玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月15日

(平成23年4月15日(金) 9:46~10:03  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日は、閣議の前に、原発事故による経済被害対応本部会合がございました。特にその中で、原子力災害被害者に対する緊急支援措置についての決定があったところでございます。この問題につきましては、様々な閣僚から意見が出たところでございます。
 閣議、閣僚懇談会では、総理から昨日の復興構想会議の模様についての報告がございました。
 なお、第1次補正予算でありますが、本日、自民党と公明党それぞれと政調会長会談を開きまして、私たちの考えている案、先般説明をさせていただいた案に対する回答をいただくということになっております。我々としては、スピーディーな対応を被災者、そして被災地のためにお願いをしているところでございます。私たちの案も既に自民党、公明党の緊急要望から、あるいはその他の政党からもそうでありますけれども、相当程度取り入れた補正予算案になっているところでありますが、誠意を持って丁寧にこれからも協議を進め、4月中に第1次補正予算案を提出したいと考えているところでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)昨日から始まりました復興構想会議の中で、いわゆる震災復興税という考え方が提起されているわけですけれども、大臣は、これまで増税というのは現時点では考えていないということをおっしゃってきましたが、今後、震災に巨額の費用を要することを考えると、税制で手当てすることも一つのアイデアになってくるかと思うのですが、現時点での大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)第1次補正予算案につきましては、国債を発行しない前提で案をつくったわけでございます。ただ同時に、第2次補正予算を始め、今後、復興財源というものが必要になる。しかも、かなりの額になっていくであろうと思います。その際、先ずは歳出の見直しをしていくことが大切であり、その次に、やはり復興債のようなものを出していかざるを得ないと考えております。
 併せて、償還財源について検討していくということが国債の信任上も大切なことではないかと思います。その時に区分経理をすることも一つの知恵だろうと思っておりますけれども、いずれにしても、すぐ増税するということは現時点で私の頭の中にはありません。復興債を出して、それについての償還財源を検討していくということではないかと思います。特にそういった場合は、今は経済有事でもございますので、景気動向への配慮というのが極めて大切になると思います。
(問)今の震災復興税に関連して、復興構想会議もですけれども、政府税調も首相の諮問機関としてありまして、党でも税を議論する場があると思うのですが、国民に負担増を求めるという場合に、誰がどのようなところで決めるのかというのが、今一つ不透明に見えるのですけれども、この辺は政調会長としてはどのように整理をされていますか。
(答)民主党の中で、今後の復興財源のあり方について検討する体制をつくりたいと思っております。これは必ずしも税調だけの話ではございませんが、一方、税調は深くかかわると思います。ですから、関係の方々で構成されるようなプロジェクトチームか何かの体制をつくらなければいけないと思っています。併せて、政府税調は政府税調で別途検討していくということになるのではないかと思います。
(問)政治主導で今ある税制改正PTとは別のものをつくるのでしょうか。
(答)必ずしも税だけとは限らないわけです。先ほどから申し上げておりますけれども、歳出の見直しということもありますし、あるいは本当にこれまでしてきたように様々な特別会計などから持ち出すことができるのかできないのかといった検討も必要だと思います。
 同時に、先ほど申し上げたように、当面、復興債のような国債に頼らざるを得ないわけでありますが、その時に当然、償還財源の検討も併せてしていかなければ、我々政府与党としてはマーケットに与える影響というものを当然考慮に入れなければなりません。ただ、負担を求めるときには、先ほど申し上げたように景気動向への配慮というのが時期も含めて極めて大切になると思います。
(問)関連してもう一点ですけれども、自民党の方は第1次補正予算の段階で復興再生債というものを出したらどうかとおっしゃっています。2次か1次かは別にして、出すのであれば1次でもいいのではないかということだと思うのですが、この点については譲れないということですか。
(答)それは一つの考え方だとは思います。ただ、総理の極めて強い意向で、最初の段階から国債発行をすることで財政規律が失われる、いわば歯止めが利かなくなることへの懸念を総理自身が強く持っておられるのではないかと、議論をしていて、そう感じております。
