片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年6月10日

(平成23年6月10日(金) 8:46~9:23  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日、閣議がありまして、閣議後の閣僚懇談会で、私の方から、今、調整作業を進めております国家公務員の新規採用の問題について、閣僚の皆さん方に改めてお願いをしました。昨年に引き続き、抑制基調ということで調整を進めておりますが、各省から、かなり法外な調整要求も出てきておりますので、改めて、基本的な抑制方針であるということの再確認と、もちろん、合理性のある、震災復興で業務が増えるとかで合理性のあるものは、もちろん耳を傾けますけれども、そうではなくて、この際というような、そういう増員要求は控えてもらいたいということを申し上げた次第であります。幾つか、何人かの大臣から、これをめぐって発言がありました。それぞれの省の事情をお述べになった方もおられるし、それから、やはり、この政府の方針として抑制基調をきちっと貫くべきだから、この際、余りそれぞれの省の個別事情は言い出したらきりがないから言うのは控えようという方もおられました。これから残された時間で、各省と精力的に調整をしたいと思っております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)幹事社から2問お願いします。震災の発生から明日で3か月になるわけですが、大臣として、特に今、復旧、復興に向けてですね、予算措置なり法的な手当なり、特に急ぐべきだと考えていらっしゃる課題を改めて伺いたいと思います。
(答)幾つもありますね。例えばですね、私はどうしても、総務大臣ですから、自治体の立場とか役割というものがどうしても重要だと思うものですから、その自治体の立場に立って言いますと、これから復旧、復興に向けて自治体が取り組む際に、相当の財政支援を国からしなければいけない。これはもう確かだろうと思うのですね。その財政支援の仕方というものを、スキームというものを早く決めるべきだと思います。自治体から見れば、早く基本的な仕組み、枠組みを決めてもらいたいと思っておられます。よく私のところにもそういうことを言いに来られます。これは以前もお話ししたことがあると思いますが、具体的に言いますと、従来型でいくのか、それとも、新しい枠組みづくりをこの大震災に際して始めるのかということです。従来型と言いますのは、各省が縦割的に各事業ごとに補助金を持っていて、復旧、復興の事業費、補助金を持っていて、それをこの際、それぞれ補助率を引き上げるというような形で対応するのか、これが従来型ですね。そうではなくて、被災の規模に応じて、また復興のプランに応じて、ある程度の枠を自治体に付与して、その財源措置を国が一括交付金という形になるのか、それとも基金の設定ということになるのか、それは応用問題ですけれども、ある程度の枠を設定して、その財源を国から地方自治体に移して、その中で事業の選択は自治体の自主性に委ねる、そういう形で復興していくのか。これは大変大きな違いがあります。私、結論は、私の考え方を言いますと、後者の方がいいと思います。自由度の高いものの方がいいと思います。私も震災復興を鳥取県知事として経験しましたけれども、各省ばらばらで補助金をもらって、その結果は、必ずしも地元の優先度合いとは違う結果が出てくる。地元ではこの事業とこの事業を優先するのだけれども、そこは余り予算が付かなくて、優先順位の、地元で優先順位の低いものに、どういうわけかがばっと予算が付いたなどということもありましたのでね。そういう不突合というものを避けるためにも、地元の優先順位とか自主性が尊重されるタイプの支援の仕方がいいと私は思います。でも、これは政府で決めなければいけませんので、早く決めなければいけないと思います。これを私は政府の中でも、もうずっと言い続けてきているのですけれども、結局、復興構想会議の結論を待ってとかですね、第2次補正予算、いつになるか分かりませんけれども、その中でとかという話になって、先延ばしになっていますので、これはやはりよくないと思います。早く決めなければいけない。これが大きな課題ですね。
