玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年3月18日

(平成23年3月18日(金) 11:25~11:44  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。ちょうど1週間前の14時46分、1000年に1回とも言われる大震災が東北地方を中心に起きて、この1週間それぞれ死力を尽くして懸命に努力をしているところでございます。
 今回、特に震災について、被災者生活支援ということで体制が強化されたことは大変よかったと思っておりまして、私にも官房長官から相談があって、国家戦略担当の平野副大臣を被災者生活支援特別対策本部の事務局長にお願いしたいという話がございましたので、しっかり被災者生活支援、実態もよく御存じですし、岩手の現地にずっと張りついておられましたので、仙谷新官房副長官とともにとてもいいではないかということで、私も昨日申し上げたところでございます。原発に対する対応と、避難所に水もなかなか来ないとか、食糧も来ない、燃料も来ないといった本当に困り果てておられる方々に対して、できる限りのことを尽くせる体制が強化されたことについてよかったと思っています。
 阪神・淡路大震災のときは、断層の破壊は全体で確か40キロだったのに対して、今回は600キロです。しかも御存じのように、マグニチュードが9.0ということで、まさに阪神・淡路大震災の教訓も十分活用しつつも、またそれを超えた体制・対応を考えていかないといけない事態だと考えております。
 同時に、原発の問題は事態が進行中であり、この2つにしっかり対応していかければならないということで、2つのラインがしっかりできたということは、大変良かったと考えております。
 引き続き、それぞれ2つの大きな事態に対して、私はラインの中に入っているわけではありませんけれども、私ででき得るすべての力を発揮してサポートしたい、尽力したいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日の閣議または閣僚懇談会で、総理からはどのような言葉があったのでしょうか。
(答)特に、皆様に申し上げるべきお話はなかったように思います。とにかく震災から1週間なので、みんなで頑張ろうということだったと思います。
(問)被災者の支援や復旧・復興のために、大臣の所管する分野で、今、力を入れている部分はどこでしょうか。
(答)緊急災害対策本部が毎日開かれているわけですけれども、その中で、私なりに意見をしっかり申し上げていますが、それぞれラインの中の方々は、かなりの仕事量になっているものですから、仕事量が多い方にあまり迷惑をかけないようにしています。例えば、道路の状態が悪くて物資をなかなか運べないという状況だとすると、国土交通大臣と話をして、でき得る対応をするなどしています。ただ、全体のプライオリティーの判断は、もちろん総理が全体の中で下していますけれども、私でフォローアップできるところを精一杯やらせていただいているという状況でございます。
(問)大臣はラインの中ではないかと思いますけれども、福島県の選出であり、原発から30キロ圏内にある田村市が地元であって、御家族もまだ地元にいらっしゃるという立場で、被災地福島に向けてメッセージなり、あるいは、思いがあれば一言いただければと思います。
(答)原発については、あくまで情報は官房長官、海江田経済産業大臣に一元化をしているわけで、私としては、それ以上のことはやはり言うべきではないと思っております。
 ただ、何とかこの事態解決のために私も死力を尽くす。これからもそういうことであります。
 福島県だけが被災をしたわけではありません。岩手県、宮城県も大きな被害を被っているわけですから、全体的な観点の中で、でき得ることを精一杯やらせていただくということだと思います。
 地元の皆さんの不安を、さまざまな悲しみも含めて共有しながら、しかし、必ずそれぞれの地域の皆さんのために命を守れるよう、あるいは、健康被害も少なくできるように、精一杯の努力をしているということでございます。
 ただ、それは、福島県に限らないことだということも付け加えたいと思います。
(問)昨日から、みずほ銀行のATMが全部停止するという事態が起きておりまして、今回の停電や節電と関係があるかどうかはまだ不明な点があるのですけれども、三連休の間もATMが復旧しないであろうという予測報道があります。そうなると、経済的な混乱も考えられますが、そのあたり震災で経済の復興というのも結構言われている中で、どういう受け止めをされているか、お考えをいただけますか。
(答)そうですね。みずほ銀行にはしっかりしてほしいという思いは、率直に言ってございます。
 ただ、これは金融庁を中心に当然必要な対応はとられるだろうと思います。
 今回、為替の協調介入もございましたけれども、こういった震災後の財政金融リスクにしっかりと日本国が、政府が対応できるように、私も努力したいと考えております。
 また、これは私の地元に限らずでありますけれども、実際に被災された方々、あるいは、原発で不安になっておられる方々は本当に大変だと思います。私も全力を尽くして、死力を尽くして頑張るので、皆さんも何とか頑張ってほしいということを改めて申し上げたいと思います。
