玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月22日

(平成23年7月22日(金) 8:34~8:48  於:院内閣議室前)

1.発言要旨

 本日の閣議については、特にご報告することはございません。
 閣僚懇談会で、私から、一昨日行われた第7回「新しい公共」推進会議について発言いたしました。「新しい公共」の分野は、これまでかなりの成果がありました。特に寄附税制の拡充等が今国会で成立したことで、日本の社会が本当に変わっていくと思っています。同時に、こういったわかりやすい取組以外にも、第2弾として具体的な内容のある、例えば、政府と市民セクターの公契約のあり方とか、あるいは被災者支援活動等に関する制度等のあり方、わかりやすい例を挙げれば、国家公務員を一定の給料を出してNPOに出向させることができないかとか、それで復旧・復興に当たらせるとか、いろいろな提案を実は今回しておりまして、そういった政府の対応を取りまとめたので、各省におかれては、是非、実行に移してもらいたいというお願いをさせていただきました。それに対して総理からも、是非その点についてよろしくという話がありました。
 閣議、閣僚懇談会とは別に、私から被災地の事について、2点申し上げたいと思います。
 1つは、これまでも会議等で発言してまいりましたが、被災地の電気使用制限の緩和についてです。
 先ほど、海江田経済産業大臣に個別に私から要請いたしました。電気事業法第27条に基づいて、これまで3週間、昨夏比15%減というものが行われているわけですが、調べますと、一番気温の高かった日で、平日では32~33度あるわけですけれども、その日でも東北電力管内では実は15%の余裕があります。それぞれの御努力があったおかげではありますけれども、今、特に原発の被災地である福島県は電気とは直接関係があるわけで、こういったところにも一様に制限をかけることに対して、私は非常に違和感を覚えておりました。今日は、海江田経済産業大臣に個別に、こういう状況を踏まえると、機動的で柔軟な対応をしていかなければならない、被災しながら、懸命に雇用を守って努力している姿をしっかり後押ししていくことが、資源エネルギー庁には特に求められていて、そのことについては是非に、という話をしたところです。
 もう一つは、今、民主党でもまとめておりますけれども、汚染牛の話であります。これも迅速、かつ、大胆な、スピード感を持った対応が必要だと思っています。
 1つは、全頭検査などの安全管理体制をいち早く確立することがあります。もう一つ問題なのは、出荷制限がかかっている間の牛の買い上げで、農家の方が要請するならしっかり買い上げることをしないといけません。迅速な対処、迅速な処理をしないと、しっかりとした結果が出ないと私は思っておりますので、今、民主党内でも早急にまとめて、農林水産省に要請したいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、岡田幹事長が会見で、09年マニフェストについて、見通しが甘かったと謝罪されました。この点について、政調会長としてはどのようなお考えでしょうか。
(答)マニフェストにつきましては実現したものもありますし、未だ実現しないものもあります。実現しない理由の一つは、マニフェスト作成時の財源の検証、財源の検討の甘さがあったと言わざるを得ないと考えておりまして、今、率直に検証しているところです。しっかりとした検証をして、見直すべきは見直しをしていく。そのことが国民の皆さんに対して、大変、私は正直な姿勢だと思いますし、同時に、これから自民党、公明党など野党と協力体制を築いていく上でも、大事なことになっていくと考えております。
(問)今後、何か主要政策といったものを取り消す、撤回する可能性もあるということでしょうか。
(答)例えば、高校授業料の無償化とかいったものを取り消す考えは全くありません。
 ただ、東日本大震災もありましたし、「これはできる」、「これは、申しわけないですが、できません」ということを、しっかり切り分けていく、優先順位を付けていくことではないかと思います。例えば、既に暫定税率の問題などは、ある意味、一定のけじめをつけてきているわけでありますし、高速道路料金の無料化の話などを最終的にどう扱うかとか、幾つか論点はあるのではないかと思います。
 ただ、先ほど申し上げた寄附税制の拡充とか、実現したことも多々あります。そういったことを取り消すつもりは全くありません。ですから、大事なことは、これからどれだけメリハリをつけられるかということではないかと思います。