 それから、復興特区というのを是非、これはやるべきだと私は思います。これも、やるときには法律が要りますけれども、根拠法が要りますけれども、復興するに当たって土地利用の規制を、全国一律の規制を、一律ではなくて、各自治体の事情と判断、意思によって変えられる。要するに法律の規制を条例の規制に委ねるというようなことが中心になると思いますけれども、復興特区の構想というのが地元から出てきて、私も賛成です。こういうのも早く決めてあげなければいけない。これも復興特区というので、構想会議なんかでも話題になっているようですけれども、具体的な検討は進んでおりませんので、早くやらなければいけないと思います。
 それから、総務省の方で、今、もう法案の策定作業に入っていますけれども、これは福島県の原発で被災をして避難をされている住民の皆さん方を対象に、地方自治関係法令の特例を作らなければいけないと思っております。いつになるのか分わかりませんけれども、いずれにしても、しばらくの間は、これまで住んでおられたところを離れて暮らすことを余儀なくされる方がかなりおられるわけで、その方々が避難先できちっと必要な行政サービスを受けられるようにする、かつ、もともとの、これまで住んでおられた、3月11日まで住んでおられた住所地との絆、更にはそこにいずれ帰る、その一体感、これを醸成することが必要で、そのための地方自治関係法令の特例が必要となると思います。先般、福島にお邪魔をして、関係の12市町村長さんと直接お会いをして話をしましたけれども、大体、私の方で考えている案、構想というものに賛同いただけましたので、それに基づいて、今、法案の策定作業をしておりますけれども、こういうものも制定を急がなければいけないと思っております。ほかにもいろいろありますけれども、気になるものを言うと以上のようなものです。
(問)もう1点、今、早くやらなければいけないことがたくさんあるということだったのですが、一方で、政局を見るとですね、野党の方は首相が退陣しない限り、もう復興基本法案までしか賛成しないという対決姿勢を強めていたりとか、民主党内では、次の総理、代表をもう選ぶ動きに入っているのですが、一方で総理がいつ退陣するか明確ではないという、こういう状況を大臣はどのように眺めていらっしゃって、どういうふうに国民のために、復旧、復興をするためにあるべきとお考えかというのを伺いたいと思います。
(答)基本を忘れてはいけないと思いますね。その基本、根本というのは、いかに被災地の皆さんのために復興を急ぐか。しかも質の高い復興を急ぐかということです。振り返ってみますと、そのために不信任なんかも出てきたのだと思うのですね。単なる権力闘争ではないはずなのです。そういう単なる権力闘争であってはならないはずです。もともと、不信任の動きをされていた方々も、復興のためにという、そういう大義名分を掲げておられたと思うのですね。そうであれば、今回、いろいろ、今、いろいろなその政治的な動きがありますけれども、それらは、すべからく被災地の皆さんのためにどういう政治体制であるべきなのか、どういう政府であるべきなのかということが根本にあったはずですから、そのことを忘れてはいけないと思うのですね。何か、その、きっかけはそうであっても、ここに至って、政治が非常に流動化した今日、何か根本が忘れ去られているのではないかという印象を私もぬぐえません。政治は権力闘争の契機があるということは、これはもう当然でありますから、権力闘争を否定するものではありません。自らの掲げる理想とか政策を実現するためには権力を奪取しなければいけない。そのために権力闘争をするということは、これはもう政治の根本でありますから、それはそれでいいのですけれども、そのときに、では、何のために権力闘争をしているのか、権力を勝ち得ようとしているのかということを、片時も頭から離してはいけないと私は思います。今の状況を見て、片時以上に離れているということをあえては申し上げませんけれども、離れてはいけないということです。
(問)すみません、北海道新聞の中村です。政府の復興構想会議で取りまとめが進んでいますけれども、増税ということが、やはり基本的な考えに、財源としてお持ちになられているようですけれども、一方で、社会保障の話も進んでおり、そして、構想会議でも増税という、2つの場で増税という話が出てきていること。今、現状についての受け止めと、その取りまとめ方針そのものについてどのように考えられるのかをお願いします。
