片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月14日

(平成23年6月14日(火) 8:35~9:00  於:院内閣議室前)

1.発言要旨

 おはようございます。今日、閣議がありまして、閣議の中で、総理の方から、補正予算の編成の指示をしたと。財務大臣に対して指示をしたというお話がありました。これは、いわば二次補正と言うのか、1.5次補正と言うのかということなのですけれども、一次補正で積み残して緊急にやらなければいけない事業を中心に編成をしたいということでありましたので、緊急性と言うことであれば、今、自治体を所管している総務大臣として考えることがありまして、そのことを申し上げました。それは、今、被災地では復旧から復興へという、そういうそれぞれ差はありますけれども、自治体ごとに差はありますけれども、復旧から復興へというプロセスをこれから歩んでいきますけれども、早いところは早く地域の復興プランを作って取り組みたいというところもあるわけです。そうしますと、当然、復興の過程では、国の財政支援というのが重要でありまして、それ無しでは、当然復興というのは成し得ないわけです。その際に、どういう支援の仕方をするのかということを早く明確にしてあげなければいけない。具体的に言いますと、従来型の各省の縦割りの補助金の補助率を引き上げる形での支援になるのか、それとも、被災地の地元から要望が出ていますけれども、一括化された補助金、地域の方で事業の選択などがある程度自由にできる、そういう自由度の高い一括型の交付金というような枠組みを作るのか、あるいは、取崩し型の基金、これも被災地から要望が出ていますけれども、そういう基金型で支援をするのか。これらを早く決めてあげなければいけないのですね。一挙に復興が進むわけではありませんから、今度の補正でも、全額を計上することはないわけです。額はそんなに多くは必要ないと思います、とりあえずは。ただ、枠組みだけは決めてあげる必要がある。どういう枠組みでやるのか。その枠組の中で、自治体が、自分の地域の復興を住民の皆さんの意見を聞きながら考えていくという、このプロセスに早く入らせてあげなければいけないので、今度の補正予算の中で、そういう復興に対する国の支援、自治体支援の枠組みを早く決めるということを内容として盛り込んでもらいたいということを申し上げました。それに対して、玄葉大臣から、それは与党の方でも、民主党の内部でもその議論は出ているので、党としても検討を急ぎたいというお話がありました。北澤防衛大臣からも、自分も自衛隊の現地に派遣されていた皆さんから話を聞くと、復旧それから復興への足取りというのは、地域差が随分あるので、早く進んでいるところは、早く自ら復興に取りかかれるように、基盤整備をしてあげる必要がある。基盤整備というのは、財政支援の枠組みなどを早く決めてあげる必要があるという、そういう話もありました。それらを踏まえて、総理の方から、一括交付金化というのも、災害復興に当たっての一括交付金という手法も、自治体にとっては非常に有力な手法であると考えるので、これらもよく検討するようにと、補正予算の編成過程で検討するようにという、そういう指示がありました。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社から1問。社会保障と税の一体改革について伺います。昨日、国と地方の協議を経た後の成案決定会合で、大臣の方から、現行の消費税から地方に回っている分には手を付けないことであるとか、地方単独事業を的確に反映させて議論するようにという主張をされたのに対して、官房長官の方から、大方そのような方向でまとめられたということだったのですが、与謝野大臣の方の会合後のブリーフでですね、現行の地方に回っている消費税には手を付けないということは明確に合意していないのだと。片山大臣の希望ではないかということで、温度差もまだ感じられるのですけれども、今後、だんだん時間も無くなってきている中で、地方が希望するような取りまとめ、修文等ができるとお考えか、その見通しについてお願いいたします。
(答)それはね、結論から言いますとね、地方が、これならば納得できるという案にしなければ先行きしないというのが結論ですね。これは、昨日も国と地方の協議の場で、山田全国知事会長も、それから、森全国市長会長も、他の方も含めて6人ともですね、原案ではもう我々は賛同できないと、反対せざるを得ないということを明確におっしゃっていました。ですから、是非、賛成できる案に、自分たちも納得できる案にしてもらいたいと。そうでなければ残念ながら、これはもう反対せざるを得ないと、反対行動に出ざるを得ないと。こういうことを言われていましたので、社会保障を現場で担っている自治体の代表、この都道府県と市町村、その首長と議会の代表がこぞってですね、反対と言うようなものがですね、世の中で成り立つはずがないですよね。やはり、国と自治体は社会保障の分野では、これパートナーですから、年金はともかくとして、年金以外の社会保障は、国と自治体はパートナーであって、しかも、現場で住民の皆さんに対して、国民の皆さんに対して、その福祉施策を実施しているのは自治体ですから、その自治体の皆さんがそっぽを向いて、反対だと、国が勝手にやるのならやってみればというようなことではね、日本の社会福祉は進みません。画に描いた餅です。ですから、結論においては、自治体が納得する、そういう案でなければ通らないということだと思います。
