玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月7日

(平成23年6月7日(火) 10:46~11:11  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 前回、私から、菅総理は地位に恋々とする方ではないことを申し上げた記憶がございますけれども、本日の閣議後、総理から、しっかりと常識的に判断をしていくからと、一定の目途についておっしゃっておられました。
 また、復興基本法について、本日、合意に至るであろうという報告を聞いておりますし、税法についても抜本改革とそれ以外という分け方の中で最終的な調整を行っていくと報告を聞いております。
 それから、エネルギー政策の議論について、各紙書いてございますけれども、経済産業省からの情報だけではなくて、こちらで基本的な大きな流れは決めていくことになると思いますので、その情報と併せてお書きいただきますように是非お願いします。漏れたであろう素案は、素案の前段階ぐらいの話で、実際は私が相当手を入れております。
 本日の夕方、新成長戦略実現会議がございますけれども、そこで新成長戦略実現会議のエネルギー・環境戦略についての位置付け、論点、そして検討の体制といったものを決めることになろうかと思います。
 いつも申し上げていることを繰り返しますけれども、私はこの議論をするときに特に気を付けなければならないのは、脱原発・対原発推進という二項対立が不幸な歴史を招いたということです。私自身は中間派というか、中間戦略派の議論が極めて大切だと考えております。その中で極めて現実的でリアルな工程表をつくり上げていくことが必要だと思います。二項対立にはしませんし、聖域も全く設けません。例えば、発送電分離も一切議論しないみたいな報道もありましたが、そのようなことは全くございません。発送電分離の議論もします。ただ、あくまで有効な一手段の議論です。あるべき電力インフラとはどういうものなのか、大きな方向としては、集権型から分散型に変えていく、旧パラダイムから新パラダイムに変えていく、その大きな方向を短期、中期、長期と分けてリアルな工程表をつくることが必要です。特に新成長戦略実現会議では、いわゆる省エネルギー、例えばスマート節電など、送配電システム、エネルギーロス革命をしていくとか、再生可能エネルギーの新エネルギーの分野であるといったことに特に力点を置いて議論をしていくことになろうかと思います。そういう議論をすれば、電力システムの問題も当然、絡んできますので、別途、集中的な議論が必要になりますし、その際の時間軸も重要であると思っております。この点は、実際にこれから出てくる考え方と報道にずれがございますので、その点は、是非、経済産業省の担当記者の方々ともよく意思疎通をして報道していただければありがたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先ほど、大臣がおっしゃった閣僚懇談会で、総理から、常識的に判断するとの発言があったと伺いましたが、御自身は、この「常識的」とはどの範囲だと受け止められましたでしょうか。
(答)多くの方が常識的な線だなと考えている辺りだと思います。私の立場で具体的な時期を申し上げるのは適切ではないと、以前も申し上げましたし、今もそう思っています。ただ、地位に恋々とする方ではないし、御本人から常識的にきちんと判断するとおっしゃっておりますので、私は全く心配しておりません。
(問)退陣時期を含めて、党員・サポーターを含めた投票を岡田幹事長は数カ月かかることから否定的ですけれども、大臣は党員・サポーターを含めた投票について、いかがお考えでしょうか。
(答)率直に言いまして、物理的になかなか難しいのではないかと思っています。本来は党員・サポーターの方々に参加をしていただいて代表選挙を行うのが筋だと思います。昨日も福島県知事から電話が来ましたけれども、政治空白だけはつくらないでほしいという話がございました。そういった観点からすると、党員・サポーターを含めた代表選挙というのは難しいのかなと感じているところでございます。
 なお、政治空白という点で言うと、多くの方は語りませんけれども、前回も申し上げましたが、原発事故対応の体制のスムーズな移行が実は極めて大切だと思っております。これに失敗すると大変なことになってしまいますので、このことにも十二分に留意して移行を考えていくべきだと考えております。
