玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月31日

(平成23年5月31日(火) 9:49~10:08  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議については、特に皆様に御報告するようなことはございません。総理から、サミットについての御報告がありました。様々なことを言われているけれども、しっかりと仕事ができていると自分は考えているということをおっしゃっておられました。
 私からは1点だけ申し上げておきたいと思います。最近、内閣不信任案の動きがございます。時々申し上げてまいりましたけれども、今は、すべての国会議員が政策的に共同対処をするべき時期であるというのが私の認識です。戦前の政友会、民政党が、政局優先を図ったばかりに悲しい歴史を招いたということを、私たちはこういう時期に考えなければいけないと思います。ましてや党内からそういった動きが仮に出てくるということは、私は、被災地第一主義に著しく反すると考えております。被災地の方々は大変悲しんでいると思いますし、原発事故が収束していない福島県の方々は怒っていると思います。今、大事なことは、すべての国会議員がしっかりと政策的に共同対処をし、被災地第一主義で前を向くということではないかと考えます。
 もう1点、若干関連がありますけれども、民主党内の原発事故のプロジェクトチームに、放射能汚染された土地の汚染除去のための国土修復プロジェクトのようなものをつくってほしいと、私から要請したところでございます。例えば、文部科学省が校庭の放射能汚染についての対応をし、農林水産省が農地の対応をし、場合によっては国土交通省が道路の対応をするということになるかもしれませんけれども、横断的に政府を挙げて、できるだけ早くこういったプロジェクトを立ち上げて、国内外の知見を結集して、この問題に対処する必要があると考えています。場合によっては法整備も必要であると考えているものですから、党の方の検討を指示したところでございます。同時に、海江田経済産業大臣には、政府の受け手は原発被害者の支援チームになるのではないか、その中でメンバーを拡充してそういった対応を行うべきではないかと私の方から提案させていただきました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭発言の放射能汚染除去のプロジェクトですが、現時点での対応で足りない部分というのは具体的にあるのでしょうか。
(答)それぞれの役所で頑張っていただいていると思っています。ただ、私は私の意見をその時々において文部科学省にも、あるいは農林水産省にも申し上げてまいりました。
 例えば、山林などをどうするかということになりますと、かなりの知見を結集していかなければならないと思うのです。山はまさに水の循環をつくり出すところでございますし、しかも広大でありますから、こういった対応をどうするのかとか。また、タイミングについても、できるだけ早い方がよいという考え方と、いや、収束が完全になされてから行うべきだという意見があると思います。そういったことも含めて、しっかり検討して、間違いのない対応ができるようにしなければなりません。私はかつて科学技術も新しい挑戦をするということを申し上げたと思いますが、チェルノブイリとかスリーマイルのように日本国政府はそういった土地を放置しないと、蘇らせるのだということを申し上げました。早速、そういった実証実験が始まっているところであります。そういったことを更に具体的に、かつ広範な形で検討して、まさに国家として対処すべき事柄ではないかと考えております。
(問)関連しまして、法整備も必要だということですが、具体的にどのような部分で法整備が必要だとお考えですか。
(答)果たして現在の法律で十分かという問題が出てくるのではないかと思うのです。例えば今回、瓦礫の問題一つとっても、放射能のついた瓦礫への対応を想定した法律はなかったわけです。そういったことがこれから起きてくるので、場合によっては包括した法律を制定して、できるだけ早く物事を進めることが考えられます。
(問)今日の一部報道で、新成長戦略実現会議の下にエネルギー環境会議を立ち上げて、発電部門と送電部門の分離や自然エネルギー拡大の検討を進めていくという話があったのですが、それについてお話しをできる限りでお願いします。
(答)政策推進指針が閣議決定をされましたけれども、新成長戦略実現会議で革新的エネルギー・環境戦略の基本的な方針を定めると決めてございます。その閣議決定に従って、新成長戦略実現会議の下で、どういう形で政府内の検討体制をつくるか、今、最終調整中でございます。いつも申し上げておりますけれども、国家戦略室の方で最終的にブリーフする形になるのではないかと考えております。
(問)社会保障・税一体改革の関係について、昨日、財務省と内閣府の有識者会議が出した報告書の中で、消費税の段階的引き上げについて検討していこうとあり、来年にも上げるということではないかと読み取れるのですけれども、その辺の評価はどういうふうにお考えですか。
