玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月28日

(平成23年4月28日(木) 10:31~10:59  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日は、閣議の前に経済情勢に関する検討会合がございました。これはメディアが入っておられましたけれども、その中で、いわゆるマクロ経済運営や新たな成長へ向けた国家戦略の再設計・再強化について議論がなされたところでございます。特に、主要政策の進め方について新成長戦略、エネルギー・温暖化戦略、そして風評防止、海外市場開拓戦略、また、財政運営戦略、経済連携の運用強化策等いわゆる国家戦略室が担当している分野について、各閣僚とよく調整をしてほしいという議論がございました。総理からは、連休明けの週に全体の一定の方向性、こういう形で進めますよということが発表できるようにしてほしいという指示があったところでございます。
 閣議では、特に皆様に御報告するようなことはございませんでした。
 以上です。

2.質疑応答

(問)東日本大震災の復興基本法について、当初自民党から議員立法の提案があって与党協議が進んでおりましたが、今朝も調整が進んでいるようですが、現在の調整状況、今後の見通しについてお聞かせください。
(答)復興のための基本法でありますけれども、これについては、まずは政府が当初考えていた法案を一定程度民主党の方で手直しをする方向で調整をしたいと考えております。それにつきまして、政府・民主党首脳会議が本日ございます。同時に政調の内閣部門会議でも議論が既になされましたし、これからもなされるところでございます。そういった形で本日、政府・民主党首脳会議で一定の方向を出したい、調整をしたいと考えております。
(問)基本的に議員立法ではなく、政府案、閣法で出すべきとなりましたか。
(答)そこはまだ明確に決めておりません。
(問)経済政策の指針について、今日、骨子案のようなものがあったという話を伺ったのですが、現状ではどのような形に政策会議はなっているのでしょうか。
(答)マクロ経済運営の方は与謝野経済財政担当大臣が担当されていて非公表になっているものですから、今、私の口からは非常に申し上げにくいと思っています。基本的には、今回の大震災がもたらした影響をしっかり分析し、当面の対応、短期の対応、中長期の対応ということでしっかりとした対応策、特に力点を置くべき点について記述をして、全閣僚で政府として共有するということが大切かと思います。
(問)先ほどの復興基本法の関係ですが、官房副長官などからは復興税について否定的な意見が出されています。玄葉大臣は今のところ必要性などについてどのように考えていらっしゃいますか。
(答)結局、今まで私が申し上げてきたとおり、スピード感と実が上がるというのが一番大切です。ですから、そこをきちんと押さえながら、基本にしながら、同時にいずれかの段階でより強力な組織が立ち上がるのが私自身は望ましいと思っていますし、一つの有力な考え方であると思っています。ただ、これは官邸との調整もございますし、法案ですから、他党との調整も必要になるのではないかと思っています。ですから、今のところ、先ほども申しましたが、政府が当初考えていた案に一定の手直しを加えた形で、まずは政府・民主党案をまとめなければいけないと考えております。
 その後の展開もいろいろな形で考えるのかもしれません。
(問)いわゆる復興財源についてお伺いしたいのですけれども、増税を巡って党内外で非常に強い反対論が出ていますけれども、こうした意見についての受けとめをまず聞かせていただけますでしょうか。
(答)結局、復興財源というものを考えるときには、先ずは今、国民の皆さんの間に広がっている連帯感をどう考えるべきかが大切だと思います。そして、民主党が元々申し上げてきたような、どこかに無駄遣いがないか、つまり優先順位が低い歳出等がないのかどうなのか、でき得る限りの点検を先ずはするということだと思います。そして、特別会計ももう一度点検をしたいと思います。
 その上で、仮称ですけれども、復興債のような形で国債発行をせざるを得ないのではないかという認識は私自身は変わっておりません。そのときに、いわゆる財政的、経済的な信認という問題は避けて通れない話でございますので、そういったことを考えると、償還財源の道筋を明らかにしていくことは責任ある立場であればあるほど必要なことだと私は考えております。
(問)党内の議論ですけれども、二次補正とも密接にかかわってくると思うのですが、いつごろから始める御予定で考えていらっしゃいますか。
(答)それは、これまでも申し上げてきましたけれども、どういう体制で進めるかということをまず考えなければいけません。当然、党の税制改正PTなどは関係してくるということですが、そこにとどまらない話になるのではないかと思っておりますので、その体制は連休明けあたりを目途に議論を開始しなければいけないと考えております。