(答)何回も申し上げますけれどもね、復興構想会議というのは、復興をどういうビジョンの下で、どういう理念の下でやるのか。その際に、地元の意思とか、実情というものを最大限くみ上げる。その上で、どういう理念とビジョンの下で復興を進めるべきかということを提示するのが復興構想会議の議員の皆さん方のミッションだと私は思っております。ところが、もう最初から何かね、財源の話が出てきて、いつもその財源の話ばかりやっているというのはね、本末転倒だと思いますね。そんなことはね、政治の責任で決めることです。税制の専門家が集まっているわけでもない復興構想会議でね、財源の話ばかりしているというのはね、何か本末転倒で、本筋の議論がその分だけ霞んで見えてしまいます。復興構想会議のメンバーの皆さんはね、財源のことを気にしなくて、自らの理想とするビジョンを考えて、提示をされるべきです。それを政府がどう受け止めて、その中で、今の財政状況の中でどこまでできるか、今の財政状況でできないのなら、財源調達をどういうふうな仕組みで考えるかというのは、これは政府の責任、政治の責任であってね、復興構想会議に、歳出と歳入のね、全体をセットして考えてくださいなんていうことは申し上げていないはずです。どうも何かね、どう言うのでしょうかね、昔、シーリングと言っていましてね、最近はペイ・アズ・ユーゴー原則と言うらしいのですけれども、要するに、新しい歳出を構想するのであれば、それに見合う財源も捻出して調達してこいという、財務省の主計局のその考え方がね、復興構想会議にも何か乗り移っているみたいでね、復興構想会議で、例えばさっき言った一括交付金をやりましょうとか、特区で支援しましょうとか、高台に移転させましょうとか、こういう話をするときには当然金が掛かりますよね。それは、では、考える人が、復興構想会議で、その財源の調達案を作れというようなことになっているのではないかと。そんなことをしたら復興構想会議なんてまともな議論ができませんよね。それは間違っています。復興構想会議は、どういう復興をするのかということ、財政で言えば歳出のことを考えればいいわけです。歳入のことは、それは政治が考えることで、その考える過程で増税をするのか、国債に頼るのか、ミックスでいくのか、将来の増税を念頭に置いた復興国債を出すのか、それとも、歳出の方をぎゅっと圧縮するのかというのは、政治が判断することです。
(問)すみません、別件なのですけれども、来週、国と地方の協議の場が開かれます。地方側は、社会保障と税については国と見解が違うので、そういう主張をされるかと思うのですけれども、ただ、その協議の内容が国会に報告されることにはなっておりますけれども、これはただ言いっ放しになるのではないかという懸念もあります。これについては、大臣、どのように思われますか。
(答)これはですね、協議ですから整わないこともあり得るわけですね、一般論で言いますとね。できるだけ整うように、お互いの理解と納得が得られて合意に達するというのが、これが理想的ですよね。是非そうしたい、そうありたいと思います。ただ、案件によっては協議が整わないケースもありますよね。それは政治判断です。政治的な判断の対象になると思いますね。マスコミの皆さんも注視しておられるでしょうから、それは、国側の言い分が正しいのか、それとも地方側の言い分に理があるのかということは、それぞれの皆さんが判断されることだと思いますね。ですから、例えば政府の方が、自治体側の、地方側の意見をそこで突っぱねて、それでよかった、よかったということになったとしてもね、それが非常に大きな政治的なマイナス要因になるというようなことは考えられますよね。ですから、その辺をよくにらみながら、優れて、政治的な背景の中で行われるということをよく両者が認識した上でこの協議に臨むということ、できるだけ歩み寄るということが必要だろうと思いますね。そこで協議で合意に達したことはそれぞれのメンバーが、協議に加わった者がそれを尊重しなければいけないということになるわけで、また、その段階でそれぞれのメンバーは尊重しているかどうかということが、政治責任として問われることになるだろうとは思います。まだこれはね、これから始めるわけで、今まで事実上はやってきましたけれども、法律に基づいてやるのは初めてですから、これからいい国と地方の関係を、協議の場で築いていかなければいけない。協議の場の進め方というものが実りのあるものに、実のあるものにしなければいけない。それは両方の努力だと思いますね。少なくともね、やればいいのでしょうと、法律で決まっているから義務としてやればいいのでしょうで、やったと、聞いたと、以上終わりというような国の態度ではいけない。