 私が昨日申し上げたのは、三つ申し上げました、大きく言いますと。一つは、この間、政府のやり方、これ、はっきり言いますと、与謝野担当大臣の下で進められてきたこの間の集中検討会議、その検討プロセスは、自治体に対して大きな不信感をもたらしました。それに対して誤解だとかですね、そういう底意は無いというようなこと、そういう底意というのは、消費税を根こそぎ取るとかですね、一切消費税の分配を地方にしないとか、そういうつもりはないのだということを再三おっしゃっていますけれども、私もずっと傍らにいましてね、地方側が強い不信感を持つのは、むべなるかな、当然だと思います。あえて排除してきた、これは否めません。私も、地方の意見を聞かなければいけないということを再三申し上げてきた。しかし、それに対して、ほとんど聞く耳を持たなかったということでありますから、自治体側が強い不信感を持っているというのはもう当然です。この不信感をまず払拭しなければいけない。さっき言ったように、現場で福祉を担っているのは自治体ですから、その自治体が不信感を持つようなことではいけません。だから、国の方は、これまでの姿勢をちゃんと改めて、自治体をパートナーとして位置付けて、よく相談をしながら物事を決めていくという、こういうことをしなければいけません。まずは、ですから、第一に不信感を払拭するということですね。
 それから、二つ目は、今回の案、たたき台がですね、読んでみると、まるで消費税を根こそぎ、5%、既存の、既往の5%も根こそぎ国の社会保障財源に使うと読めるような記述がしてあるわけです、巧妙に。またそういう意図も無いわけではないと感じられます、私もね。それでは、全く話が先行きしません。今回議論するのは、今までの既往の消費税の配分はそのままにして、税率を引き上げるとすれば、それをどういうふうな配分にするのかという議論でなければいけない。それが、何か、途中段階で根こそぎ議論をするような、根こそぎ国が取ってしまうような、そういう印象を与える記述になっていますから、これを、そういう誤解の無いようにしっかりと改めなければいけない。これが二つ目。
 それから、三つ目は、仮にこれから消費税を増税するとすれば、税率を引き上げるとすれば、それをどういうふうに国と地方で配分するのかということですけれども、これは当然、社会保障財源として位置付けるということでしょうから、国と地方の社会保障の役割分担において配分すると。これが、リーズナブルだと思います。では、その国と地方の役割分担というのはどういうことなのかというと、それは、今、自治体が担っている国庫補助事業、それから地方単独事業、それから国が中心になって行っている年金、こういうものを、全体像を明らかにして、その中で、自治体が国庫補助事業を担っている、地方単独事業を担っている、そういう自治体の担い方にふさわしい配分でなければいけない。地方単独事業をちゃんと適正に織り込んだ、そういう社会福祉の全体像を明らかにして、国と地方の役割分担をその中で位置付けなければいけないと。この三つを申し上げました。これがもう必須条件ですよということを、昨日の成案決定会合の中で申し上げました。それを踏まえて、官房長官がそういう方向で修正を検討しましょうということで、まとめられたわけであります。
 だから、与謝野さんがですね、根こそぎ論があるのだというようなことをおっしゃっているのはとんでもない話でね、そんなことを言うのならば、もう、社会保障と税の一体改革ではなくて、国と地方の財政関係の基本的な在り方を検討しなければいけないのです。だから、別の土俵を設けてね、それなら徹底的にやりましょうということを私も申し上げましたけれどもね、昨日。さも、社会保障のね、これから財源が必要になるから消費税を議論しましょうと言って始めたところがね、既存の交付税や地方消費税も全部奪ってしまうようなね、そんな姑息な議論のやり方をやっては駄目です。そんなことをやるから地方が不信感を招くのですね。やはり、もう少し、正直で素直な議論をしなければいけません。もう、何かね、隙あらば、こす辛いことをしようというようなことを印象付けるような、印象付けるだけではなくて、実態がありますから、そんなことをしていたら駄目です。地域主権改革を標榜する民主党政権が、そんな地方をだましたり、梯子をはずしたりするようなことをしてはいけません。
(問)1.5次補正の総理指示について伺いますが、復旧、復興を急いでいる自治体にとってですね、1.5次補正という恐らく小規模なものというイメージだと思うのですけれども、一次補正を補完するような小規模なもので十分だとお考えですか。
