玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年5月17日

(平成23年5月17日(火) 9:41~10:01  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日は、閣議におきまして政策推進指針について閣議決定がなされたところでございます。
 政策推進指針というのは、東日本大震災を経て、日本再生を再スタートするに当たり、その方針を提示したものでございます。震災で中断をしていたものを、単に再開するということではなくて、新たな成長へ向けた国家戦略の再設計、再強化を通じて、震災で明らかになった弱点を克服するとともに、傷ついた信頼を回復し、世界との絆を強め、力強い日本を再生させることが重要だと考えております。特に、政策推進指針で打ち出す基本原則に則って国と国の絆を強化し、開かれた経済再生を図ることが大切だと考えております。
 昨年11月に、包括的経済連携に関する基本方針を定めましたけれども、その基本的な考え方は維持したいと考えております。ただ、今回の震災の発生に伴って、その具体的な手順については改めて検討していくことが必要だと考えています。
 今後は、本指針に従って成長戦略、経済連携、農業再生等各政策分野における取組について、準備が整い次第なるべく早く再開をしたいと考えております。早速、新成長戦略実現会議は今週19日に、FTAAP・EPAのための閣僚会合につきましても、20日にも開催をする予定でございます。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)2次補正予算について、昨日、総理は8月以降になるというようなことを言われていますけれども、一方で、小規模な2次補正を今国会に出すという報道もありますが、今、政権としてはどういうスタンスの2次補正を考えられているのでしょうか。
(答)基本的には、必要かつ具体的な事業、あるいは財政需要が出てきたら、できるだけ早く編成作業に入ることが誠実な姿だと考えております。それがいつかということですが、現時点では4兆円にも上る復旧予算の執行が始まったばかりということでもありますので、そういった状況を見極めながら判断をしていく必要があるのではないかと思います。
(問)今国会でどうなるかというのはまだ決まっていないということですか。
(答)はい、そうだと思います。
(問)政策推進指針の中で、TPPの交渉参加の判断時期を総合的に検討するとありまして、先に与謝野経済財政担当大臣が、6月とされていた予定が数カ月ずれ込むのではないかという認識を示されていますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)以前も申し上げましたけれども、少子高齢化社会、人口減少、2046年には人口が1億人を切るという状況は何も変わっておりません。そのために開かれた経済再生を図ろうということで、TPPも含めて包括的経済連携の基本方針を定めたわけであります。その際、打って出るということで農業強化策を、むしろ具体的に輸出強化などを通じて先行させるということで進めてきたところであります。ただ、御案内のとおり、放射能リテラシーという問題が世界中にまだ横たわっている状況の中で、この輸出強化策が簡単には具体化しにくいという状況が短期的には存在すると理解しております。また、そういった方々に対する心情に配慮をするということもありますので、まさにそういったことを見極めながら総合的に判断時期を決めたいということでございます。言うまでもないことでありますが、引き続き情報収集などに努めていくことは当然のことだと思います。
(問)今のTPPの関連ですけれども、当初、6月に判断すると目標設定した理由自体が、ルールづくりをするに当たってぎりぎりの判断時期だというふうに農林水産省の方で見ている向きもあるのですけれども、そのルールづくりに参加できない可能性については、大臣はどう考えていらっしゃいますか。
(答)これは相手があることでございます。そして、TPPの中で日本の占める位置は、私はかなり大きいと思います。これまでの交渉状況を見てきますと、当初考えていたスケジュールよりも遅れているのではないかと考えられます。そういったことも含めてもう一度しっかりと情報収集しながら、この問題について総合的検討を加えたいと思っております。
(問)復興基本法ですけれども、自民党、公明党から対案が出てくる状況のようですが、その中で復興庁というものに実施までの権限を持たせるかどうかというところのポイントについて、大臣の方から改めてお願いいたします。
(答)現時点で我々が出している法案がございます。もちろん、我々は我々なりにそれがベターだと思って出しているので、その問題点をこの時点であげつらうのは適切ではないと考えております。
 ただ、実施まで含めた復興庁とするときのポイントは、やはり権限の根幹部分、特に復興について限定しての権限の切り分けが上手にできるかどうかということが一番大切なのではないかと考えております。
 いずれにしても、私たちと同じように、まずは政府の方で速やかに基本的な方針、基本的な計画といったものを作成するということについて、自民党も異論があるとは考えておりませんので、まずは復興対策本部の中で基本的な計画をつくらせてもらって、復興を前に進めていくことをスタートさせていただきたいと考えております。その後、そういった点について、どこで折り合いがつけられるか、ここはしっかりと話し合わなければならないと考えております。
 すべては被災地、被災者の皆さんのために考えていかなければならないと思います。そして、阪神・淡路大震災とどこがどう違うのかということの見極めも一つのポイントではないかと考えております。