(問)関連してですけれども、所得税とか法人税とか消費税において、増税の話が出てくると党内で反対意見も活発になるかと思うのですが、このことについてどうお考えか教えてください。
(答)この問題について誤解を与えるような発言はでき得る限り慎んでいかなければならないという側面と、もう一つは正面から向き合わなければいけないという側面と両方あると思うのです。ですから、いつも私が申し上げているように償還財源を考えていく、あるいは税の話をするという場合に必要な配慮が2つあって、1つは被災地への配慮、もう一つは景気、経済への配慮、この2つの配慮を欠いてはいけないということだと思います。ですから、そういったことをしっかり踏まえた上で議論を進めていくということが大切かと思います。
(問)その復興財源ですけれども、政府の復興構想会議でそもそも議論をしていくべきなのか、していくべきではないのか、いろいろ意見が割れていますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)これは国民の皆さん全体で考えていただく議論ですから、それぞれの場で御議論いただいたらいいと思います。ただ、当然、政治家が責任を持って議論し、結論を得ていかなければいけない大きなテーマだと考えています。
(問)この間の会見でお話のあった被災地での臨時閣議、対策本部はどのように進んでいますか。
(答)まだ検討結果を聞いてございません。私は今でもそういう配慮というのは必要ではないかと思っておりまして、全員行けなければ何人か、つまり東京を全員が離れると危機管理上問題があるのであれば、それは一定の工夫を、あるいは知恵を出しながら行うことは、私は可能ではないかと思います。それがいつも申し上げているように、四重苦に苦しんでいる福島県民の皆さんを激励することにつながっていくのではないかと思います。もちろん、今行っている被災者支援、あるいは原発事故の被災者の支援を着実に積み上げていくことも極めて大切でありますが、そういったアクション、行動というのも、現地の皆さんと話をしてみると大事だということで私の立場からお伝えしたということです。つまり、本当に心をどう伝えるかということだと思うのです。私は、十二分に心が伝わっているとは思っていません。以前よりは改善されてきたと思っておりますけれども、やはりそういったことに対してもっともっともっと配慮をしていかなければならない事態であるという認識でございます。
(問)先ほど、検討会合で今回の震災のもたらす影響について分析して、当面の対応、それから短期的な対応、それから中長期の対応、3段階に分けて説明されたのですが、その中で先ほどの原発の14基の新設ですとか、原発の輸出促進、あるいは年間の成長率、新成長戦略の中の記述ですとか、これを見直していかなければならないとかいったところは最後の中長期のところで検討課題となるのでしょうか。
(答)成長率の話は、財政運営戦略をつくるに当たって、いわゆる成長シナリオと慎重シナリオがございますので、やはり一定程度そのことについての記述はしていかなれければならないのではないかという認識を私自身は持っております。ただ、簡単ではありません。新成長戦略については、エネルギー・環境戦略の質的転換が大きなベースになっていくのではないかと思いますし、中長期的に見れば、それがかなり成長を後押ししていく姿を日本としては描いていかなければならないと考えております。
 また、原発については、以前も申し上げましたけれども、いわゆる2030年までの新規原発14基の増設、新設というのは私はあり得ないと思っておりますので、そのことを踏まえたエネルギー基本計画の見直しがどうしても必要になります。でも、それは逆にチャンスであると思います。先日も申し上げましたが、日本政府が本気で再生可能エネルギーなり分散型エネルギー、送配電システムの高度化といったことに取り組んでこなかったと私は認識をしておりますので、やはりそういったことに本気で取り組むという姿勢こそ大事だし、姿勢だけではなくて予算も、そして行動もそう、あまりに旧来の電力系統に頼り過ぎたというところが私は今日の問題点の一つであると考えているところでございます。
 ところで、先般、総合科学技術会議の有識者の方々と意見交換をいたしました。やはり総合科学技術会議がつくる、これからの日本全体の科学技術政策のあり方についても、一定の変化、もっと言えば新たな挑戦というものをしていかなければならないという話を私は有識者の先生方に申し上げたところでありまして、そういった指針をしっかりとつくって、その上でそれぞれの省庁で具体的にブレークダウンして第4期科学技術基本計画をつくり、予算化をしていきたいと思います。
 この大震災を受けて、これまでと全く何も変わらないというのはおかしいと思っておりますので、そのことを踏まえた科学技術政策にしたいと思っています。
