玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年3月25日

(平成23年3月25日(金) 9:47~10:04  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議については、特にご報告することはございません。
 閣議の前には電力需給緊急対策本部がございました。緊急措置としての計画停電について改善を加えていくということでございました。私も、この場で、現在の緊急的な計画停電のあり方については、検討が必要であると申し上げた経緯がございます。現在、党でも具体的でかつ前向きな建設的な提案をしてほしいとお願いしているところでございます。
 福島の原発で900万キロワット、近くにある広野の火力も合わせると1,000万キロワットの電力供給だったわけでございます。このままいくと、かなり節電しても夏は1,000万キロワット足りないということであります。一方、日本経済のリスクを考えれば、電力の需給について、この調整を上手にやらないといけないので、その場では、特に生産面に対して、よくよく配慮するべきだという話をいたしました。
 特に大事なのは、夏のそれぞれの生産ラインの休暇の取り方については、極めて重要な論点になると思うので、産業界と密接に連携をとって十分な話し合いをしてほしいと私から申し上げました。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今日で震災から約2週間経ちますが、その間の政府の対応、大臣御自身の対応を含めて、どのように評価されるか、総括されるか、感想をお聞かせください。
(答)今回のマグニチュード9.0の大地震、そして大津波、原発事故、これは人類史上例のない事態だと私は認識をしています。
 そういう中で、官邸を中心に対応しているわけでありますけれども、私は精いっぱい死力を尽くした対応をしていると認識をしています。
 私自身は、この二正面作戦、つまりは震災に対する対応と原発事故に対する対応という2つの対応が必要であること、そして同時に、原発についても実は2つあって、事故をこれ以上悪化させないというテーマと、もう一つは放射能の問題、つまり住民の安全を守るという対応、この2つがあるのだと思います。
 それらについて、しっかりと整理をしながら対応していく必要があると思います。どうしてもエアポケットになりがちなところがあり、それについて、私は内閣の一員として、その部分について具体的な意見を申し上げたり、提言をしてきたところでございます。
 私は日本全体を見なければならない立場で行動してきたつもりでありますけれども、先般頂いた質問の中に私が被災地出身である旨触れられているものがございました。私自身、今回の被災者の皆さんの切なさ、苦しみ、怒り、憤りを全身で受け止めて、私なりにできることを、防災ラインに入っているわけではありませんけれども、精いっぱいやってきたつもりであります。
 この震災は二正面作戦なので、特に難しい側面がございます。原発事故は進行中でありますので、何とか震災による被災者支援が、十分充実とまではいかないまでも、対応がスムーズになりつつある中で、原発事故に対する対応に予断を許さぬ状況が続いていますから、万全を期せるようにフォローしつつ、また、住民の安全に対して、しっかりと対応できるようにしていくことが大事であります。そして、そういった対応をしながら応急の措置、次に、復旧、復興、振興と、最終的には、どこかのタイミングで「不屈の日本」というメッセージを世界に発信しないといけないと思っているところでございます。
(問)原発事故ですが、現在、半径20キロから30キロ圏内の方々は屋内に退避が強いられています。昨日、官房長官が避難エリアをもっと広げるようなニュアンスの発言をされたのですが、まさに大臣がおっしゃられた地元のお話になります。現在の範囲というのは、適切かどうか、あるいは、もっと広げるべきか、その辺についてお聞かせください。
(答)現在の範囲は、国際放射線防護委員会の定める国際的な基準の下で設定されているものと理解しているところでございます。
 先ほど申し上げたように、原発事故対応にも2つあって、事故の悪化を食い止めるということと、住民の安全を守ることがあります。
 その上で、大事なことは、よく住民の皆さんと話し合うことだと思います。同時に、科学的知見に基づいて、現在の放射線量が人体にどのくらい影響があるのか、そして心理的な問題に対応することが大切だと思います。もっと言えば、残念ながら半径20キロから30キロ圏内については、物資が運びにくいという現状があると思います。
