与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月1日

(平成23年2月1日(火) 8:31~8:47  於:院内内閣記者会3)

1.発言要旨

 閣議は案件のみでございました。

2.質疑応答

(問)エジプトの政情の混乱、混迷の度が深まっているようなのですけれども、あの地域と日本との経済的なつながりとか、あるいはマーケットとの関係とか、今後日本経済に与える影響というのは、大臣お考えがありましたらお聞かせいただけますでしょうか。
(答)エジプトというのは、私は3年3カ月住んでいた場所なので、とりわけエジプトのことは心配をしております。目に見える影響が株式相場等々に出てきておりますけれども、混乱はそんな長引かないだろうということを期待をしております。私がエジプトに参りましたのは、1952年ぐらいで、その当時はファルーク王政というのが倒れて、ナギーブという将軍が政権をとって、その後ナーセル時代が続いて、ナーセルの後にサーダートが出てきて、サーダートが暗殺された後はずっとムバラクさんがやっておられるわけで、随分長いなと思っていたのですが、エジプトというのは基本的には非常に豊かな国で、あの辺の中近東の盟主とも言われるところなので、なるべく早く安定してほしいなと思っています。ただ、今のところは市場等に大きな影響が出てきていないと思っています。
(問)民主党の小沢元代表が昨日強制起訴されましたが、野党のほうからは証人喚問を求めるような声も出ていますけれども、大臣のご所見をお願いできますか。
(答)議院証言法については、私はいろいろな学説を知っていますけれども、議院証言法という法律の実際の運用は衆議院の現場に任せるべきであって、私は何のコメントをする立場にないです。
(問)昨日、内閣府の発表した国民経済計算のストック統計で、一般政府という部門が債務超過という言葉は悪いですが、いわゆる国の負債と資産を合わせると債務超過に陥ったということが発表されましたが、国の財政がかなり厳しいということだと思うのですけれども、大臣のご所見があれば伺えればと思います。
(答)内訳を見てみますと、年金基金の資産が減っているとか、あるいは政府の手持ちの通常の固定資産が下がっているとかということはありますけれども、それが主要な要因ではなくて、55、56兆のうちの44兆とか、そのぐらいは国の債務が増えたということによるものであって、こういうところにも好ましくない状況が出始めているというふうに私は受け取っております。
(問)先ほど小沢さんの話が出ましたけれども、大臣は以前、小沢さんの国会招致について、リンチ裁判みたいなことをすべきではないと、小沢さんの人権に配慮する旨考え方を示されていましたけれども、その考え方については変わりはないですか。
(答)申し上げるべき意見はないのですが、皆様方に知っていただきたいのは、新しい憲法のもとでは、国政調査権というのが与えられた国会は国権の最高機関で、国政調査権を持っているということをいったときに、国政調査権というのは、この世の中にある森羅万象にすべてに及ぶのかといえばそうではなくて、例えば個人の内面性の問題なんかは国政調査権は及ばないということは論ずるまでもないことであるわけです。
 議院証言法というのは、国政調査権を有効あらしめるための一つのいわばツールであって、これは出廷を拒否すれば罪になるし、証言を拒否すれば罪になるし、偽証も罪になるしという大変厳しい法律であり、なおかつ強力な法律だと思っています。
 これは昭和20年代にこれを濫発して使ったという歴史がありまして、呼んでくる人は、あの警察の署長を呼んでこいとか、あの検事を呼んでこいとかという、いろいろなことをやったものですから、国会全体が反省の時期に入って、やはり議院証言法でやる場合には全会一致でやろうという、そのときの慣行ができた。
 それで、昭和30年代、40年代というのは、割に議院証言法的には静かな時代だったのですけれども、昭和51年にロッキード事件が起きて、証人喚問が何人も出されたと。そのときの様子で幾つかの法改正が行われていると。
 1つは、テレビに映るかどうかというのは本人の承諾が必要だと。
 それから、弁護士の陪席も許されたと。
 一番大きな改正は、議院証言法の証言の部分、例えば証言拒否とかそういう部分は、従来は民事訴訟法の規定を使ったのですけれども、刑事訴訟法の規定に入れかえられたと、そういうことがあって、一方では国会の国政調査権というものを強化する。一方では証人として出廷される方の基本的人権は尊重すると、それが今の状況であります。
 それで、国政調査権がどこまで及ぶのかというのが、多分今回の原点ではないかなと私は思っていますけれども、今ご紹介したのは、あくまでも歴史の学説でございますから、今国会がおやりになっていることについて、何らコメントしたものではありません。
(問)税と社会保障の一体改革の件で、後期高齢者医療制度についてお伺いしますが、後期高齢者医療制度の建てつけに与謝野大臣もかかわられたと思うのですけれども、民主党は見直しを主張していて今考えているところですが、税と社会保障の一体改革の中で、後期高齢者医療制度もどこまで見直すべきとお考えですか。
 それと、6月までに財源まで考えなければいけないとなると、きちっとした建てつけも考えないといけないと思うのですが、そこまで間に合うのでしょうか。
(答)後期高齢者医療制度というのは、33、34兆かかるうちの約3分の1、11兆が高齢者にかかる費用、1兆円は窓口、5兆円は税金、4兆円は他の健保から、最後の1兆円を1,400万人の75歳以上の方にご負担をいただくと、そういう制度であって、そんなに悪い制度ではないなと私は思ったのですけれども、この制度の一番大きな欠陥はどこにあったかというと、広域連合というやつで、これを県知事が引き受けなかった、市町村長が引き受けなかったということで、県知事と市町村長の広域連合という形をとって、本当のこれは俺の仕事だという責任者がいなくなったのがこの制度がみんなから低い評価しか受けられなかった最大の原因だと思っていますので、そういう意味ではちゃんとした責任者をつくってやっていくという、そういう意味での制度改正は実際上必要だと私は思っています。
(問)昨日の集中検討会議のメンバーですけれども、比較的自民党時代からの検討に携わってきた方が多いとか、大臣も長年一緒にやってこられた方が多いということで、新味に欠けるというか、それで特に民主党の合意、あるいは納得感がこのメンバーの議論で得られるのか。
 あともう一つ、先週末、藤井孝男さんが参院で、大臣について、信をなくしたという批判をされましたけれども、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
(答)要するに、税と社会保障の問題というのは、党派性を超えた問題なので、そこに党派性がまだ残っているというふうに考えますと、やはり国民のためにやるのだという意識が薄れてしまいます。国民の生活を、あるいは将来に向っての予測可能性をきちんとたしかなものにしておくということが改革の趣旨であるわけです。
 藤井さんが参院で言われたことは、謙虚な気持ちで受けとめておきたいと思っています。

(以上)