玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月18日

(平成23年2月18日(金) 10:32~10:56  於:内閣府本府5階522記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議については、私から皆様に御報告するようなことは特にはございませんでした。

2.質疑応答

(問)昨日、民主党所属の衆院議員16人が会派を離脱して新しい会派をつくりたいという表明をしているわけですけれども、こうした動きについて、まず大臣の御所見をお伺いします。
(答)真っ先に思うのは、統一地方選挙で民主党の旗を掲げて戦っている候補予定者の皆さんのことを考えて行動してほしいという思いがまず一つあります。
 それともう一つは、極めて大事な予算案、そして予算関連法案を審議中のこの時期でありますので、やはり与党としての自覚に期待をしたいと考えております。
(問)関連して、この16人は予算案及び関連法案に対して造反することもほのめかしておりまして、「3分の2」での予算関連法案の再可決は厳しい状況になっているのですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)もともと、「3分の2」ということに対してどのように向き合うかということがまずあると思いますけれども、いずれにしても大切なことは、他党に対して国民生活が深刻な打撃を受けることのないように地道に働きかけをしていくことが極めて重要だと考えております。
(問)今の件に関連してですけれども、この16人はマニフェストの見直しについて反発しているという主張もありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
(答)マニフェストの見直しということが真の理由なのであれば、なぜ今なのか、なぜこの時期なのかということではないかと思います。
 そういう理由であれば、予算案を作成する段階、あるいはマニフェストの検証を終えた段階、そういう時期であるべきだし、あるはずだろうと私などは推測をしますので、それが真の理由ではないのではないかと考えております。
(問)となれば、真の理由というのは何だと今、大臣はお考えですか。
(答)それは御想像にお任せいたします。
(問)小沢元代表の処遇についての反発ではないかと思いますか。
(答)そのようなことが考えられるのではないかとは思います。党内が最もまとまらなければならないこの時期にそのような行動に出るというのは非常に残念なことだと思います。
(問)昨日、国際宇宙ステーションの将来的な船長に若田光一さんが決まりまして、まずこれの受け止めと、特に今後の日本の有人宇宙船開発等について重要なきっかけを与えてくれる出来事だと思うのですけれども、この機会をどう利用していこうと今お考えですか。
(答)若田さんのいわば船長就任というか、コマンダー就任についてということでありますけれども、非常にうれしいニュースだと思います。
 自分も国家戦略担当大臣という立場で宇宙開発担当を兼ねることになりまして、改めて、先般もJAXAなどを視察しながら、宇宙開発とか科学技術というのは国家戦略という位置づけがやはり適切であると考えているところでございます。
 特に、「こうのとり」あるいはISSへの貢献などが今回のことにつながった側面もあるでしょうし、何より御本人の御努力、能力、そういったものが評価されたと思います。
 大切なのは、宇宙という大テーマ、しかも夢とか希望を与えるこの大テーマについて、日本政府としてどういう体制をつくるのかについての方向性がまだ明確に定まっているという状況ではないということです。それは私自身が就任して、これまでのレビューをさせていただいてそう感じました。
 したがって、この宇宙に対する取り組み方の特に体制についてきちんと方向性を出すことがまず求められていると思います。その中から、今、おっしゃったような有人宇宙船開発の問題も含めて、優先順位をきちんとつけていかないといけないのではないかと。もちろん、予算は限りがありますので、そのようなことも含めてしっかりと検討していく体制そのものを構築していきたいと思っております。
(問)社民党との協議ですけれども、政策面での一致は非常に難しいと思いますが、交渉はもう打ち切りというか、断念という形になるのでしょうか。
 それと併せて、16人が会派離脱をしまして、「3分の2」も非常に厳しい状況になりまして、それもあわせてやはり社民党との協議というのは困難だというふうな認識でいらっしゃいますでしょうか。