 私は、ご存じのように地元出身でありますので、かなりいろんな情報が入ってまいります。現状は、例えば、南の方の広野町は、ほとんどと言っていいほど人はいらっしゃいません。現状での問題は、南相馬市において屋内退避の方が多くいらっしゃると考えて、ほぼ間違いないというところです。
 南相馬市も、御自分で避難したいという方については、バスで避難をさせたという実態がございます。県の考えもあるでしょう。住民の思いもあるでしょう。一方で、科学的知見もあるでしょう。そういったことをきちっと踏まえながら対応することが大切だと思います。
(問)復興の話に絡んでですが、与党内などで、いわゆる復興庁を新設すべきだという意見がありますけれども、その点について、組織づくりを大臣は、どのようにお考えでしょうか。
(答)いずれにしても、新しい体制が必要になることは間違いないと考えております。それが復興庁という名称なのかどうかということが一つございます。
 また、体制のあり方論についても、例えば、総理を本部長とするような、そういった内閣全体にぶら下がる体制のものなのか、それとも一つの省庁なのか、いくつか考え方があるように思いますが、まだそこは政府としても定まっていないはずでありますし、党としても正式に定まっていないと思います。もう少し検討の必要があるのではないかと思います。
 ただ、日本全体の英知を集める必要があります。同時に、これは東日本全体の復興のみならず、日本全体をどうするかということに深く関わるものだと思っていまして、大事なことは、当面の被災者の皆さんの生活の糧、雇用をどうするか、また、災害に対する強さというものをどう考えるか、さらには、将来に向かっての希望をしっかり打ち出せるような、現実に打ち出すだけではなく、実行し実現できるような体制を考えていかないといけないのではないかと考えております。
(問)今後の復旧・復興に向けて、野田財務大臣が4月に復旧のための補正予算を提出するという話をしているのですが、大臣の現時点での今後の補正に向けた考え方、メニューなど、アイディアがあればお聞かせください。
(答)以前、補正は最終的に2回では足りないではないかと申し上げました。その考えは今も変わっておりません。
 ただ、仮設住宅や瓦れきの処理など、まだ規模感は率直に言って申し上げられる段階ではありませんけれども、できれば、やはり連休前に出せるのがよいのではないかと考えておりますし、ぜひとも、これは野党の皆さんにも理解を求めながら作り上げることが望ましいと思います。
(問)地震と原発事故から2週間経って、東京電力の対応で、清水社長がほとんど公の場に姿を見せていないということに批判が集まっております。この清水社長の対応について、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)東電、そして国一体となった体制が必要だと思います。
 私は、今、東電を批判することよりも、大切なことは、現場の作業員を励ますことだと思っております。昨日も被ばくの事故がありましたけれども、正に日本全体のために、彼らは決死の覚悟で頑張ってくれている。彼らに日本の命運がかかっていると申し上げても過言ではない時であります。
 沢山の人数を確保できるわけでもございません。今、私はそういう皆さんを日本国民全員で激励し後押ししていくことが一番大切なことだと考えております。
(問)補正の話に戻りますが、これまで民主党の政調で作って、国民新党の意見を聞いたりしていましたけれども、その辺、もっと柔軟的に野党の考えを取り入れながら作っていくということもありますか。
(答)私は今回はそれが望ましいと思います。もちろん民主党が、当然、政府とともに原案を作る。この原則は基本だと、あくまでそう思っておりますけれども、特に、応急措置でありますから、やはり野党の皆さんにも十二分に理解が得られるようなものに、基本的になるだろうし、ただ、一方で今後のことを考えれば、できるだけ意思疎通をしながら補正予算を作るということが大切ではないかと考えております。
(問)日本には、JCOの経験とか、科学的な知見を持っている研究者が沢山いますが、今、専門家の情報を結集する仕組みというのは、十分だと思われますか。
(答)私の知る限りでは、原子力安全・保安院と原子力安全委員会が、今、事に当たっています。原子力安全委員会は助言をする立場で、5人の委員がいて、100人の事務局スタッフがいて、さらに40人の専門家のスタッフが原子力安全委員会に助言するという状況下で、恐らく初動がスタートしたと私は理解をしています。
 その後、その体制を強化することになったと理解をしておりまして、現在は民間の専門家たちが中枢に入り、研究者たちも入り、それぞれの対応について考えてくれていると理解をしているところでございます。
 最初は、いわゆる国力を挙げて専門家の知見が結集された状況だったかといえば、それはよくわかりませんけれども、現時点ではそうなっているのではないかと理解をしています。

(以上)