片山内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年1月14日

(平成23年1月14日(金) 9:55~10:40  於:会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。一昨日からマレーシアに出張しておりまして、今朝、帰ってまいりました。マレーシアのクアラルンプールで開かれました日ASEAN情報通信大臣会合に出席をしてきました。ここでは、ASEAN地域で、これからのICTの分野で、どういう課題があって、どういう相互の協力関係を築くことができるかということを中心に、議論をしてまいりました。これに合わせまして、菅総理からのマレーシアのナジブ首相にあてた親書も、私、携行してまいりまして、ナジブ首相にお会いをいたしまして、その親書を手渡しまして、私から幾つかの点について、お願いをしたり、お話をしました。それは親書に書いてあるのですけれども、日本から、例えば、マレーシアでこれから計画されるであろう原子力の問題でありますとか、それから、水の管理などについて、日本側で、そのプログラムに参画を是非したいというようなこと。それに伴って必要な協力もするようになるというようなことを申し上げました。首相からは、今日までの日本のマレーシアに対するいろいろな協力についての謝意もありましたし、これからも是非、国の発展のために日本の協力も期待をしているということがございましたし、更には、この度、私が総務大臣としてマレーシアを訪問したのですけれども、菅総理にも、是非、機会を見つけて御訪問いただければというふうな話もありました。政治的な事情もありまして、予定を繰り上げて帰ってまいりましたけれども、お陰様で、予定しておりました日程は、ほぼこなすことができました。多少、時間が短くなったとかということはありましたけれども、予定しておりましたものは、ほぼできました。大変有り難かったのは、昨年の10月に沖縄で、日本が主催をしまして、ほぼ、APECの関係でありましたけれども、重なり合う地域の皆さん方が沖縄に来られまして、そこで、顔なじみと言いますか、会議を開いておりましたので、初対面ではありませんでしたので、非常に話がしやすくて、当方が予定を繰り上げて帰国しなければいけないという事情もお話をしたところ、快く日程の変更にも応じていただきまして、ASEANと日本との大臣会合なども、予定を変えて、昨日、ちょうど私が帰国する前までに終わるような日程にしていただきまして、これを快く受け入れていただきました。大変有り難かったと思います。あと、中国でありますとか、韓国の代表との間も、別途日程を取っていたのですけれども、これも繰り上げて、昨日、多少時間は短くなりましたけれども、それでもほぼ十分な時間を取って面談をすることができました。何が言いたいかと言うと、やはり広い意味のこれも外交だと思いますけれども、お互いに、会ったり、話をしたりすることの積み重ねというものが、それが大きな力になる。たった私の場合は4か月で、2回目に会う方が多かったのですけれども、2回目であっても、初対面よりはスムースに話が進むことが多いということを実感しましたので、外交というのは、やはり、継続というものが、一つ大きな、重要な要素としてあるのだなということを実感したということであります。
 それから、今朝、帰ってきまして、その足でというわけでもありませんけれども、先ほどまで閣議がありました。この閣議では、総理の方から、内閣の改造と言いますか、をするということで、辞表の取りまとめが行われまして、私も辞職願に署名をしたところであります。合わせて総理から、この内閣、菅改造内閣が4か月ほどでありましたけれども、重要な課題について閣僚の皆さんが、よく、その任に当たってくれたということ、それから、特に予算の編成などについても尽力を頂いた、してもらったということで、私どもに対してねぎらいの言葉がありました。それを伺いながらサインをして、辞職願を提出したところであります。本日中には組閣作業を終えたいということも、併せて総理の方からお話がありました。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)共同通信の藤田です。急きょの御帰国ということで、大変、お疲れのところ恐れ入ります。幹事社から2点、お伺いいたします。今、御紹介がありましたけれども、辞表の取りまとめの閣議ということで、4か月間を振り返りながらですね、現在の率直な所感をお伺いします。
