片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年2月18日

(平成23年2月18日(金) 10:34~11:21  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日は閣議がありまして、閣議終了後の懇談会で私の方から国の地方出先機関の移管などにかかりますアクション・プランの推進についてということで、閣僚の皆さんに御報告と、それからお願いをしました。報告というのは、昨日、アクション・プランを推進する委員会、私が委員長ですけれども、第1回の委員会を開きまして、そこで、九州ブロック、それから関西ブロック、それから沖縄県、それぞれの代表の方から広域出先機関の移管についての意見を伺いました。それについての報告をしてきました。併せて、今後、この方針に基づいて、移管を円滑に進めるための関係大臣の皆さんの協力をお願いしたところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)共同通信の藤田です。おはようございます。民主党の比例代表のですね、選出された16人の方が会派の離脱を表明されて、予算関連法案への、賛成しない構えも見せていますけれども、閣僚としてどういうふうに受け止められるか、お伺いします。
(答)幾つか感想が無いわけではありません。例えば、一つはですね、昨日の会見など、私も報道で拝見しましたけれども、いまひとつ、その理由がよく理解できないところが私にはあります。と言いますのは、一番おっしゃっていたのはマニフェストの実現ということをおっしゃっていて、これは、一般論としてはそのとおりなのでしょうけれども、あまりこれまで、あの方々がマニフェスト実現に、会派離脱を志すほどの情熱を傾けておられたのかどうかというのは、私が知らないだけかもしれませんけれども、そういう印象を持っておりませんでしたので、いささか唐突な感じがしました。これはちょっと失礼に当たるかもしれませんけれどもね。私の認識不足かもしれませんが。それから、今、統一地方選に向かって、全国各地では民主党を含んで、いろいろな政党がしのぎを削ろうとしているわけですね。そのときに、私は民主党ではありませんけれども、民主党の公認を得て戦おうとしている方々にとっては、かなりショックなのではないか。本部の方でごたごたしているというのは、現場では、かなり、ショックを与えるのではないか。何回も言いますけれども、私は民主党ではありませんけれども、地方議会議員の選挙などに立候補しようとされている方にとっては、その胸中を察すると、いささかお気の毒な感じがしますね。やはりそういうことを本部としてはもう少しおもんばかってあげるべきではないかと。私も地方にいたことがあるものですから、その当時のことを思い起こしますとね、そういう混乱がやはり生じるのではないかという、そういう危惧を持っております。
(問)もう1点ですね、別の話を伺いたいのですけれども、大雪の関係で、全国で、特にお年寄りが雪下ろしの最中に亡くなるという事態が多発していまして、先日、 16日でしたか、鉢呂副代表とお会いになったときに、公的支援が必要ではないかという認識を述べられたやに聞いたのですけれども、これ具体的にはどういう仕組みが考えられるのか、ちょっと教えていただきたいのですが。
(答)先般ですね、民主党の豪雪の関係の集まりの皆さんが来られまして、鉢呂さんが代表だと思いますけれども、来られまして、そのときに、いろいろな地域の実情を伺いました。民主党の皆さんが豪雪地帯を視察されて、現場から意見を聞かれて、その上で、担当大臣にということで来られたものですから、意見を伺ったのですけれども、そのときに時間がありましたので意見交換をしたのですが、私が申し上げましたのは、幾つか申し上げたのですが、一つは、従来の自治体の豪雪に関する役割というのは、道路の除排雪、除雪・排雪が大きな仕事なのですね、これは今もそうです。それに対して財政措置も、ルールとして国庫補助金だとか、それから特別交付税だとかあるわけですね。それでよかったのですけれども、最近の実情を見てみますと、それだけではなかなか地域を守れないような現状があるのではないか。要するに、道路などの公共施設がちゃんと使えるようにということをやれば、後はそれぞれ各自が自主的に経済活動をしたり、仕事をしたり、生活を営んだりできるという、そういう前提で道路の除排雪というのはやってきているわけですけれども、最近の実情を見ていると、80歳を超えたお年寄りが、自分で屋根の上の雪下ろしをされていて、そのこと自体が、もうかなり、私は大変なことだと思うのですけれども、その結果として、事故があって、転落などの事故があって、命を失われている方も各地に出ているということは、これは、やはり、何か考えなければいけないのだと思うのですね。