(問)その上で、大臣御自身の出馬の御意向というのは現時点で考えていますか。
(答)6月は社会保障と税の一体改革という大問題がございます。エネルギー・環境戦略では、一つのレールを敷きたいとの思いもございます。まだ残っている国会での法案の扱いといった問題もありますから、ここは全力疾走で目の前の仕事を精力的にこなしていき、成果を上げていくことが極めて大事だと思っております。
(問)エネルギー関連について2点質問がございます。
 1つは、分散型へ変えていく大きな方向性の中で、短期、中期、長期の3段階に分けて検討されているというお話だったと思うのですが、具体的にはどういうイメージなのでしょうか。短期は3年以内、中期は5年以内、長期ですと2020年代のできるだけ早い時期ということになるのでしょうか。
(答)まだ確定させているわけではございません。ただ、今、私の頭にあるのは、短期のイメージはこの一、二年くらいです。中期は、七、八年とか、そんなイメージです。長期になると、いろいろな考え方がありますので、いずれ確定をしていきたいと思います。
(問)もう1点ですけれども、電力システムの問題で専門組織を立ち上げる必要があるのではないでしょうか。立ち上げると仮定した場合、そのメンバーは大学の先生みたいな学識者ですとか、現時点で電力システム関連に従事している民間企業の社長なり技術担当専務とか、どんなイメージを考えていますか。
(答)そこはこれからの検討事項でありますし、あまりそこを急ぎ過ぎてもいけません。今は事故対応をしていますので、私はそういう意味でも時間軸が大事だと思っていて、慎重に構えているところがあります。ただ、分散型に変えるということは、必ずシステムの問題にぶつかってくる話です。その辺りの時間軸をうまく図りながら差配することが大切ではないかと思っています。ただ、枠はつくってしまう必要があるかと思っているところです。
(問)宇宙のことで1つお願いします。昨日、宇宙開発戦略本部の専門調査会が開かれて、大臣も出席されましたけれども、そこで、来年度予算の取組について、準天頂衛星について最優先でやっていくという合意がなされたという報道などもありますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)準天頂衛星につきましては、委員の方々から、優先順位が高いのではないかという意見が出されたことは事実でございます。様々な関係者の本音をこれから更に引き出しながら、あと2回、専門調査会もございますし、各省との関係もありますので、もう少し時間をかけて、最終的な判断をしたいと考えております。
(問)準天頂衛星をやるに当たって、準天頂衛星体制を内閣府に一元化する、他の宇宙関係部局はともかくとして、そこだけを内閣府に持ってくるという案も出されていますけれども、大臣はいかがお考えですか。
(答)それも一つの考え方ではあると思います。実施の体制をどこまで内閣府が行うのか。どこの省庁も該当しにくいということで、このような考え方が出てきているのだろうと思います。ただ、断片的に取り出して結論を出すよりも、粗々の各政策の重点化は、私としては大体でき上がりつつございます。体制についても、かなり精力的に検討していますので、全体の中できちんともう一回考えた上で結論を出したいと思います。昨日も座長から提案がありましたけれども、来年度予算に関わる話は今月中にでも事実上の結論を出していかなければいけないということが一つあります。また、全体の体制を含めた大きな方向性については、私が担当している間に出したいとの思いで取り組んでいます。
(問)菅総理が常識的に退かれた後の政治的な体制についてですけれども、与野党から大連立という構想が出ていますが、この大連立の必要性についてどうかということと、自民党側などは、連立する条件として解散時期の明示が必要ではないかということを言っていますが、その点についての御認識も併せてお聞きします。
(答)次の政権は与野党協力がなければならないと思います。強い政権をつくらなければいけないと思います。大きな理由はねじれであります。参議院が少数与党であるという事実から来るものでもあります。
 どういう形態の与野党協力になるのか。大連立、閣外協力、あるいはそれ以外の協力と、様々な協力の形態があり得ると思いますが、誰が総理、あるいは民主党の代表になるかにもよりますし、同時に、テーマと一定の政策合意次第ではないかと思います。それによって期限なども決まってくると思いますので、そのことがこれからの焦点になるのではないかと考えています。
