玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月3日

(平成23年6月3日(金) 11:36~12:03  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 本日は、閣議に先立ちまして、2つの本部会合がございました。
 まず、国家公務員制度改革推進本部がございました。この会合では、国家公務員制度改革関連4法案を決定しました。
 次に、知的財産戦略本部の会合がございました。議題は3件ございまして、昨年から進めてきた知的財産戦略策定の議論のいわば集大成になります。これは同時に、先般、閣議決定いたしました政策推進指針に基づいた国家戦略の再設計、再強化の一環と申し上げてもよいかと思います。
 1つ目は、国際標準化戦略の推進でございます。特定戦略7分野について、今年3月に国際標準化戦略を策定しましたけれども、更に議論を深めて最新版を取りまとめたところでございます。よく「技術で勝ってビジネスで負ける」と表現される方がいらっしゃいますけれども、「技術でも勝つけれども、ビジネスでも勝つ」ための極めて大切な国際競争力に結びつく道しるべになるものだと考えております。
 2つ目は、クールジャパンでありまして、これも3月にアクションプランを策定していたのですけれども、大震災への対応策を大幅に追加して改定版を取りまとめたところでございます。今後の復興に取り組む上で大きな役割を果たすものだと思っております。
 3つ目は、「知的財産推進計画2011」の策定でございまして、本日、最終決定をいたしました。これには4つの柱があって、国際標準化のステージアップ戦略と知財イノベーション競争戦略と最先端デジタルネットワーク戦略、クールジャパン戦略の4つの柱でございます。
 詳細につきましては、内閣官房知的財産戦略推進事務局にお問い合わせください。後ほど、阿久津政務官の方からより詳しい説明があろうかと思います。この問題は、国家戦略としても大切でありまして、例えば、アメリカの「インテル入ってる」という言葉がありますけれども、CPUなどだとブラックボックスになっていて、すべてに組み込まれて、その結果、非常に好業績を上げることにもなります。日本は、いつの間にか、この国際標準化戦略から遅れてしまったということがございますので、かなり詳細にわたった戦略をつくり上げました。機密情報でありますので、個別には公表をいたしませんが、iPS細胞ですとか、携帯電話ですとか、LED照明ですとか、どういうふうにこれから国際的に勝っていくかということについて、どう国際標準をとるかということを含め、それぞれ詳細にわたってつくり上げたものでございます。
 その後、閣議がございました。閣議では、国家公務員の給与削減について、人事院勧告とは別に、極めて異例の措置ではありますけれども、10%カット、若い方は5%、そして、その中間の方が8%ということで閣議決定したところでございます。また、国家公務員制度改革関連4法案も閣議決定いたしました。
 最後に、総理から、昨日の臨時閣議で、とにかく震災の復旧・復興にこれまでも頑張ってきていただいたけれども、スピード感を持って取り組みたいというお話がございました。本日も新たな気持ちで復旧・復興に全力を挙げるという表明があったところでございます。私も私の立場で全力を尽くしたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日、内閣不信任案が否決されましたけれども、総理が代議士会で一定の目途が付いたら、若い世代へ引き継ぐということで、事実上の退陣表明をされたわけですけれども、その後の会見で原発の冷温停止までという、早期に退陣しないことを表明したとも受けとれる発言をされているのですが、これについて、党内から非常に強い反発が出ています。こうした事態について、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
(答)総理が代議士会でおっしゃったことしか直接には私は聞いておりません。つまりは、震災と原発の収束に一定の目途が付くまで全力を挙げるし、そこからは若い世代に引き継ぎたいとおっしゃったので、私は文字どおりにとらえております。
(問)総理の退任時期をめぐって、今朝、鳩山前総理が「ペテン師だ」、「詐欺師だ」とも言っておりまして、党内の対立が深刻化しているというのは目に見えています。この状況について、大臣の見解をお願いします。
(答)鳩山前総理と菅現総理とのいわば確認事項だと理解をしていますので、是非、お二人でよく話し合っていただきたいというのが私の率直な気持ちであります。
 それと、やはり総理たるもの、言うまでもないことですが、今は被災者第一主義で考えるべきときで、まさか地位に恋々とするような方ではないと考えておりまして、大切なことは一刻も早く震災の復旧、そして原発の収束、まさに一定の目途というのは確かに混乱の火種の部分はあろうかと思いますけれども、できる限り早く、なるほど、落ちついてきたなというところまで持っていく責任はあるのではないかと思います。