私は、最近、政府税制調査会とか、この間、政府与党の社会保障の成案を得る会合でも申し上げたのですけれどもね、ともすればね、聞けばいいのでしょうと、今回のもね、地方側は、全く聞いてもらっていないという印象なのですよ。社会保障と税の一体改革について、自分たちの意見は聞いてもらっていないという、そういう意識なのですけれども、政府の側はね、これを担当されている大臣などは、いや、聞きました、十分聞きましたと言われるのです。それはね、聞くという言葉のね、やはり定義の問題だと思うのですね。聞くというのはね、「よく言うことを聞きなさいよ」と親が子供に言いますけれどもね。あれは、お母さんの言っていることを音声として聞きなさいよと言っていることではないですね。ちゃんと言ったことをわきまえて、それを踏まえた行動をしなさいよということを聞くという言葉で言っているわけでしょう、「お母さんの言うことを聞きなさいよ」というのは。ところが一方でね、英語で言うヒアでね、こう音声として聞きましたと。聞いたからいいでしょうというような態度が国側にあるのですね。それではいけませんね。やはり聞くというのは音声で聞くだけではなくて、やはりなるほどと思うことは取り入れる、意見の相違があればきちっとそこで議論をする、説得する。そういうことが必要でしょうね。だから、聞くということは、要するにそこで説明責任が問われるということになるのですね。説明責任付きの聞くということをやらないといけない。そういう場に、是非したい。そういう場になるべきだと思います。
(問)朝日新聞の今村ですが、税と社会保障については、消費税は10%に上げることが前提になっていますけれども、地方の意見を入れた場合ですね、それに必ずしもこだわる必要があるとお考えか、その辺の、今後の進め方も含めて大臣のお考えをお願いします。
(答)別に10%が前提になっていません。一つの試算をすれば、10%が妥当ではないかというのが、集中検討会議の結論というか、たたき台、議論のたたき台なのですね。その前提というのは、国が関与している国庫補助事業というものを積み上げたらこれぐらいになります。国の負担がこれくらい、地方の負担がこれぐらいということになりますと。それを前提にすれば、5%上乗せということになっているわけです。それで、その前提がおかしいのではないかというのを地方側が言っているわけですよね。地方の側は、国庫補助事業だけでなくて、単独事業もやっているわけで、単独事業だから自由気ままにやめるというわけにはいかない事業が多いわけです。また、地方がやめたら国も困る、厚生労働省も困るような事業が多いわけですよね。そういうものを当然、我が国の社会保障の仕組みとして、全体として把握すべきではないですかと言っているわけで、それを全体として把握をすれば、今の5%というものの考え方は変わってこざるを得ないわけですよね。今の5%というのは、今後の社会保障の充実のために使う部分と、使おうという部分と、国の財政健全化のために使おうという部分が含まれているわけです。それで5%という提示がなされているわけですね。だから、もし、さっき私が言ったように、単独事業も加えるべきですよという話になると、その単独事業のお金を捻出しようとすると、そうすると、財政再建と言うか、財政の健全化に回す分を減らした上で5%ということも一つの選択肢です。しかし、財政の健全化ということも重要ですから、それを、今、想定している分をちゃんと確保するという前提に立てば、今の5%上乗せの10%ではなくて、10幾つになるのか分かりませんけれども、より10より上という選択肢になるわけですね。だから、そういう合理的な選択肢というものを設けて、国民の皆さんに問うというのが政治のやるべきことだと思うのですね。最初から、もう、何か前提を決めてね、財務省の、自分たちの関心のある範囲だけで前提を決めて、だからこうなります、これしかありません、というようなかたくなな態度ではいけませんね。そのことに地方側が非常に大きな不信感を持っているわけです。自分たちだけの御都合主義で、いいとこ取りみたいなことをやっていますね、というのが不信感で、私もそう思います。私も総務大臣をしているからとかね、かつて鳥取県知事をしていたからということではなくてね、この間、慶応大学で4年間、政治学とか地方財政とか見てきましたけれども、そういう立場で見ても、今の議論の進め方とか、たたき台のまとめ方とか、それから出てきた成果品については、公正を失していると思うものですから、今、申し上げているわけです。
