末松内閣府副大臣記者会見要旨 平成22年10月27日

(平成22年10月27日(水) 16:31~16:56  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 どうもこんにちは。
 懇談会は、いろいろとありがとうございました。大変皆様から学びをいただいたと思っております。
 まず、この前懇談会でも出ましたJAS法の違反に対しての公表のあり方、これを今日大臣にも御報告をいたしまして、それで消費者庁としてどういう形でやっていくかという話をさせていただきました。もちろん、これにつきましては、農水省が策定した指示・公表の指針に基づいて厳格な執行を今実施をしているんですけれども、この中で95%が、816件のうち777件が未公表だという話について、消費者庁としても、消費者の立場からしっかりとフォローしていかなきゃいけない、そういうことでございますので、まずは消費者庁として、その違反を犯した業者に対して適切な是正措置を求めると、そして、これに従わない事業者に対しては指示・公表を行っていくということをやるということを決めたところでございます。また、都道府県においても同様の取組みが行われるように、農水省とともに通知文書を早急に発出する準備を今進めているところでございます。
 それと777件という、こういった公表されなかったことそのものの情報についても、消費者庁がしっかりと関与できるように農水省と情報を共有していくということで、農水省のほうに協力を求めたところでございます。そして私どもは、農水省は生産者、消費者ともに考えると思いますけれども、私どものほうはもっと消費者サイドに立った形で、消費者が不利益を受けないように、しっかりと対応していきたいと思っております。
 私のほうから、今日、筒井副大臣にお話し、協力を求めました。近々に事務方でこの詰めの作業が出てくると思っております。
 それからもう1点、「クレジットカードの現金化」について、これについても大臣とお話をいたしました。これは先週の会見でも御質問があったところでございます。これは岡崎大臣もおっしゃっておられますけれども、消費者、特に多重債務者が換金目的でクレジットカードのショッピング枠を利用するということは、結局は債務返済能力を超える債務を増大させる可能性が高い上に、クレジットカード会員規約に違反する行為であるということから、その利用をとめるよう消費者に対して幅広く求めていきたいと思っております。
 具体的にはポスターとかチラシを作成して、年末年始までに関係機関に通知して広く配布をしていきたいと思っております。詳細は事務方に詰めさせておりますし、また関係機関との調整が整い次第、また皆様に御報告をいたしたいと思っております。
 それから、今資料で皆様のほうにこの関係でお配りをしています。こういう形で2010年、もう既に243件、PIO-NET等を使ってこのチェックが進んでおりますんで、これをきちんと幅広いキャンペーンを行っていきたい、そういったものでございます。
 相談の傾向として2枚目に書いてございますけれども、性別は男性のほうがやや多い感じでございまして、相談事例ですね。年代については30代、 40代、50代が非常に多いという状況でございます。地域的には、南関東と九州の北部、これがちょっと多いという状況でございます。
 以上が大臣に報告した事例でございまして、あと私のほうから皆様に申し上げたいのは、これも先日、ちょっと一部お伝えしましたけれども、沖縄の黒糖の原料原産地表示につきまして、、11月16日に消費者委員会の食品表示部会が開催されることになりました。1カ月早まったことになります。これは現地の沖縄のほうでも話をしましたが、非常に喜んでいただいております。そして、消費者庁としては、11月初旬に消費者委員会に対し諮問を行うよう準備させているところでございます。
 それからあと、これも決定事項じゃないんですけれども、岡崎大臣ともちょっとお話の話題になりました補正予算が閣議決定されて、地域活性化策の一つとして1,000億円の「住民生活に光を注ぐ交付金」ということで、この予算がついたところでございます。
 この「住民生活に光を注ぐ交付金」というのは、地方消費者行政、あるいは配偶者からの暴力、DV対策、また自殺予防等、住民生活にとって大切でありながら必ずしも取組みが十分でなかったこの分野について、地方の取組みを支援するということでございます。