自分の家のことだから自分でやりなさいというのは、これがもう原則ですけれども、それができないような実態があるとすればですね、やはり何らかの、事情に応じて何らかの手立てとか支援というものが、これから必要になるのではないかということを申し上げたわけです。だから、自治体の役割というものが、従来の古典的な道路の除排雪中心というところから、少しもっと外延が広がる可能性があるのではないかという。実際にそういうことをされているところもあるのですね、伺ってみますと。これは、いろいろな方が私のところに来られますから、町長さんのところではどうされていますかと聞いたりすることもあるのですけれども、うちではこんなことをやってます、あんなことをやってますというところもあります。それから、いやそれはもう公私のしゅん別で、自らのことは自分でやるということが原則なのですと。だから、業者のあっせんはしますと、雪下ろしをする業者の方をあっせんはしますと、そこまでにとどめていますというところも多いのですけれどもね。自治体の役割が少し変質、変容するのではないかということを申し上げたわけです。そうだとすると、それに応じた財政対策とか財政措置というものも、考えなければいけないのではないかという、そういうことをちょっと意見交換しました。あとは、豪雪地帯で自衛隊の応援を頼むということがありましたし、それはあっていいと思うのですけれども、私はかねがね思っていますのは、自治の原則というのは、補完性の原理というのが一つありまして、まず自分たちでやれることは自分たちでやる。やれないことは都道府県が広域的に補完する。それでもやれないことは国が乗り出すという、これが補完性の原理ですけれどもね。自衛隊に頼むということは、それはそれでやむを得ないことだし、必要な場合はそれでいいと思うのですけれども、では、自前の実力部隊である、実力集団である消防機関ですね、ここに余力は無いのかという点検をすべきではないかということを申し上げました。もちろん消防は、それぞれの消防署の人数などそんなに多くありません、実態は。特に豪雪地帯などは、地方部は大きな消防署ではありませんので、だから、人数もそんなに多くありませんから、そんなに余裕は無いかもしれません。無いとは思います。それから、豪雪になると、消火栓のところをよく点検して、いざというときは、その消火栓がちゃんと使えるように、そこだけは何が無くてもちゃんと雪かきしておかなければいけませんから、そういうことに出動されていると思いますから、そんなに余力は無いと思いますが、でも、努力と工夫で、ある程度の余力は無いのかという点検をしていただきたい。実際聞いてみますと、消防機関がやはり余力をもって、地域を守るための雪かきとかですね、そういうものに協力をしているところもあるようです。ところが、もうそもそもそういうことは期待してないのだというところも多いようですので、それは地方自治の世界ですから、国がとやかく言う問題ではありませんけれども、是非、地域を守るという観点で、消防というのは、火事を、消火と、それから救急というのは、これがメインの仕事ですけれども、基本的なミッションは、地域を守る、地域の安全を守るということですから、そのミッションに基づいて、豪雪であるとか、いろいろな火災、救急以外のアクシデントや災害についても、役割を果たして然るべきではないかというようなことをお話をしました。
(問)北海道新聞の中村です。主婦の年金の救済措置、特例措置について伺います。先日、総務省の年金監視委員会は、是正を求める報告というか、そういう考えを示されましたけれども、厚労省は必要な措置だということで、厚労省側は必要な措置だという対応をしています。大臣は、この制度について、是正勧告の必要性も含めて、どのようにお考えになるのか。また、厚労省との考え方のかい離がありますけれども、今後、これはどのように調整をされていくのか、お願いいたします。
(答)今、監視委員会でこの点検作業をしていただいていますので、その途中経過が報道にも出ていますけれどもね。最終的に、監視委員会がどういう判断をされて、私のところに、どういう申し出なり、要請なり、答申なりが出てくるのかというのを待って、その上で対応したいと思います。まだ途中段階で、監視委員会としてどうあるべきだということで、私のところに報告が来ているわけではありません。これは、監視委員会でチェックをするということになっていますから、やはり監視委員会の主体性とか自立性を、まずは尊重したいと思います。