(問)日経新聞の海野と申します。復興構想会議の話に戻りたいと思うのですが、復興構想会議では、ただ今、特区の構想とかも出ていますけれども、地元でも同じように、それぞれの自治体が特区の構想などを考えたりしています。屋上屋を重ねるような議論で、そんなものは地方でやればいいのだといったような声もあります。先ほど、財政措置が、なかなか枠組みが進まないという点を考えても、復興構想会議が、このままでは単なる邪魔になっているのではないかという見方も出てくる可能性があると思うのですが、その点についてはどう思われますか。
(答)そういう意見もあります、一部に。だから、早くですね、必要なことを早く決めて、まとめて、早く提示されるべきだと思いますね。財源のことは、復興構想会議はもうコミットしない方がいいです。そんなことやっているから時間が掛かるのです。財源の話は政治の責任です。だから、財源調達は自分たちはとやかく言わないから、こういうことをやってもらいたいと、こういう方式をとってもらいたいということを、簡単にまとめて言われればいいのではないでしょうかね。財源の調整は政治ですから、復興構想会議に政治をやれという方が間違っていますよ。木に縁りて魚を求むるがごとしだと私は思います。復興構想会議に、財源調達のことまでね、考えてもらうというのは木に縁りて魚を求むるがごとしだと思いますね。
(問)それ以外の特区の構想等についてはどうお考えになりますか。
(答)特区の構想も早くね、考え方をまとめられたらいいと思います。そんなに難しい話じゃないのですよ。土地利用規制だとか、いろいろな復興に際して、遭遇しなければならない法規制がいっぱいあるわけですよね。だからそういうものをざっと羅列をして、そうは言っても、これは絶対に守ってもらわなければいけない法律ってありますよね。いくら復興で自由自在にやってもいいと言うけれども、言ってもね、刑法は守ってもらわなければいけないですよね、そういうものは。これは極端な例ですけれどもね。そういう、国として絶対守ってもらわなければいけないものは別にして、あと、この非常時において必ずしも平時の法体系は一時的、臨時的に解除してもいいというものがいっぱいありますから、そういうものをざっと羅列をして、復興特区法をつくって、それについては、規制をノーレギュレーションにするのではなくて、条例によるレギュレーションにしますよと。法律から条例に委ねますよということをしてあげるだけでいいのですよ。これが復興特区だと私は思うのですね。そういうことをしましょうねと言う、一言言えば済む話なのです。その後のね、細かい体系はこっちで考えますから。私は、総務大臣というより内閣府の総合特区とか、構造改革特区の担当大臣ですから、ですから、政府の方針として、それをやろうという話になったら、もうすぐ考えますよ。もうそういう準備はしているのです。復興構想会議の方で、もたもたとは言いませんけれども、じっくりと検討されているのでね、いたずらに時間が、もてあましているという面はあるのです。
(問)京都新聞の小川です。ちょっとまた社会保障の方に戻すのですけれども、20日という期限についてですね、どういうふうに思われているのか。先日の税調で、確か急がば回れというような言葉を使っていらっしゃったと思うのですけれども、その辺りを1点と、あともう1点、出先機関改革のことで、広域連合などが3つの省庁について特に求めていますけれども、それ、今ですね、進捗状況がどうなっているのか。各省庁から、やはりこう、まだ、何と言うのでしょうかね、後ろ向きなことがあるのか、その辺りを教えてください。
(答)6月20日までにということをしきりに関係者が言われていましてね。私もそれをね、一概に否定するものではありません。できるだけ早く、このことは決めた方がいいですからね。一つの考え方として、理解はできます。ただね、スケジュールのことばかり気にして、大切な議論を置き去りにしてはいけないということを、私はずっと政府税制調査会でも申し上げているのです。というのはですね、政府の集中検討会議でまとめたたたき台にはいろいろ問題があるわけですよ。それを、もう問題だらけのものをね、時間が無いからというので、政府税制調査会もそれで了とし、それから、政府・与党のこの問題に関する成案検討会議でもですね、そそくさとまとめて、はい、決めました、政府の方針ですと言ってね、どれほどの意味があるのかと私は思うわけです。要するに、政府が決めたらそれで世の中通るのならばそれでいいですけれども。