(問)原子力安全委員会についてお尋ねします。昨日も班目委員長の会見で、原子力安全・保安院の方から、毎回いろいろな報告が上がってくるのだけれども、経済産業省から事務局の方に適切なデータが提供されてこないと、つまり東京電力が炉心の溶融についても説明しているのに対して、原子力安全・保安院としてきちんとデータを解釈して持ってきていないというようなことをおっしゃっています。情報の伝達がうまくいっていないことが考えられるのですけれども、それについてどう思われるのかということと、あともう一つ、原子力安全委員会のほうからリーダーシップを持って情報を取りにいく努力が必要なのではないかなということも感じるのですけれども、そのあたりをどうお考えでしょうか。
(答)所管外の質問でありますが、政調会長という立場で若干の思いを申し上げますが、まず、短期的にそういった意思疎通に齟齬が生じているとすれば、いち早く解消しなければいけないと思います。
 そして、以前も申し上げたところでありますが、元々、民主党は安全に対するチェック体制については厳しい姿勢で臨んでいたわけです。2000年に実際に法律まで出して原子力安全・保安院を、あの当時は旧保安院でありますけれども、分離をするということを提案していましたが、残念ながら、その法案が通らなかったということがありました。ですから、どうしてももたれ合いの構図というのがこの原子力行政にはあったと見ていますので、そういった点をしっかりと解消していくことがこれから極めて大切だと思いますので、やはり検証委員会でしっかりと議論して、その上で安全審査をする体制についてもしっかりと検討し、結論を出して、新しい体制で臨んでいくことが必要ではないかと考えております。
(問)指針の中で、エネルギー戦略の見直しを新成長戦略実現会議でやると書かれていますけれども、いわゆる政府のエネルギー基本計画の見直しの体制もここでやるという理解になるのでしょうか。
(答)エネルギー基本計画見直しの更に大きな方針をここで決めなければならないと考えております。つまりは、成長戦略の質的転換の目玉の一つということになります。短期と中長期に分けてこの問題については議論をし、結論を得なければならないと思います。
 これも以前申し上げましたけれども、短期的には、既存技術、特に新エネあるいは省エネの集中投入を図ることが極めて大切だと思いますし、既存原発の、いわゆる新しい安全基準に基づく稼働ということも避けて通れないと思います。
 中長期的な観点からのポイントは、民間企業というのは、大体9割は既存技術の改良にとどまっているところがありますので、国家主導で、いわば非連続的な、革新的な技術を開発していくことが、エネルギー戦略の見直しにおいては極めて大切で、むしろそのことが、いつも申し上げるような世界に先駆けて日本がフロントランナーになって新しいパラダイムシフトをしていく一つの分水嶺になっていくのではないかと考えているところでございます。
(問)賠償資金の法案について、昨日、枝野官房長官が、東電のリストラが大前提だと、早期提出はなかなか難しいということを示しましたが、一方で党の方は、早く迅速な対応を求めていたと思いますけれども、この点どうお考えですか。
(答)一言で申し上げれば、今はスキームができたばかりですので、これから法案にするということです。ですから、法案の確定作業を終えた段階で判断をしていくということになると思います。
(問)大臣としては、今国会での提出が望ましいとお考えでしょうか。
(答)まさに今、申し上げたように、法案の確定作業を終えた段階で私の考え方を申し上げたいと思います。大事なことは、被災者の迅速な救済に支障があってはならないと思います。
(問)指針についてですが、年内に日本再生のための戦略としての具体像を提出するとあるのですが、年内のいつごろと考えればよろしいのですか。
(答)まず夏までに、これまでやってきたことをきちっと検証したいと思っています。整理をし直したいと思っています。今までも、それなりにこの成長戦略は前に進んできました。けれども、目標、質的な転換が必要だという、いわゆるエネルギー環境戦略のようなものや、一方、目標は堅持するけれども工程を見直すということもあろうかと思います。いわゆる開かれた経済再生や、FTAAP・EPAなどはそういうところがあると思うのです。ただ、一方で具体論になってくると、例えば日・EU間EPAのような話はどんどん進めていっていいという話になるかもしれません。これは目標あるいは工程とも併せて堅持するということで、一、二カ月で整理をさせてもらいたい。その上で、せっかく知見が結集した新成長戦略実現会議のメンバーの方々がいらっしゃいますから、皆さんの御意見も踏まえながら、やれるところからどんどんやっていきますけれども、全体の整理は時間をかけながらやりたいと考えております。
 誤解のないように申し上げたいのは、やれるところからどんどんやらないと、経済をどうするかということがあるものですから、そこはもう果断なく進めるべきは進めるべきと考えているところです。
(問)民主党と自民党の中堅・若手議員が、震災の復興議連をつくっていかれるようですけれども、城島政調会長代理なども参加されるようですが、政調会長としてどういう役割を期待しているのでしょうか。
(答)特に震災については、党派を超えて対応しなければいけないと思います。先ほど質問のあった復興基本法も全く同じです。例えば、復興基本法で物事を進めていくときに、大臣が替わったから、政権が替わったからといって、基本的な計画とか、基本的な方針が変わってしまうなどというようなことはあってはならないと思うのです。これは最初の段階からしっかり公党間で議論する。同時に、正式な党と党の集まりでなくとも、そういった議員連盟のような形であっても、お互いによくコミュニケーションをとって認識の共有をしていただくことは、今後のことを考えればよいことではないかと考えております。

(以上)