玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年8月2日

(平成23年8月2日(火) 9:32~9:59  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議については、特にご報告することはございません。
 昨日、岡田幹事長と話し合いまして、マニフェスト検証委員会の財源検証小委員会、城島チームの中で、復興財源について幅広く検討、議論を尽くすことにしました。全議員を対象にいろいろなアイデアを出していただくことで、連日にわたる議論が、明日から始まるのではないかと考えております。
 私からは以上です。

 

2.質疑応答

(問)昨日から月が変わって8月になりました。今国会も今月末までです。大臣はかねてから、8月末を待たずに菅総理はお辞めになるとおっしゃっていましたけれども、特例公債法案がなかなか見通せない状況です。加えて、菅総理が今国会で成立しなければ続投するとおっしゃったようですけれども、そういったもろもろを含めて、今月の見通しをお願いします。
(答)私は、第2次補正予算、再生可能エネルギー特別措置法案、そして特例公債法案の3つがしっかりとクリアされれば、8月末を待たずに御自身で判断されるのではないかと一貫して申し上げてきたわけでありまして、その思いは今も変わりません。
(問)先週のエネルギー・環境会議の関係で2点お伺いします。
 1つは、柔軟な電気料金制度、例えばピークカットで、午後2時あたりに料金を高くするとか、趣旨は非常によくわかりますが、現時点で、例えばスマートメーターとか、実証実験は別として、導入がほとんどされていないのですが、そういうことが可能なのかどうか。
 もう一つは、中期の話になりますけれども、再生可能エネルギー事業者の優先接続について、送電部門の中立化の方針を出されていますが、それをどこが監視するのでしょうか。チェック機関が必要と思いますが、ちゃんと担保されているかどうか、電力会社が恣意的にならないかについては、現時点でどのようにお考えですか。
(答)前者の方は、一例としてピックアップ契約、あるいは柔軟な料金メニューという話をいたしました。現在でも大口需要家に対して、需給契約というのがあります。それを拡大していくと、ピーク時の節電分に対して、より有利な料金メニューを設定することは、それほど時間がかかる話ではないと、私自身はそう理解していますが、ただいずれにしても、短期も中・長期も2段構えでということを申し上げましたので、秋にしっかり具体化をしたいと思います。
 後者の方は、中・長期の課題でもありますが、私は短期の課題でもあると思っています。送配電網の中立化、公平性といったものを高めるという話ですが、分散型エネルギーとか再生可能エネルギーが各地で生まれたときに、電気を起こして送る必要があります。
 これは、電話回線と似ているわけです。日本は、ブロードバンドの世界において、かつては非常に遅れておりました。しかし、ガリバー規制を入れて、電話回線について、ガリバーであるNTTに、少し我慢していただいて、できるだけ多くの事業者がその回線に接続できるようにしたわけです。その結果として何が起きたかというと、一気に世界一のブロードバンド大国になりました。だから、日本あるいは日本人というのは、潜在力のふた開けをきちっとしていくことがすごく大事になります。
 この分野もある意味同じようなところがありまして、既に審議中の再生可能エネルギーの固定価格買取制度でも、長期固定の買取義務がかかって、どのくらいのサーチャージになるかという議論がありますけれども、導入の量の拡大につきましては、先ほど、申し上げたような価格の問題と、接続の問題が大事になるわけであります。
 ですから、中・長期というよりも、短期の課題になるのではないかと考えています。中・長期的には、システム全体の問題として大きく構えてしっかりと整備していく必要があって、その監視の仕方については、むしろ監視が必要にならないような仕組みかもしれませんし、方法はいろいろありますので、今、この時点で私が特定しない方がよいのではないかと考えております。
(問)アメリカの下院議会で、デフォルトを回避するための法律が、先ほど野党との合意を経て可決されました。これに対する受け止めと、事情は若干違うと思いますけれども、議会のねじれがあって、赤字国債発行法案がなかなか通らないという状況を鑑み、我が国と共通の状況もあるかと思いますけれども、こういう日本の状況と照らし合わせて、今回の問題はどのようにお考えになっていますか。
(答)米国の債務上限の引き上げ問題については、下院の手続が終わり、これから上院の手続になるのではないかと認識しています。その帰趨をしっかり見極めて、円高についても十二分に注視していく必要があると思います。
 同時に、日本の状況は、財政赤字問題を抱えているわけでありまして、相対的には米国よりも規模が大きいと言わざるを得ません。ただ、金融資産が日本の場合は多く、消費税などの引き上げ余力といった点で、金利が維持されていると認識しておりますけれども、対岸の火事ではないと思っております。
(問)2点お伺いします。
