片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年4月15日

(平成23年4月15日(金) 8:58~9:26  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日、閣議がありました。その前に、原子力災害に起因する経済被害に対応するための会議が催されました。特に、私の方から、ここで報告する事柄はありません。

2.質疑応答

(問)幹事社、読売新聞です。菅総理が、福島原発周辺には当分住めないという発言を先日されまして、波紋を広げていますが、総理自身は否定されていますが、自治体などからは、政府内からそういった発言が出てくること自体、問題だということで、不安や動揺が広がっていますが、震災1か月過ぎて、被災者のメンタル面でのケアというものが、今後ますます重要になっていく、そういう中で、これから自治体から政府への不信が強まりを見せていることについて、どう御覧になっているか。また、自治体との関係の強化と言いますか、理解を深める上で、大臣の具体的な何か、お考えがあったらお聞かせください。
(答)原発被害に起因しまして、既に8つの町村が福島県内では、庁舎の移転を余儀なくされているわけです。もちろん住民の皆さんも避難を余儀なくされているわけです。今、当面問題になっておりますのが、飯舘村などでありまして、これ、本当に大変なことだと思います。私も生まれたところが岡山県の田舎の方でありまして、年老いた両親がおりますけれども、今、もし自分の生まれ育ったところが全村と言いますか、私の場合は町でありますけれども、移転をするということになりましたら、本当に大変なことだと思います。想像しただけで、本当に、どれほどの困難が伴うかということは、もう容易に想像がつくわけであります。ですから、この飯舘村などの移転については、県や、それから国は全面的な支援、協力をしなければいけないと思います。そういう中で、村長さんなどが、住民の皆さんに事の経緯を説明されて、住民の皆さんから、いろいろな課題とか、それから、困ることとか、不安とか、そういうものが出てくるわけで、それを一身に受け止めていただいて、それを政府に伝えていただくということ。今、この作業をやっていただいているわけで、この町村長さんの御労苦には本当に敬意を表しますし、その御労苦や心中を、やはり、ちゃんと把握することが必要だろうと思います。今はそういう時期だろうと思います。それで、私は前々から、この原発関連の避難をしなければいけないとかという問題については、もっと丁寧に町村長さんたちに事情を説明していただいて、準備をしたり、それから町民の皆さんに説明したり、相談をしたりする時間的余裕を与えてくださいということをお願いしておりまして、最初のころは、余り時間的な余裕が無かったわけですね。プラントの危険性の緊急性も有ったものですから。しかし、ここになって、飯舘村などについては、かなりそういう面では、政府の対応というのは改善されたと思っています。まだまだ丁寧にやるべき事柄はありますけれども、以前に比べましたら、丁寧になったと思っています。これをより一層丁寧にしていただきたいと思いますし、先ほど言った、今、町長さん、村長さんたちが苦労をされている、そして、村民の皆さん、町民の皆さんから集約された課題などについては、政府が丁寧にこれも対応するということは必要だろうと思います。その上でですね、今、私が、もう関係者に申し上げておりますのは、やはり、是非ですね、村を挙げての移転ということになりますと、本当に、難題、課題、もう、我が国では、少なくとも戦後初めてのことですしね、明治以来初めてのことだとも思います。こういう難事業をやり遂げるには一つの村だけでは無理ですから、ですから、県やそれから国の関係者がそれをちゃんと支援をする、そのオペレーションを支援する、そういう体制が現地に作られるべきだろうと思うものですから、そういう提案をしているところであります。
(問)共同通信の今井ですけれども、閣議の前のその原発事故の会合で、大臣の方から何か発言が有ったのであれば、その内容を教えていただきたいのと、この件に関するお考えがあれば、お聞かせください。
(答)私の方はですね、今、何が一番問題かと言うと、いろいろな問題があるのですけれども、例えば、出荷制限を余儀なくされている方がおられるわけですよね。それに対して、その経済被害に対してどうなるのだろうか、非常に不安だと思います。それから出漁しても、今の、魚の放射線量の数値からいうと売れないと。だったら出漁を見合わせざるを得ないという人たちも、本当に、もう、不安と、将来や今の生活に、緊張と不安があるわけですよね。そういう方々に、最終的にどうなるかはともかくとして、当面の目安と言いますかね、例えば、自分が被る経済被害を、どうしてもらえるのだろうかとか、それを立証するには、どういう準備をしておけばいいのか、手立てを講じておけばいいのかとかですね、そういうことをきっと相談したいと思っている人ばかりだと思うのですね。ですから、そういう方にこたえられる、当面の相談体制と言いますか、相談窓口とかね、そんなものが必要ではないでしょうかということを申し上げておきました。特に、一次産業が盛んな地域が多いですから、そういうところは、行政が主導して、例えば、出荷を抑制しようねとか、自粛しようねなんてこともあるわけですよね。そうすると、生産者の皆さんとの間に役場が間に入ることが多いわけです。それが専らだろうと思いますので、そうすると、役場の皆さんが、そういう生産者の皆さんの不安などを集約されて、それについての不安を解消するというか、それに対するレスポンスができるような仕組みが最低限必要ではないかということを申し上げて、お願いをしておきました。