消費税というのは、もう国民みんなが、みんなが、極端なことを言えば、赤ちゃんまでですね、ミルクを飲んで、そのミルク代にも消費税が掛かっているわけだから、もう国民みんなが納税者なのですね。その納税者の大方の、全員ではなくてもね、大方のやはり理解と納得は得られることが必要だと思うのですね。諸手を挙げて賛成という人は少ないと思いますけれども、まあしょうがないなと、しょうがないなというとこぐらいまでの賛成は、やはり大方の方から得られなければいけないのですね。それができますかということが、私なんかは気になるわけです。何かね、政府の中でさっさと決めたらそれで世の中が全部治まるのだみたいに考えている人がいるのですよ。それは間違いですね。そんなことをやっていて、外に出てね、根本的な問題をいろいろ問われるわけですよ。なぜ5%なのですかとかね。そうなったら、さっきの地方の話が入っていませんねという話になって、途端にそこで崩れてしまうわけですよ。最後はね、腰だめですと言って、かつてどこかの総理大臣が言われたでしょう。それでポシャッたでしょう。だから、あれに非常に私は似た状況になるのではないかと思って危惧しているのです。あと、消費税は逆進性がありますねということは前から問われています。集中検討会議で逆進性の問題の懸念は提示されました、与謝野さんが。それに対する答えは、東大の先生が来て言っていましたけれども、一生で見たらそんなに逆進性は感じられないのだ、無いのだということを言われていましたけれども、私は財政学者ではありませんけれども、ほとんど子供だましに近いなと思いました。そんなことでね、世の中通らない。しかも、その集中検討会議ではそういう逆進性については、そんなに高くないのだと、大きくないのだという1人の意見が出されただけで、それでは駄目ですよ、違いますよという意見は戦わされていないのですよ。やはり、異論、反論のある中でね、なるほど、先生の言うとおりですねということになったのなら別ですけれどもね。それから、景気への影響もね、平成9年の橋本内閣のときに消費税を上げて、その後景気が急速に落ちたわけです。それまで盛り返していた景気が落ちたのですね。これは当時から消費税を上げたことが原因ではないかと言われていたわけですよね。その懸念も、指摘をされて、それに対する答えもですね、いや、それは必ずしもそうとは言えないと。当時は、アジア金融危機があって、タイや韓国で、それによる外需の落ち込みなんかが我が国の景気の足を引っ張ったのではないかということもあるので、必ずしも平成9年のときに消費税が景気の足を引っ張ったということとは言えないというような説明がありました。それはそうかもしれませんけれどもね。だからと言って、消費税が景気の足を引っ張らなかったという結論にはなっていないわけです。それについても、1人の人が意見を述べただけで、他の人は何もそういう異論、反論はありませんでしたのでね、根拠が非常に薄弱ですよね。それに対して、堀田さんだったでしょうか、さわやか財団の、世間に出たらこれは言い訳としか聞こえないでしょうねとかと言われていましたけれどもね。私も同感でしたけれどね。そういう調子ですから、だから、あくまでたたき台ですから、それをきちっとね、世の中に、本当に成果品として出すためには、国民に問うときには、そういうのをクリアしておかなければいけないと、私なんかは思うわけですよね。それが20日までにできればいいですけれども。20日を決めてしまって、時間が無いからそのようなことはもういいのですということであればね、問題含みの欠陥商品が世の中に出てしまって、結局、腰だめ論の二の舞になるのではありませんかということを、もう政府税制調査会でもはっきり申し上げているのですけれどもね。なかなか、でも、何か閣議決定をしたから20日までにやらなければいけないのだとか、スケジュール論ばかり先行しているような気がしますけれどもね。
 出先機関改革については、九州広域行政機構と、関西広域連合が3つの機関について移譲を受けたいという申し出が正式にありました。経産局、地方整備局、地方環境事務所の3つです。したがって、これを政府としてはきちっと受け止めて、それで、この移譲についての具体的な検討作業にもう入っています。関係の大臣には私の方から、先般、これについて検討を進めるので、協力方よろしくということを申し上げました。事務方の折衝というか、意見交換とか、協議の状況を聞きますと、やはり、真っ向から反対ということはないようです。それはアクション・プランで政府の方針として決まっていることですから。