玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月20日

(平成23年5月20日(金) 9:59~10:20  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日は、閣議の前にFTAAP・EPAのための閣僚会合がございました。その場で改めて私の方から、17日の閣議で申し上げましたとおり、包括的経済連携に関する基本方針の基本的な考え方は堅持することを申し上げ、また同時に、東日本大震災の発生に伴って、その具体的な手順については改めて検討することで、本日が議論の再スタートであるということを確認させていただいた上で、APEC貿易担当大臣会合、日豪あるいは日中韓のサミット等での閣僚の発言ぶり、あるいは日本国政府の対応について確認をしたということでございます。その一部は総理から発言があったと思います。
 いずれにしても大事なことは、東日本大震災3.11の前から、少子・高齢化、現役世代の減少、人口減少、こういった中で一定の成長を図っていく必要があり、そして、そのためには開かれた日本をつくっていかなければいけないという状況は変わっていないということだと思います。さらに、3.11があったので、そういう中で丁寧に手順を改めて考えていくことが大切であると考えておりますので、着実にこの包括的経済連携を進めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)昨日の新成長戦略実現会議でもありましたけれども、エネルギー戦略の見直しについて、今後、国家戦略室が主導する形でやっているのですけれども、見直しに向けてのポイント、論点はどういうところにあるとお考えでしょうか。また、国家戦略室が主導することの意味合いについていかがでしょうか。
(答)今回、1-3月期のQEが出ましたけれども、大切なことはこれから日本がしっかりと再生していく道筋を示していくことだと思います。そのために新成長戦略の質的転換を図る、その最大のキーになるのがエネルギーと環境戦略になるわけであります。
 そのとき大切なことは幾つかあるわけでありますが、やはり短期と中長期に分けて考えていかなければならないと思います。特に、総理御自身がおっしゃっておられますけれども、再生可能エネルギーの可能性という問題が1つあります。ただ同時に、より大切なことは発電効率、つまりは省エネの問題が解決の大きなポイントになるのではないかと思われます。
 どういうことかというと、単純に節電という話ではなくて、技術革新の話に入っていくということではないかと思います。いつも申し上げておりますけれども、1つは短期的に大切なこととして、既存の技術の集中投入をやはりこの二、三年でしっかりやっていくことです。それには太陽電池の蓄電池もございますし、LEDもありますが、高くてなかなか普及しないわけです。そういったことに対してどうするのかということもあります。ガスヒートポンプもあります。さらに、実用化一歩手前の技術をどのように実用化させるかという問題などに集中をしていくことも大切です。
 また、昨日の科学技術・イノベーション推進特別委員会で申し上げましたけれども、中長期の革新的な技術開発が必要で、これはいわば非連続型であり、民間企業の9割はその研究開発投資を既存技術の改良に投入していますので、そういう意味では国家プロジェクトでこの点については進めていかなければいけない。
 個人的な考えですが、3つの革命ということを言っています。つまりは、電池の革命とエネルギーロスの革命、つまりエネルギーロスを限りなくゼロにするという話であります。もう一つは、材料の革命ということを言っています。そういったことが今までよりもどれだけ前倒しで実現できるかがとても大事なポイントであると思います。
 それと、やはり常にリアルに物事を考えていかなければならないということも、もう一つの課題としてあって、先ほどのQEの話ではありませんけれども、電力不足に対する懸念は常につきまとうわけでありますから、そのことに対してしっかり地に足のついたロードマップをつくっていくことが求められているのではないかと思います。
 まず、エネルギー政策のあるべき姿を描いた上で、そのための様々な手段について考えていきたいと思います。
 国家戦略室が主導するというのは、やはり経済産業省のみならず、環境省も関連をしてまいりますし、どうしても経済産業省についてはこれまでややもたれ合いといった構図も見られるわけでありますので、まさに俯瞰的な立場からエネルギー政策の方向性を定めていきたいと考えております。
(問)今のお答えで、特に中長期のほうに若干絡むと思うのですが、先日菅首相の会見のときにも中長期チャートなどを言及されていますが、発送電分離についてお伺いします。これは新エネルギーとか、参入促進ですとか、価格低下と並んで、東日本と西日本の周波数の違いといったこととも絡んでくると思うのですが、大臣はどうお考えですか。
(答)一番大切なことは時間軸だと思います。日曜のテレビ出演時に私が申し上げたのは、いわゆる発送電分離も含めた自由な議論を、このスキームを定めることで妨げるものではないということであります。大事なことは、まず我が国においてのエネルギーのあるべき姿を定めることです。そして、その上でどういう手段が望ましいのか。この順番を間違えると混乱すると思います。
 つまり、発送電分離という議論は、そもそも手段の話です。私はそう思っておりますので、時間軸を間違えないように結論を出していくことが大切なのではないかと思います。
 この問題ですぐに結論を出すとか、そういうことでは私はないと思っておりまして、時間軸がとても大切だと思います。
