玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月1日

(平成23年7月1日(金) 10:58~11:15  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議では、社会保障と税の一体改革に関する成案が決定されたとの報告がありました。その際、総理から、与謝野経済財政担当大臣、仙谷官房副長官、そして私に、感謝のお言葉がございました。また、7月は様々な課題処理を迅速に行っていくべき月であるとのお話がありました。
 社会保障と税の一体改革に関しましては、だれが代表になっても、だれが総理になっても乗り越えなければならない課題です。民主党全体の一定のまとまりの中での成案決定となり、私自身は非常に安堵しているというか、大変有意義なことだと考えております。これを何とか与野党協議に結びつけて、法制化をしていくことが大切だろうと思います。
 特に、社会保障と税の一体改革は、昨年、私が政調会長に就任をしてから、総理が参議院選挙の公約に掲げることになったものです。参議院選挙は負けましたけれども、改めて代表選挙で総理はおっしゃって、同時に私も申し上げ、代表選で勝利しました。社会保障のあるべき姿、それに対応する税制として成案を得られたことは、大きな一里塚になるものと、世界に先駆けて少子・高齢化社会を克服していく大きな一歩であると考えております。そのときに大切なことは、経済との好循環をしっかりとさせていくことではないかと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)与野党協議を進めるためには政治状況の改善が必要だということを大臣はおっしゃっていますけれども、菅内閣の下では与野党協議は難しいという認識でしょうか。
(答)現状では容易ではないと思います。政治状況の改善がなされてから、まずは子ども手当の見直し、そして、特例公債法案の2つをしっかりやり遂げなければならないと思います。同時並行的に、社会保障と税の一体改革に関する与野党協議もお願いしていきますが、容易なことではないと考えております。大切なことは、今の総理だからとか、次の総理だからというよりも、だれが代表になっても、だれが総理になってもやり遂げなければならない課題であるとの認識です。何とか政治状況を改善して、場合によっては新総理、新代表の下での与野党協議になるかもしれませんが、できる限り現状の体制のままでも与野党協議に結びつけることができるように努力をしたいと考えております。
(問)昨日の宇宙開発戦略本部の専門調査会の会合で出された案を拝見しますと、まだ会合は続けられるということですが、宇宙開発について将来的に内閣府で一元化するにしても、すぐにできなかった場合、文部科学省と経済産業省の予算を内閣府の方に移管してやっていくようなことが書いてあり、各省との交渉が今後必要で、それを専門調査会の取りまとめまでに何とかやっていきたいというようなお話があったのですが、実際にはなかなか難しい話ではないのかなと思いますが、その辺りについて、玄葉大臣はどういうふうに今後の見通しを考えているのでしょうか。
(答)専門調査会で議論されているのは、大きく分けると2つだと思います。一つは、宇宙関係予算が3,100億円、JAXAの予算が1,800億円ありますけれども、施策の重点化、メリハリをどうつけていくべきかについての専門家の専門的見地からの議論であります。もう一つは体制論で、今の御質問に関連する話だと思います。
 宇宙庁という話になりますと、例えば、スポーツ庁をどうするのか、子ども家庭省をどうするのかとか、中央省庁再編全体に関わる話になってくることが一つあるかと思います。科学技術全般を見ていますし、政調会長という立場で全体も見ておりますので、全体を俯瞰しながら、宇宙の体制のあり方について方向性を出していきたいと考えております。そのときに、現在の体制よりも司令塔機能を強化することは最低限必要なことだと考えております。さらに、政治プロセスをしっかりやっていかなければいけません。最初は政務官レベルで始めるのがよいのかどうかも含めて、現在、検討中で、体制の問題は最終的には政治の問題でもありますので、政治プロセスについても今検討中だと御理解いただければと思います。
(問)そういったものも報告書には何らかの記載がされることになるのですか。
(答)専門的見地からの御議論をいただいており、報告書とか調査会に私が何か指示をしているわけではありません。大事なことは、次の段階の政治プロセスで様々な最終的決定や調整がなされていくものと考えています。