(問)自治日報社の内川と申します。出先機関改革の関係で、道州制についてお尋ねします。全国町村会が町村合併につながるということで反対の判断で、大臣も、確か以前に、住民から遠くなるということで、否定的な認識を示されていたかと思うのですが、関西などで広域連合というような形で広域行政体制が整えられようとしている動きがある中で、道州制についての大臣のお考えを改めてお伺いできればと思います。
(答)道州制というのはですね、今の政権の下では、射程に入れるということはあるけれども、当面、具体的な検討をするということにはなっていないのですね。それは多分ですね、市町村合併がかなり強引に推し進められて、それに伴って、いろいろな副作用だとか、それから、もっと具体的に言えば、住民自治が少しないがしろにされたのではないかという危惧があると思うのですね。そういう反省があって、今、都道府県を道州に、いわば強権的に再編、整理するということについてのためらいが、私は民主党政権にはある、あったはずだと思うのですね。その認識は、私も相当部分共有しています。今の段階で、国がまるで市町村合併を進めたかのごとく、都道府県の再編、整理というものを、道州制というツールを使ってやるということについては、極めて消極的です。というか、やるべきではないと思います。そこで、今の民主党政権は、そういうことはしないで、都道府県というか、広域自治体の今後の在り方については、まずは自主的な合併でありますとか、そういうことがあれば応援しましょうと。それから、自主的な連携ですね。それは、広域連合であったり、今回、九州で芽生えていますけれども、新しい行政機構体を作りたいということ。そういう構想があれば、それは積極的に応援したいというスタンスなのですね。それで私もいいと思います。ということで、今、たまたま国の地方機関を大幅に移管したいということが政権のテーマとしてあるものですから、その際に、九州は広域行政機構体を作って受け止めたいと。関西は広域連合をもう作っていますから、そこで受け止めたいという話が出てきたので、国と、そういう該当地域との意思がある程度、こうマッチングしていますのでね、では、共同作業を進めましょうかというのが今日だと思います。
(問)あと、すみません、1点。行政不服申立ての改革で、昨日、知事会などからヒアリングが行われまして、政府は審理官というものを新たに置くという方針だと思うのですが、知事会は条例で任意に設置できるようにしてほしいと言っているのですが、委員の方からは、市町村は任意の設置でも構わないけれども、都道府県は必置であるべきだという意見もあるのですが、都道府県の審理官の必置についての大臣のお考えをお願いします。
(答)これはですね、審理官の必置制がいいのかどうかという、そういう個別の問題ももちろんあるのですけれども、全体の話としてですね、行政不服審査法のようなものを検討する際に、知事会とか、市長会とか、そういう立場にある人たちの意見をどのように反映させるのかという問題が背後にあるのですね、重要な問題が。論点としてはですね、地方自治なのだから、地域主権改革を標榜している民主党政権なのだから、そういうものも含めて全部任せたらいいではないかと、自治体に。行政不服申立ての制度というものをどう構築するかは、基本的にはそれぞれの自治体の自由に任せて、そこで制度設計してもらったらいいのではないかというのが、一つの、これ、理念です。一方では、知事会とか、市長会に属する皆さん方というのは、実は、国民、住民の皆さんからは、不服申立てをされる相手なのですね。一方当事者なのですね。そうすると、その一方当事者だけの意見を聞いて制度設計していいですよということになると、国民、住民の皆さんの権利というものが、不当に侵害されるのではないか、抑圧されるのではないかという懸念もあるわけです。だから、国民主権という立場に立てば、その制度設計、情報公開制度だとか、行政不服申立てだとか、その種の制度設計を、やはり国民の観点で構築すべきではないか。その際には、知事会、市長会の皆さんの意見とは対立する可能性が当然あります。それはしようがないのではないかと、当然ではないかという意見があります。実はこの二つがあるのです。この検討チーム、行政不服審査法の改正を検討するチームの中でもですね、両方の意見があるのです。これを整理しなければいけないと思うのですね。したがって、そういう二つの異なる、国民主権の観点に基づく意見と、地方自治、地方分権、地域主権改革に基づく意見との間の対立というか、相違を埋めていかなければいけない。そういう中で、昨日ですか、昨日、行われたとすれば、それは一方当事者から意見を聞いたということになるわけですね。という段階だと思います。
