玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月9日

(平成23年8月9日(火) 19:15~19:32  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議については、特にご報告することはございません。
 本日、民主党・自民党・公明党の幹事長合意がなされました。最大の懸案であった特例公債法案の道筋がつきまして、ほっとしているところです。
 ただ、一部合意内容について、政策責任者としては不満があるのが率直なところです。これは、幹事長間の政策判断を超えた政治判断ということで理解をしなければならないと考え、同様に党内の皆さんの御理解も求めていかなければならないと考えています。
 特に高校授業料無償化につきましては、既に制度が定着しておりまして、今後も継続すべきであると考えておりますし、同時に、この案文は「政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する」とありますので、大いに検証したらよろしいかと思います。敢えて付け加えれば、公明党が主張されるように、特定扶養控除の廃止によって、一部の方が負担増になっておりますので、そういった方々への配慮は検討に値すると考えております。
 また、農家戸別所得補償制度についても、その根幹は変える必要はないと思っております。食と農林漁業の再生実現会議で、私自身が責任者になって強化策を打ち出しております。そういった観点からの見直し、重点化等は当然あっていいと考えておりますので、党内の皆さんにも、そのように理解を求めたいと考えているところです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)特例公債法案成立の道筋がついたことで、菅総理が掲げていた退陣3条件が成立する見通しになりましたけれども、菅総理の退陣表明は、これをもって早々にすべきであるとお考えでしょうか。
(答)再生可能エネルギー特別措置法案についても、石破政調会長とも話をしておりまして、今週中に衆議院を通過させたいと思っています。そうなりますと、一定の目途の条件が満たされるわけであります。どの時点で、総理自身がメッセージを発するかについては、これから岡田幹事長と総理との間で話し合いがなされるものと理解しております。
(問)関連で、大臣はかねてから8月中に総理は辞められると言っていましたけれども、改めてお聞きします。
(答)3つの条件が揃えば、私は8月末を待たずにお辞めになるのではないかと申し上げてまいりました。ただ、特例公債法案、再生可能エネルギー特別措置法案の衆議院通過だけではいけませんので、最終的に、参議院をいつ通るのかに尽きるのではないかと思っております。参議院まできちんと見届けることもあり得ると思います。
(問)確認ですが、今国会イコール今月中であるという理解でよろしいですか。
(答)私自身はそう考えております。少なくとも党代表はですね。
(問)鳩山前総理が党幹部と閣僚が一斉に辞表をたたきつけるべきだという発言を先週末にしていましたけれども、もし大臣がおっしゃったような退陣表明をなされない場合に、そういうシナリオについて、検討はされるのでしょうか。
(答)そのようなことにならないようにしなければならないし、恐らく総理ご自身できちんと判断されると思います。
(問)関連して、新代表の選出までを、できたら8月中に終えたいというお考えなのでしょうか。それから、先ほど、自民党の逢沢国対委員長が午後の記者会見で、本当は幹事長、政調会長と合意になるはずだったけれども、政調会長がそういうサインをしなかったから、幹事長決裁になったというような発言をされていますけれども、可能な範囲でお聞かせください。
(答)8月中に新代表を選出という問いについては、本来そうあるべきだと思います。先ほど申し上げましたように、参議院で法案がどう取り扱われるかに尽きるのではないかと思います。
 そして、今回のサインの件は、私には事後報告でした。ただ、私は決まった以上は、不満はありますけれども、党内に理解を求めるように汗をかきたいと考えております。特に岡田幹事長につきましては、幹事長に就任されたときに支えると約束をいたしましたので、最後までその約束は守りたいと考えております。
(問)昨日の宇宙開発戦略本部の専門調査会について、お聞きします。報告書が一応まとまりまして、準天頂衛星については、中でも異論があったということで、数も並列状態、実施体制も内閣府と言っただけで、具体的にどうするということまで踏み込んでいないような報告書ではありますけれども、大臣はどのように取り組んでいかれますか。
(答)先日の読売新聞のインタビューで、準天頂衛星については優先度が高いということを申し上げていたと思いますけれども、この間、各省庁を呼んで本音を聞き出しながら私なりに考えています。今回の報告書については、専門調査会としての専門的な見地からの結論をいただいたと思っています。当然、多数の意見、少数の意見がそれぞれあったと理解をしていますので、そういうことも改めて読み込みながら、政治的な判断をしていこうと考えております。