 また、消費者行政については、消費生活センターの増設、あるいは相談員の増員、処遇改善、こういった体制の強化に向けて、地方をさらに体制を整備していきたいということで予算が使われることになっております。かなりここで強化をされるんじゃないかということで期待をしているところでございます。一応、地方消費者行政ということが、このところのポイントになります。
 一応、私のほうからは4点でございます。以上です。

2.質疑応答

(問)幾つか確認なんですけれども、JAS法違反の公表のあり方の話なんですが、先ほどの違反を犯した業者に適切な是正措置を求めるという、この中に業者みずから違反を公表するということを含めるという考え方でいいわけですか。
(答)内容としては、まずいろんな、例えば農水省なんかに聞きますと垂れ込みなんかがたくさん、数千件にわたってあると。その中から農水省のほうは一応検証するためにいろいろなチェックをするわけですね。そういった中で上がってきて、これはおかしいなと、まずいなといった事例を集めて、それに対して農水省としても是正を求めるとか、おかしいものはきちんと是正しろと言うと。
 当然その上がってきた情報を今度は消費者庁も共有するという、そして私どもが見て、農水省と連携をとりながら、私どもも必要があれば、そこでさらに是正措置を求めて何ら改善がないという話であれば、そこは公表とか、あるいは指導とかいった形で迅速にやっていくということでございます。
(問)あと非公表になっていた部分の話なんですけれども、今後、非公表の部分が出ないように、農水省と情報共有をしていくということなわけでしょうか。
(答)非公表が出ないというよりも、要は是正がなされるかどうかで、そこですぐに是正されれば、それは我々としては別に公表する必要はないわけでございます。ただ、是正がなされなくて、そのときには、私どもとしてしっかり消費者のためにバンとやっていくということです。
(問)あと住民生活に光を注ぐ交付金の件なんですけれども、これは結局、使うのは地方になるわけなんですけれども、地方がDVとか自殺問題とかいろいろな問題がある中で、消費者問題にお金を割り振るようにしていくには、消費者庁としてはどんなことをやっていくんでしょうか。
(答)ここは配分について、まだちょっとそこは地方に置きかえなきゃいけない話ですけれども、できる限り私どもは地方にも、やっぱりいろんな形でアプローチをしていきたいと思っております。これはまだ事務方にも指示はしておりませんけれども、47都道府県含めて、そこは地方がニーズとして感じてもらわなきゃいけないということなんで、我々としてもきちんと、セールスという言い方はおかしいですけれども、アピールをしていくということはやっていきたいと思っております。
(問)先ほどのJAS法の関係で、適切な是正措置の中に、違反した業者はお客や消費者に対しての違反事実の通知、謝罪というものを含むというふうに認識していたんですが、先ほどと同じ質問ですが、それでよろしいんですよね。
(答)それはいいんです、それでいいんです。私が申し上げたのは、要するに是正措置という中で、例えば新聞広告をしろとか店頭で表示しろとか、あるいはホームページに書けとか、そういったことをすぐにさせると。それに対して従わない者を我々のほうで公表とか、さらなる指導とかいうことをやっていくということですね。
(問)だから、今までとはやっぱり変わるんですよね、それは。
(答)変わりますよ。
(問)そうですよね。
(答)そうです。
(問)あと農水省は、あまり前向きじゃないといいますか、その公表のあり方に関しては後ろ向きな姿勢を示していますが、農水省も同じ歩調をとるということでよろしいんでしょうか。
(答)今日、実は農水省の事務方の幹部ともお話をしたんですけれども、農水省もそこはかなり意識の改善が図られたと思っております。副大臣からも下におりたんだと思いますけれども、非常に改革が見られたなと、改善が見られたかなという感じですけれども、そこで、もし農水省が生産者サイドに立って、何かネガティブだというような話のときに備えて、私どもも農水省が得ている情報、これを我々も共有しておかしいじゃないかということをチェックしていくと、再チェックを我々もきちんとしていくということがみそでございます。
