玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月26日

(平成23年7月26日(火) 9:30~9:48  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議については、特にご報告することはございません。
 私からは2点ございます。
 1つは、中期財政フレームと復興財源との関係です。結論から申し上げれば、復興財源は中期財政フレームの別枠扱いと考えております。現在、復興経費について議論中ですが、別途財源を確保して、多年度で収入と支出を完結させる仕組みをつくり上げることで、中期財政フレームとの関係では別枠扱いにできると考えております。まずは、復興基本方針の取りまとめに全力で協力したいと考えているところです。
 それともう一点、国家戦略室の民間出身スタッフの退職が続いているという報道がありましたので、念のため、ご説明申し上げます。
 ご存じのように、国家戦略室は、重要政策の企画・立案、総合調整を行い、財政運営戦略や新成長戦略、また、エネルギー・環境会議、食と農林漁業の再生実現会議などといったテーマを取り扱っているところです。国家戦略室には、俗称AチームとBチームがあります。今、申し上げたテーマを扱っているAチームは私の直轄で、Bチームは菅総理が総理就任直後に、どうしても総理自身を直接補佐するチームが欲しいということでつくられた、阿久津政務官に見ていただいているチームです。
 その方々によく頑張っていただいていますけれども、発足からちょうど2年が経過して、交代の時期が来ておりまして、一部の方々は出身企業に戻られています。新たな民間出身スタッフの補充も十二分に考えられますが、新たな体制のもとで行われるべきだろうというのが私の判断でありまして、新たな総理、あるいは新たな国家戦略担当大臣がどういう国家戦略室にしていくのかをしっかりと検討した上で、新たな採用を考えていくべきではないかと考えているところですので、ご理解いただきますようによろしくお願い申し上げます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、第2次補正予算が成立しました。菅総理が自ら退陣条件とされていた3条件のうちの1つが満たされることになりましたけれども、残りの2つの条件の成立というのは、菅総理の退陣条件としては必要なものであるというご認識でしょうか。
(答)はい。菅総理はこだわっておられます。私は再生可能エネルギー特別措置法案の見通しは明るいと思っておりますけれども、それと最後の難関の特例公債法案をしっかり成立させていくことが、私たちの責務ではないかと考えています。
(問)それに関連してですが、特例公債法案の前提となる子ども手当の実務者協議が今日行われる予定ですけれども、かなり厳しい回答が野党側から寄せられる可能性がありますが、大臣の見通しと方向性についてお聞かせください。
(答)必ず合意できると思っております。そして、そうであらねばならないと考えておりますので、合意を目指して更なる協議を進めたいと考えております。
(問)それに関連して、自公からは幹事長レベルに協議を引き上げようという声も出ていますけれども、それについてはどうお考えでしょうか。
(答)幹事長からまだ聞いておりませんが、実務者協議でまとまることができれば、他の会談では蒸し返さないという約束が三党政調会長会談でできておりますので、本日の様子を見て、幹事長がそうしたいとおっしゃるのであれば、それはそれで考えていかなければいけないと思います。
(問)冒頭に発言のあった中期財政フレームの話ですけれども、別枠扱いにしたいとおっしゃったのは、復興債、償還財源を明確化し、復興債をその上で別枠にするという趣旨でしょうか。
(答)簡単に言えばそういうことでありまして、これまで基礎的財政収支対象経費は71兆円でやってきたわけでありますけれども、復興財源を含めるとそういった数字で中期財政フレームができ上がるというのはあり得ない話です。したがいまして、別枠扱いというのが私はわかりやすいし、現実的だろうと考えております。そもそも区分経理という話もありますので、そういった考え方でいきたいと考えております。
(問)区分経理にすることで、2020年度のプライマリーバランスの黒字化ですとか、今お話のあった基礎的財政収支対象経費71兆円、新規国債発行額44兆円というのは維持できるということですか。
(答)いずれにしても、復興経費を無条件に別枠とすれば、借金隠しということになりますので、先ほど申し上げましたように、多年度間で収入と支出を完結させます。多年度間の年数がどうなるのかについては、議論中で、どのぐらいの償還期限で考えていくのか、償還期限もどの時期にどのぐらい償還するのか、その辺りも考えますが、ただ、大切なことは、そういった一定の財政規律が守られている状況をきちんと保つことがマーケットに対しての責任ではないかと考えております。