ただ、いろいろ、陰に陽に、いろいろ否定的な消極的な意見が出されているようですが、それはもう折り込み済みです、想定内のことです。九州と関西から申し出があったから、はい、どうぞ、もう耳を揃えて差し上げますということにはね、今の官僚機構はなりませんからね。ですから、かなりこれから議論をしなければいけませんけれどもね。基本的な方向は、ちゃんと条件を整えた上で移譲するということですから、だから、これからは、移譲するにはどうすればいいのか、どういう克服すべき課題があるのかということを中心に議論していくことになると思います。それが一方、一つの大きな課題です。もう一つは、受け皿の方がきちっとした説明責任を果たせる、またその仕事を担うだけの力量を持つ組織体であるかどうか、組織体になるかどうか、これの検証。それから、その受け皿の今後の充実というものが検討課題になると思いますね。できるだけ早くと思っているのですが、推進委員会、アクション・プラン推進委員会というものを作っていますので、私が中心になってやりますけれども、早くその協議の場を開きたいと思って、今、調整しているところです。
(問)共同通信の田井と申します。冒頭、発言された新規採用についてお伺いします。どういった省庁から増員要求が強いのか。また、10年度は09年度比で39%減の4,783人というのが上限とされていましたけれども、現段階だと今年はどのぐらいの条件を考えていらっしゃるのか。今朝の一部報道では昨年度より600人多い約6,000人とする方向で調整しているということもありましたけれども、お考えをお願いいたします。
(答)もともとですね、この新規採用というのは、本来ですね、最初に決めることではないのですね。本来は、各省の定数、来年度の定数は何人にすべきか業務との関連でということを決めるのが、本来の在り方なのですね。それで、総務省は、例えば来年度の定数、4月1日の定数が何人とこう決まりますと、そうすると、その前日の3月31日までに何人辞めるか、退職で何人辞めるかということがこれは明らかになりますね。自己都合で辞める人もいますよね。定年で辞める人、自己都合で辞める人。それを差し引いたら、何人足らないことになりますか。では、その補充をするのが新規採用ということになるわけですよね。もちろん、新規採用だけではなくて、中途採用とか、別途の例外的な採用の仕方もありますけれども、基本は新規採用ですね。そうやって差し引きで決まるものですから、今の段階で何人と決めるのは、本当はですね、必ずしも論理的ではないのですね。ただ、定員を抑制する基調で、今、民主党政権になってきていますから、総人件費2割削減のこともありまして、したがって、来年度、24年度も定員抑制基調になります。それを決めるのが年末になるのですね。年末に決まるのにですね、今、例えば各省自由に野放図に採用しておくと、あとでつじつまが合わなくなって、過剰になってしまうと。思ったほど退職がありませんでしたというと、あぶれてしまうわけですね。それを防がなければいけないので、今の段階で先を見越しながら、ちょっと内輪にしておきましょうねということなのです。去年はかなりそれまでよりも大胆に減らして、今、おっしゃったような数字になりました。今年は、退職者が相当出るということがあって、去年と同じようにはなかなかいかないだろうという認識は基本的に持っています。それから、もう一つは、大震災があったので、一部の省については仕事が例年より増えるだろうということも認識しています。それがいつまで続くのかというようなことも見極めなければいけない。そのようなことをにらみながら、各省と、今、調整しているところなのです。ちょっと調整過程なものですから、余りどの省に何人と言って、どの省から猛反発があるかというのは、ちょっと交渉中なものですから、説明は差し控えさせていただきたいと思いますが、総論で言いますとね、かなり、去年並ではないけれども、かなり厳しい新規採用枠をお示しをして、それに対して、多くの、多くのほとんどの省からそれでは足りなくなるからもっと増やしてくれという、今、復活の要請がきていまして、それを、今、調整していると。それについて、私の方から、今日は、そうは言っても、やはり抑制基調なのですから、協力を是非していただきたいと。もちろん、どうしてもぎりぎりこれは必要だというところはちゃんと考慮しますけれども、そうでない部分は切らせてもらいますからということを、今日、申し上げたわけです。
(問)よろしいですか。どうもありがとうございました。
(答)はい、どうも。

(以上)