 私は、どうかと言われれば、両方とも大切だと思います、両方の理念が。地域主権、地方自治という理念も大切だし、国民主権の理念が大切だし、どちらがより大切かと言われれば、やはり国民主権だと思います。憲法で一番何を大切にするかというと、国民の人権です。憲法というのは、国民の人権を守るためにある仕組みですから。ですから、最終的に一番何が大切かというと、国民の権利がちゃんと侵害されないで全うされるかどうかという、この観点で物事を論ずるべきだと思います。地方自治というのは、国家主権、国家と地方自治体との関係を律する理念で、国家が自治体に対して不当に介入してはいけないとか、それから、自治体の自主性を最大限尊重すべきだという、国対地方の関係なのですね。国民主権というのは、ちょっといささか違ったレベルで、最も大切にしなければいけない要素だと思っています。私もメンバーの一人ですので、これから、検討を進められる過程では、今のような意見も踏まえた取組をしていきたいと思っています。
(問)テレビ朝日の山根です。2点お伺いしたいのですが、まず第1点ですが、昨日、愛知県の大村知事がいらっしゃってお話をされた中で、その後に大村さんが、大臣が以前会見でおっしゃっていた、今回の河村市長のやり方を含めて、はやり病というような言葉を使われた点について、大村さんからはお話をお伺いしたのですけれども、その場で、大臣の方からこの会見でそういう発言をされたことが話題になったと思うのですが、どういうふうなお話をされたかというのをお伺いさせていただきたいのですが。
(答)大村さんは、昨日、新任の御挨拶に来られましてね。昔からよく存じ上げている旧知の間柄なものですから、いろいろな話をしました。その中で、私がここで、記者会見で申し上げたことについても話題になりました。それは、都構想ですね。都構想について、新潟なんかでも出ているけれども、どうなのですかという質問があったので、はやり病とは言いませんけれども、何らかの影響を受けて、いろいろ提唱されているという面があるのではないか。私の認識違いかもしれませんが、ということをお断りして、その都構想についての私の考え方を述べたわけで、その下りについて、やはりそれは、はやり病と、私、言ったわけではありませんけれど、はやり病とは言いませんがと言いつつ、はやり病という表現が出ていますから、不快な面はあったのでしょうね。そのことをおっしゃっていました。だから、誤解を与えたかもしれませんけれどもね。というのは、報道は、一部はぎ取って、編集して報道されますから。だけど、会見録に、総務省の会見録に全部出ていますから、全体が。よく見ていただいて、その上で、異論なり御意見なりあれば、おっしゃってくださいということを申し上げたのと、もう一つは、かねてこの場でもお話ししてきましたけれども、大都市における行政の仕組みの在り方、行政体制の在り方というのは、やはり検討する必要があるのですね。あると私は思っていまして、かねがね思っていまして、そういう中で、都構想というものも含めて検討されることになりますから、だから、いずれ検討の場を設けて、提唱されている方々からの御意見を伺う機会を作りたいと思っていますので、そのときは思う存分聞かせてくださいということを申し上げておきました。そうしたら、分かりました、よく準備しておきますと言って帰られましたけれどもね。
(問)もう1点なのですが、最初の方の質問にもあったことなのですが、昨日のアクション・プランの推進委員会の中で、例として出てきたのが、鳥取県の豪雪のときに国道が止まって、その道路管理の、国と地方の行き違いから、なかなか解決できなかったということがあったと。そういう意見も出ていたかと記憶しているのですが、今回、鳥取県の方から、例えば、広域的なもの、今回、関西広域連合の中に鳥取県は入っていますけれども、その道路管理において、こういう事態が生じないために、地元から権限の移譲というもので要望が出ていなくても、こういう何かしら、こういう災害対策に対して、実際に例が出されたわけですから、地域主権戦略会議として対応できるような方向というものがあるものでしょうか。