(問)今のJASの関連した質問なんですけれども、消費者庁が農水省と共有する情報なんですが、これは農水省が是正措置を求める、そのもとになる情報なのか、それとも是正措置をした後の業者がどのような公表、消費者に対する通知を行ったかという情報なのか、何の情報を共有しようとしているんでしょうか。
(答)私が農水省に今協力を求めているものは、農水省で1回、ガセネタも含めていろいろな情報が出てきますので、その中で農水省がある程度、足で回ってチェックをしたり確認をしたり、そういった情報、これについてその生データというか、それを消費者庁として共同で共有したいということでございます。
(問)その是正措置の前のデータと、それからその調査のデータと、それから結果のどのような措置を―情報ということは全部ということですか。
(答)是正する前です、前。
(問)前の情報ですか。
(答)前の情報。
(問)業者がどのように消費者に通知なりおわびをしたのかということを含む情報は、共有しないんですか。要するに、今回のポイントというのは、行政処分の前の是正措置とかの段階で、公表されていないものは95%あったということですよね。今後は、是正措置にとどまった業者が、消費者に対して事態をどのように通知したのかというところをちょっと重く見て、もしもちゃんと説明なり通知をしていないようだったら、一歩上の段階の指示・公表までいくぞという話ですよね。
(答)いや、その前ですよ。だから、農水省として、多分ある程度の蓋然性がある段階で、実は私としては、いろんな垂れ込みとか情報が上がってくるのが数千件という話を聞いていますけれども、そこを消費者庁としてもできる限りもらって、PIO-NETとかそういうことでチェックもできるんじゃないかと思っていますが、農水省もそこをやっぱりいい加減な形で確認はできないので、農水省としても確認作業をやっていると。全国で1,700人のGメンがやっているわけですよ。そういった情報、得た情報を、私どもPIO-NETなんかも含めてチェックをして、そして農水省が是正措置をとることも、私どもはそれを見たいという部分はありますね。見たいと同時に、我々が農水省のやっているところを本当に適正かどうかというものを、消費者サイドから私どものほうは見ていきたいと。そこで対応が遅いという話であれば、私どもとしてもチェックをして、是正措置がとられていればそれは別に構わないし、また是正措置というものがないならば、私どもとしてもこれは是正すべきだということで、農水省とここは協力しながらやっていく話ですけれども、それでも農水省の対応が遅いというような話であれば、我々は消費者サイドに立って、そこで我々としても判断をしていくということを言っているわけです。
(問)その数千件の情報をもらうとして、受け取る課としては食品表示課になるんでしょうか。
(答)担当課ですから、食品表示課になりますよね。
(問)今後は、食品表示課がその数千件の情報を、農水省がどのようにチェックしたのかというところまで含めて点検するということですね。
(答)そこは、ちょっと農水省側と担当課のほうで実務的な話は、そこはやってもらうことになると思います。
(問)クレジットカードの現金化でキャンペーンをやるということなんですけれども、副大臣会見の前に事務方のほうにも聞いたんですけれども、クレジットカードの現金化をうたっている事業者が、ホームページで景品表示法における景品の取り扱いにおいても、自分たちがやっているような90%とか80%のキャッシュバックということは違法性がないと、問題ではないというような表示をしているんですよね。
 これに対して、消費者庁として、そのとおりでよろしいですよということなのか、あるいは間違っているという、そんな事実はないということなのか。仮に、正しいですよ、そのとおり、問題ないですよとなると、消費者庁として違法性がない商行為だというお墨つきを与えちゃうのか、あるいは間違いだとしたら、すぐその事業者にそういう表示をさせるのを削除させるか、そのようなことは考えてはいないのだろうかということをちょっとお聞きしたいんですけれども。
(答)そこはちょっと難しい議論を聞きまして、私も即座に判断できなかったんですけれども、そもそも景品表示法という法の範囲内での話なのかどうかというのが、1回検討されなきゃいけないなと。そこで景品表示法の中での話ということであれば、それをさらに検討して、時間をいただきたいと思っています。今検討中でございます。明らかにおかしいという話になれば、当然適切に対応していくことになります。