 冒頭のお話にもあったように、復興財源の話ですけれども、具体的にどういった辺りを見直し対象としてお考えなのか。
 また、子ども手当の見直し協議ですが、今日にも幹事長・政調会談を打診されていたと思いますけれども、現状の見通しを教えてください。
(答)復興財源につきまして、大切なことは議論を尽くすことだと考えておりまして、アイデアがある方はどんどん出していただくことが大事だと思います。超特急の議論だったところが、この間ありましたので、すべての考え得るメニューをテーブルに一度並べて、どういった歳入の見直しが可能であるとか、政府保有株の問題、特会の問題、それぞれありますので、それぞれの議員が納得感を一定程度得られるまで議論を尽くすことが大切だと思います。その上で、これまで想定していた歳入の見直し以上に、そういった財源が出てくれば、それだけ増税幅は小さくなると思います。その意味では、しっかり議論していくということです。
 ただ、平成24年度予算との関連もあります。平成23年度予算でも、いろいろなやりとりがその中にはあって、剰余金、積立金なども使って、予算を組んでいるところがありますので、どこまでを復興財源に入れて、どこまでを平成24年度予算に入れるのかといった最終的な整理が必要になると思っています。
 そして、子ども手当でありますけれども、現在は自民党の党内手続が進行中であると認識しておりまして、その状況を見極めて、できるだけ早く合意を得たいと考えています。
(問)特例公債法案のことを聞きたいのですけれども、自民党がハードルを上げて、なかなか成立が難しいことも予想されますが、8月中に、あくまで菅総理の下で成立させなければいけないものなのか、もしくは9月に延びるようであれば、次の政権でお願いすることも選択肢としてあるのか、それについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)当然、今月中にできるだけ早く特例公債法案を成立させないといけないという認識であります。米国の問題は対岸の火事ではなく、このままでは歳入の4割の38兆円を占めている特例公債が執行できない状況になってしまいますから、今月中には通さないといけないという認識です。
(問)中期財政フレームについて、そろそろローリングの時期に近づいてきたかとは思うのですが、復興財源がまだきちんと定まっていない中で、フレームの見直しよりもさらに中・長期を示している財政運営戦略の部分も見直しの対象になるものなのか、それともそこは堅持されるものなのかというのをお答えいただきたいと思います。
(答)復興財源がどうなるかで、違ってくるのかどうなのかということも含めて、整理中です。ただ、基本的に復興財源については、その収入と支出について、多年度間で完結させる別枠にすることでは、大体方向は決まっていることでありますが、それと財政運営戦略全体がどう整備されるのかということについて、私の下で正に整理中であります。
(問)原子力政策の関係で、使用済み核燃料処理の話があると思うのですが、今、六ヶ所村の方もかなり飽和状態になっているという話がありますけれども、当面政府として、どういう対応、対策を打つのでしょうか。
(答)このバックエンド、使用済み核燃料の話ですが、原子力発電所が仮にゼロになろうとも、既にある使用済み核燃料をどうするのかという議論が必ず残りますので、いずれにしても解決していかなければならない問題になります。同時に、核燃料サイクルの問題とも絡んできますので、そういったことも含めて、エネルギー・環境会議の下で聖域なく、予断なく検討したいと考えております。
(問)スケジュール感として、核燃料サイクルの話は国民的な議論で、かなり時間がかかると思いますけれども、当面、今ある核のゴミみたいなものをどうするというのは、核燃料サイクルの話が決まらないとなかなか動かないものなのでしょうか。
(答)それぞれの敷地の中に、一時貯蔵というか、共用プールなり何なりという形で、とりあえず置かれている状況もあります。ただ、それほど長い時間的な余裕があるわけでもないことも承知しておりますが、その点についても、当然議論して、一定の方向を出していかなければいけないと思っております。
(問)先ほど、円高について、十分に注視する必要があるというお話がありましたけれども、日本経済への影響についてはどのようにお考えですか。
(答)輸出関連産業を中心に、急激な円高は景気の下押し要因になると思っております。したがって、十二分に注視をする必要がありますし、アメリカ上院の手続きがなされても円高が続くということであれば、金融政策も含めた対応が必要になってくるのかなと思っております。
(問)介入の必要性についてはいかがでしょうか。
(答)それについてはコメントいたしません。
(問)金融政策を含めた対応が必要というお話ですが、今週、日銀で金融政策決定会合がありますが、日銀に対する期待についてお伺いします。
(答)内容については、ここでは具体的なことは敢えて申し上げないほうがよいかと思います。
(問)本日、マニフェスト検証委員会が開かれますが、平場の総会の時期についてと、マニフェストで、国家戦略局をつくって予算の骨格をつくるというのを掲げていましたけれども、現状の達成度と、今後の課題について、何かお考えのことがあればお願いします。