(答)社民党に限らず、それぞれの政党に対して地道に粘り強く事に当たっていくことが大切なことだと思います。大事なのはこれからだという認識です。
(問)先ほどの宇宙の質問に関連してですが、今、議論の最中ですけれども、宇宙庁構想がありますが、改めて大臣のお気持ちとかお考えを伺えますでしょうか。
(答)この宇宙庁構想というのは大きな構想ですね。ですから、今、軽々に宇宙庁構想をやるということをこの段階で申し上げることはできません。
 ただ、そういったことも含めて、体制問題の中で検討していかなくてはいけないと考えているところでございます。宇宙庁にするというのは一つのあり方だと思います。
(問)16人のことですけれども、小沢元代表側がある種倒閣も狙っているのではないかという見方も一部出ていると思いますが、倒閣云々の見方についてはどのようにお考えですか。
(答)小沢元代表のお考えについては直接聞いているわけでもありませんし、あくまで憶測でしょうから、私がこの場でコメントをすることは差し控えたほうがよいのかなと思います。
 ただ、一般論で申し上げれば、やはり総理大臣がくるくる替わるというのは、本当に日本の政治を悪くしていると思っていまして、それによって国民の皆さんの期待に応えられないような政治になってしまって、結果として不幸になってしまうということになりますので、しっかり落ちついて、困難な課題に正面から取り組めるような強力な政権というのを築かなければいけないし、またそうありたいものだと思っております。
(問)実際、「3分の2」の再可決ができなかったりすると、政権が行き詰まるのではないかという現実味を帯びてきていると思いますが、その辺はいかがですか。
(答)それは、先ほどから申し上げておりますけれども、地道に他党に対して精いっぱいの働きかけをしていくことに現時点では尽きていると思います。
(問)総理の退陣を引きかえに予算関連法案なりを成立させたらいいというような声もじわじわ出てきているのですけれども、そのような声に対してはどうお考えですか。
(答)今はとにかくそのようなことは全く考えておりませんし、考える必要もないだろうと思っていまして、今この段階でやるべきことは、国民の生活が深刻な打撃を受けることがないように、地道に、しかも熱心に働きかけていくということに尽きるのではないかと思います。
(問)改めてお伺いしますけれども、16人の話、社民党の話、いろいろありまして、大臣はかねがね予算関連法案は厳しいというお立場、認識を示されていましたけれども、改めて現状をどう捉えていますでしょうか。
(答)予算関連法案の見通しはもちろん厳しいと思っています。ですから、先ほどより申し上げておりますように、着実にというよりも、粘り強く事に当たっていかないといけないと思います。
(問)名古屋の河村市長や大阪の橋下知事など、地域政党がはやっているというか、勢いを増しています。この地域政党に乗る形というか、連携する形で、原口前総務大臣も佐賀維新の会とか、日本維新の会とか言っているわけですけれども、こういった地域政党に対しての所感を伺いたいのが一つ。
 あと、原口前総務大臣は、論文で、菅政権の批判というか、打倒・菅内閣のようなことを言っているようですけれども、原口前総務大臣への所感もお願いします。
(答)地域政党については、私は冷静に判断していく必要があると思います。評価をするとすれば、5年後、10年後になるのではないかと考えております。
 ポピュリズムに陥らないということが私は今の日本の政治のあり方においては極めて大切なことだと考えております。
 後者についてはよく知りませんので、コメントは控えたいと思います。
(問)先日、TPPについて、国家戦略室のほうにどんな情報をどんな場所に出せるのかを検討するように指示されたということでしたが、「どんな情報」という部分で、例えば今、考えられるメニューとしてはどのようなものがあるのか、あるいは、情報が伝わることで地方のほうで、民主党議員が混乱しているという状況に歯止めがかかるのかということについて、お考えをお聞かせください。
(答)まず2月26日から開国フォーラムを開催いたします。そのときに配らせていただく資料などはやはり自治体などにも配付をさせていただくのが適当ではないかと私自身は思っておりますが、今、国家戦略室の中で私の指示の下でどのような資料を配ったらよいのかということについて検討中です。先般、中間報告にも来てくれました。
 もとより、若干誤解があるのは、あのフォーラムについては、包括的経済連携に関する基本方針についての説明を行うということです。TPPそのものというよりは、包括的経済連携、つまりはより開国をする必要性、同時に農業強化の必要性についての説明、そしてお話をしっかりと伺うというフォーラムです。