(問)復興基本法についてお伺いします。昨日から衆議院の審議が始まりましたけれども、政府案と自民党案と、組織のあり方について大分考えに違いがあるかと思うのですが、大臣はこの自民党案の中身はどこまで取り入れるお考えがあるのか、その修正協議の行方についてどういう見通しを持っていらっしゃるのかお伺いします。
(答)結論を申し上げれば、必ずまとめなければならないと思っております。議論がこれから始まるわけでありますので、現時点で申し上げるのは適切でないと思いますけれども、柔軟性を持って対応していくことが政府・与党にとっては大切なことだし、そういう度量も必要だと思います。
(問)子ども手当の修正論議ですけれども、今週にも始まると見られていましたが、遅れている原因と、どのような方針で所得制限も含めて臨まれるお考えでしょうか。
(答)まずは、自公で考えをまとめていただくということで進んでおりますが、それが大体成ってきたのが現時点だと私自身は認識をしております。当然、これからそういった調整もしなければならないという考えでおります。具体的な中身については、今は申し上げない方がいいと思います。
(問)西岡参議院議長は、総理に対して明確に退陣を迫るという、極めて異例の発言を繰り返していらっしゃるのですが、これについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)これについては、コメントしないほうが適切ではないかと思っております。いずれにしても、私自身はやるべきことが多々ございます。復旧・復興の問題もそうですし、3党合意を更にどう推し進めるかという問題、新成長戦略の具体化、今日行われたFTAAP・EPAも進んでまいります。エネルギーの基本的な方向性も出していかなければなりません。
 まだ、国家戦略室でやるべきことが多々ありますし、また政策調査会としても二重ローン問題も含めて、党が主導していかなければならないと考えている問題が幾つかございますので、そちらに集中していきたい考えでいます。
(問)同様に、党内で少し時間が経ったかもしれないのですが、総理の退陣を求めるかのような署名活動といった動きもあるのですが、そういった動きについて大臣の見解はいかがでしょうか。
(答)いつも申し上げていますけれども、とにかく今はきちんと被災者の皆さんを向くということが一番求められていると思います。こういう時期に党内でごたごたしている場合ではないというのが私の認識でございます。
(問)関連で、昨日、樽床国家基本政策委員長が自民党と連立をして当面は乗り切って、その後に信を問えばいいという大連立を進めるという発言がありましたが、大臣はこのお考えにはいかがでしょうか。
(答)発言がつまびらかでないというか、よくわかっておりませんので何とも言えないところがございますが、私はまずはとにかく復旧・復興に全力を挙げてしっかり成果を出すことが一番大切ですし、いずれは脱ポピュリズムの強い政権をつくるということを最近、公言しておりますので、そのためにどうあるべきかということを考えているということでございます。
(問)政策推進指針の具体化に向けての動きについてですけれども、新成長戦略実現会議や、それ以外にも政策推進指針の具体化にかかわってくる場として、食と農林漁業の再生実現会議があると思います。FTAAPについても今日の会議があれば、これとは別に再生実現会議がありますし、全体の整合性は今後、議論していく中でどういう協議の場で詰めていくのでしょうか。再生実現会議は再生実現会議で全体との取りまとめの場になるのでしょうか。それとも、閣議か何かでまとめることになるのでしょうか。
(答)結局、新成長戦略実現会議も、食と農林漁業の再生実現会議も、FTAAP・EPAのための閣僚会合も、すべて国家戦略室で扱っているわけでございますので、当然、国家戦略室の方でまとめ上げていく調整をしていかなければならないと考えております。ですから、食と農林漁業の再生実現会議の方もいつ、どのような形で始めていくのかということについても調整を始めているところでございます。
 大切なことは、農業の問題でいつも申し上げてまいりましたけれども、私は輸出の話をよくしていたわけでありますけれども、残念ながら、現時点では風評被害もあって、それらについて強く主張できる状況にありません。したがって、まず日本の食の信認回復と農水産物の信認回復という観点から、食と農林漁業の再生実現会議の議論を始めるべきではないかと考えておりますが、これは鹿野農林水産大臣とよく相談をしながら進めていかなければならないと思います。
(問)大臣は先ほど脱ポピュリズムの政治と言われましたけれども、大臣の目指す脱ポピュリズムとはどういうものなのかということと、民主党政権は脱ポピュリズムを行っているのかどうかお願いします。
(答)これはかなり本質的な話で、一言で言えば人気取りに走る政治から脱却をしなければいけないということではないかと厳に思います。国民の皆さんに向き合うときに、非常に困難な課題において、必ずしも国民の皆さんから支持されにくいようなテーマでも正面から説得をしていく、理解を求めていく、それができる政治になっていかないと、日本の本質的な危機は脱却できないというのが私の認識でありまして、そういう政治にしていかなければならないのではないかと思います。そのためには、いずれ強い政権基盤というのが必要になるのではないかということでございます。
(問)政権交代後、民主党政権がそれを行っていたのでしょうか。
(答)総選挙において約束をした政策がございますから、それをできる限り実現します。また、政権獲得後に出てきた、先ほどから申し上げているような日本の根本的な根源的な課題が幾つもあるわけです。その課題は、それぞれ非常に困難、つまりはしっかりと解を出すことが困難な課題が多いわけでありまして、そういった困難な問題にも真正面から向き合ってしっかりと解決していく政治が求められていると考えております。

(以上)