(問)逆に言うと、いつごろまでにそういう状態に持っていって、後進に道を譲るべきだと考えていらっしゃいますか。
(答)具体的な日時は私が申し上げる話ではないと思います。ただ、やはり一刻も早く、まさに目途を付けることが必要だし、同時に、被災者、被災地、特に原発周辺の方々からみれば、一番大切なのはスムーズな移行です。急にいなくなったり、急に新しい人が現れるというのは、非常に怖いです。スムーズな移行ということもどこかで考え合わせながら、これから対応していくことが必要だし、もっと大きなことを申し上げれば、原発収束自体も大変大きな話でありますけれども、いつも申し上げておりますが、強い政権基盤をつくり得るような、与野党が協力でき得るような、そういう体制をどうやってつくるかということも併せて考えながら物事を進めていくことが大切だと思います。
(問)次の世代にスムーズに移行ということですけれども、大臣もそのうちのお一人だと思いますが、次のポスト菅について御自身の意欲はどのように考えていらっしゃいますか。
(答)私は、与えられた立場で精いっぱい全力を尽くしてその職責を果たしていくことしか現時点で考えておりません。
 同時に、不信任案が否決をされたということでありますので、様々な経過はあったにせよ、野党の皆さんには否決された事実は事実として受けとめて、これから御協力をいただきたいと思っております。第二次補正予算、あるいは三党合意等々もございます。私たちは、誠実に履行しようと思って、これからも努力していきたいと考えておりますので、大変なことも昨日の発言であるだろうなと思ってはいるのですけれども、是非、御協力をいただきたい。被災者、被災地のために御協力をいただきたいと思っております。
(問)関連ですけれども、民主党の話ですが、今回の造反を仕掛けたリーダー格の小沢元代表について、いわゆる除名処分すべきだという声も党内には多いみたいですけれども、党幹部のお立場として、どう受けとめますか。
(答)昨日、岡田幹事長と輿石参院議員会長が十二分に話し合って提起された内容でございますので、お二人で話し合って下された考え方でよいのではないかと考えているところでございます。
(問)関連で、小沢元代表が一昨日70人以上の議員を集めて、不信任案の可決に現実味を持たせるような動きをしておりました。党内の菅総理に対する不満、党運営に対する不満の表れであることは間違いないと思うのですが、結果的に不信任案に彼らは賛成しませんでしたが、この現状について大臣のお考えをお願いします。
(答)これは私も含めて、400人の国会議員をきちんとまとめきれていないということは反省をしなければいけないと思います。その上で、ある意味、昨日、総理は重大なことをおっしゃったと思います。通常時はあり得ない発言だと思うのです。そういった中で、残念ながら一部の方が不信任案に青票を入れなかったことに対しては、相当覚悟をした上でのことかと認識しております。
(問)大臣が先ほどおっしゃいました急に変わるのは困るということですが、こういうことになりますと、総理自らが自身の退陣時期について明示をした上で、ここまではこうやるというようなことが必要であるということでしょうか。
(答)通常、総理が御自身で明確な時期をおっしゃるというのは考えにくいのではないかという感じはします。ただ、原発事故の収束に当たっては、本当に大切なのは、急に変わるのがいけないということと、スムーズな移行というのがとても大切なので、ああいう発言をされた以上は、意識をして、物事をこれから進めていくことも大切なのではないかと思います。
(問)関連しまして、原発の収束といいますと、来年1月ぐらいと言われているのですが、そこまで総理を続けることは可能なのでしょうか。
(答)そこは私が申し上げるのは適切ではないと思っております。
(問)関連で、一般論からすると、退陣を表明している総理の下で政策を推進するのは大変なことで、政権の求心力は相当厳しいものになると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
(答)一般論として申し上げれば、そういうことも部分的に出てくる可能性はあるのではないかと思いますけれども、それぞれがそれぞれの職責をしっかり果たして、それを補っていくことが大切なのではないかと思っています。
(問)野党は、菅総理はすぐに退陣しろと言っているのですけれども、そうなったら特例公債法案もなかなか厳しいとなりますが、菅総理の国会運営はどうなるのでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたけれども、やりにくいという思いも全くなきにしもあらずです。ただ、自民党、公明党は長く与党にいらっしゃった政党でありますので、まさに責任野党としての役割を果たしていただけるものと期待していますし、先ほど申し上げましたように、不信任案は様々な経過はあっても否決をされたわけですから、その事実は事実として受けとめていただいて、三党合意に沿って物事を着実に進めていくことが大切ではないかと思います。