(答)今回のアクション・プランを作ったときの基本的な考え方の一つに、地域の主体性、自主性というものを最大限尊重するということがあるのですね。それは、さっきもちょっと道州制のところでお話ししましたけれども、国から強制的な再編とか事務権限の押し付けはしませんと。あくまでも、広域ブロックとか、それから、各県単位でももちろん結構なのですけれども、機関とか権限の委任、移譲を受けたいと、移管を受けたいというところを尊重しましょうということなのです。ですから、鳥取県に限らずですね、各県から国道の直轄国道の、自分のところの区間、地域の区間について移管を受けたいというお話があれば、それを、昨日の地域主権戦略会議の推進委員会の中に、直轄国道・直轄河川グループを、分科会を設けることにもう決まっていますので、委員も決めましたので、そこで検討されることになります。それが、申し出が無いのに、こちらから雪でお困りでしょうから押し付けますよということをするつもりはありません。あくまでも手を挙げていただけるかどうかということです。
 私、昨日はですね、要するに、雪のことなんかを考えたら、国道は2桁国道までですけれども、1桁と2桁の国道、国道の番号がですね、2桁国道までは直轄事務所でやって、県道は県がやって、3桁国道も県がやって、市町村道は市町村がやると。こういう仕組みになっているわけです。一つのエリアを取ってみると、直轄国道と、県管理の県道ないし国道と、それから、市町村道とが混在していますから、それをばらばらに、それぞれの持ち分ごとに除雪するよりは、一括して面的にやった方が多分いいと思います。そのことについては、もう争いは無いのですね。昨日、そのことの説明が一生懸命ありましたけれどもね。そういうことは、そうなのですよということを前提に、では、具体的にどこをどういうふうに移管しましょうかという、そういう作業を開始しましょうというのが昨日の委員会なのですよね。ちょっと昨日は、なんか移管をすることのメリット論がかなりあったので、ちょっと私も意外だったのですけれどね。もうそのステージは終わっていて、であるがゆえに、どこをどういうふうに具体的に進めますか、そのための財源とか人員はどうしますか、ということを議論する場なのですけれども、いささか誤解があったのかもしれませんね。皆さんにはありませんでしたか。
(問)京都新聞の小川ですけれども、昨日ですね、26日の臨時知事会の前に、知事会側が会見をしまして、地方自治法の改正案、今国会への提出が拙速なのでやめるようにと、かなり厳しい口調でですね、主張されておられました。改めて、今回ですね、今国会に提案しなければならない急ぐ理由があるとすればですね、どういう点があるのか。知事会側はかなり厳しく反発していますが、その辺りについて教えてください。
(答)昨日、たまたま山田京都府知事とお会いしたので、その話が話題になったのですね。知事会の様子も聞きました。私、かなりやはり誤解とか、事実認識の違いがあるなと思いましてね。というのは、唐突だと言われる方もおられるようなのですけれどもね、知事会の代表というか、現職の知事の方も地方行財政検討会議には最初からずっと入られているわけです。知事会の皆さんも、事務局の皆さんも、随行で来られていたわけですよね。だから、会議の様子というのはつぶさに分かっているはずなのです。それを、47の都道府県知事の皆さんが共有されていたかどうかは分かりません、これは。これは組織の内部の話ですから、先方の話ですからね。少なくとも代表の方が入られて、意見も述べられて、他の委員の意見も言って、そういう中で、座長の西尾先生がまとめられたわけですよね。それに対して、もちろん全員一致でね、それがベストだということでは必ずしもありませんでしたけれども、まあそんなところでしょうねということだったと思うのです、私もその場にいましたから。これは議事録を見ていただいたら分かりますから。だけど、何か、地方行財政検討会議でコンセンサスが得られていないというふうに知事会へは報告があったというふうなことも、昨日、山田知事から伺いましてね。ちょっとそれは意外だなと、それはちょっと事実と違うのではないでしょうかと。この中でも、皆さん方も、地方行財政検討会議に出られた方、大勢おられたと思いますけれどもね。最後に西尾先生が総括されましたよね。大体、議論の結果をまとめるとこうだなということになったと思うのですけれどもね。その辺の事実認識の違いが一つあります。
 それから、時期尚早だとか、協議がなかなかなされていないということを言われている方もおられるらしいのですけれども、わざわざ総務省、私を含めた総務省と地方六団体の代表との間の協議の場も何回か持ってきたわけです。総務省でやりましたよね。その中で議題にして、先般もやりましたよね。知事会の代表の方が確かに否定的なことをおっしゃっていまして、疑義を述べられていまして、それに対して私は、かなり丁寧に、なぜこの改正が必要かということを申し上げたはずなのです。そのときには、この中で出られていた方は御存知と思いますけれども、知事会の代表の方からは、反論はありませんでした、その場で。せっかく協議の場を設けたけれども、反論はありませんでしたよね。