玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月5日

(平成23年4月5日(火) 10:11~10:35  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議でございますけれども、議論が1つございました。私は先週金曜日、震災後初めて原発事故が進行中の福島に入らせていただいたわけでありますけれども、他の閣僚から、やはり原発被災者に対しての生活支援、特に着の身着のまま避難したことに対して、スピーディーな一時金の支払いが必要であるという発言がございました。これについては、金曜日の段階で私から申し上げているところであります。
 
 同時に、原発被災者の方々についても、これは普通に考えればなかなか被災者生活再建支援法が適用されにくいわけですから、やはり同じように生活支援のため、例えば東電からの仮払い、あるいは国が立て替えることも含めて、最終的には東電がもちろん責任を負うことが必要だ、最終的にはというのは精算するという意味でありますけれども、そういうことで調整したいと金曜日に申し上げたわけであります。やはり宮城も岩手も福島の原発被災者も今、一刻も早い対応が必要なのは様々ありますが、やはり着の身着のまま避難された方々に対する一刻も早い一時金の支給だと私は認識をしておりまして、これは政調会長という立場で、金曜日の発言後、毎日精力的に調整をさせていただいております。一刻も早い対応をできるようにしたいと閣僚懇談会でも申し上げた次第でございます。
 あと2点申し上げたいと思います。一つは、一部新聞報道でございましたけれども、NPO税制であります。これは「新しい公共」担当あるいは政調会長という立場で申し上げますけれども、NPO税制を今国会に出させていただいているわけであります。つまりは寄附税制について、税制上の優遇措置を受けられる認定NPO法人の認定要件を緩和をするとか、所得控除のみならず税額控除を認め選択できるようにしていくという内容でありますけれども、これについては、今回の一次補正の時期に何らかの形で与野党で合意して成立をさせたいという思いでいることを申し上げたいと思います。
 これについては、党の「新しい公共」調査会あるいは部門からも強い要請をいただいていますし、与野党を超えた議員連盟でもそういう認識であると聞いているところでございます。
 さらに、最近、地球温暖化の問題での報道がございます。各省の調整を任されているのが国家戦略担当大臣でございますので、申し上げたいと思いますけれども、一部報道で、京都議定書の議論について、日本は除外してほしいと要請しているという報道がありましたが、少なくとも私自身は現時点でそのことを聞いておりません。まだそういう段階ではないだろうと考えております。
 これはエネルギー基本計画とも大いに関係する話でございますけれども、私は国会などでエネルギー基本計画の見直しは必至であると申し上げてまいりました。ポイントはやはり成長戦略の強化であり、同時に技術革新の前倒し、いわゆるイノベーションの前倒しにあると考えております。
 つまりは、技術革新、イノベーションの前倒しで再生可能エネルギーの割合をどの程度まで高め得るのか、短期と中長期に分けて考えないといけないと考えておりまして、今、議論になっているのは、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減ということでありますが、エネルギー基本計画における2030年に1990年比でエネルギー起源のCO2を30%程度削減も含めて、そういった技術革新の前倒しでどこまでできるのかということをしっかりと詰めていくことがこれからの議論のポイントに私はなるのではないかということだけ、冒頭申し上げておきたいと思います。
 それと、言うまでもないことですが、補正予算についてもそれぞれの震災関係の立法についても、特に今週、来週が大変大事な時期になると思っておりまして、しっかり政調会長としてそれらをまとめていきたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先ほどの2020年25%、2030年30%の件ですが、これ自体を見直す可能性があるという認識でおっしゃったということですか。
(答)今、2020年25%を始め、見直したいという意向、あるいは見直さざるを得ないという意向が伝えられていると聞いておりますが、まだ私自身はそのことを聞いていないということです。ただ、エネルギー基本計画は明らかに見直さざるを得ないと考えております。