(答)それはね、内容によると思いますね。と言いますのはね、さっきもちょっと言いましたけれども、自治体が復興を果たすためには膨大な財源が要ります。しかし、今の段階で、その膨大な財源がすべて耳を揃えて必要かというとそんなことをはないわけです。幾つかの自治体から復興のプロセスが始まるわけです。だんだんだんだん何年か掛けて全体の財源が必要になってくるわけですね。ですから、今、この時点では、そんなに膨大なお金は必要ないと私は思います。ただ、枠組みだけは決めてあげなければいけない。どういう枠組みで支援しますかという目途を付けてあげなければいけないので、目途という言葉はちょっと誤解を生むかもしれませんけれどもね。要するに、自分が、自分の地域を復興させるには、こういう枠組みがあるから、その中で、自由に考えて事業選択をしていいのかということになるのか、それとも、従来型で、やはり国交省とか、農水省とか、いろいろな役所に補助金を個別にもらいにいくという、そういう枠組みになるのかということは、どっちか目途を付けてあげなければいけないですよね。私は、どちらの目途を付けるかと言うと、やはり、それは自由度の高い、自治体の方が各省にあれこれ日参して、それぞれ個別の補助金をもらって、復興するというようなやり方ではなくて、ある程度の枠が与えられて、その枠の中で、地域の将来のため、それから、住民の皆さんのために必要な事業を優先度の高いものから選択していけるような、そういう枠組みの方が望ましいと思いますから、是非、それを、この復興予算、二次補正と言うか、1.5次補正の編成の中では、その考え方を打ち出していきたいと思いますけれどもね。いずれにしても、話を元に戻しますと、そういう枠組みをきちっと決めてあげればね、今、全額耳を揃えてかなり莫大な財源を要する予算を組まなくても、自治体の方は、安心されると思いますね。ですから、当面、本当に急ぐもの、それはさっきから私が言っている、復興の枠組みを決めるというのは急ぐと思います、これは、枠組みの決め方ですね。それから、二重ローン問題のような、今、中小事業者の皆さんとか、漁業者の皆さんとか、農業者の皆さんが事業を再開しようとするに当たって、障害となっている、課題となっているものをどういうふうに克服したり、支援してあげるのかという、そういう二重ローン問題なども急ぐでしょうし。それから、一次補正で積み残しているものがあります。例えば、住宅再建支援金なんていうのは、100万円分は一応予算を組んでいますけれども、住宅を再建される方にはもう200万円上積みするわけですよね。300万円になるのですけれども、その上積みの分は予算を組んでいませんから、これも組まなければいけない。そういう、本当に必要なものを、ちゃんと網羅して組めば、自治体にとっては、金額がそんなに大きくならなくても、安心していただけるのではないかと思いますね。
(問)大臣、すみません。社会保障と税なのですけれども、地方側は分科会での議論を求めておりますけれども、政府側の姿勢はちょっとあいまいな感じでですね、今後の修正プロセスの在り方について、大臣、どのような在り方が望ましいとお考えでしょうか。
(答)これはですね、当面、どういう修文をするのかという問題と、それから、地方単独事業の内容というか外延というか、そういうものを精査するというプロセスと二つあると思います。それで、当面はですね、さっき言ったように、交付税を根こそぎ国の財源にするのだよなんてことは絶対有り得ませんよということを明確にするという修文。それから、消費税を引き上げるとすれば、それは地方単独事業もちゃんと織り込んだ上での国と地方の役割分担で配分をするのだということを明確にすること。この二つがちゃんとできれば、地方側も現時点では、私は納得していただけるのだろうと思います。その上で、今度の、その次の作業としては、では、しからば、地方単独事業、昨日、15年度で9兆2,000億円という資料を私の方から出しましたけれどもね、それを精査するという作業がなされなければいけない。それをどういう場でやっていくかということになると、それは、地方側が国と地方の協議の場でやってもらいたいということがあるわけで、ただ非常に実務的な側面もありますから、毎回、昨日のような国と地方の協議の場でやるということは、非現実的でしょうから、それならば、分科会というのがありますから、その分科会でやるのが一番妥当なのではないかということです。何か、与謝野さんは誤解されていてね、国と地方の協議の場、その分科会ということになると、もう、総務省と自治体だけで物事を決めてしまうのではないかというような懸念を持たれたのですけれども、そんなことはないのです。あれは、別に総務省のお座敷ではありませんのでね。政府の、地方側と向き合う場として設定されているわけですから、その中には当然分科会を設けて、厚労省とか、財務省とか、与謝野担当大臣のところの担当室とかですね、そんなことが入るわけですから、そこでやるのがいいと思いますね。