言われたのは、地域主権改革三法案を早く通してくださいと言われたので、それは努力します、がんばりますという話はしましたけれどもね。私がこの地方自治法改正の問題について、具体的に改正の必要のある理由を述べましたよね。住民自治の観点だとか、地方自治の理念だとか、それから、あえて失礼ながら申し上げますけれども、これは知事会のための改革ではありませんよ、住民の皆さんのために地方自治がどうあるべきかという改正なのだから、そこは、多少、知事会の皆さんと意見の不一致があっても、これはしようがない面がありますと。さっきの行政不服審査法の問題と同じ問題があるわけですね。要するに、住民主権ということを考えた場合には、やはり多少首長さん側にとっては煙ったいことがあるかもしれないけれども、それは甘受していただきたいということも含めて必要性を申し上げて、それに対しては、私は何も意見が無かったと思うのですよね。だから、よく真意が分かりませんね。何となく、せっかく協議の場を設けて、協議が必要だ、協議が必要だと言うから協議の場を設けているのに、協議の場では意見を言われないで、というようなあれでは困るのですよね。そんな感想です。最後はね、従来は六団体が反対したら一切しなかったというのが総務省、旧自治省のスタンスだったかもしれませんけれども、地方自治の仕組みというのはだれのためにありますかと言うと、知事さんや市町村長さんのためにあるのではなくて、住民の皆さんのためにあるわけですね。住民の皆さんのためにどう制度はあるべきかということを基本に考えなければいけないと私は思いますのでね。部分的には、六団体の意見と、主張と、異なることがあっても、それはやむを得ないと思います。それは、国民の代表である国権の最高機関である国会で審議されるべき事項になり得ると、私は思います。
(問)ということで、今国会でですね、早い時期に提案をしていくということですね。
(答)できればそうしたいと思って、そのための作業をしているわけでね。
(問)揺るぎはない。
(答)決めたことをね、当初に決めたことを何も変えないでという、そんなつもりはありません。この間、この建物の中で意見を伺った中にね、なるほどなと思うものもありましたから、それは原案から変えるなんてことを、今、作業をちょっとやっていますけれどもね。だから、こちらがなるほどなと思ったようなことは、それは柔軟に変えていきたいとは思いますけれども、何が何でも知事会が嫌というものはそ上に載せないということでは無い。それだったら、知事会のための自治制度になってしまうでしょう。そうではなくて、国民のための自治制度ですからね。さっきの行政不服審査法の論点と全く一緒の問題があるのですよ、この点では。知事会や市長会は、知事さん方、市長さん方の代表ですけれども、もちろん地域の代表ですけれども、住民の利害を全部代表しているかというと、そうでない面があるわけです。
(問)すみません、では、確認なのですけれども、知事会との話はもうこれで大体、知事会や地方六団体との話し合いや意見聴取は、地方自治法に関してはもう終了したというようなスタンスということで、考えていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
(答)それは決めていません。まだ意見を出されると言いますからね。文書を出されると言うから、それがどうなるか、見てみたいと思いますね。それで、必要があったらまた話し合いの機会を持ってもいいですけれどもね。前回もそうだったのですよ。文書で出すというので、それで、改めてまたね、話し合う機会を設けて、そのときに言ってもらったらいいのですよ、なぜ反対かというのをね。時期尚早とかね、協議ができてないとか何か言われているのですけれども、それは手続論の話で、だから、せっかく協議の場を設けたわけですよ。だから、がんがん言ってもらったらよかったのですけれども、反論は無かったでしょう、当時。だからもうちょっとね、せっかく協議の場を、お互いに忙しい時間を割いてやっているわけですから、そこに出て来られた方がね、きちっと説得力のあることを言っていただきたいと思うのですね。六団体の中には言われた方もおられましたよね。なるほど、私も聞いていて、なるほどなと思って、それはそうだなと思った場面もありましたよ。それが協議だと思うのですよね。協議の場に出て来られて、文書を読んだだけでね、以上終わりというのでは、やはり本当の協議にはならないですよね。こちらは文書を読まないできちんと言うわけですからね、考え方をね。先方は文書を読まれただけでね、こちらが何を言っても無反応で、別のところで反対だと言われてもね、ちょっと当惑しますね。もうちょっとやはり、これ失礼な言い方ですけれどもね、協議の場をせっかく設けているわけですから、そういうときに、実りのある、実のある協議にするように、お互い努力をしたいものだと思います。