(答)マニフェスト検証委員会の総会的なものがいつ開かれるのかは、現時点ではまだ決まっていません。これは幹事長の下の話なので、私の方では十二分に把握しておりません。
 また、マニフェストと国家戦略室の関係でありますが、形式的には、国家戦略室を局に格上げするための法案が通るか通らないかという問題があろうかと思います。ただ、野党とのねじれ状況の中で、合意点をしっかり見つけてつくっていかなければならないと考えております。形式よりも大切なことは、中身、内容だと考えております。私が国家戦略担当大臣に就任した昨年9月のときは、国家戦略室は30人くらいで、それぞれ総理の直轄スタッフにしていこうという状況があった中で、私としては、元々の民主党の約束でもある国家戦略局に近づけたいという思いがあり、規模は50人くらいに増やしました。
 総理直属のスタッフが十数名、私が直轄しているメンバーが30人くらいで、一種の役割分担や相互連携をしながら、この間やってまいりました。少なくとも30人で、例えば、今回のエネルギー・環境会議、新成長戦略実現会議、食と農林漁業の再生実現会議、あるいは包括的経済連携の基本方針を立てるとか、今回の中期財政フレームをつくるとか、かなりのことはやってきていると考えていますが、当然、これで十二分に満足できるものではありませんで、国家戦略室はまだまだ進化し得るものであると思っております。
 そのためには、新しい体制で、だれが国家戦略担当大臣をするかということもありますけれども、今回の経験を踏まえて、しっかりとした体制を改めてつくっていく、強化していく必要はあるだろうと思っております。今、民間出身者の皆さんが、ちょうど2年で帰る時期になっていて、新たに入れてしまうと中途半端になってしまうものですから、新たな体制の下で、新しい、強化された国家戦略室をつくるのがよいと考えております。
(問)エネルギー・環境会議の中間整理の件ですけれども、送電の分離や、電力システム改革に絡んでくるとは思うのですが、会議自体に直接の法的拘束力があるわけではないと思っています。エネルギー基本政策であるとか、他省庁が管轄していることにどうやって実効性を今後担保していくものなのか、お考えを伺えればと思います。
(答)多分、総合資源エネルギー調査会との関連、あるいは、法律で定められているもの、そうでないものの関係をおっしゃっていると思いますけれども、一言で申し上げれば、チェックアンドレビューをしっかりしていくことです。今回のエネルギー・環境会議でも、一種こういう方向性で議論してくださいという、事実上ミッションを与えるような形になっているわけです。エネルギー・環境会議で満足のいくものが、例えば、総合資源エネルギー調査会などから出てこないということになれば、当然、もう一回議論してもらうというチェックアンドレビューを繰り返すことになるだろうと思います。
 ただ、双方で行うことで、私は効果が十二分に発揮できると思いますし、例えば、コスト検証などは、委員会をエネルギー・環境会議の下に置きますので、国民的な議論を行うためには、客観的でかつ正確なデータを公表する必要があります。それは結果だけではなくて、積算根拠なども公表して、それを基に国内外の専門家の方々にも大いに議論に参加していただき、同時に日本国内の国民的な議論、各層との議論を通じて、最終的な絵姿をつくり上げていくというプロセスが極めて大切だと考えております。
(問)子ども手当に関して、自民党の党内手続をお待ちになっているということだったのですが、前回、石破政調会長から出てきたペーパーの内容について、民主党としてはほぼ受け入れられるとお考えなのでしょうか。
(答)内容については、私に一任されていると考えております。幾つかありますけれども、最終的に幹事長、政調会長会談で議論をしたいと考えています。特に気になるのは、5大臣合意がございまして、平成24年度以降の子ども手当の制度設計に当たって、地方公共団体の代表者の皆さんと協議をすることになっています。そういったことを踏まえながら、法形式など、これから幾つか詰めないといけないところが出てくると思っております。
(問)法形式と、子ども手当というか児童手当というか、その名称はどういうつながりを持っているのでしょうか。児童手当の改正になった場合は必ず児童手当という名前になるものなのでしょうか。
(答)いずれにしても別途検討がなされるものと考えています。
 また、かなりテクニカルですけれども、平成23年度と平成24年度は違ってくる可能性が高いです。例えば、石破政調会長から出されたペーパーでも、所得制限は平成24年度からとあり、そうすると平成23年度後半部分と平成24年度は違ってくることもありますので、そういったこともすべて勘案して、最終的な判断をしたいと思います。
(問)復興財源に関して、民主党内から建設国債がふさわしいのではないかという意見が出ていると思うのですけれども、建設国債が選択肢になり得るのでしょうか。
(答)復興の中の、半永久的に残るインフラ部分について、建設国債との議論については承知しています。いずれにしても、もっと議論を尽くしていくということが大事で、私がこの段階で具体的に申し上げるのは控えた方がいいかなと思います。

(以上)