(答)4か月間がですね、私にとりましては、あっという間に過ぎたという感じですね。初めて大臣になりまして、仕事に精通をする努力をしつつ、ほぼそのまま臨時国会に突入しましたので、国会対応に追われる毎日でありまして、気が付いたら、税制改正とか予算編成の時期に差し掛かっていて、年末、そして、年明けの今日ということでありますから、非常に慌ただしく、あっという間に過ぎた感じであります。仕事としては、これ当然、途中から入るわけでありますから、それまでの仕事を受け継ぎながら、いろいろな分野でそれまで進んできている仕事を受け継ぎながら、それを受け継いで、かつ、それに対して自分の考えなども盛り込みながらやってきたということで、そういう意味では、自分なりに一生懸命やって、それがある程度自分なりに評価できる結果に、途中経過ですけれども、なっているのではないかと思っているところであります。
(問)もう1点なのですけれども、孤立死であるとか、阻害されているとか、あるいは無縁社会というようなことが言われていますけれども、菅総理は、このほど、一人一人の包摂、包み込む社会づくりに向けた特命チームを作りたいのだという意向を示されていますけれども、大臣の所管の中でですね、これどのような取組が考えられるかという、漠とした質問で恐縮なのですが、お伺いできれば。人間が疎外されない社会づくりということですね。
(答)最初にですね、社会的包摂というものを一つのテーマにして特命チームを作り、必要な政策を打ち出し、実施していくということは、非常に私は重要なことだと思います。格差社会と言われておりますけれども、従来、以前に比べると、立場の弱い方とか、経済的に恵まれない方とか、そういう方が増えていることは、もうこれ事実でありまして、そういう方々に対して、それこそソーシャルインクルージョンと言っていますけれども、社会的に包摂をする。セーフティネットというものに、プラス人間味が加わったような、そういう意味合いだろうと思いますけれども、そういう施策を展開するということは、これ非常に重要なことだと私は思いますから、菅内閣の重要課題の一つとして取り上げられるということは、大変いいことだと思います。それで、自治体行政との関係で言いますと、社会的な弱者でありますとか、それから、立場の弱い方とか、声の小さい方に日々接する機会が多いのは地方自治体、分けても基礎的自治体である市町村でありますから、市町村の役割、自治体の役割は、非常に大きいものがあると思います。生活保護というのも、国の事業でありますけれども、自治体がやっておりますし、それから、児童虐待でありますとか、DV被害者の自立支援とか、救済とか、最近では自殺予防とか、それから、消費者相談、消費生活センターなどの消費者相談とかですね、そういう分野で特に接点が多いと思います。自治体がこれまで一生懸命やられておりますけれども、更に社会的包摂という概念と言いますか、考え方も採り入れて、今一度、これまでの業務について点検を加えて、より充実させたり、質を高めたりすることがないか、きっとあると思いますから、それを是非点検してもらいたいと思います。既にそのきっかけづくりというわけでもありませんけれども、昨年の臨時国会で補正予算の中に、光を当てる交付金というのを入れていますけれども、実はそれは、振り返ってみると、社会的包摂の重要性を、予算面で、ささやかではありますけれども、打ち出したものだと思いますので、それをとりあえずは活用していただきたいと思います、自治体の方は。さらに、それにとらわれず、定常の業務の中で社会的包摂というものに、もっと積極的に取り組んでいただければと思っております。
(問)NHK、太田です。内閣改造の話に戻るのですけれども、新たにですね、発足する菅第二次改造内閣ですけれども、国民からどういうものを期待されていて、どういうことをしなければいけない内閣だというふうにお考えでしょうか。
(答)さっき話のありました、格差社会における社会的弱者の皆さんに対するケア、配慮、そういうものを充実するということは、私は、一つの菅内閣の、らしさと言いますかね、特質になり得るのではないかと思います。それから、これは民主党政権が政権交代したときに戻りますけれども、やはり原点に戻るという、政権交代というものは何のためにしようとしたのかという原点に戻るということも、菅内閣、改造内閣に期待されることではないかと思います。
(問)北海道新聞の中村です。大臣の海外出張中にですね、民主党の岡田幹事長がマニフェストの見直しについて言及されました。これまでマニフェストに基づいた政策実現に取り組んでこられた大臣として、この見直しの時期についてどう考えられるのか、また、先の衆院選では、このマニフェストに一票を投じた国民もかなり多くいたと思います。この見直しということが国民に理解されるのか、それについての御所見をお願いいたします。
