与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年3月1日

(平成23年3月1日(火) 10:27~10:48  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございまして、特に御報告することはございません。
 以上です。

2.質疑応答

(問)2問お願いします。
 1問目は、昨夜というか今日の朝、衆議院を予算案が通過しました。年度内成立は、憲法の規定上、確実になっているのですけれども、関連する法律が通る見通しが今のところないということで、その後の状況も含めて、かなり政権運営が厳しくなっていると。この辺について大臣はどうお考えになっているかということを、1点お願いします。
(答)前から申し上げましたように、昨年の参議院選挙の結果、政権党である民主党は、国会全体から見れば半分の力しか持っていないと。参議院に行けば野党が多数ですから、野党が全体の半分の力を持っているというふうに考えざるを得ないわけです。この力が半分ずつになったということを、両者が歩み寄らないで国会運営が行われますと、予算は衆議院の優越が規定されていますから、それは別としても、その他の大事な法律が、いわば衆議院の意思と参議院の意思が完全に分断されるということになって、これは民主党に不幸とか菅政権に不幸ということよりは、物が決まらない、そのダメージは国民が受けるわけですから、与党のほうも相当注意深く綿密に野党の皆様方と話し合って、国民生活に支障のない時間割をきちんと守っていくということを、これからやらなければならないと思っています。国会運営というのは、常に与党のほうが一歩も二歩も退いて、野党の言い分を聞くというのが大事なところでございまして、やはり急がば回れという丁寧な国会運営が必要だと思っております。
(問)2問目です。その肝心の菅政権の、民主党の中から、今回10人ほど、造反という形になったのですけれども、民主党内部から、こういう菅政権に反旗を翻すような動きが出ていることについて、大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。
(答)せっかく衆議院に当選して国民の代表になった方が、数ある採決のうちでも最も重要な予算に対する採決に欠席をされたということは、私自身としてはもったいないことだなと思っております。やはり国会議員は、予算また法案の採決に参加することによって、最終的に議員としての義務を果たすべきですから、出席か欠席かで自分の他の政治的な目的とか政治的な意思を表明するというのは正しいことなのかどうなのかという疑問がつくことだと私は思っております。
(問)大臣は先ほど、与党になれば一歩も二歩も退いて野党の言うことを尊重すべきだというお話をされましたけれども、予算関連法案を衆院にとどめて参院に送らないという、これは野党、非常に反発しているのですけれども、やはり歳入・歳出一体のものだという考え方からすれば、野党の言っていることも当然の考えのように思えるのですけれども、これについてはいかがお考えでしょうか。
(答)野党の作戦も、早く参院に回して法案をつぶしてみせるという作戦があまりにも露骨だったので、やはりじっくり審議しようとする作戦を民主党がとったのは、半ば国会の中での駆け引きとしては、当然あっても不自然ではないと思っております。
(問)2点あります。1点目は、子ども手当について、与党の中から所得制限を設けるというような案が浮上しているわけなのですが、これは大臣、かねてから、ばらまきというふうに批判されたこともありますが、この所得制限を設けるということについて大臣の御所見を伺いたいのと、もう1点、主婦の年金未納の救済問題というのが今あるのですが、その中で、第3号の被保険者という、その制度自体が現状を反映していないのではないかという批判も上がっています。それについて、一体改革の中で見直しを、大臣、今後、検討されるおつもりがあるのかどうかというのをお伺いしたいと思います。
(答)私がかつて定額給付金を支給するときに、所得制限を設けようとしたのですが、総務省のお話、その当時は鳩山総務大臣だったのですが、所得制限を設けるというのは非常に技術上難しい。所得制限というのは国税の話でして、その国税の話を地方長がやるということは非常に難しいというのであきらめたことがあります。子供の教育に十分なお金を回せないという家庭に子ども手当が行ったり、あるいは、以前には児童手当が行ったりしたこと自体は、私は良いことだと思っておりますが、技術上の問題が数々伴うということも一面の真理でございます。やはり、原理的には所得制限を設けるというのは、原理としては必要なことかもしれません。ただし、現実問題として、そういうことが技術的に、時間的に、事務的に可能かどうかということは、よく考えた上で判断しないと混乱を招くということであると思います。