(問)先日、民主党の両院議員総会で、菅直人首相が「エネルギー政策が次期総選挙の最大の争点になる」と発言されて、解散をちらつかせているのではないかとの向きもあります。この場で何回もお伺いしていますが、退陣を表明している首相の解散というのは、果たしてあり得るのか、あっていいのか、どういう御見解でしょうか。
(答)あり得ないし、あってはならないと思います。退陣表明をしているからというよりは、被災地の状況を考えれば、あってはならない、あり得ないと思います。
(問)社会保障と税の一体改革ですけれども、まだ党内にはいろいろな意見があると思いますが、民主党代表選挙の主要な論点になるとお考えでしょうか。
(答)社会保障と税の抜本改革調査会の議論の中には、次の代表選挙の争点にして、その後決定したらどうかという話があったにもかかわらず決めたというのは、だれが総理になっても、だれが代表になっても、政権与党として、しっかり乗り越えなければいけない課題、まとまらなければならない課題、自覚を持って臨まなければならない課題ということで議論をし、結論を得たわけでありますから、代表選挙の大きな争点にならないと考えております。
(問)例えば、話題になった消費税の引上げの時期だとか、パーセンテージについては争点になり得るというお考えですか。
(答)どなたがお出になるのかわかりませんし、この問題を取り上げて、一度党で決定したけれども、どうしても変えたいという方がいらっしゃれば、一定程度争点になり得るかもしれませんが、これだけの大議論をして、毎回100人以上の出席者のあった調査会で決定したことを改めて蒸し返すことは、あまり生産的ではないと思います。大切なことは、政治の生産性を高めることではないかと思います。
(問)確認ですが、税と社会保障の与野党協議は、子ども手当や特例公債の3党合意の話がある程度、目処が立ってからでないとなかなか難しいというお気持ちですか。
(答)並行して進めたいと思っていますが、見通しという意味で言うと、そう容易なことではないのではないかと思います。ただ、我々の成案を得たということは大変大きなステップだということも一方で間違いないと思います。
(問)子ども手当の与野党の話し合いの見通しですけれども、浜田総務政務官の件などがあって止まっていたと思うのですが、今後の見通しはどうなるのでしょうか。
(答)まず、幹事長同士で仕切り直しをきちっとしていただく必要があるのではないかと思います。与党の幹事長として野党に呼びかけ、丁寧な対応が必要になるのではないかと考えています。
(問)来週の頭にも幹事長会談があるかと思うのですけれども、うまくすると来週話し合いに入られるのですか。
(答)直接、幹事長会談の予定は聞いておりません。どうなるかはわかりませんが、私としては誠意を持って、できる限り早く子ども手当の見直しなどに着手し、結論を得たいと考えております。
(問)社会保障と税の関係ですけれども、与野党協議はどのような場で、国会内なのか、国会外なのかも含めてやっていくというイメージを持っていらっしゃいますか。また、どのくらいまでに合意を得たいというようなスケジュール感を考えていらっしゃいますか。
(答)残念ながら、そこまで見通しているとは申し上げにくいです。先ほど申し上げたように、政治状況を改善しながら目処をつけていくことが大切ではないかと思います。いずれにしても、来年3月までに法案を通すというスケジュールを逆算して考えていかなくてはいけないと思います。
(問)今日、日銀短観が発表されました。震災の影響で、DI(業況判断指数)がかなり悪化しているのですが、御認識をお伺いします。
(答)様々な指標において、そういった傾向は見受けられると思います。一方で、想定していたよりも、例えば、サプライチェーンの復旧などが早いといった動きもございますので、何とか立て直していく動きを後押しすることが必要になるのではないかと思います。気は早いですけれども、第3次補正予算のときには、経済対策も含めて考えていくことも必要になるかもしれないと考えております。
(問)社会保障と税に戻って恐縮ですけれども、閣議決定が見送られたことに関してどうとらえていらっしゃいますか。
(答)閣議決定については、様々な御議論がありますけれども、結局は、私たちが成案を得ることからスタートしなければいけません。スタートして、与野党協議で最終的な成案を得て、法制化をして、閣議決定することが必要になるだろうと考えておりますので、順番として、今回、閣議報告にとどめたことは、何ら問題はないと考えております。

(以上)