(問)すみません。現段階では、大幅な、今の考えを大幅に変更するという考えは無くてですね、あるいは、通例であれば3月中旬ぐらいに法案は出されたいのだと思うのですけれども、その時期も、今のところ変更する考えはないと考えてよろしいですか。内容、スケジュール。
(答)スケジュールはね、予算関連法案以外の法案については、3月の中旬だったでしょうか、なっていますから、やはりそれはもうデッドラインですよね。そのときまでに法案をまとめなければいけない。今、それをまとめる段階で、大筋は、地方行財政検討会議であれほど密な議論をしていただいてまとめたわけですからね、あれを最大限尊重するということだと思います。ただ、それが全く最終結論で、全く変わらないというわけでは必ずしも無いわけで、詰めの段階で、なるほどなと思うことがあればね、それは変えるにやぶさかではありませんけれどもね。知事会から言われていることは、なるほどなということには、私は今までの段階ではなってないですね。なぜ住民が、住民の政治参画機会をもっと増やすことがいけないことなのかということに対する反論というのは、私には、しっかりとは聞き取れないですね。地方自治というのは住民が主役なのです。住民の皆さんの意向とか、住民、納税者の皆さんの意向とか意見というものができるだけ反映された方がいい。それが地方自治の仕組みですからね。だから、今よりも少し住民の政治参画機会を増やしませんかという提案なわけですよ。それは何かというと、やはり、最近、いろいろなところで地方自治の形骸化だとか、議会の形骸化だとか、いろいろなことが指摘されていますよね。やはり、それに対してはね、無反応ではいけないと思うのですよ。あれだけ多くの皆さんから、議会なんかも批判の対象になっているではないですか。それから、多くの自治体で財政が破綻したり、破綻に近いところもありますよね。やはり、何らかのシステムの欠陥があると思わないといけないと思うのですよ。現行で何も問題がないというわけではないのですね。そのときに、では、どういうシステム改変が必要なのでしょうかといったときに、私は常に、やはり原点に戻るべし。原点というのは、地方自治というのは、住民が基本的には物事を決めていくということなのです、最終的には。地域のことは地域の住民が責任をもって決めることというのが、これが地域主権、地方分権なのですよね。だったら、今の仕組みの中で、いささか機能不全を起こしている面が、代議制にあったり、財政制度にあったりするとすればね、それは原点に返って、住民の政治参画機会、住民の意思がもっと出やすいような仕組みを考えるというのが、制度を所管する総務省としての、担当大臣としての私の務めだと思うのですよね。そういうことを申し上げているわけです。そうすると、当然ね嫌ですよ、それは。住民からやいやい言われるのはね、首長さんにとっては。嫌だという気持ちは分かりますよ、感情論としてはね。だけど、それでは済みませんよということをこの間も申し上げたわけです。それに対する反論は無かった。だから、住民なんかどうでもいいなんて、まさかそんなことは言われないと思いますけれどもね。だったらね、住民の政治参画機会を増やすということは、いけないことなのですかという、その問いかけに対する答えは、私はいまだに無いと思いますけれどもね。時期尚早とかね、協議がまだ整って無いとか言われますけれどもね、だったら協議の場で言ってくださいと、皆さんのおられる前でね、その理由を。文書を読みに来るだけでは無くてね。
(問)朝日新聞の稲垣です。冒頭出ました、会派離脱の件でちょっと2点確認したいのですが、先ほど大臣の御発言で、これから選挙に出る人の胸中をおもんばかってあげるべきだとおっしゃいました。これはつまり、党内のごたごたを、党の執行部として早く収拾すべきだという趣旨の御発言なのかどうかというのが1点ですが。
(答)と言うかね、ああなる前にね、やはり家庭内争議というのは外に漏れる前にね、うまく解決するというのが、一般の家庭では、やはり皆さんやりますよね。そういうことに、もっと皆さん意を払っておかれるべきではなかったかなと、私は思うのですけれどね。
(問)分かりました。もう1点は、この一件で予算関連法案ですね、年度内成立がかなり厳しくなって、党内には、菅総理の退陣と引き替えにですね、この法案の成立をはかるのもやむを得ないみたいな声も出ているようなのですけれども、そこでお伺いしたいのは、この事態の危機認識度と言いますか、岡田幹事長が言われるように、これはパフォーマンスであまり目くじらを立てることでもないという御認識なのか、それとも、やはりこれ自体はそれなりの危機感を持って受け止めるべきだという御認識なのか。その辺りはいかがでしょうか。
