与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月21日

(平成23年2月21日(月) 18:29~18:46  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催されましたので、その概要を御報告申し上げます。
 景気の基調判断につきましては、「持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある。ただし、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」と上方に変更いたしております。
 これは、冬のボーナスや個人消費が振るわないなど、心配な点はあるものの、輸出や国内自動車販売に持ち直しの動きが出ていることを受けて、生産に復調傾向が見られ始めたことなどを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待されます。
 一方、海外景気や為替レート、原油価格の動向等によっては、景気下振れリスクが存在をいたします。また、デフレの影響や雇用情勢の悪化懸念が残っていることにも注意が必要であります。
 政策の基本的態度につきましては、政府といたしましては、新成長戦略に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともに、デフレを終結させるよう政策運営を行うこと、このため、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済政策」を着実に実施し、平成23年度予算及び関連法案の早期成立に努めることを記述しております。
 政府は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)今後、足踏みの状態を完全に脱したと判断するために大臣が今後注目しようと考えていらっしゃる点というのを教えていただけますでしょうか。
(答)これは、実質成長率も名目成長率もプラスになるということもありますし、物価がゼロ以上のところで数カ月間とどまるということが見られた段階であろうと思います。
 ただ、専門的には、デフレ脱却あるいは足踏み状態というのをどう判断するかというのは、これからのことだと思っております。
(問)もう一点、週末のG20でも話題になりました食料とか商品価格の高騰なんですが、現段階の水準で、日本企業や景気に与える影響というのをどう見ていらっしゃるかというのを改めて教えていただけますか。
(答)日本は、鉱物資源を初め穀物類を輸入しております。いわば加工貿易をやっているというのが今も昔も変わらない姿でありますから、原油及びその他の資源、食料が上がるというのは、大変日本にとっては経済に大きな影響を与えると私は思っております。
 そういう面では、中近東の情勢にもこれからも注視していかなければなりませんし、また新興国のインフレの状況、あるいは景気過熱の状況というものにも注意深く関心を払っていかなければならないと思っております。
(問)大臣、先の見通しについて、どういうふうに今認識していらっしゃるか教えてください。
(答)アメリカ経済は、我々の知る限りにおいては、消費も伸びておりますし、失業率は大変厳しい状況にまだありますけれども、消費から見ても上向いておりますし、株価も先行指標としてアメリカ経済の今後の好調さを予想しているのではないかと思っております。
 新興国の経済の中では、やはり心配なのは、バブルの崩壊、あるいは耐えがたいようなインフレ、こういうものを心配しておりますが、もう一つ、やはり直近では最も心配なのは、中近東の政治状況であると思っております。
 一方、国内は、若干雇用も中小企業を中心として改善の動きが見られます。1-3月は多分プラスになると思いますので、リスク要因が発生しなければ、今後は順調に、徐々にではありますけれども、回復軌道をたどっていくものと思っております。
(問)2点あります。
 一つは、今回、「足踏み状態を脱しつつある」と。これは足踏み状態を脱していないということでいいのですよね。要するに、こう認定をした理由を教えてほしいということで、最初に説明があったんですけれども、もうちょっと詳しく教えてください。
(答)経済の状況を表すのにこんな文学的な表現を使うというのは、微妙なことを言い表そうとしているわけで、もし詳しくということであれば齋藤統括官が「足踏み」というのはどういう状態か、ちょっと御説明します。
(齋藤統括官)昨年秋から「足踏み状態にある」というふうに言っていたときは、一つは、国内でいいますと、エコカー補助金が終了して、そして駆け込みの反動があって大きく国内自動車販売が落ちたということ。自動車産業というのは、非常に産業そのものが広いので、国内の生産に及ぼす影響も大きい、それが一つです。
