世界のエネルギーの需給構造に重大な影響を与えるということで、1つ、日本の問題だけではなく、世界に与える影響というものは非常に大きいと思っております。
(問)原発は、やはりもうそろそろ見直すべきなのではないのですか。政策的な原発の見直しを、これを機にやはり本格的に考える時期に入っているような気がするのですけれども、いかがですか。
(答)1964年にジュネーブで原子力の会議が開かれたときは、50年後には高速炉の実現、あるいは核融合の実現ということが語られていたわけですが、高速炉で研究が行われているのは、今や日本だけになった。核融合の研究もまだまだ時間がかかるということで、結局は大量のエネルギーを確保しようと日本が考えるとすれば、他の代替エネルギーがない我が国経済、我が国の国民の生活を支えるためには、原子力を利用していくということは避けて通れない道だと思っております。その点のエネルギー使用というのは、国民の皆様方にも御理解いただかないといけない。かてて加えまして、日本では人口が減っていますれども、世界的な人口増、あるいは世界の方々の経済生活のレベルが上がっていくということで、例えば原油などの消費量というのはますます増えていくという状況の中で、日本がこれにどう対応するかというエネルギー、資源問題というのは、政治にとっても日本の経済にとっても、これから最大の私は問題になると思っております。
(問)近く月例経済報告をまとめると思うのですが、政府としては、今回の景気認識というのは下方修正するという考えなのでしょうか。
(答)昨日、齋藤統括官が来られましたので、齋藤統括官には、次回の月例報告では、現在までの過去の数字に基づく統計によって日本の経済を分析、解析するということではなくて、むしろ国民が関心を持っているのは、政府として、今後この大震災、原子力事故がどういう影響を国民経済に与えるかと、将来分析をやらないと月例経済報告はその役割を果たせないということを申し上げておきましたので、話の重点は、この大きな災害の、大きな事故の、日本の将来の経済に対する影響の分析が重点的に話される予定になっております。
(問)税に関して2点お願いしたいのですが、今回の災害に関して、復興に財源が必要だと。その財源の捻出のために、一部で増税論というものがあるようなのですけれども、これは現実的だとお考えでしょうか。
(答)そういう発想をする方がおられるということは聞いておりますけれども、そこは問題の本質ではないと思っております。
(問)本質ではないというのはどういう意味でしょうか。
(答)お金の集め方が、今回の色々な対策の本質ではない。
(問)今回の震災によって、日本経済への影響というのは甚大だと思うのですけれども、将来を中長期的に考えますと、消費税も含めた税の一体改革というものが、条件としては日本経済が安定的に進むということが前提にあるかと思うのですけれども、今後の改革スケジュールに及ぼす影響というのはどういうふうにお考えですか。
(答)税・社会保障の一体改革は、定められたとおりのスケジュールで仕事は進めてまいります。
(問)先ほどの月例の関係なのですけれども、先行きも踏まえた上で判断していくというお話だったかと思いますが、生産の落ち込みなどが見込まれる一方で、復興需要等も出てくると思うのですけれども、その判断のポイントはどういったところになってくるかを教えていただけますか。
(答)月例経済報告の国民が関心を寄せる判断というのは2つあって、GDPに対する影響、雇用に対する影響、もしかしたら物価の動向、こういうことですが、今の状況になって過去のデータを分析してもほとんど意味のない話で、むしろこの状況が将来の日本のGDPや雇用の動向、物価の動向にどういう影響を与えるかということを内閣府としてどう考えて、どう予測しているかということを、持っているデータと最善の知識でお話しすることが、内閣府としての責任を果たす所以だと思っております。
(問)海外報道などでは、この間、大臣も仰っていましたけれども、既に日本経済がもう完全に駄目になるかのような報道もあって、日本の輸出製品に対する風評的な被害も起きる可能性というのも否めないと思うのですけれども、日本政府として海外に、そうした風評被害の払拭等に関して、どういった情報発信ができるというふうにお考えですか。あるいは、そういうことをやらなければいけない必要性というのを、今、お感じになっているかということも含めて。
(答)これは、日本人は日本語が分かりますけれども、海外の方にはやはり英語できちんと情報発信する必要がある。うまい情報発信などというものは存在しないので、事実をありのまま、透明性を持って、包み隠さず、正確な情報を海外に提供する。その中で御判断いただくということに尽きるのだろうと思っています。
(問)福島第1原発2号機の格納容器が壊れたのではないかというような、危機的な状況だ、みたいなことを東京電力も言っていると思うのですけれども、この間、震災後から原発の事故が非常に立て続けに続いていまして、計画停電も含めて、東京電力の国民に対する説明がちょっと遅いとか、むしろ情報開示が適切ではないのではないかという指摘が出ているのですけれども、この点に関して与謝野大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)私は、混乱している現場の中で、東電は精一杯やっていると思っておりまして、むしろ国民で東電を頑張れと言って激励してあげるということが、大事な時期だと思っています。
(問)ということは、情報開示のやり方も一応適切に行われているというふうに、大臣は思っていらっしゃるということでしょうか。
(答)極めて専門的な分野なので、情報開示するというのは極めて技術的な部分があって、聞いておられる取材記者の方も、科学系の方は多分、数が少ないと思いますので、そういう意味では情報の出し手も受け取り側も、なかなか通常のこととしては処理出来ないという難しさを伴っているというふうに思いますけれども、東電側も保安院も官邸も、精一杯のところをやっているというふうに御理解をいただければと思っております。
(問)その関連で、総理が東京電力に対して相当怒ったようですけれども、それは今、大臣のおっしゃる考え方からすると、ちょっとやり過ぎなのではないかという気もするのですが、それはどうなのですか。
(答)そんなことはないので、原子力の最終的な責任者というのは内閣総理大臣ですから、内閣総理大臣が情報をしっかり出せということを仰るというのは、ごく普通のことだと思っています。
(問)昨日、日銀が追加の金融緩和を発表しました。この24時間、刻々と状況が変わってしまっていますけれども、今の段階で、この変化した状況も踏まえて、日銀の対応というのは適切かつ十分なものと考えられますでしょうか。
(答)今日、また追加的なことをやるということは、もう既に決定しておりますから、昨日のものを合わせると、史上最大の金融政策を日銀はとっているということで、日銀の言葉を借りれば、これらの日銀の金融政策というものは、日本の経済が悪くなっているからやっているのではなくて、市場にいたずらな不安が広がることを防ぐと、そういう意味で日銀は幾らでも金融政策的な側面から今の状況を支えるという強い意思表示をしているということでございます。

(以上)