(問)国民新党の亀井代表が提起なさった、復興構想会議を与野党合同でやるということについて大臣のお考えと、今、自民党が攻勢を強めている中で、その会議の実現可能性についてどう考えられますか。
(答)復興を超党派で行っていくという発想は、私はとても大切なことではないかと思っております。ただ、どういう形でそれを実現するのかということについては、相撲でいえば立ち合いがうまくいっていないという感じがしておりまして、そのあたりをどうするかということは喫緊の検討課題ではないかと思います。
 どうも政局的発言が最近非常に多いわけでありますけれども、私はいつも申し上げていますが、政治家は、政策、選挙、政局それぞれ大事だと思いますが、危機が進行中の時に政局中心に動くというのは、私の感覚では信じがたいことです。今は、やはり復旧、復興に向けてすべての政治家が全力を挙げること、団結すること、力を合わせることが私は求められているのではないかと思います。
(問)その関連で、小沢元代表がかなり厳しい批判をしていまして、例えば昨日は、樽床元国対委員長も国家のためにならないということを仰っており、かなり政権批判が与野党ともに出ていますが、この状況について改めて大臣の御意見をお聞かせ下さい。
(答)先ほど申し上げましたように、今、危機はここにあるのです。原発事故は終息していないのです。そういった時に政局にしようということについては、私は信じがたいです。党内、党外ともです。
(問)自民党や西岡参議院議長などが批判しているところは、菅総理の原発への対応とか危機管理への対応ですけれどもいかがでしょうか。
(答)誰なら原発事故を今、収められるのでしょうか。誰が自信があるというのでしょうか。私はわかりません。本当に自信を持っておっしゃっている方がいらっしゃるとすれば、教えていただきたいと思います。
(問)危機が進行しているわけですけれども、そういう退陣論が相次ぐ、その本質的な原因、理由というのは、大臣はどのようにお考えですか。
(答)わかりません。
(問)今の総理の震災・原発対応というのは十二分に、当然、総理は必死というか、皆さん一所懸命やっていらっしゃるのですが、それでもなおこれだけ批判が起こるというのは、やはり何かしら考え改めるところもあるのではないかという議論もあるのですが、大臣その辺はいかがでしょうか。
(答)私は、内々意見を色々と申し上げているところでありますし、内々言ってもなかなか聞いていただけない点について、たまにこのような場で申し上げております。昨日、政調役員会でも発言をさせていただいたところであります。
 いつも申し上げていますけれども、前代未聞の、人類史上初めての事態です。大地震と大津波、そして、原発事故の二正面作戦をし、その二正面作戦のうち、原発事故はプラントの問題、そして原発被災者の問題、その支援といったことをすべて同時に対応していくということは言うまでもなく大変なことでありまして、やはりそれに対してでき得る限り政治家が、政府に入っているいないにかかわらず、与党、野党であることにかかわらず全力を挙げていくことが、私は政治家の務めだと、政治家としてあるべき構えだと思います。
(問)歳出の見直しの関係で、子ども手当について7,000円の上積みは見送りの方針になりましたけれども、現在の1万3,000円については、それも含めて見直しとするのでしょうか。それとも、これは民主党の政策の看板ということで堅持されていくのでしょうか。それ以外の4Kと言われる政策について、自民党、公明党は見直しを求めていますが、それについても協議の対象にされるのでしょうか。
(答)既に第1次補正予算の段階で、マニフェストを含め歳出の見直しを始めたところでございます。つまりは、子ども手当については上積み分を止めるということ、そして高速道路の無料化の社会実験を一時凍結するということです。さらにはマニフェスト以外でも、エネルギー特会からの500億円等、様々な歳出の見直しを始めたところであります。始めたところというのが一つのキーでありまして、これから段階的にそういったことも含めて、歳出の見直しを行っていくということは、これだけの人類初の事態を受けて、柔軟性を持って対応していくことが必要だと思います。
(問)大臣は、政府税調の会長代行として、ガソリン価格に関するトリガー条項の取扱いについて一任を受けていると思います。早急に何らかの判断をしなければいけないと思うのですが、現時点の大臣のお考えをお聞かせください。
(答)一定の考えが現時点でございますけれども、与野党折衝がこれから更にございますので、そういったことを踏まえながら最終的に判断をしたいと思っております。
 ちなみに、トリガー条項が発動されて仮に1年続けば、最大1.8兆円かかると聞いております。いずれにしても、これから判断をしたいと思います。

(以上)