(問)それに関連して、この後、幹事長会談が開かれます。子ども手当や特例公債法案の与野党協議が難航していますが、この与野党協議についての見通しを、現在のところ、どのように考えていますか。
(答)今日は政調会長会談を開きたいと思っておりましたけれども、残念ながら、自民党の中の環境が整わないということでした。私としては、子ども手当などについても新たな提案の準備がございますし、何とか責任を持って合意にこぎつけたいと考えております。
(問)第2次補正予算の成立が月曜日になってしまうということなのですが、菅総理の答弁ぶりが問題になった部分があります。この点については、どのようにお考えでしょうか。
(答)被災地・被災者のことを第一にお考えいただいて、一刻も早く、この予算は執行しなければなりませんので、本当に一分一秒でも早く成立をお願いしたいと思います。外国人献金の話などは、直接、復旧・復興と関係ありませんから、ここは是非、野党の皆さんにご理解いただきたいと思います。
(問)冒頭発言の電気の使用制限緩和についてですけれども、念頭にある対象というのは、東北電力管内の福島県以外のところも含まれるのか、あるいは東京電力の被災地を含め、茨城県といったところも含まれるのでしょうか。
(答)基本的には、先ほど申し上げたように、今、東北電力管内しか調べていませんが、7月14日の木曜日だったと思いますが、最高気温が32.3度になっても15%余裕があるわけです。それでも同じように、一様に被災地の企業に電気使用制限をかけていること自体が、私はおかしいと思っています。これは東北電力管内では9月9日まで続くはずですが、そういった被災地にはトータルで考えなければいけません。特に、今回の電気の使用制限の発端、原因となっている原発の被災者が、今も放射能で苦しんでいる中で必死に懸命に、絶望感にさいなまれながらも、打ちひしがれながらも、立ち上がろうと言って頑張っているときに、追い打ちをかけるように電気使用制限をかけるのは最初からおかしいと思って、言っておりましたけれども、案の定、余裕があるわけでありまして、機動的な対応を早くしなくてはいけないと思います。
(問)海江田経済産業大臣の反応は、いかがでしたか。
(答)具体的にどうしようかという話をしていました。一生懸命、考えていただいているのではないかと思います。
(問)昨日、復興基本方針の骨子案が出ました。その中で、法人税減税について実施を確保するという文言が挿入されたのです。法人税の減税分に関しては、これを凍結して復興財源に充てようという意見もありますが、それとの整合性はどういうふうにお考えでしょうか。
(答)これは、与野党協議のこれからの対象です。いろいろ経緯が去年ありましたけれども、まずきちんと本則を下げることが大切だと思います。実効税率が5%下がった状況の中で、今、予算が組まれているわけです。その本則を下げた上で、復興財源を考えていくときに、法人税についてどうするのか、そう考えていった方が、日本全体のためになるのではないかと思っています。
(問)そうすると、文言が挿入されたことによって、それを財源に使うことが妨げられるというわけではないということですか。
(答)それは、ないと思います。私が解釈するに、1回、本則をきちんと下げましょう、ただ、これは与野党協議が必要ですから、いったん本則をきちんと5%下げることが、空洞化の問題、日本全体の経済の問題を考えると、必要なことではないかと思います。その上で、財源のために、例えば何%か、何年間とか、いろいろな方法はあるかもしれません。
(問)子ども手当についてですけれども、特例公債法案の成立を政局的に使うという自民党の思惑が透けてみえるような形で、前回の実務者協議も非常に硬い態度が見えたのですが、こういう自民党の態度をどう思うかということと、今日、幹事長会談があるのですが、先ほどの質問に被りますけれども、幹事長会談に上げることで突破口を図ろうということはあるのでしょうか。
(答)私は、岡田幹事長は岡田幹事長の責任感で、ああいう発言をされたのだと思うのです。これで政治状況が突破できるかどうかは、まだ見通せませんけれども、幹事長の責任感からあの発言がありました。子ども手当はいずれ必ず合意しなければいけませんので、子ども手当というよりは特例公債法案の成立に向けて、より真摯に自民党、公明党にご努力いただくように発言されたと思います。私は「伏してお願いしたい」といつも申し上げていますけれども、国益、国民益を考えると、特例公債法案を政争の具にしては絶対にいけないと思いますので、ここは自民党、公明党にご協力をお願い申し上げたいと思っています。

(以上)