(答)マニフェストというものは一つの約束ですから、基本的にそれを守っていくということは重要なことだと思います。それが基本だと思います。ただ、実際にやってみますと、現実に照らし合わせると、多少の、とか、ある程度の修正を加えるとか、見直しをする必要があるということも、これも事実だろうと思います。マニフェストにはこう書いてあったけれども、もっと別のやり方の方がいいのではないかとか、それはやはりあるのだろうと思います。ですから、一応約束ではありますけれども、それを全く金科玉条、不磨の大典のごとく扱うことは、私は無いだろうと思うのですね。あとは、それがきちっと、説得的に説明できるかどうか、納得を得られる形で説明できるかどうかということだと思います。ですから、その辺が、政権党としての力量が試されることでもあるでしょうし、努力される必要があるところだと思います。
(問)すみません、内閣改造についてなのですけれども、先ほど大臣がおっしゃったとおり、4か月という、前の改造から4か月という短い期間での、また改造ということになります。大臣、かねてからバトンをつなぐというような考え方もしていますけれども、中長期で取り組まなくてはいけない問題が山積する中で、小刻みにバトンをつなぐことが、果たしてふさわしいのか。また、こういうふうな短期間で替わっていくような、現在の状況をどのように考えていらっしゃるのか、お願いします。
(答)これ、例えばですね、総取っ替えみたいなことになるとですね、やはり継続性とか、そういうものについての危惧が出るだろうと思いますけれども、そうでなくて、多少の入替えとかですね、補強とかですね、それはあってもいいと思います。4か月がいいかどうかは分かりませんけれどもね。そういう強化とか、補強というのは、やはりあってもいいと思います。この度どうなるか分かりませんけれども、それによって評価されるかどうかということになるだろうと思います。
(問)朝日新聞の岡林です。先日、郵便事業会社が、来春の新卒採用をゼロにするということを発表しました。採用規模は毎年1,300人から1,500人くらいでですね、特に地方の支店で郵便の仕分けですとか、配達に当たる人が1,000人くらい、高校卒業の方も含めて採ってきたということで、地方の雇用に与える影響なども大きいのではないかと思うのですけれども、特に政府がですね、これだけ雇用、雇用と言っている中のことでもありますし、所管の大臣としてどのようにとらえておられるのか、お聞かせください。
(答)これは、郵便事業会社が諸事情により、経営判断で行われることだろうと思うのですね。非常にアンビバレントなところがあると思います。雇用というものを、できれば拡大しなければいけない、少なくとも維持しなければいけないという要請が、当然社会にはあります。だけれども、当面の会社の経営を安定させなければいけないということも、経営者の皆さんにとっては大変重要な事柄でありますから、その辺をよくよく考えられて、一つの案を出されたのだろうと思います。特にそれについて、総務省としてですね、こうしなければいけないということを申し上げることではない。やはり経営者の判断というものを尊重するということが、今は必要なのではないかと思います。
(問)朝日新聞の稲垣です。先ほどありましたマニフェスト見直しのことで改めてお尋ねなのですが、大臣が御所管されている政策の中で、マニフェストの見直しが必要だと感じられている政策はありますでしょうか、それが1点と。あと、これについてはですね、今、大臣が言われたように、説明が必要であるというレベルから、与党内には、これのマニフェストで総選挙を戦った以上、改めて国民に信を問うべきだという意見もあります。大臣はそこまでには至らないというお考えでしょうか。
(答)後者の方から言うと、これは政党の方が判断されることだと思いますけれども、私はですね、自分で知事もやりまして、そのときに、マニフェストということではありませんけれども、一応公約というものを掲げて選挙をやりました。実際やってみると、自分の掲げたことがやはり正しかったのだということで、そのまますっとやっていけばいいというものが多かったのですけれども、中にはやはり多少見直した方がいいかなとかですね、なかなか現実的には難しいなというものが、無いわけではありませんでした。そういうものは、例えば議会の答弁を通じて、議会のやり取りを通じて、軌道修正していくとかですね、自分の考え方をまとめてお話をして理解を求めるとか、そんなことをやっていましたので、程度問題だとは思いますけれども、マニフェストを変えるから、その都度、国民の信を問うというものでは、必ずしも無いと思いますね。全くちゃらにするとかですね、全く違うものにするというのならば、それは多分、政治的には今一度ということ、もう一度問うということになるかもしれませんけれどもね。手直しということでありましたら、ちゃんと説明できるかどうかという、その程度の問題だろうと思います。