馬淵内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月2日

(平成22年11月2日(火) 10:34~10:50  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 私の方から2点お話いたします。まず、内閣府特命担当大臣として、ロシア大統領の北方領土訪問についてでございます。昨日、ロシアのメドヴェージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問しました。今回の事案は、我が国固有の領土である北方領土に関しまして、我が国の立場と相いれない、また我が国国民、とりわけ長年にわたり問題の解決を切望してこられました元島民の皆様方のお気持ちや、返還運動関係者の方々のお気持ちを著しく傷つけるものであります。極めて遺憾であるということを申し上げたいと思っております。北方領土の問題については以上でございます。もう1点ですが、第1回不動産投資市場戦略会議についてでございます。昨日発表されました、不動産投資市場戦略会議について報告をいたします。不動産市場、不動産投資市場の活性化というものは、我が国の成長戦略を考える上で、重要な課題であります。また、我が国の不動産投資市場は、来年にはJリートが誕生して10年という節目の年を迎えようとしているところであります。このような中、不動産の証券化・流動化の基本的な在り方や不動産投資市場全体を見据えたグランドデザインの見直しについて、一歩踏み出してまいりたいと考えております。このためには、短期の課題のみならず、長期的な展望を持った戦略が必要であるということから、今般、不動産投資市場戦略会議を設立することとし、第1回会合を本日16時から開催することとしたところであります。戦略会議におきましては、事業者等からのヒアリングを進めつつ、12月中旬をめどに意見の取りまとめ等を行っていただくこととしており、民間の知恵と資金を活用した不動産投資市場のより一層の発展に向けて、委員の皆様方の熱心な御議論をお願いしたいと考えております。私の方からは以上2点、冒頭発言とさせていただきます。