(問)すみません、国と地方の協議の場そのものなのですけれども、昨日、初回でですね、いわゆる、聞くだけの場にならなかったのか、それと、今後の課題はどのようなものがあると考えられるのか、お願いします。
(答)これはですね、これからどういうふうな運営の仕方になるかが、私はこの国と地方の協議の場の将来を左右されると思いますね。単に、聞くだけ、聞いたからいいやというようなことでは、国と地方の協議の場の実は上がりません。ですから、双方の主張を聞いて、双方がそれに耳を傾けて、なるほどなと思ったら、それぞれが受け入れると、こういう場にしなければいけませんね。ですから、双方の努力にかかっていると思います。少なくとも、昨日、初回でしたけれども、初回で、聞いたからいいよということではないでしょう。国の方も、昨日、地方六団体の代表の皆さんの意見を聞いて、非常にそれは重く受け止めているわけです。それは、その後に、直後に開かれた成案決定会合でもそのことを重く受け止めた議論を私もしたし、他の議員も、ネガティブな、地方側にネガティブな見解を持っておられる方だって無視はできない。その前提で議論をしましたのでね。ですから、私は第1回目としてはかなりの成果があったと思います。結果として、これが今回の、この問題にどういう形で反映するか、そこにかかっていると思いますね。
(問)すみません、京都新聞ですけれども、また協議の場なのですが、今後ですね、社会保障以外の問題で、テーマとして上がってくるだろう、あるいは、大臣として、想定、こういうものを議題にしたいというものがあれば教えていただきたいのと、あと、昨日ですね、非公開に当たるので、今後ですね、その辺り、ずっと非公開のまま続けていくのか、その点について教えてください。
(答)これからの協議事項ということになりますと、当面、さっき言いましたように、社会保障と税の一体改革について議論が進むと思います。分科会という形になろうかと思いますけれども、単独事業の在り方、単独事業をどういうふうにとらまえるかということが議論の対象になってくると思いますね。  それから、昨日、復興支援の在り方について議論がありました。これは、まだ復興がこれからも続きますから、国と地方が協力してやらなければいけない問題ですから、これも協議の対象になると思います。それから、昨日、原子力発電所の安全問題について、森市長会長から問題提起がされました。全国の、これは各地域で、原子力発電所の定期検査の後の再開問題というのがあるわけでありまして、それの安全性確認という、そういう問題があるわけで、したがって、昨日、海江田大臣にも出席していただいたのですけれども、この原子力発電所の安全性の問題というのは、恐らくこれはまだ決めていませんけれども、協議の場で持ち出されることになると思います。それから、昨日、最後に確認したのですけれども、地方自治法の改正について、これも震災で地方側と政府側との協議が事実上頓挫していましたので、これを再開させるということになりますけれども、これも恐らく国と地方の協議の場ができましたから、そこの分科会で、多分協議することになると思いますね。当面、そんなことが考えられるでしょうか。
 それから、会議の公開・非公開の問題ですけれども、会議は、一応非公開ということにしました。ただし、これはもう絶対非公開ではなくて、適宜公開もあり得るべしということで、これは双方が相談をしながら、これからやっていこうということにしております。ただ、公開の場合はいいのですけれども、非公開の場合であっても、ちゃんと終った後に責任者が会議の内容についてはきちっと皆さん方に御説明するということにしております。
(問)またそれで、国と地方はですね、密室で協議をしているというような批判を浴びることはないでしょうか。
(答)ですから、その辺は公開した方がいいこともあるでしょうから、それは公開は、私もできるだけ公開ということを努めていきたいと思います。ただ、激しい言い合いも、昨日も実は激しい言い合いになりましたので、すべての場合に公開をするのがいいかどうかというのは、いささか私も懸念がありますのでね、その辺はよく見ながらやっていきたいと思います。それから、密室でということを言われましたけれどもね、密室の悪いところは、強い方が弱い方を押し黙らせてしまうとかね、そういうことが往々にして密室ではありますよね。今の状況を見てみますとね、今のメンバーを見てますと、地方側が国から何かがつんと言われて押し黙ってしまうというような方々ではありませんからね、その辺の懸念はないのだろうと思います。ですから、仮に公開しない場合でも、国側はもちろんですけれども、地方側もきちっと、昨日もやられたみたいですけれども、ちゃんと会議の模様について自らの主張を国民の皆さんにお話をするという機会を設けられることになりますから、その辺は、御懸念はないと思います。
(問)よろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。
(答)はい、どうも。

(以上)