 つまり、原発14基を新設するということは極めて考えにくいことでありますので、やはりポイントはイノベーションをどこまで進めることができるか。特に新エネルギーあるいは蓄電システムなどのいわゆる分散型の電源システムをどれだけ技術革新で強化できるのか。あるいは送配電の高度化についても、送電ロスが原発6基分ございます。こういったことに対してどれだけのR&Dを前倒しすることで対応できるのかしっかり議論して、国家戦略として改めて成長戦略を見直し、強化する中で、しっかりと位置づけていくことが大切だと考えております。その結果として、いわゆる地球温暖化の問題で一体どこまで積み上げることができるのか考えていかないといけないのではないかと思います。
 そのときに大事なことは、短期と中長期で分けることで、短期はやはり火力に頼らざるを得ないところがございます。これは現実も直視しなければなりません。
 一方で、2030年までに原発14基を新規建設するということが、これも現実的なのかどうかといえば現実的ではありません。
 したがって、地に足をつけながらも、日本人の環境技術、イノベーション能力というものを最大限発揮できるような環境をいかにつくり出すかというのがこれから国家戦略を考える上では極めて重要になると思っています。
(問)震災の特別立法ですけれども、中川正春国対副委員長の特別立法チームでまとめた原案には、財源としての復興税の創設や国債の日銀の引受けなどが盛り込まれていますけれども、これは党としてこういう考えを盛り込むお考えでしょうか。
(答)日銀引受けについて一言で申し上げれば、震災の後も国債は順調に消化されていると認識をしていますので、ここは現時点では慎重な検討が必要だろうと考えております。
 将来的な税については与野党で話し合っていく必要がありますが、現時点で具体的に増税を考えているわけではございません。
(問)今、与野党というお言葉がありましたが、震災とは直接的には関係ないかもしれませんが、大連立についてお伺いします。昨日、谷垣総裁が解散最優先としてきたけれども、これからは少し変えると発言しました。総裁経験者からも前向きな発言が出ていますが、改めて大連立についての御認識をお伺いします。
(答)私はこのことに関しては一貫しておりまして、震災前から、今年正月早々から強い政権が必要であると申し上げてきました。強い政権基盤が必要であるということがその主な理由の一つだったわけであります。
 そういう意味で、大連立ももちろん選択肢の一つでございますし、今、日本の国を取り巻く状況を考えたときに、与党も野党もないのではないかというのが私の認識でございます。
(問)閣僚を3人増やすという法律案が正式に野党に提示されましたが、その3人の中に野党からの入閣があるべきかどうか、それについてどうお考えですか。
(答)それについては、やはり総理がお決めになることだろうと思います。ただ、一次補正について、先般も震災の応急措置、復旧、そして復興、あるいは原発事故に対する対応について、自民党の谷垣総裁、石破政調会長から官邸で要請を受け、意見交換をいたしました。今日も公明党とも意見交換をさせていただくことになりますけれども、やはり共に創り上げていくという感覚が必要であると思います。
(問)科学技術について伺います。第4期の科学技術基本計画が再検討ということになりましたが、この見直しについていつまでにどのようにしていったらいいのか、大臣の御所見をお伺いします。
(答)第4期科学技術基本計画について、原子力に関する記述があります。したがって、これも見直し必至にならざるを得ないわけですが、これについては、もちろん先ずは原発事故の収束が大事なので、原発事故の収束を見つつ、しかし、同時に先ほど申し上げたようなエネルギー基本計画の見直し、あるいは国家戦略とも極めて密接に絡むと考えております。
 つまりは、先ほど技術革新の前倒しが必要である、R&Dが必要であるということです。例えば、実用化一歩手前まで来ているものをどう後押しするかとか、様々なテーマがございます。ですから、やはり科学技術基本計画の中でのいわゆる重心の置き方というか、メリハリをより付けていくということにならざるを得ないし、なるべきだと考えております。
(問)高木文科大臣が国の研究開発投資をGDP1%、5年間で25兆円とする目標について、これを堅持していきたいということを先週金曜日の閣議後の会見でおっしゃったのですが、玄葉大臣はその辺についてどのようにお考えですか。
(答)科学技術基本計画に示された額そのものについて見直すというよりは、中身を見直すことが大事で、これからの日本の中長期も含めた戦略を考えたときに、先ほどから何回も申し上げておりますけれども、科学技術、特にR&Dについては極めて大事です。ある方が、科学は個人戦である、技術は団体戦である、イノベーションはいわば総力戦であるということをおっしゃいましたけれども、私は全くそのとおりだと思っておりまして、むしろこういうときこそ科学技術の力が発揮されないと、これは東日本の復興のみならず、日本全体の再生につながらないというのが私の考え方です。