(問)第二次補正予算ですけれども、これも菅政権で編成することになるのでしょうか。
(答)それは、当然のことだと思っています。もう準備に入っていかなければならないのではないかという認識です。
(問)震災の復興に一定の目途が付くまでという条件で続けるとおっしゃったことは、それ以外の新しい政策、例えば、今、取り組んでいるTPPなどは、今までのように推進していくことはできないという認識でしょうか。
(答)そこは日本国政府としての意思決定をしっかりとしていきます。いずれ、どの政権だってバトンタッチをするときが来るわけでありますし、そのときに少なくとも民主党が関わっていない政権というのは考えにくいわけでありますので、しっかりと決めるべきは決めて、次に引き継いでいくことが大切ではないかと思います。
(問)総理退陣を巡って、ポスト菅について、一般論でいいのですけれども、資質なり、どういった方がふさわしいと大臣はお考えですか。
(答)いつも申し上げておりますけれども、脱ポピュリズムで強い政権と言っております。強い政権という意味ですが、衆参とも与党がしっかり多数であることが一つ大切ではないかと思うのです。先ほども関連したことを申し上げましたけれども、与党と野党で協力できる、一緒に支えていけるということが大切なことの一つになるかもしれないなと率直には思います。そして、日本の本質的な課題に対して、逃げずに物事を決めていく。強い基盤ができれば決めていけると思うのです。プロセスで若干時間がかかっても決めて、きちんと国会へ法律を通せる状況になりますので、それが大切なことではないかと思います。
(問)野党で協力できる方ということであれば、例えば、民主党ではなくても、野党の方でもいいということですか。
(答)いや、そこまでは。まだ何も考えておりません。
(問)税と社会保障の政府改革案について教えてください。膨張する社会保障の抜本改革をうたう一方で、高齢者の医療費2割負担だとか、給付年齢の引き上げだとか、ジェネリック医薬品等々は検討課題という形でとどまっているのですが、今後抜本的な社会保障制度の改革を行う上で、給付の抑制が避けられないと思うのです。今後、給付の抑制にどれだけ踏み込んでいくべきかについて問題意識はいかがでしょうか。
(答)大切な問題だと思います。ただ、社会保障に関する集中検討会議ではどの機能を強化するのか、重点化するのか、そして、今、おっしゃったように少し我慢していただくところをどこにするのかということが論点として出されています。
 額が出ていないものは、基本的にこれからの、特に政治プロセスのところで効率化の議論を進めることになろうかと思いますし、簡単に結論を出せるものでもなく、しっかりとした議論をする必要があると思います。
 それともう一つは、今日、新聞にも税の話が躍っておりますけれども、あくまで昨日出されたものは、たたき台という位置づけだと思っております。これから政治プロセスに入ります。政府・与党の政治家で議論をすることになりますし、当然、民主党の中でも社会保障と税の抜本改革調査会と税制改正PTの合同会議で議論をしていただくことになります。その過程で、あのままというわけには率直に言って、なかなかいかないのではないでしょうか。これは効率化に限らず、税の問題だって、国民の皆さんで、特に困っている方々からの意見なども十分にくみ上げていきながら、国民の皆さんに納得していただけるような中身にしていかないといけません。しかし、逃げないで、腹を据えて、この問題に取り組んでいくことが大切なことではないかと思います。
(問)国会会期についてお伺いしたいのですが、昨日、総理が会見で、12月までの通年国会でも検討していいのではないかというお考えを示されましたが、この会期延長の必要性と、改めてその時期を12月までの通年国会という形にすることが必要かどうか、そのあたりどのようにお考えでしょうか。
(答)私は、実は心の中では一貫して通年国会がいいと思っておりましたし、そのことを総理にも申し上げてきた経緯がございます。これは幹事長、国対、そして野党と相談をして決める話でありますけれども、その根拠として、いつも申し上げていますけれども、復旧・復興、被災地第一主義という立場からすれば、国会は休んでいる暇などないと思います。私は、昨日一日は大変無駄な時間だったと思っていますし、国会議員として恥ずかしいとさえ思っておりますので、そういうことのないように、やはり一日も欠かすことなく復旧・復興に取り組んでいくことが大切なのではないかと思います。最終的には、国会でお決めになるものだと思います。
(問)先ほどの質問で、二次補正の編成は菅政権でやるということでしたけれども、編成をした以上、大体その政権が成立させるというのが憲政の常道、慣例ではありますが、成立まで菅政権がやるお考えでしょうか。
(答)鳩山前総理と菅総理でよく話し合っていただければと思っていますが、淡々と私自身は政調会長という立場で、また、国家戦略担当大臣という立場でしっかりと第二次補正予算の編成の取り組みをしたいと考えております。

(以上)