 それから、昨日は厚生労働大臣と総務大臣の意見が分かれましたけれども、どうもあの答弁を伺っていると、厚労大臣というよりは前の厚労大臣の御判断のようなので、そういうものを含めてよく政府内で打ち合わせをする必要がある、そういうふうに思っております。あれだけのことが一遍の課長の通達で出来るのかという質問が、社民党から昨日ありましたけれども、そういう点はよく説明出来るようにしておくというのが厚労省と総務省の責任である、そのように思っております。
(問)第3号被保険者という制度自体を、今後、一体改革の中で、大臣は見直すべきだとお考えですか。
(答)直すべき問題は、年金制度そのものではなくて、何かの間違いで手続を忘れたとか、あるいは年金記録自体が不整備で加入者に迷惑をかけたとか、色々なケースがあるわけですから、そういうものを救済するときにはどのような基準で救済するのか、年金の掛け金をまじめに払っている方との不公平が生じないかどうかとか、ありとあらゆることをきちんと考えた上でやっていかないと、一部といえども不公平感が残るということを心配しております。
(問)これから与野党が折り合っていくのは非常に難しいことに対しての大臣のお考えなのですが、大臣が与党のときには、いわゆる大連立というようなことも話に出たのですが、今、改めまして、国民にダメージを与えないために何が必要なのか。今の国会のままだと、国民は大変不安だと思うのですが、しかし、大連立が良いのか悪いのかということにも議論があると思います。改めまして、大臣はその辺、どうお考えでございましょうか。
(答)まず、与野党が話し合うためにはテーマが必要であって、税・社会保障一体改革は、自民党の組み替え動議の説明書の中に、いわば案がないから与野党協議は出来ないと、自分たちはもう既に参議院の公約で消費税10%を言っているのだと、早く自分たちに追いつけと、激励とも言える文章が載っておりましたので、それは必要なことです。
 それからもう一つは、アメリカで今ちょっとまた話題になり始めましたガバメント・シャットダウンという問題で、アメリカは日本より深刻ですし、クリントン政権のときには暫定予算の期限が来て、更に暫定予算をつくって、更にその期限が切れるということで、公務員は自宅待機とか、重要な施策が出来ないとか、大幅な政府がやるべき仕事が遅れたりとか、色々なことが起きました。むしろ、暫定予算の期限が切れると、予算を使うと刑事罰が加わるという非常に厳格な制度になっております。日本も、このまま話し合いが行われないで、今年の予算の歳入される特例公債法が参議院で御承認を受けられないというようなことになりますと、文字通り日本版のガバメント・シャットダウンというふうになると言う人もおられますので、私は大変憂慮しておりまして、国民の生活を守るためには、やはり与野党、歩み寄りということが大事なのだろうと思っております。
(問)補足ですが、いわゆる大連立的な、そういう話し合い、それについてはいかがでございましょうか。
(答)実は、連立というのは選挙制度との関連で、日本では非常に難しくなってくるということが言えるのだろうと思います。
 しかし、そんなことにかまけて、やはり国会が強力な意思決定プロセスを持たないというのは、国民にとって不幸なことでございますし、物が決まらない政治というのは最悪の政治だというふうに考える私自身にとっては、そのような国会の意思が2つ出来てしまうということは、想像もしたくないような事態であります。
(問)先ほど、今日の午前8時半にありました労働力調査の結果で、1月分の就業者数が前年同月に比べて9万人減少して、完全失業率は4.9%と横ばいということでした。ただ、一方で、完全失業者数は309万人で、前年同月に比べて14万人減少していたと。そういう雇用情勢について、横ばいかなという印象だったのですけれども、こういった雇用情勢について、大臣の御所見をお願いします。
(答)数字は変わっていませんけれども、色々なところで、今年は新卒の採用数を増やす動きも見られますし、雇用については、ほんのわずかですけれども、改善の方向が見られます。それを支える有効求人倍率も、0.0幾つの世界ですけれども、若干上昇しているということで、少しずつですが、日本の経済は上のほうに動き始めたということを感じています。
 ただし、気をつけなければならないのは、中東の色々な騒ぎの結果、石油先物の値段が高騰しているということで、これが現物価格にはね返って、一定のタイムラグを経て日本経済にも大きな影響を与えます。石油の価格自体は、ある種の所得の移転、所得の再分配でございますけれども、所得が産油国に移りますと、そこの国個人の消費性向は輸入国よりは低いという現象で、世界的な需給ギャップというものが広がるのではないかという懸念を持っておられる方が、相当沢山出てきたというふうに考えております。

(以上)