私の所掌で、マニフェストについて変えてもらわなければいけないというのは、今のところ特にありませんね。マニフェストに無かったものをやっているというのはありますけれどもね。例えば、住民自治の強化なんていうのは、必ずしもマニフェストにそのまま出ているわけではなかったと思いますけれども、私が総務大臣に就任させてもらいましたのでね、自分の考え方を盛り込んで、自治法の改正作業なんかも、今やっているわけですけれども、改正案づくりなんかもやっているわけですけれども、これは特にマニフェストに書いてもらわなければならないというわけでも無いと思います。これも、先の臨時国会で、総務委員会なんかを中心にして、自分の考え方を自分なりにきちっと説明したつもりですのでね。特にマニフェストの改正は必要ではないと思います。
(問)大臣、関連で。国家公務員の総人件費2割削減という、これ、目標について、これも一応所管ではあると思うのですが、そこはいかがですか。
(答)そこは非常にハードルの高い、厳しい目標だと、当然思っておりますけれども、これについては、目標に向かって、今、作業を進めているところです。決して容易な道のりではないと思いますけれどもね。これから、給与の、よく深掘りと言っていましたけれども、給与の削減の問題だとか、定数の問題だとか、退職手当の問題だとか、そういうものを一つ一つ積み重ねて、できる限り目標に近い、実績達成可能になるように努力をしているところです。
(問)中国新聞の荒木と申します。先ほど、改造内閣に関連してですね、政権交代の原点に戻った方がいいのではないか、そういうところが期待されるとおっしゃった一方で、マニフェストの手直しは程度の問題だけれども、当然有ってしかるべしというような見解だったと思うのですが、政権交代の原点ですね、もう少し大切にすべきだと片山さんが思われているのは、具体的にはどの辺りでしょうか。
(答)幾つかあると思いますけれどもね。例えば、政治とカネの問題などが、その一つだろうと思いますね。クリーンな政治というものを多くの国民は民主党に期待をしたということは、これ事実だろうと思いますね。それから、これ公務員制度改革と言っていいのかどうか分かりませんけれども、官僚主導と言われた時代の弊風を除いていくという、真の政治主導につなげていくというのを、それも多くの国民の皆さんが望んだところだろうと思います。もちろんそれはね、この間、民主党が、民主党政権が、そういう重要な問題をないがしろにしてきたというわけではありません。それぞれ努力をしたり、それから、いろいろなあつれきがあったりしたのだろうと思いますけれどもね。もう一回、理念とか、基本的な考え方を、再整理をして、更にその理念を進めていくということが、必要だということを申し上げているわけです。
(問)フリーランスの上出と申します。今のことに関連してなのですが、原点ということから言いますと、例えば、今、言ったお金の問題にすれば、政治献金が一部復活されてしまったということ、民主党自身でですね。それからあと、いろいろな問題、消費税、それから、TPP、日米安保、それから、超党派というようなことで、自民党も含めてですね、このまま進んでしまう。マスメディアの大勢、論調もそうなのですけれども、これやはり、国民の期待という、民主党に対しては、もっと、自民党とは違った政治を求めて行くということと、ちょっと違うのではないかと思いますが、自民党との違いという点でお感じになることと、大切なことというのは、どういうふうにお感じになっていますでしょうか。
(答)現実の政治はですね、やはり、例えば、法案にしても、予算にしても、国会を通らなければいけませんから、理想論だけでは片が付かないということは、よく認識しておかなければいけないと思うのですね。したがって、現実には、妥協とか、譲歩とか、そういうことは当然必要なわけです。それ無くして、理想論と正論だけ言っていたら、何も進まないということになりますから。そこだけを見ますとね、そんなに進んでいないのではないかとか、違いがないのではないかという評価になるかもしれませんけれども、要は、ちゃんと、目標とか、それから、到達点と言いますか、行き着くところを見失わないで、そこに一歩でも二歩でも近づけていく。それが重要なのだろうと思います。本来の原点、私が言う原点、目標、そういうものから遠ざかることではなくて、近づいているかどうかという、そこが判断材料になるのだろうと思います。
(問)西日本新聞の山本と言います。今回入閣の顔ぶれで名前があがっている与謝野薫さんのことなのですが、与謝野さんは、一昨年の衆院選のときに、比例選挙で当選されて、そのあと、新党たちあがれという政党に参加して、今回総選挙で戦った民主党員ではなくて。これはもちろん公職選挙法では禁止されてはいないかもしれませんけれども、この行動、結果についてですね、どのようにお考えなのか。