(問)冒頭、大臣がおっしゃったとおり、地震が起こってから1週間経ちますが、この間の総理、あるいは、首相官邸の対応を振り返って、どのようにご覧になったか評価をお願いします。
(答)先ほども申し上げましたけれども、結局、過去に前例がない大地震であり、しかも原発事故が進行しています。普通、新たな大地震がさらに発生したとかということでなければ、震災は少しずつ収束に向かうわけです。しかし、そういった2つのことに同時対応するということに、今回の困難さというのが私はあったと思います。
 そんな中では、いろいろなお気持ちを持つ方はいらっしゃるかもしれませんけど、私は官邸はよく頑張っていると考えております。
 さらに、そういう中でラインを2つに今回分けました。私もそういう意見を申し上げてきた1人なものですから、非常によかったと思います。もっとさまざまな方をフル活用できるような体制が更に望ましいと思っているところがありまして、今回、まだ正式に発表していないかもしれませんが、民主党の中にも復興委員会ができて、例えば、政策調査会に入っているメンバーなども、でき得る限りフル活用するようにしますし、すべての議員がそうやってこの大地震に対してしっかり向き合って全力を注げるような体制をつくっていくことが大事ではないかと思います。
 ただ、初動というのは、たくさんの人が一気に関与しても仕方がありません。「船頭多くして」という話になってしまいます。今回の場合は2つの大きな事態があり、そういった事態に対して、私は官邸はよく頑張っていると思っています。
(問)冒頭でも阪神・淡路大震災を超えたような事態だと表現されていますけれども、震災復興に巨額の費用が見込まれるのは確実の中、マニフェストの政策をいかに実現するかというジレンマに今はあるかなと思いますが、どちらを優先すべきか、その辺の見合いをどうお考えでしょうか。つまり、マニフェストの全面撤回とは言いませんけれども、どこまでマニフェストに固執すべきかということについて、いかがお考えでしょうか。
(答)まず、予算案は一刻も早く通していただきたいという思いです。その後、与野党でさまざまな話し合いがあるだろうし、私はなされてしかるべきだと思います。
 そして、今回、被災された地域は先ほど申し上げたように約600キロ、たしか人口で260万人くらいだと思います。そういった地域に対して、やはり全国民が一体となって支援するということがなければ、予算上もいけないのではないかという認識を私自身は持っております。そういう気持ちの中で、与野党の話し合いに臨まなければいけないと思います。
(問)今、大臣が、すべての議員が望ましいとおっしゃいましたが、確認ですが、すべてというのは民主党の議員のことですか。
(答)先ほどの復興委員会については、民主党の話であります。
 ただ、この震災に対しては、与野党の枠を超えて対応していく必要も同時にあると思います。与党も野党もないというところも大いにあるのではないかと考えております。
(問)その復興委員会はいつごろ立ち上げますか。
(答)党の中に、いわゆる今後の緊急立法をどうするかとか、そういった対策をつくる復興委員会を立ち上げるということです。
(問)政調の下部組織という理解でよろしいですか。
(答)多分、岡田幹事長がトップになる組織だと思います。まだ案の段階ですけれども。
(問)それから、先ほどの、全国民が一体となって支援することが、予算上もそういうふうにしなければいけないとの話がありましたが、要するに一体となって、子ども手当とか、高校無償化とか、高速道路とか、今まで恩恵を受けていた人たちも、それを受けなくてもいいという気持ちにならなければいけないということですか。つまりマニフェストを撤回してでも財源を確保すべきだということですか。
(答)今、具体的に言及することは、私も政府の一員なので避けなければならないと思っています。まず、予算案を通して、その後、本来まずは政党、政治家、公務員かもしれませんが、全国民が痛みを分かち合いながら、また全国民が支えていくというような、これは増税ということではありませんけれども、そういう体制、考え方の中で物事を進めていくというのが、私はあり様ではないかなと考えているということです。
(問)今、増税と言われましたが、いわゆる消費税を上げて、復興目的消費税というようなことを谷垣自民党総裁とかも言われて、昨日も古本議員が記者団に語っていますけれども、この考え方については、どう思われますか。
(答)私は増税ということは基本的には考えていません。
 ただ、まずは予算案を通す。通した後のことについて、やはり財政が制約になってはいけないとは思っております。
 つまり、全く前例のない出来事に対して、財政があまりに制約になって、被災地の復興・復旧ができないということになってはいけないという思いです。
(問)将来的にはどうしても足りない場合は、やむを得ない場合もあり得るということですか。
(答)ですから、先ほど申し上げたように、増税は基本的に私の頭の中には少なくとも今あるわけではありません。

(以上)