(問)先週の話になるのですけれども、週刊誌に大臣の話が大々的に書かれておりまして、職権乱用だという趣旨の記事ですが、この場で大臣としての御見解と御認識をいただけますか。
(答)まず1つ目は、選挙区にガソリンを配れと言った事実は全くございません。
 思い起こしていただきたいのですが、原発プラントがいわば危機の連続のときだったわけです。そのときに、当然、プラントに対して多くの関係者が全精力を挙げると同時に、宮城と岩手でも大地震と大津波の被災者支援をしていたわけでありますけれども、原発の被災者、つまり原発周辺地域の人たちへの支援が事実上、ほぼ行われていなかったというのが現状だったのではないかと私は思っております。その中で、私としては、最悪の事態を自分なりに専門家を交えて想定をし、その中で県民を守らなければいけないという気持ちがありましたので、原発周辺地域に対してガソリンを供給するということはプライオリティーが非常に高いという判断を私自身はしておりましたし、今なおそう思っております。その供給は途絶えてはいけないと今も思っております。それをまさに官邸で総理指示という形で行いました。ちなみに、海江田経済産業大臣にも総理から指示があって、そういう形になっていることです。もちろん、私も記事を読みましたけれども、一部正しいところもあるかと思いますけれども、やはり間違いもあるのではないかと思います。
(問)周辺地域に配るというのももちろん大事なことですが、大臣は福島の選出の方であり、要は人口の少ないところに、特定のところにたくさん入っているとか、そういったことが報じられておりますが、その辺りについてはいかがでしょうか。
(答)私は選挙区に配れなどと一度も言ったことはございませんし、どこにどれだけということは、一度も私自身指示したことはございません。私の推測ですけれども、多分、スタンドの空いている状況を踏まえて、資源エネルギー庁のほうで判断をされたと聞いています。ただ、私はそれは本当は一回で終わってはいけないと思います。つまり、危機はずっと続いていたのです。そういう危機がずっと続いている状況の中で、どうやって原発周辺の皆さんを避難させるかということは、私は政治家として危機管理上最も大事な問題だと思っています。本来は1回ではなくて、きちんとしたオペレーションで何回もやらなければいけません。万が一のときにはまず自主的に避難できる人は避難していただき、そして、その自主避難ができない人たちに対して自衛隊を始め、警察や消防に御協力をいただく体制が本来できていなければならないと思っていますが、そこが残念ながらできていなかった中で、私自身はそういう形でお手伝いを総理の指示の下でさせていただきました。その後、しばらく経ってから正式なオペレーションとして、継続的に供給がなされるようになったと聞いています。私は、本当は途絶えること自体も問題だと思います。
 危機管理というものを本当にどう考えるのか、これはかなり根本的な話ではないかと私は思っています。あのとき何が起きたか御存じですか。最悪の事態をどこまで皆さんが想定されていましたか。例えばタンクローリーが行けば50キロ圏内に入ってはいけないと言われてみんな帰ってしまうのです。そのまま放置するのです。自分に権限がない、私の責任ではない、私の役割ではないからということではなく、住民の命を守ることが政治家の最大の使命だと私は確信をしています。
(問)先ほど言われた、最悪の事態を想定する中で原発周辺への支援が行われていなかったとは、どういうことでしょうか。官邸がそこまで手が回らなかったのでしょうか。
(答)全く行われていなかったとはもちろん思いませんけれども、どうしてもプラントに関心と思いが行っていたのでないかと思います。実はその段階から私はその次の正式なオペレーションをしてもらうためにチームをつくることまで提案していました。。ですから、そういう事態にあっては、既存の制度とか枠を超えて、誰かが責任を持って判断して行動していくという姿勢は、私は最も大切なことだと思っていまして、むしろそういうことが足りないから問題だとすら思っております。
(問)税の話に戻って恐縮ですけれども、昨日社会保障改革に関する集中検討会議が再開されましたけれども、償還財源としての増税という議論と社会保障財源、あるいは財政健全化に向けた増税の議論と2つ並行させている形になっていると思うのですが、それを今後6月までにどう議論を収れんさせていくのか、その辺のお考えをお聞かせください。
(答)そこはどういう税を考えていくのか、あるいはどういう償還の仕方を考えていくのかにもよりますけれども、基本的にはまず社会保障のあるべき姿をお示しして、それに見合う形でそのための税というものをきちんと考えるということだと思います。そして、復興については、まず復興のビジョンというのがあって、そして、それに見合う財源調達の方法を考えるということだと思います。その上でその関係は整理されていく方がよいのではないかと思います。

(以上)