(問)仮に与野党の協力を構築したいと考えるときには、野党側は民主党のマニフェストの見直しをこれまで以上に強く求めてくると思われます。それについてはどのような対応をしていくことが望ましいですか。
(答)この間の私の経験から申し上げれば、柔軟性を持って臨まないと与野党協力はあり得ないと思います。当然、柔軟性を持って政策合意を図るべく努力をしなければならないし、新しい執行部も当然そういうことになるのではないかと思います。そうでなければ与野党協力はあり得ないと思います。
(問)マニフェストの見直しについて、岡田幹事長は、当初8月とおっしゃっていた検証委員会での見直し作業について、前倒しする意向を示していますけれども、政調会長の立場としては、マニフェストの見直し、党内の見直し手続をどういうふうに考えていますか。
(答)今日午後に、幹事長と相談する予定です。
(問)第2次補正予算の編成ですけれども、これは現内閣で行うのか、それとも新しい体制で行うのか、現時点でのお考えをお願いします。
(答)先ほど申し上げたように、総理は常識的にきちんと判断していくということです。鳩山前総理も編成の目途を付けるということをおっしゃっていたわけですから、淡々と準備をしていくのがよいのではないかと思います。ただ、野党の協力がどれだけ得られるかは課題として残るのではないかと思っています。
(問)今朝、税制調査会の4大臣協議に出られなかった理由は何かございますか。
(答)新成長戦略実現会議のことで、急遽、総理と官房長官、仙谷官房副長官、平野国家戦略担当副大臣との会合が8時から入ったものですから、残念ながら、出席できなかったということでございます。総理日程を優先したということでございます。
(問)それに関連して、税調が今日から始まるわけですけれども、原発に関して連続性が必要だということをおっしゃっていますが、税の協議に関しても、この政権でやったことと次の政権での連続性は必要かと思うのです。これを担保するにはどういったことが必要でしょうか。
(答)正面からしっかりとした結論を出していかなければならないと思います。自民党の考え方がどうかといえば、この問題について、必ずしも逃げている姿勢ではないと思っておりますので、先ほどの与野党協力という観点からしても、一定程度、結論を出して臨んでいくことが大切になるのではないかと思います。
(問)明日で菅政権発足1年を迎えますけれども、この1年の大臣から見た政権としての実績と課題、今後の評価を教えていただけますか。
(答)1年を振り返れば、本当にたくさんのことがありました。去年の今ごろ、政策調査会の会長になり、政府・与党一元化の下での政策調査会にトライアルをしたことが最初にありました。最初の2カ月半くらいは公務員制度改革を担当しました。昨日、中野公務員制度改革担当大臣、片山総務大臣、党のPTを支えた加藤参議院議員、大島衆議院議員、階衆議院議員と夜に懇談をいたしました。震災もあって、こういった評価をする向きがあまりありませんけれども、人事院勧告とは別次元で人件費のカットを行ったのは初めてのことでありますので、かなり歴史的、画期的なことを実はまとめ得た、これは大変なことだったという話をしたところでございます。
 秋から国家戦略担当大臣になって、国家戦略室を動かしました。戦略局に格上げする、格上げしないという問題がどうしても焦点になりがちですけれども、要は、実際に稼働しているか、していないか、仕事をしているか、していないかという問題だと思っておりまして、その点はフル稼働させたと考えております。
 年末は政調会長、国家戦略担当大臣として予算編成の最終的な調整に当たらせていただいて、1月からは、科学技術担当と宇宙担当も加わりました。「新しい公共」では、事実上、内々合意ができていると確信をしておりますが、NPO税制がしっかりと実現するというのも、これまたかなり画期的なことではないかと考えております。
(問)先ほど大連立の質問の中で、与野党協力について様々な形態があり得るとおっしゃっていましたけれども、昨日、岡田幹事長は、公明党とか他の野党との協力もあり得るというお考えを示しましたが、この辺りについて大臣はどうお考えですか。
(答)公明党や国民新党にもお声をかけるということは必要なことだと思っています。

(以上)