(答)昨日は、民主党と国民新党の社会保障のあるべき姿についての報告を聞き、同時に、税について学者の方々の意見、報告、レポートをお聞きした段階だと思っておりまして、税についての本格的な議論はこれからだと思っております。政府・与党のコアメンバー会議も活用して議論を進めたいと思っておりますし、党内でも、社会保障改革と税の抜本改革調査会、あるいはこの調査会と税制改正PTとの合同になるかもしれませんけれども、そちらの方で併せて議論をしていくことになります。
(問)もう1点ですが、それに関して首相から前回の集中検討会議で、効率化三本柱を立てるというお話があったのですが、昨日はその効率化というものではなくて、安心と成長の三本柱に変わりました。これについて、少し効率化に関して後退したのではないかという見方も出ていますが、その辺はどうお考えですか。
(答)民主党の考え方は、昨日の報告書を読み解いていただくとわかっていただけると思いますけれども、一言で言うと、機能の強化と効率化がまさに一体であるという形ででき上がっていると考えていただいてよいと思います。ただ、「効率化」という言葉を敢えて使わず、全体として、社会保障水準というものを大切にするというのがベースになっていると思います。
 ただ、よく読み解いていただくと、冒頭に申し上げたようにセットになっているところがございます。例えば、いわゆる第2のセーフティネットといわれる求職者支援制度を充実することで、生活保護の方を少なくしていきます。生活保護の方を少なくしていくのですけれども、併せて生活保護の適正化ということを文書の中でも申し上げています。更に言えば、医療の方でも、高額療養費の問題は、特に公明党などからも見直しを求める声が出ております。したがって、負担の軽減を民主党も言っていますけれども、併せて受診時のいわゆるワンコインというか、低額の負担を検討しようかというようなことも実は書いてあります。あるいは医療費に公費投入を拡大する代わりに、高齢者医療の自己負担の見直しといったことも実は書いてあるということで、よく考えられた文書になっていると思いますので、そういったことも併せて、どれだけの財源がかかるのかということをしっかり見通した上で、税の議論をしていくことが大切なのだろうと思います。
(問)民主党の方はそれでいいと思うのですけれども、首相の直接の指示について、名称だけと言われればそうかもしれませんけれども、「効率化」という言葉を敢えて使わなかったという点についてはどう考えますか。
(答)特に「効率化」という言葉を使わなかったことに問題はないと思います。大切なことは中身だと思います。
(問)関連でお伺いしたいのですけれども、70歳から74歳までの高齢者の医療費の窓口負担を現在の1割から2割に引き上げること、また、年金の支給開始年齢を68歳から70歳程度まで引き上げることを視野に入れて検討をなさるというお話が上がっていますけれども、こういったことに関しては、先の選挙で民主党が戦われたマニフェストに記載されている内容とは若干違うと思うのですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。
(答)年金の支給開始年齢の引き上げについて、実は民主党は今回全く触れておりません。先ほど申し上げたように、どこに重点化していくのか、機能強化していくのかという観点で取りまとめており、効率化という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、そういう中で触れておりません。
 もう一つの、いわゆる医療費の自己負担の見直しというのは、確かにそういったところが若干あるのだろうと思いますので、当然これから詰めの議論をしていく中で、皆さんが納得してもらえるような結論を得なければならないと考えております。
(問)科学技術の関係で、国際宇宙ステーション(ISS)について、昨日、関係の会議があったようですが、2016年から5年間の日本としての取組というのは、従来からの予算づけとか何か変化があるのでしょうか、それともこれまでどおりなのでしょうか。
(答)昨日の会議については、報告をこれからお受けしたいと思います。ただ、ISSに関しては、いろんな意味で転換点に来ているところもあると思います。ガガーリンが宇宙に出てから50年経って、今度は「ソユーズ」で日本人の古川宇宙飛行士が宇宙に行くということであります。「スペースシャトル」は退役をして、私たちの国の「こうのとり」だけがISSに物資を運べる。こういう状況の中で、私たちがISSに関わっていくということは決めているのですけれども、更にどういうふうに関わっていくのか、チャレンジをしていくのか。例えば、アメリカは大統領が有人で火星に行くという話をしているのです。欧州、ロシアもやや似たようなことを言っていて、では、私たちは私たちの得意分野を生かしてどうするのかということをまさに今、検討中でございまして、そういった宇宙政策全般について何を重点化していくのか、そのための体制はどうあるべきなのか、そういったことについて着実に今、詰め始めている状況でございます。

(以上)