 それから、もう一つは、輸出が減少してきているということでございます。特に中国を初め、その他のアジア諸国を中心にして、昨年の後半は成長の減速が見られましたので、その影響が出てきたということでございます。
 その一環として、IT関連の製品の在庫調整というのも影響を及ぼしたというふうに思っています。それが「足踏み状態」です。
(問)もう一つ、リビアの関係なんですが、先ほどから中東のリスクについておっしゃっていましたが、今日、昨日の話でいうと、リビアでかなりデモが随分起きているようです。これ影響をどう考えるかというのと、日本の経済に与える影響というのは、コストを上げるということだと思うんですけれども、これからどんどんこういう民主化運動が活発になると、脱しつつある「足踏み」ももしかしたら逆戻りという可能性もありますので、その辺のリスクをどのくらい見ていらっしゃるのか、中東に関する知見も踏まえておっしゃっていただければ助かります。
(答)リビアは、比較的安定した政治情勢だというふうに考えられていたわけです。カダフィ政権が割にきっちり国内を抑えているというのが前評判でしたけれども、実は、報道管制が敷かれていますので、直接の情報は入ってこないということで、インターネットや何かを通じたいろいろな情報を総合してリビアの状況を判断しているということですが、やはりああいうイスラム圏の国が1つ不安定になり、2つ不安定になり3つ、4つ、5つと不安定になっていくということは、日本にとっては一般的に言えば懸念すべき、また憂慮すべき状況であると思っております。
(問)今回、個人消費が3カ月ぶりに下方修正になりまして、こちらの文章によると、家電販売等で減っている、ということは恐らくエコポイントの大臣が御指摘の件だと思いますけれども、先日のGDPの御説明の中では、大臣のお言葉でいうと「特殊要因がある」というお話でしたけれども、今回の個人消費の下方修正というのも、そういう意味では同じ特殊要因による一時的な下方修正だということでよろしいんでしょうか。
(齋藤統括官)GDPの数字、特に個人消費が落ちたということについては、前期との比較で、エコカー補助金の関係の影響が大きかったというふうに思っています。
 ただ、実は10-12月期でいうと、自動車の落ち込みが大きいのに引きかえて、エコポイント関連の家電の駆け込みというのが非常に多かったので、10-12月期を見ると耐久財はプラスでした。
 そういうことがあったわけですけれども、今回の景気判断で消費を下方修正した理由でございますけれども、一部にもちろんエコポイント関連の家電の落ち込みが大きいということの影響というのも無視できないと思いますが、同時に、所得環境が少し悪くなってきていると。特に、昨年の暮れ、ボーナスが思ったほどよくなかった。特に中小企業を中心によくなかったということがあって、その影響が背景としてあると思いますけれども、例えばサービスについても、もう一つ力強さに欠けるということも踏まえた判断になっています。
(問)今日の予算委員会で、菅首相は、予算関連法案の成立に協力を呼びかけられたと思うんですけれども、それ以外にも経団連の米倉会長が国会が予算法案を通らせないような状態を給料泥棒とか批判していますけれども、今、景気に与える政治的リスクがかなり高まっていると思うんですけれども、そういった意味での大臣の御所見をお願いします。
(答)今までの戦後の国会の歴史をずっと見ますと、政府が提出した予算を何とか年度内に成立しよう、させようという努力がいわば国会の春の歴史であるわけです。
 毎年、1月から3月、場合によっては4月に入ることもありましたが、やはり国民生活あるいは国民の経済、地方行政等を支える予算というものをきちんと新年度に間に合わせるように成立させるというのは国会の第一の責任であると思っております。
 また、予算関連法案も、関税定率法等、期限に遅れますと即経済に影響、生活に影響が出るものもありまして、そこのところを野党の皆様方がどう判断するかということにかかっていると思っております。
 これは、菅政権の状況から発生した話ではなくて、去年の参議院選挙の結果、ねじれが発生したということで、重要な法案は野党の思し召しのままという状況はそのとき発生したわけです。
 しかし、ここで与党も冷静になって、やはり野党の協力を真剣に求めるという真摯な態度が必要であると思いますしし、野党の皆様方も国民生活や国民経済をまた責任を持ってそれを支えているという、そういう点から御判断くださるものと私は確信しております。
 経済界でそういう心配をされているということは当然のことでありまして、これから政府・与党、真剣に年度内成立、関連法案の成立に向けて努力をしなければならないと思っております。

(以上)