(答) これはね、私はよく分かりません。機微に触れていませんので。党の外にいますのでね。これもさっきのたとえを敷えんすれば、夫婦の間柄って分からないじゃないですか。けんかしているようでも仲が良かったり。だから、そこは分かりません。いずれにしてもね、もしこれがまずい方向に傾いて、それで、予算関連法案がもう党内事情だけで駄目になるというようなことは、絶対避けてもらいたい、と私は思います。なんでこんなことを言うかといいますと、予算関連法案が通らなかったらどうなるかということを、今、いろいろ巷間出ていますよね。輸入する食品の関税が上がるとかね、そういう問題もあるのでしょうけれども、これ、本当に深刻だと私は思うのです。そんなことにとどまらないですよね。特例公債に関する法案が通らなかったら、公務員給与だって払えませんしね。いや、数か月は持つとかって聞きますけれども、一時しのぎの気休めですよね。私はね、もっと国民的にこの問題を考えていただきたいなと思うのですよ。自治体の皆さんなんかもね、もっと本当は深刻に、私が自治体の長をやっていれば、深刻にならざるを得ないと思うのですけれども、意外に、存外、無関心な方が多いですよね。地方議会もね、今、開かれていて、国政の多少の混乱なんかが話題として取り沙汰されたりしていることも聞いていますけれども、その中で、意外に高みの見物的なところがあって、それはそれでしようがないのかなと思いますけれども、もしこれ、特例公債、交付税法が通らないとどうなるかとかね、地方税法が通らなかったらどうなるかなんてことを、それはさすがに心配されている人が多いですけれども、特例公債法が通らなかったらどうなるかと言いますとね、例えば、さっき国家公務員の給与が払えないという話をしましたけれども、例えば、義務教育費国庫負担金なんか払えなくなりますから、学校の教員の給与は自治体が払わなければいけないのですけれども、それに対する補てんができなくなってしまう、事実上。自治体が教員に払わなければいけないのですよ、これ。労働債権だから、労働債務だから。ところが、その財源を手当をする、国から地方への補てんができなくなってしまうのですね。国もね、義務として払わなければいけないのですけれども、本当に無い袖は振れなくなってしまうわけです。そこは、当面、自治体がカバーしなければいけないという話になるでしょうね。もちろん自治体は、国から義務教育国庫負担金をもらう権利がありますから、そこから先どうするのか、想定されてないけれども、裁判をするのかどうか分かりませんけれどもね。いずれにしても、財源無く給与を払わなければいけない。福祉施設のスタッフの人件費だとか運営費なんかも行かなくなるわけですよ。介護保険の、国庫から拠出するものも行かなくなってしまうとかね。もちろん全部ではありませんけれどもね。だからね、この問題は、特例公債法が通らない、予算関連法案が通らないというのは、自治体から見ると、地方税法と交付税法だけの局限的な問題ではないのです、実は。全般に渡ることで、恐らく麻痺してしまいますね。私がこんなことを言うのは適当かどうか分かりませんけれども、もっと実は、自治体の運営に当たられている方は、深刻に考えるべきだと。元自治体の長をやっていた者からしますとね。私がもっと知事をやっていたら、これ、今、本当に大変ですよ。通らなかったらどうしようと思って。かつて民主党が野党のときに、道路特定財源の延長法が通らない、通るで混乱しましたよね。あのときも、混乱した、混乱したと言って、拳を上げている知事が何人もいましたけれども、あんなことの比ではないですよ。あのときは、事業をちょっと落とせばいいのですから。それすらも、大変なことは大変ですけれどもね。公共事業の道路事業の予算をある程度カットすれば済む話なのですよ。今度のは、そんなことではないですからね。あのとき大騒ぎした割には、今回、高みの見物的な方が多いのは、いかなる理由かよくありますけれどね。あのときは国から、騒げ、騒げと、多分、有ったのでしょうけれど、今回は、そんなことはしてないからかもしれませんけれどもね。私は、あえて、騒げ、騒げと申し上げるつもりは毛頭ありませんけれどもね。事態をやはり冷静に把握される必要があるのではないかなと思いますね。
(問)よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
(答)はい、どうも。

(以上)