(問)中期財政フレームの策定時期はいつごろでしょうか。
(答)復興基本方針をまとめ上げた後に、復興財源を別枠扱いで、中期財政フレームをつくり上げたいと考えております。
(問)時期としては8月中旬ぐらいでしょうか。
(答)復興基本方針のまとまりを見てみないと何とも言えないところはありますが、いずれにしても、復興基本方針をまとめて、中期財政フレームをまとめて、第3次補正予算、そして来年度予算で、しっかりと、遅れないようにと考えております。
(問)子ども手当の話に戻りますけれども、民主党が提案した月額9,000円の案に対して、自公からは、そういう一定額の給付はおかしいのではないか、やるべきではないという声もありますが、その点について、更なる譲歩をされるお考えがありますか。
(答)交渉事でもありますので、合意を目指して、更なる協議を進めることに尽きるのではないかと思う次第であります。
(問)アメリカの債務問題で円高が進んでいますけれども、今、復興の段階にある日本経済に与える影響への認識と、円高の為替介入についての認識を伺えればと思います。
(答)今の円高の状況というのは、私の立場からもしっかりと注意深く見守っていかなければいけないと考えております。
(問)子ども手当ですけれども、自公は手取り1,000万円以上の世帯への月額9,000円給付がおかしいと指摘されていますけれども、それを一定の税額控除などに変えるという考えもあるかと思うのですが、そうなった時に、手当自体の理念、「控除から給付へ」という考え方自体に開きが出ないか、その点についてどうお考えですか。
(答)理念について、各党それぞれの考え方があります。したがって、それぞれの考え方が100%通るかといえば、残念ながら簡単に通らない状況にあるのだろうと考えているところでありまして、三党それぞれ、譲歩すべきは譲歩することが必要になってくるのではないかと考えております。
(問)宇宙のことを伺います。
 先日、スペースシャトルが最後の飛行を終わりまして、今後、アメリカは月や火星を有人飛行で目指すことを表明しています。一つ伺いたいのは、日本は、これまでスペースシャトルと一緒に共同歩調という形でやってきたと思うのですが、今後、月や火星を目指すアメリカにどうかかわっていくのでしょうか。
 また、それとも絡みますけれども、今後、有人の宇宙探査についてはどうお考えかというのをお聞かせください。
(答)宇宙は、特に子供たちに夢とロマン、そして希望を与える存在であります。また、今後もそうあってほしいと思いますけれども、ただ、それにとどまってはいけない時代に入ったのではないかと思います。すなわち、国民生活、あるいは産業に、直接その発展が結びついていく実利用をしっかりと重視する、結果を出していくことの責務も担っていかなければならないという時代に入ったと考えております。そういった観点から優先順位を決めなければならないことが一つ。もう一つは、「はやぶさ」などもそうですけれども、あるいはISSに対しての「こうのとり」もそうですが、日本でなければできない、あるいは日本の存在感を宇宙分野で発揮できることを大切にしていかなければならないのではないかと考えておりまして、こういった観点も私にとっては大事にしたいところです。メリハリをつける、優先順位をつけるときに大事にしたい分野だと思います。
 現実に、どうしたら、有人化がそういったことに結びつくのか、残念ながら、例えば「こうのとり」にしても何にしても、回収機能という部分についての機能がまだ付加されていないわけで、そういったことを着実に一歩一歩前進させていくことでつながっていくのではないかと考えております。
 いずれにしても、宇宙の話は、地上にいる我々があまり縮こまっていると宇宙も縮んでしまうので、ある意味、本当に日本でなければできないことをできる限り示して、夢と希望につなげていきたいと思います。また、先ほど申し上げたような実利用につなげていきたいと考えております。
(問)個人的には、産業に活用していくことと、一方、夢とかは、結構相反するのではないでしょうか。また、両立するのはなかなか難しい気もするのですが、どうでしょうか。
(答)視点として、産業と研究開発の2つあると思うのです。安全保障も含めると3つかもしれません。例えば、NASAの場合などは、予算が日本の確か20倍ぐらいあるものですから、元々の総額が違いますけれども、どちらかというと、比率でいうと、産業だとか国民生活との関連が、軍事面もあるものですから非常に多いです。それに対して日本の場合は、どちらかというと、夢にかかわる部分、研究にかかわる部分が非常に多いことがありますので、そこはバランスをもう少しとっていかなければならないのではないかと思います。

(以上)