(問)一次補正についてですけれども、今月中にと総理もおっしゃっていますけれども、その規模と財源をどこから手当てするかについてお願いします。
(答)まず今週中に我が党、民主党の中で一次補正をまとめたいと考えております。その後、与野党で調整をすることになろうと思います。それは来週からは表で調整しなければならないというのが私の認識でございます。
 財源は、本日の党の復旧・復興検討委員会で素案が示されてから本格的な議論に入ります。内々の検討は当然調査会の会長、部門の座長が始めているところでございますけれども、一つは歳出の見直しで、これは震災を受けて柔軟な対応が必要であるということを踏まえて、歳出の見直しを行うということでございます。歳出の見直しについては、すべてを一次補正の財源にするかというと、一次補正から歳出の見直しによる財源は使いたいと考えておりますけれども、すべてとなるかはまだ議論する必要があります。
 二次補正、あるいは三次補正、場合によっては四次補正まで考え得る中で、それぞれ歳出の見直しによる財源を考えていくということも一つの考え方でありますが、一次補正から歳出の見直しによる財源も使っていくことは私は必要であると認識をしていますし、やはり足らなければそれは国債発行を含めて検討しなければいけないということになります。
 規模感は、今、申し上げる段階ではないと思いますが、私自身の認識では、巷間言われている額よりは大きくなるのではないかと思っています。
(問)今後の復興のあり方についてですが、実際に党あるいは政府の中でどこがどういう形で担っていくのか、あるいは復興のビジョンについてまだ党内でさまざまな議論がなされているわけですけれども、大臣も福島の地を新しいエネルギーの基地にしてはどうかというようなアイデアもおっしゃっていまして、具体的に今後どこが中心になって担っていくのか、あるいは、先日も総理が、高台へ住むことなどいろいろなアイデアを出されていたようですが、どういうものが考えられ得るのか、国家戦略に絡めてお考えがあればお聞かせ下さい。
(答)率直に申し上げると、国家戦略とも絡むものですから、私から国家戦略室に内々に検討を指示してきたことは事実でございます。だからといって、私が担うというわけでは決してございませんけれども、復興構想会議を設けると総理はおっしゃったわけであります。当然、地元の意見をきちんと取り入れることは言うまでもありません。特に所有権の問題が絡みますし、また地方分権、地域主権のこともございます。
 それらを踏まえた上で、やはり復興構想会議でしっかりとした議論をすることが当然大事になりますし、そこをしっかりと担当する大臣が必要なのではないかと私自身認識を持っております。
 今回の難しさは、言うまでもないことですが、二正面作戦を強いられていることです。規模も阪神・淡路大震災の数倍の震災であり、原発事故は進行中です。プラントの対応も極めて大切だし、同時に住民の安全も極めて大切であるという状況の中で、どういうスピード感で対応するかということも考えると、どうしても岩手、宮城の復興と福島の復興というのは少し次元の違う対応が必要にならざるを得ません。少しというか別次現にならざるを得ないわけで、私の認識では、その復興構想会議で全体をくくって、福島も例えば津波でやられ、地震でやられという地域がありますから、それは同じくくりで議論しなければいけませんが、一方で放射能の問題がございますので、やはり福島に関してはそういった一種特別の会議体のようなものを復興構想会議の下に設ける必要があるのではないかと思います。そうでないと、復興プランがしっかりとしたものになりにくいと考えております。
(問)大連立について、自民党内でもいろいろな意見がありまして、積極的なものもあれば、条件として菅総理の退陣ということを言う人もいるようです。率直にお伺いしますが、これは飲める話なのでしょうか。
(答)原発事故が進行中で、この危機管理を今まさに行っているという状況の中、トップを含めて官邸ががらりと変わるというようなことは考えにくいのではないか、また考えるべきではないと思います。
(問)昨日、福島第一原発で汚染水を海へ放出しました。そのことにつきまして大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)私なりにプラントの方もこの間非常に注視をしてまいりましたけれども、プラントの方の情報発信は、やはり官房長官に一元化する方が政府全体として適切であると考えておりますので、これは官房長官にお聞きをいただいたほうがいいと思います。

(以上)