(問)すみません、北海道新聞の中村です。先日の復興構想会議で、五百旗頭さんからですね、復興税の創設をするべきだというようなお話がありました。改めて、この復興税構想について、大臣、どう受け止めておられるのか、お願いします。
(答)これは、これからの議論だと思いますね。当然、巨額の復興費用というのはかかるわけでありまして、これをどうやって財源調達するのかというのは非常に重要な問題です。ですから、決して避けては通れない。その際に、タイミングをどうするのかとかですね、それから、どういう形で財源を調達するのかという具体論をしなければいけないわけですけれども、それは、本来、政治の最重要課題の一つだろうと思いますね。復興会議で当然議論が、当然というか、復興会議で出るべくして出たのでしょうけれども、本来は、これは、政治が正面から向き合って、国民の皆さんに説明をして、納得を得られる、説得をするという、こういう努力をしなければいけない分野だと思います。学者の皆さんとか、有識者の皆さんに論じてもらう、正面から論じてもらうテーマでは、必ずしもないのではないかと私は思います。政治の責任だと思います。
(問)それに関連して、震災についてはですね、この会議を含めてかなりたくさんの会議が出ています。それが、野党などからは役割分担が明確でないという話も出ていますし、今、大臣がおっしゃられたように、政治で真正面からやるべき話がこういった場所で話し合われて、この役割分担について、大臣はどのようにあるべきだとお考えでしょうか。
(答)私はですね、その数多くあると言われている、本部とか会議の幾つかに加わって、それで、どう言うのでしょうか、中心的と言うか、中心的々役割を果たしているものもありますけれども、一つはですね、やはり組織が一つだけでは決してうまくいかないという、これはもう確かです。例えば、私は被災者生活支援本部の本部長代理をやっていますけれども、これも、原発のプラントの問題も、今朝やった経済被害の問題も、全部一緒くたにやるというのは、これは無理です。ですから、やはりある程度分野を分けて、そこで責任体制を作って、議論と検討と実施を進めていくということは、これは必要だと思います。その際に、もう一つ条件がありまして、それをきちっとですね、司、司で、責任を持たされた人が、ちゃんと、ほぼ自己完結的に、その組織体制、本部なら本部を運営して、切り盛りしていくということが必要だと思うのですね。それが有るかどうかだと思います。それが無ければ、単に会議を何か幾つもやっているという印象を与えることは、これは、あり得ることだと思うのですね。ですから、使い用だと思います。私の加わっているもので言いますとね、被災者生活支援本部は、毎日、今日もこれからやりますけれども、毎日、課題を共有して、それで、必要な事柄については解決をもう翌日までにはしていくということをやっているのです。それで、単なる本部の会議ではなくて、各省の、善し悪しは別にして、縦割りの組織というものをもうフル稼働させるという、その仕事をやっているのですね。だから、被災者の皆さんの生活支援について必要なことで、それは大体縦割りの中で処理できますので、縦割りで下ろして、一つの役所に下ろして、下ろしっぱなしにしないできちっと進行管理をして、結論を得ていくと。それから、齟齬が生じてはいけませんから、縦と縦の間に、それを総合調整するということをやっていましてね、そういうやり方をしているものですから、少なくとも、私が関与しているものについては、何か形骸化しているとか、それから、会議だけが開かれているということではありません。だから、是非ですね、これ、私も全部参加しているわけではなくて、主体的にやっているのは幾つかですけれどもね、私はそういうやり方をしておりますので、ほかのところも、そういうやり方をしていただければいいなと思いますけれどもね。
(問)朝日新聞の稲垣です。先週日曜日に統一地方選の前半がありまして、与党民主党が一応敗北をしたという認定のされ方をしています。それを受けて、やはり菅総理に対する風当たりが強まっているように感じるのですけれども、例えば、自民党の方は、公然と退陣要求をまた始めましたし、あと、党内でも、西岡参議院議長や小沢一郎さんがやはり菅総理に批判的な発言をされ始めています。これについて、大臣は、今後の復興を進める上でですね、ちょっと障害になりかねないというふうにも感じるのですけれども、その辺り、どうお感じになっているかということと、こうした批判、党内外の批判勢力に対して、こうした批判は当たらないというお考えか、それとも一定の、やはり説明をする必要があるとお考えか、その辺りをお聞かせください。