(答)これは、分かりません。まだ、任命されるかどうかも分かりませんのでね。私も、任命権者ではありませんから、予断を持つことはしたくないと思います。
(問)フリーランスの畠山理仁と申します。インターネット中継を視聴している国民の方から大臣に質問が来ているのですが、代読してもよろしいでしょうか。今、現在400人ぐらいの方が御覧になっているのですが、よろしいでしょうか。今週末、阿久根市では市長選が行われるのですけれども、阿久根市では、民間人の平均年収が200万円で、公務員の年収が700万円と、かなりの格差があるわけですが、この状況について、大臣の御所見を伺えればと思います、という質問が来ておりました。
(答)それはあれですか、阿久根市の公務員の年収ですか。
(問)はい。
(答)公務員の給与というのは条例で決めるわけですね。給与条例主義。ですから、阿久根市の具体的な給与水準というのは、私もつぶさには存じませんけれども、阿久根市の実態がそうであれば、それは阿久根市の条例で決めている。条例をだれが決めるのかというと、議会が決める。議会の議員はだれが選ぶのかというと、市民の皆さんが選んでいるということなのですね。ですから、よく選挙のときにですね、議員の皆さんがどういう考え方を持っておられるのかということで、投票を決めるということ。これが必要なのではないでしょうか。自分たちで議員を選んでおいて、その議員が決めたことが、けしからんと。よくあるのですけれどもね。でも、それは、だれにじゃあ文句を言うのですかというと、選んだ人なんですよ。権力を作っているのは有権者の皆さんですからね。だから、この際よくですね、これは阿久根市に限りませんけれどもね、自分たちが選んだ結果が今日あるということを、よく認識されることが必要だろうと思います。
(問)格差があることについては。
(答)それは、ですから、市民の皆さんが本当にそういう格差があってもいいと思っているのであれば、それはそれでしようがないですよね。でも、多分、そうではないですよね。そうではないと思います、私も。だったら、それが是正されるような、そういう方々を議員として選ばれたらいいのではないかと思います。
(問)ジャーナリストの寺澤有ですけれども、ちょっと今日も、国民の知る権利と情報公開制度について二つ質問があるのですが、まず一つ目がですね、ここのところの片山さんの記者会見の質疑応答をもう一回復習してきたのですけれども、やはりちょっと、その中で一つ違和感を感じるところがある。それはどこかと言いますと、国民の知る権利というものはですね、日本国憲法でそのままの言葉ではないのですけれども、既にこういったものが、国民の知る権利というものが、日本国憲法で保障されているということは、もう争いが無いと思うのですよね。それを踏まえて、片山さんは、これ記者会見も、私、公人の義務でやっていますとか、知る権利に応えるためにやっているのですというようなことをおっしゃっているのですけれども、その一方で、法的義務ではないんですが、みたいなことをおっしゃるので、そうするとですね、記者会見法とか、そういったような実態法、手続法みたいなものを定めないと、法的な義務として、これ記者会見、国民の知る権利に公人が応える記者会見をやってくれないのかと。おまえら気に入らないことばっかり聞くから、おれはもうやらないぞみたいなのが認められちゃうのかという、そこら辺のお考えを一つ聞きたいんですけれども。
(答)ちょっと何か混乱しているのではないでしょうか。知る権利というのはね、情報公開ということで、情報公開法というのがあるわけですよ。これは、お役所が、出すのが嫌でも、国民の権利として、逆に、お役所の方は義務として、役所が持っている情報というものを、情報とか、文書とか、そういうものを出さなければいけないという、そういうところで担保されているわけですよね。この記者会見というのは、何回も言っていますけれども、法的には、週に何回やらなければいけないとか、何時間やらなければいけないとか、どういう範囲でやらなければいけないなんてことは決まっていないです。法的に決まっているのは、国会に出て、為政者が国会に呼ばれて、そこできちっと受け答えしなければいけない。これは、国も自治体も、ちゃんと法律でそれは決められているわけですよね。あと、でも、年がら年中、国会をやっているわけでもないし、それから、行政は日々動いていますから、閣議も週に2回ありますからね。そこで、閣議のあった日には、記者会見というこういう場を通じて考え方を表明したり、それから、マスコミの皆さんの質問に答える形で説明責任を果たす。これは法的な義務ではなくて、いわば為政者というか、政治家の政治的な責務だろうと思うのですね。それに基づいて、私も含めて皆さんやっているのだろうと思います。そうすると、どこまでやればいいのかという話になるとですね、これはもう、人によっても違うかもしれないし、それから、置かれた立場によっても違うかもしれない。そこのところは、それも、政治家としての判断だろうと思いますね。
