与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月8日

(平成23年2月8日(火) 8:24~8:42  於:院内内閣記者会3)

1.発言要旨

 閣議は予定どおりの案件で、特にお話しすることはありませんが、お手元に配布した資料のとおり、パープルダイヤル、性暴力・ドメスティックバイオレンス相談電話を開設いたします。今日夕刻、そのキャンペーンをやってくださるタレントの優香さんが大臣室にいらっしゃいます。
 詳細については、男女共同参画局に聞いていただきたいと思います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)日曜日の名古屋市長選で、市民税の減税と議員歳費カットを訴えた河村たかしさんが当選されました。やはり選挙になるとポピュリズムが強くてなかなか有権者に負担をお願いすることが難しいということをまた改めて示したのかなと思うんですが、大臣はこの結果をどのようにご覧になっているか、受け止めをお願いできますでしょうか。
(答)あれが全国的な傾向だというふうには私は思っておりません。河村さんが実は長い間かけて、沢山の自分の支持者を持っておられるというところが選挙の勝利の原点であると思っておりますけれども、お金がないときに減税というのはなかなか我々としては言いづらい話で、非常にローカライズされた現象だと私は思っています。
(問)年金の一元化なんですけれども、昨日の委員会審議でも出ていましたが、改めてお伺いしたいんですけれども、検討会議では、この年金の一元化についてどれぐらいの重きをもって議論されるべきか。それから、4月の社会保障の改革の取りまとめでは、どれぐらいの、例えば年月的な目途とかが盛り込まれることがあり得べしかということを伺えばと思います。
(答)年金の一元化というのは、同じ業務をやっているのですけれども、歴史が違う年金が一元化されるということは、朝日、読売、日経、産経、毎日が一緒になるというぐらい難しい話だと私は思います。
 ただ、年金に関しては、今の理由とは別に、私は議論していいテーマであると思います。ただ、技術的に申し上げれば、色々な困難がありますし、古い今まで使ってきた制度と新しい制度を接続するということも、なかなかそんなことは簡単なことではないと思います。
 しかし、考えていいテーマなので、それはそういう統合事務が難なく行える、社会保障番号が創設されて定着したときにその議論を始めれば、結論も容易に出ると思いまして、そういう事務的なベーシックなインフラストラクチャーをつくって、その次の段階に進むというのが正しいのではないかという答弁をしたわけです。
 報告書では、今申し上げたのは私の意見で、色々な方から色々な有意義な意見がこの点についても出てくるだろうと思っております。
(問)昨日、弊社で税の検討会議の委員の一人である柳沢さんにインタビューさせていただいて、柳沢さんの御意見では、年金一元化というのは必ずやったほうがいいと、それをやらないと改革とは言えないのだという御意見でございました。
 今の与謝野さんのお話では、番号制度が導入されて、それが定着した後に議論を進めれば結論が出るというお話でしたけれども、一元化ということ自体についてはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)一元化でこういういいことが起こります、こういう悪いことが取り除かれますという議論はまだ一元化論者からきちんと伺っていない。一元化を提唱するお気持ちは十分わかっているつもりなのですけれども、やはりそれを主張される方はみんなの前でそういう明確な利点、欠点、長所、短所、実現の可能性、実現するときの隘路等々をきちんと説明される、これが一元化への第一歩なので、理念で一元化ということを考えることと、政策としてそれを実現するということは、もう一段の作業が必要だと思っております。
(問)小沢一郎さんの国会招致や処分というのが今、民主党内で議論になっていまして、それが国会での予算審議にも影響しているような状況なんですけれども、大臣は小沢さんの国会招致や処分の有無についてどういうふうに対処するのが望ましいというふうにお考えでしょうか。
(答)学説は紹介できますけれども、私はこの件について意見を持っていないです。
 学説からいいますと、一つは国政調査権というのは憲法に書かれていることであって、国政調査権というのは、国会が持っている権能、予算、立法、その他をよりよく発揮させるための一つの大事なツールであると。