 担当課のほうで何かコメントはありますか。

(消費者庁長官)今副大臣も言われたように、景品表示法の中なのかどうかということでまずあって、それはキャッシュバックと景品表示法の話は別だということですので、まずそこの問題があるわけですよね。
 つまり、景品というのは、本体の商品を売るためにつける景品ですから、キャッシュバックの話とはそもそも違うので、景品表示法で違反じゃないからキャッシュバックが合法ですという話は全然違うわけで、麻薬取締法に違反していないから殺人をしてもいいということと同じことなので、そこをどうするか、また今副大臣言われたように、それを踏まえた上で検討をしていくということになると思います。
(問)JAS法の話に戻るんですけれども、食品の表示というのはJAS法だけじゃなくて食品衛生法であるとか健康増進法であるとか、いろいろな法律に基づいた表示があって、それに対しても指導なり行政処分なりがあると思うんですが、そちらについてはどのような対応を考えられているでしょうか。
(答)今のところJAS法だけですね。ただし、それは今後の話になるんじゃないんですかね。
 実はこれも、今は関係省庁から、我々は重大事故について情報をもらう仕組みになっていますけれども、これは一歩踏み込んだ形で、業者から上がってきたやばそうな情報に対して我々は情報を共有したいという、一歩前に出た形になっておりますね。ただ、それがいろんな法律が適用されるから、もうすべてやるべきじゃないかというのは、事務的なキャパシティーを含めて、いろいろな形で見ていかなきゃいけないので、今はJAS法違反で農水省の関係のところということでやろうとしています。
(問)地域活性化交付金なんですけれども、地方の消費者の取り組みを支援する以外のDVとか自殺対策についてどういうことをやるのかという、何かイメージがあるのかどうかというのを教えていただきたいのと、地方にアプローチしたいとおっしゃいましたけれども、何かヒアリングとかそういうことをされるんでしょうか。
(答)まずヒアリング云々の話から言うと、これは今庁内で検討してもらおうと思っております。地方の一括化交付金みたいな形ですべて地方に任せれば、地方消費者行政で一番ランクが低く置かれると、幾らお金といっても何の意味もなくなるんで、そこはできればナショナルミニマムのような形で認識していただけるような形のヒアリング、あるいはこちらからの売り込み、売り込みと言うのはおかしいな、適切なアプローチ、これをやっていきたいと思っております。
 それからDVとか自殺とかについて、例えば自殺なんかは基金で100億円を積んでいましたよね。そういう形の中で、多分同じような努力ができるようにやっていきたいなと思っております。それがちょっとどういうふうな形で流れるのか、1,000億の中身をもうちょっと、これは精査したいというか決めるために、地方の意見も伺いながら検討していきたいと思っています。
(問)再び戻って恐縮です。クレジットカードの現金化の点で、また年末にかけてそういうふうに注意喚起ということですけれども、いただいた資料で相談件数がやはり国民生活センターに対してもかなり急増しているというのがすごく見てわかるんですが、主にこれから検討されることかとは思うんですけれども、消費者への注意喚起という部分では、先ほど副大臣がおっしゃった、やはり債務が結果的に多重債務に再び引き込まれていくという点が、消費者に対しての注意喚起のポイントで、一番はどういうところに持っていこうとお考えなのか、今の段階でお考えしていることをちょっと教えていただけますか。
(答)要は、そういうことをやったら身の破滅ですよということが、やっぱり一番重要なポイントじゃないですか。
 だから、この件の難しいところは、お互いに握ってやっていくケースがあって、本人がわかりながらやっているというところが多いところなんですよね。だから、全くそしらぬ感じでだまされてどうこうというようなケースもあるかもしれませんけれども、何とかそういう業者と結託してやっていくようなことは、もうそれはいい結果にならないよと、身の破滅になるよということをわかってもらえるような、そういった形の広報になると思います。
 どうもありがとうございました。

(以上)