(問)そうすると、一応憲法上の要請で、これ記者会見というものも、知る権利に応えるためにやっているということに含まれるということはあるのですか。
(答)憲法の何条ですか。
(問)ですから一応、知る権利というのは、憲法21条の表現の自由辺りから出ていると、今はされていますけれども。
(答)表現の自由というのは、むしろ皆さん方の方が、メディアにどういう情報を出すとか、新聞だったら紙面にどういうことを書くかとか、そういう問題ですよね。
(問)分かりました。そうしたら、今度もう一つ、情報公開法のことについて聞くのですけれども、総務省の行政管理局情報公開推進室というところがありまして、ここで毎年、平成○○年度における情報公開法の施行の状況についてという文書を出しているのですね。これ、私毎年見ているんですけれども、これを見ると明らかに情報公開の実務的なところが後退していると思うのです。一つは、前に質問した、公務員が意図的に情報を隠しているのではないかというところなんですけど、もう一つはですね、問題なのは、要するに、開示するまでの期間を、延長、延長、延長してですね、情報公開しても、その文書が出てくるまですごく時間が掛かる、何年も掛かるというような状況が年々ひどくなっているということが分かると思うのです。しかもその理由としてですね、文書が大量だとか、あるいは慎重な判断が必要とかですね、あまつさえ忙しいとかっていうのまで最近は入っているのですね、繁忙だと。とにかくかなりひどい状況になっているのですが、私はこれ、公務員がですね、ほとんど意図的にサボタージュをやっているとしか思えないんですけれども、こういうものも本当は法律できっちり、こういうことができないように、情報公開法で規制するべきだと思うのですが、大臣は政治主導でということをおっしゃられているので、前回までの情報隠しについては、政治主導で、大臣、やられているのはよく分かりましたけれども、こういった、一応公開はするんだけど、それはだいぶ先になりますよというような、こういうサボタージュ的なものに対して、どうやって政治主導でこれを防いで行くことができるのかということをお聞きしたいんですけれど。
(答) 一般的に言いますとね、情報公開について請求した側が不満であれば、不服であれば、それは、それに基づく手続があるのですよね。政府の情報公開・個人情報保護審査会というのがあって、そこに開示度が低いとか、不開示ばっかりだとかですね、そういうことを申し立てることができるわけです。それは、最終的には訴訟にいって、役所の手を離れて、司法の判断になるわけですよね。だから、そういう道筋があるわけです。
 あとですね、総務省の場合には、官僚機構の中で埋没してしまわないように、それについての処理をちゃんと政務三役がやるということで、私が大臣になってから、決裁規程を変えたのですよね。だから、今おっしゃったようなことが、もし不当なことがあるとすればですね、それは、総務省に関して言えば、政治主導で排除できるということになります。それでもね、政治主導でやっても、なおかつ不満が残る可能性がありますから、その場合には、さっき言った不服審査とか、それから訴訟ということに、道は開かれているのですよね。
(問)それで、今、言ったですね、毎年総務省の方で発表されている情報公開法施行の状況についてという文書なのですけれど、これで各省庁のですね、情報公開の実情を、これ書いているわけなのですが、先ほど言ったように、非常に文書が大量だから、これは1年とか、あるいは3年と掛かっていますという事例がたくさん並んでいるのですが、それが毎年ひどくなってて、例えば、もう文書100枚ですよ。100枚でも、文書が大量だから開示までに1年以上掛かりましたというのが平気で出ているわけですよ、最近。そうすると、この総務省のですね、こちらの情報公開推進室というのがこの文書をまとめるたびにですね、ほかんちは、ほかの省庁ではこんなに時間が掛かっているから、うちはもっと遅くていいやと。しかもその理由は、忙しいとか、こんな漠然的な理由でいいんだったら引き延ばしちゃえという。なんかこれがですね、この文書自体が、私、毎年引き延ばしのためのガイドラインに使われているのではないかと疑っているので、だから、こういうものを出すのであれば、もうちょっと批判的にですね、文書100枚が大量だから、これ1年以上掛かったとか、こんなの書いている人の神経をちょっと疑っちゃうんですけど、こういうのをきちんと是正するような趣旨で、この情報公開法の施行の状況についてという文書自体を作らないといけないんじゃないですかね。