 ですから、TPPについては情報収集を行って協議をすることになっていますから、そこで得られた情報について、特に外交関係上出せないものもありますけれども、出せるものについてはでき得る限り、そのようなフォーラムにおいてもしっかり情報提供をしていくことになると思いますし、自治体に対してもそういうことをさせていただきたいと考えております。
(問)その情報があれば地方に混乱が起こらないとお考えですか。
(答)混乱という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、大いに議論はあって良いのではないでしょうか。この国のあるべき姿、地域のあるべき姿、私たちの暮らしはどうなっていくのかということについて、それぞれの議論が当然存在するわけでありますから、できる限りその議論が有意義なものになるように、正しい情報を基にした議論にしていくということが大切なのではないかと思います。
 そういった大きなテーマを議論するときに、すべて静かに物事が決まっていくという国家というのは、あまり私は耳にいたしませんので、それをもって混乱とか、そういった決めつけと言ったら失礼かもしれませんけれども、混乱とか、そういう言葉はあまり適切ではないのではないかと思います。大いに議論があったほうがいいと思います。
(問)今の話に関連しますけれども、明日、全国の政策責任者を集めて会合をやる中で、当然マニフェストの見直しであるとか、選挙に向けた政策についての異論、反論が出てくると思いますが、そこに対してはどのように説得、働きかけていくおつもりですか。
(答)既に党大会の前に各都道府県連の幹事長あるいは政調会長、代議員の皆さんと相当の時間にわたって議論をさせていただいております。その上で党大会で承認をされたわけであります。
 もちろんさまざまな御意見は伺いますけれども、今回は特に、民主党の基本的な考え方について改めて、資料をもってわかりやすくお伝えすることが主目的でございます。それを各政調会長が持ち帰って、また地域の皆様にできる限りわかりやすく伝えていただくということにしたいと思います。
(問)地方からの厳しい声というのは今のところはあまり想定してはいない感じでしょうか。
(答)もちろん、いろいろな意見は当然出るだろうと思いますし、出てしかるべきだと思います。
 ただ、責任ある政治とは何なのかということを正面から議論できたら一番いいなと思います。マニフェスト原理主義ともいうべき方々から具体的な財源論を聞いたことは私は一度もございませんので、環境、状況の変化に応じて一定の幅で検証し、見直すべきは見直すというのは私は本来政治のあるべき姿だと確信をしています。
(問)「新しい公共」についてお伺いいたします。
 「新しい公共」で、各府省の予算の単純合計額が2,092億円というプロジェクトになっておりますが、そちらの内訳等というのが国民の皆様に必ずしも知れ渡っていない状況だと思いますけれども、広報としての御活動として、今後どのように国民の皆様に御周知されていくのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
(答)「新しい公共」について力を注いできました。おっしゃるように、予算もつけましたし、同時に、一番大きいのは、税法、そして認定基準の見直しであります。
 これまで寄附税制において認定NPO法人というのが180団体強しかなかったわけでありますけれども、今後はその認定基準を変えて大幅に拡大をして、3,000円以上の寄附者を100人集めたら認定NPOになれるようにします。つまりは寄附の優遇税制を受けられることになるわけであります。しかも、その寄附の優遇税制でありますけれども、今回の税法が通れば、所得控除のみならず税額控除を選択できるというふうになるわけです。それが一つ。
 もう一つは、現在、各都道府県の配分額が決まるという状況でありますけれども、補正予算でつけた「新しい公共」予算は、各都道府県で平均すれば恐らく一億数千万円くらいになるのではないかと思います。NPO法人などが多い都道府県はどうしても多くなると思いますけれども、そのような予算を活用して、それぞれの地域で市民の皆さんが、特に地域に合うような「新しい公共」の推進に向けた活動ができるような予算の使い方をしていただくことになっていまして、周知徹底を今図っているところであります。その他の予算については、どのように広報するかについて少し検討してみたいと思います。
(問)今日の閣僚懇で、16人の件を受けて、総理から今後の予算関連法案とか政権運営について、何かお話、指示のようなものがありましたら教えてください。
(答)特にありませんでした。

(以上)