(答)今、本当に復興に全力を注ぐべき時期でありまして、ここで何か大きく政治の体制を変えるということはですね、大変大きなロスを生じると思います。やはりこんな難事業をですね、克服するには、成し遂げるには、やはり普段よりは、政治というものは一致協力をする必要がある時期だと私は思います。もちろん、その中でね、復興を進めていく中で、いろいろな至らざる点とか、それから、不十分な点とか、改善を加えるべき点はあると思います、それは。ですから、それは大いに言っていただいたらいいと思いますし、言われるべきだと思います。そういうものでなるほどと思ったもの、被災地の皆さんの不安を取り除いたり、それから、復興に資すると思うものは柔軟に取り入れるという、だれが提案したものであっても。そういう姿勢が政権側には求められるのだろうと思います。是非、この際は、やはり、それこそ本当に心を一にして、復興に邁進できる、そういう政治基盤を是非与野党の間で作っていただきたい。これは、別に大連立をしてくださいという意味ではないのです。野党は野党で構いません。それは、厳しい批判をしていただいたらいいと思います。提案や指摘が有っていいと思います。ですけれども、最終的には、それは、足を引っ張ったり、復興の阻害になるようなことではなくて、前向きの批判とか対立というのは、有っていいと思います。それを柔軟に汲み取って、復興につなげていくということだと思います。
(問)すみません、時事通信の赤間と申しますが、今日で地上デジタル放送移行まで100日というタイミングになりましたけれども、これまでの地デジ普及の推移に対する御所感ですとか、今後の取組に対する意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。あと、被災3県でのですね、地上デジタル放送を、これ、延期をするかどうかという是非を検討なさっているかと思いますけれども、今のところのお考えはいかがでしょうか。
(答)地デジはあと100日になりまして、全国的な傾向と言いますか、被災地を除いた地域についてはですね、これは、当初の、これまでの方針どおり、最後の追い込みに全力を挙げるということでありまして、これは、これまで考えていたことと、そんなに違わない推移をするだろうと思っております。問題は、今回、大きな被災を受けた地域でありまして、ここは、いろいろな課題があります。テレビ自体がもう家屋とともに流出して見えなくなってしまったという、こういう問題ももちろんありますけれども、今までせっかく地デジ対応として施設を設置してきたものが流されてしまって、これを回復しなければいけない、それにどれだけ時間がかかるかとかですね。それから、例えば、宮城とか、岩手なんかで、被災は必ずしもしていないけれども、アナログで残っている世帯などについて、これからの100日間でちょうど追い込みをかける、自治体とか、それから、関係機関の協力を得ながら、最後の追い込みをかけるというこの時期に、自治体の方がなかなかそこまで手が回らない。災害復旧とか、それから被災者の皆さんの受入れなどで手が回らないというような事情があるという報告も受けておりまして、これらをどういうふうに評価をして、評価というのは、どういうふうにとらまえて、大きな被害を受けた地域の、この問題をどう処理するかということを、今検討しているところです。実務者の皆さんから、既にもう、いろいろ、どういう問題がある、どういう状況にあるかということは、報告を受けております。別途ですね、やはり責任ある立場の方が、この問題を地域としてどうあるべきかということをお伺いすることが必要なものですから、この間、知事さんとか、それから副知事さんなどに、主だったところには、電話をしたりしておりまして、それを今、まとめて、具体的にどういう対応案にすべきかということを、今、考えているところです。いずれにしても、これは法律事項のものですから、役所で勝手に決められませんので、一部、状況は、もう与党の部門会議などに御報告をしておりますけれども、改めて、週が明けましたら、総務省としての考え方を取りまとめたいと思っております。その上で、必要があれば、恐らく必要があると思いますけれども、必要があれば、法律の改正案を提案するという段取りになると思います。今、まだ、最終的な案の取りまとめ段階であります。
(問)すみません、追加でよろしいでしょうか。今週だと思うのですが、北海道・東北知事会の方からはですね、もう、はっきり、こう延期してくださいという旨で御要望が出されているかと思うのですけれども、それで、今のお話を聞くと、大臣としても、かなり移行は厳しいという御認識をお持ちのように聞こえるのですけれども、感触としてはどうでしょう、何らかの手を打てば、7月末に移行できるというふうにお考えになっているのか、それとも、今の情勢としては大変厳しいとお考えになっているのか、どちらでしょうか。