 特に内閣府に任せるかどうかという点について、仮に予算要求をするとなると、どこが要求省庁なのかということになるものですから、予算要求をする段階で一定の判断をしなければならないと考えております。これは体制全般との議論にもかかわる話でありまして、この間、私は党の政策調査会長を務めていることもあり、体制も含めて、一定の道筋をつけたいと申し上げてきました。今までは、事務レベルでずっと調整をさせてきましたけれども、だんだん政治レベルにしようと思っております。科学技術イノベーションや宇宙の関係の議連の方々などとも意見交換の機会をつくって、一つ一つ整理をしていこうと考えています。
(問)今回、準天頂衛星が最重要課題に位置付けられましたけれども、そこの理屈というのが、中でやっている人たちはともかく、我々一般にはいま一つ納得しがたいところもあるのですが、その辺の説明責任をどうお考えでしょうか。
(答)最終的に政治判断をするときには、当然、説明責任を果たさなければならないと思います。予算が限られている中で重点化をし、優先順位を付けていかなければならないわけですから、説明責任を果たしていくことは当然だと思います。総論的に言うと、宇宙が、子供とかに夢とかロマンを与えるだけの時代ではなくなってきているのだと思います。実益を社会に対してもたらす必要があります。そのために、どういう優先順位を付けるのかということを考えなければいけないと思っております。
 まだ最終的な結論を出したわけではありませんが、政治判断をしていくときにも、しっかり説明しようと思います。
(問)その説明責任とも関わるのですが、前回6月30日の専門調査会のときに、大臣のお言葉として、議事録を記名で公開するようにという御指示をされたと聞いていますけれども、その議事録が、既に40日たった今も公開されていないことについて、どうお考えでしょうか。
(答)専門調査会に出席したときに、安全保障に関しての部分は特に除いたとしても、議事録はできるだけオープンにする必要があると指摘をしましたので、タイムラグがあって申しわけありませんけれども、必ずそのような方向になると思っております。
(問)現下の円高・ドル安に対する必要な対策について、どのように考えていますか。
(答)アメリカ国債がトリプルAから初めて格下げになっていることがきっかけだと思いますし、同時に、世界経済全体の景気減速懸念とか、特に、欧州、米国の債務問題等を見ながらマーケットが動いている結果だと思います。ただ、やや過剰な動きになっているというのが、私自身の認識であります。
 日本政府は、3本の矢で対応すべきだと思います。1つは為替。必要ならば断固たる介入をする。2つ目は金融。買い入れ資産の多様化を図る。3つ目は経済対策。第3次補正予算について、経済対策を兼ねた補正予算に仕上げていくことが大切だと思いますし、今日、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれると思いますけれども、日本だけではなくて他の国も、金融政策の余地はそれぞれあるのではないかと考えています。
(問)円の水準はどのぐらいが適正だと思われますか。
(答)適正水準というよりは、テンポの問題が一番大きいのではないかと思います。為替が急激に変わっていくことによる影響が、非常に心配だと思うのですが、特に輸出関連産業や消費者心理などに影響を与えていくことになりますので、水準もさることながらテンポであると思います。このテンポに対して、しっかりした対策を打たなければいけないと思っています。
(問)特例公債法案の目処が立ちまして、代表選に関心も高まりつつあるのですけれども、野田財務大臣、馬淵前国交大臣などが政権構想を発表になっていますけれども、自身の出馬も含めて代表選に向けた対応、お考え方はいかがでしょうか。
(答)私は今、政調会長や国家戦略担当大臣などを兼務しており、もう一仕事残っておりますので、そのことにきちんと専念したいと思っております。
(問)今回、民・自・公、3党でこういう合意に至ったわけですけれども、これでできた関係を生かして、第3次補正予算も基本的に民・自・公の枠組みの中で進めていく余地というのはあるのでしょうか。
(答)新しい代表がいずれ選出をされて、野党との協力のあり方をどう考えるのかだと思います。野党と信頼関係を築けるのかどうかだと思っていまして、本格的に野党との協力に踏み出すということになれば、踏み込んだ合意内容が必要になると思っています。結局、今日の合意内容も実は関係するのですけれども、率直に言うと、私は現時点でここまで書き込まなくてもいいと思っていて、次の段階だと思っておりましたが、先ほども申し上げたように、それは一つの政治判断と思いますので、党内の皆さんに理解していただくように精いっぱい努力したいと考えております。

(以上)