(答)文書公開自体がですね、それぞれ、各府省が責任を持って処理することになっているのですね。ですから、総務省のことは総務省、私のところは最終責任。ほかの省はほかの省の大臣が最終責任ということになるのですね。それを、状況を取りまとめているというのが、総務省のもう一つの仕事だと思うのです。ですから、それぞれの各省の責任者が、それについて説明責任をきちんと果たすということが、それが建前なのですよね。ただ、制度全体を所管していますから、せっかくのお話でありますからね、私もちょっと今、手元に資料がありませんから、具体的にどこがどうかというのは分かりませんけれども、ちょっと関心をもって見てみたいと思います。
(問)それは本当お願いします。先ほど阿久根の話が出て、私も阿久根に取材に行きましたけれど、これ文書100枚で大量だから、これを処理にするのに1年掛かりますとか、そんなの民間では絶対あり得ないことですから、やっぱりちょっと公務員、感覚がずれていると思うんですよね。それがしかも、たくさん並んでいるわけですよ、これ事例として。こういうふうになっているので、これはこういう延長の理由になっていますというような。これはちょっと直すような方向で、もうちょっといって、情報公開推進室と言っているわけなんですから。
(答)一般論で言いますとね、でも、やっぱりちょっと期限を延長しなきゃいけないな、なんていうのは、無いわけでは無いですね。真剣に考えてもね。ですから、それも程度問題だと思いますね。ちょっと常識を外れているようなものがもしあるとすれば、それは是正してもらわなければいけないと思います。
(問)テレビ朝日の山根です。ちょっとお答えにくい質問かもしれませんけれども、NHKの会長人事なのですが、このところ、安西さんの件にしても、少しごたごたが見えるような報道がありますけれども、所管する大臣として、こういった、ちょっとごたごたが見えることに関してで結構ですので、お考えとかを伺えればと思うのですが。
(答)経営委員会が会長人事を決めるということになっていますから、経営委員会が主体的に取り組まれる過程で、当然10人を超える委員の方がおられますから、いろいろな意見があるということは、それは当然だろうと思うのですね。それが表面化しているということだろうと思います。ただ、どうあろうとですね、経営委員会が会長人事を決める責務がありますから、是非日限までには、期限までには、ちゃんと決めていただきたいと思っています。
(問)フリーランスの畠山理仁です。先ほどの情報公開に、ちょっと関連しましてお伺いします。これまでにも何度かお伺いしたのですが、昨年3月にまとめられた各府省庁における記者会見オープン度合いの調査のことについて伺います。これは原口前大臣時代にですね、途中経過として調査、公表されたものだと認識しているのですけれども、これまでお伺いした際に片山大臣は、再度調査する御予定は無いということでしたけれども、途中経過で発表されたものを中断する理由というものについて、お聞かせいただければと思います。
(答)これはどうなんですか。それは途中経過だったの。
(答)(事務方)
その段階で、大臣としてまとめたものです。各府省の状況を。
(答)それは、更に追加調査をするということだったんですか。
(答)(事務方)
いえ、そういう話には、その段階ではしておりません。
(答)ということのようです。
(問)これ、原口前大臣の時代も何度か質問させていただいたのですけれども、調査の結果がですね、実態とは異なっている。例えばですね、農林水産省の記者会見というのは、総務省の調査では、記者クラブに属しない記者も質問が可能というふうな答えになっているのですが、実際問題ですね、フリーの記者が質問しようとすると、記者クラブの幹事社から、「あなたは質問する権利がありません」と言われたりするといった、実態と違う結果が返ってきているということがあったので、再度調査する気はありませんかということを、何度もお尋ねしていまして。
(答)それは是非、それは現場で解決してください。何でもかんでもこちらにけつを回されても、ちょっと手が回りませんのでね。
(問)行政評価の機能が総務省はあるということで、やっていらしたので。
(答)それぞれのところでね、矛盾点がありましたら、解決してみてください。
(問)特に質問権がどうのということではなくて、実態と違うということで、途中経過ということをお知らせしたまでです。
(答)ほかには。
(問)よろしいでしょうか。お疲れのところ、どうもありがとうございます。
(答)いいえ。

(以上)