(答)それを見極めているところなのですね。集中して、別途、今までとは違った手立てを講じることによって、乗り切ることができるのか、それとも、大打撃を受けた被災地については、少し、アナログ停波を少し延期するということが妥当なのか、その辺を見極めているところです。いずれにしても、今までどおりの取扱いではうまくいかないものですから、どっちにしても、新たな取組が必要になると思いますから、それらの功罪とかですね、影響などについても、今、点検をしているところです。
(問)京都新聞の小川と申します。知事会長選がですね、間もなくあるのですけれども、もう、これ、個人的な所感で結構ですので、この時期のですね、新たな知事会長に求められること、どういうような方になってほしいと思われるか、個人的で結構ですので、お願いします。
(答)これはね、総務大臣がどんな知事会長がいいということを申し上げるのは、余り適当ではないと思いますね。それは、知事会の皆さんが、やはり自分たちの会長として、どういう会長がふさわしいかということを考えられて、それで、選挙なら選挙をされるべきだと思います。ただ、私の方はですね、この間の知事会とお付き合いをした感想を申し上げますとね、麻生会長の下で、象徴的なことが、印象的なことが二つ有りました。私が大臣になってから。一つは、地方自治法の改正案について、政府側というか、総務省というか、もっと言えば私を中心にした総務省の考え方と、知事会の考え方が、かなり異なる面がありました。これは、従来、無かったことなのですね。従来は、総務省と、旧自治省の時代から、知事会を始めとする六団体とは、もう非常に蜜月的な関係にありまして、ほとんど一心同体のような関係だったわけです。歴史をさかのぼると、一定の時期、必ずしもそうでなかった時期もあります。私が知事をやっていたときなんかは、かなり疎遠な時期もありましたけれども、総じて一心同体的な関係にあったのですけれどもね。この度の地方自治法の改正案をめぐっては、異論反論を戦わせました。これはね、世間から言うと、なんだ、こんな対立しているのはおかしいじゃないかとかね、国会議員の皆さんの中にもよく相談をして、ちゃんと、そういう異論や反論が表面化しないようにすべきではないかと言って、私もたしなめられたりしたこともあるのですけれどもね。私などは、国の考え方と、それから地方団体を代表する人たちの考え方に食い違いがあるのは当たり前だと思うのですよ。それは、きちっとお互いに言えばいいことなのですね。知事会とか市長会なんかの、いわば業界の利益を代弁する役割ではありませんのでね、総務省は。国民の皆さんのために地方自治制度はどうあるべきかということを考えるわけで。そうすると、住民の皆さんを束ねて、自治体を経営する人たちの考え方と、やはりそれは齟齬があり得るのですよ。それは、決して押さえ込んだりすべきではなくて、ちゃんとオープンに議論したらいいと思っていましたから、そうなったのです。これは、私は、非常にいいことだと思うのです。麻生会長の下で。皆さんから見ると、ぎくしゃくしているという印象を与えたかもしれませんけれどもね。そういう意味で、知事会は進化したというのが、一つ、私は印象を持っている。もう一つは、今回の震災で、もうその日から実は相談をして、知事会長とは。それで、被災県に対する支援というものを積極的にやっていただくということになりました。差し当たっては、物資の支援のネットワークを作っていただきました。本当に早かったです。これはね、今まで無かったことなのですけれども、知事会の事務局の方に、これは都道府県会館の中にありますけれども、都道府県会館の中に各県の東京事務所がありまして、その東京事務所の職員をある程度集めて、そこで支援チームを作っていただいたのですね。これは、大変、私は有り難かったし、被災県にとってももちろん有り難かったのですけれども、私にとっても非常に有り難かったです。続いて、市長会も同じようなことをやっていただきましてね。その後、物資から、今度は人材派遣の仕組みに重点が移ったのですけれども、これも本当に熱心にやっていただいていまして、私はこのことは本当に感謝しております。今までそういう取組は知事会では、無かったと思います。私もそういう知事会のメンバーでしたけれども、そういう記憶はありませんので。これは、麻生会長が福岡の知事であって、玄界灘の地震が先年ありまして、ありましたけれども、やはり被災をした自治体の長、そういう経験がある長、知事さんだということで、もう、人ごとではなく、この問題に取り組んでいただいたのだと思うのですね。これが印象的でした。何が言いたいかというとですね、そういう、私が大臣になりましてから、二つの事柄がありましたけれども、これからも、そういう総務省とべったりではなくて、だけれども、いざというときには本当に協力がし合えて、困っている地域、自治体のために協力して、力を注ぐことができるという、この二つはね、新しい会長さんにどなたになられても、是非、引き継いでいただきたいなと思っております。本当に麻生さんには、この間の、3月11日以来の、積極的な取組には、本当に心から感謝をしている次第です。
(問)よろしいでしょうか。ありがとうございました。
(答)はい。どうも。

(以上)