 国政調査権をさらによりよく発揮できるために、議院証言法というのが昭和20年代に導入されたのですけれども、昭和20年代の議院証言法の運用というのは非常に乱暴で、町の警察署長を呼んできたりなんかしたものですから、それを苦にして自ら命を絶つ人が出てきたり、30年代に入って、20年代の運用というのは随分反省されたというので、各党が到達した結論は、やはり証人をお呼びするときは全会一致でやろうと、そういうことになって、それからまた、議院証言法の政治的利用も防げるという、そういうことをやってきて、20年ほどたって、昭和51年のロッキード事件のときの証人喚問で、証人の人権も守ったほうがいいのではないかという結論になって、3つ論点があって、弁護士の付き添いを認めるとか、あるいはテレビを放映をするかしないかの本人の同意というのと、証言の対応を民事訴訟法から刑事訴訟法に切り替えると、そういうことをやってきたわけです。
 今回の件は、学説とは別に、委員会の議決でやるので、それがどういう議決になるか。この議決が国会としての新しい解釈になるわけですけれども、また学説的に答えられていないのは、裁判が始まったときに、裁判と同じことを仮に国会がやったときに、そこまで国政調査権が及ぶのかという理論的な問題がまだ論じられていないのではないかなと思っています。
 この件については私は意見は一切ありません。
(問)昨日、日銀の白川総裁が景気認識についておっしゃられていたんですけれども、大臣は色々な機械受注の統計とか、貿易の統計とか、結構いい数字といいますか、出ているんですが、景気認識について上向いているような認識はございますか。
(答)方々でそういう話を伺いますので、私は日銀総裁の景気認識と一緒でございます。
 ただ、一部では、委員からの質問なんかで、日銀が金融政策を駆使すればまだ景気がよくなるのだというような意見も散見されますけれども、それは違うのだろうと。やはり実体経済が、輸出の面においても、国内需要の面においても立ち上がってくるというのが本当の経済の回復ですが、全体世論も、テレビ会社の社長様に伺っても、景気の先行指標であるコマーシャルというのは順調に戻り始めたと。まだ楽観できないけれども、戻り始めたと。そういう意味では、少しずつよくなり始めたのだろうと思います。
(問)ということは、今月の末の月例経済報告の基調判断も期待していいというか、何かがあるかもしれないと。
(答)齋藤さんからはまだ聞いていません。
(問)土曜日から集中検討会議が始まりましたけれども、そこで、幹事委員以外の委員の方も発表されましたけれども、聞いてみないとわからないんですけれども、現場に携わる方が結構多かったということで、一つの分野の全体を見ているような学者の方、あるいは研究者の方が少ないような印象なんですが、その点はいかがでしょうか。
(答)例えば医療について言えば、矢崎さんが入っているので、あの方は非常に幅広い経験を持っておられる。そのほかに、日商会頭の方が入っているので、中小企業全体のことは意見集約して持ってきてくださるとか、それは医療、年金、介護というよりは、こちらはどちらかというと医療と介護のほうに、偏ったといったら変ですけれども、そちらに重点を置いた人選なわけです。
(問)金利の上昇について御意見をお伺いしたいんですけれども、足元の金利上昇、アメリカで量的緩和があまり大きくならないようだという見方が一般的なようですが、日本は先日格下げがありまして、国会情勢にも言及がある中での金利上昇ということになりますけれども、その受けとめはどうお考えかお聞かせいただいてよろしいでしょうか。
(答)1.3前後というのは、世界的に見ても金利としては低い水準だろうと思います。ただ、長期金利というのは何で構成されているのかといえば、期待収益率とか期待インフレ率とか、それに、国のリスクプレミアムと、こういう概念を一応足してみたというのが長期金利だと言われていますが、そうすると、どれも低いという話になってしまうので、期待収益率が高いような投資分野というのがないのかもしれないし、インフレもあまり期待できないし、半年ぐらい前に0.8とか0.9までいったものが今1.28とか1.3とかというところまで来ているので、多少上がっているみたいに見えるのですけれども、さして何か考えなければいけないということを示している数字ではないと思っております。

(以上)