2.質疑応答

(問) 今の関連でお伺いしたいのですが、ロシア大統領の北方領土訪問の件で、今後、政府が取るべき対応、対抗措置についてどういうふうにお考えでしょうか。
(答)私どもとしても、大変遺憾でございます。政府の取るべき対応につきましては、外務省を中心に今後議論がされると思っておりますが、私はあくまで沖縄・北方担当として、北方領土返還の世論の啓発というものが使命でもありますので、現時点で行えることとして、元島民や関係者の皆様方の感情というものがございますので、末松副大臣には根室にいち早く行ってもらいたいと思っております。内閣府の方でしっかりと検討したいと思っておりますが、まずはこうした状況で元島民の方々が大変つらい思いをされていると思いますので、我々としては寄り添う立場として、今申し上げたようなことを考えたいと思っております。
(問)昨日、尖閣での衝突事件の件で、ビデオ映像が衆・参予算委員会の理事を中心に公開されましたけれども、自民党等野党は一般公開を求めていますが、政府としてどのように対応すべきとお考えかということと、限定公開されたことについての所管の立場としてのお考えをお願いします。
(答)この映像に関しましては、衝突時の映像ということで私どもとしても整理をして、 また国会の中で中井委員長の下、衆・参の委員の方々での限定的な視聴ということになったと承知をしております。今後、公開という様々な声もあるということは承知しておりますが、全体として今後慎重に判断すべきものだと思っておりますので、今般の取扱いについては、あくまで衆議院の御判断だということでありまして、今後については様々な御意見があるかと思っております。
(問)今週土曜日に八ッ場ダムを訪問されるということですけれども、その訪問の目的と、期待することはどういうことでしょうか。
(答)新大臣として、まず1日も早く地元住民の皆様方に大変御迷惑を掛けてきたということを伺って、率直にお詫びを申し上げたいと、このように思っておりました。この1年間、前原前大臣の下、八ッ場ダム問題につきましても再検証の枠組みということで、我々としては検討を進めてきたわけですけれども、住民の方々にとっては1年間進展が無いという思いでいらっしゃると。こうした皆様方には、一刻も早くお詫びを申し上げたいという思いであります。そして、それと同時に、まずはこの1年間の中で、私も2回訪れましたが、当然現況というものを正確に把握しなければならないと思っておりますので、まずは現地を訪れて状況の視察をしたいと思っております。
(問)昨日、副大臣は現地の住民の方との対話は難しいのではないかとおっしゃっていたのですが。
(答)今申し上げたように、私の思いとしてはお詫びを申し上げたいということで思っておりますが、なかなか現地の皆様方と直接お会いすることが非常に難しいという感触も得ております。ただ11月6日ということで、関係者の方に調整していただいたことでありますから、私としてはまずは訪れて現状の把握、そして新大臣としての思いをお伝えをしたいと思っています。
(問)メドヴェージェフ大統領の件ですが、メドヴェージェフ大統領はどのような意図を持って、このタイミングに北方領土を訪問したのか、大臣として背景をどのように認識されているのかというのが1点と、政府の対抗措置として、ビザなし訪問などの交流事業についてですが、今後も継続して行っていくお考えかどうかということと、大臣自身はウェブで北方領土入りしたいとの考えをすでに表明されてますけれども、そのお考えにお変わりはないかという点をお願いいたします。
(答)まずはメドヴェージェフ大統領の意思がどこにあるかということについて、現状では把握できておりません。今後、外務ルートで具体的な大統領の言動などをしっかりと精査をされると思いますし、それに対しては政府全体として適切な対応をしていくべきだと思います。ビザなし交流ということでありますが、これは極めて有効なツールであると、相互交流の有効なツールであるということ、これにつきましては今後も継続をしていく中で、私も北方領土を訪れたいと申し上げてまいりましたが、このビザなし交流以外の北方領土への訪問というのは現時点では不可能であり、御案内のように、ビザなし交流は毎年5月から9月と期間が限定されています。したがって来年になりますので、来年の訪問についてはその時点で適切に判断したいと、このように思っております。
(問)八ッ場ダムについて、基本高水についても見直す方針を明らかにしているのですが、他のダムとか水系については基本高水についてどのようにお考えでしょうか。
(答)八ッ場ダムというものは、極めて象徴的に取り上げられたこともございましたので、また利根川水系というものは首都圏という大きな人口密集地を中心とする水系でもありますので、この基本高水というものについては前に申し上げたように、社会資本整備審議会の小委員会、平成17年の検討過程で22,000トンとされる観測史上最大流量についての検証が行われていないということが問題であると、このように申し上げたわけで、これについての検証をしっかりと行うということであります。他の水系ということになりますと、また膨大な作業ということにもなりますが、私はそもそもダムによらない治水のあり方というものを問うきっかけとなった八ッ場ダム、あるいは利根川水系というものについて、当然国民の多くの方々が注視しているわけですから、その基本となる基本方針で定められた基本高水についてしっかりと平成17年に検証を行っていなかったということについては国土交通省として大変問題であると思っておりますので、それに対しては責任も含めて、私自身、当時行わなかったことに対しては大変遺憾であると、こうしたことの反省に立って改めて検証を行うことが必要だと申し上げてきたわけでして、まずは利根川水系の基本高水の検証を行うべきであると、これが第一歩であるというふうに思っております。
(問) 他についてはその後ということでしょうか。
(答)他のダムについては、再検証の枠組みというものを示しておりますので、それぞれ事業主体が再検証の枠組みを進めようとしておりますので、私はそれを進めていただきたいと思っています。繰り返しになりますが、再三、この八ッ場ダム問題については様々な問題点を指摘されてきたわけです。これについて、ある意味ほおかぶりをしているようなことがあってはならない。私はそのことは河川局に強く申しました。平成17年の検証というものを行わなかったことに対する深い反省に立って、これを改めて検証を行わねばならないと思っておりますので、このプロセスについては皆様方にも御提示をしていきたいと思っております。
(問)メドヴェージェフ大統領の北方領土訪問なのですけれども、ソ連時代にも行われなかった訪問がなぜ起きてしまったとお考えでしょうか。
(答)その理由と言いますか、メドヴェージェフ大統領の判断というものについて、我々が何か外交ルート以外で情報を持っているわけではありません。それについては推測でしかありませんので、申し上げるべきではないと思います。ただ何度も申し上げるように、北方領土を所管する立場として、返還を要求していく立場としては、国民世論の啓発というのは非常に重要なのです。御案内のように、先の尖閣問題におきましても、多くの国民の方々に日本の領海というものについて関心を持っていただけた、あるいは主権というものはそもそもどういうものなのかということについても、国民の多くの皆様方の関心を集めたわけであります。今回のこの北方領土問題については、メドヴェージェフ大統領の訪問につきましては極めて遺憾であると、このような政府の考えでありますが、国民の皆様方には我が国の固有の領土であるということをこれを契機にしっかりと発信をしてまいりたいと思いますし、その意味で地元島民の方々、関係者の方々のお気持ちを察すれば、副大臣にでもすぐに根室に行ってもらいたいと、このように考えています。
(問)民主党の政権になってから、日米・日中関係とも悪化していることが背景にあるのではないかという指摘もありますが、その点について大臣の所見を伺いたいのですが。
(答)外交というものは、どの政権、あるいはどの担当者ということよりも、正に相互関係ですから、非常に国際社会の中で様々なポジショニングがあって、常に流動化する中で、私は時に厳しい状況が起き、時には親密、緊密な関係が起き、ということは常々起きると思っているのです。今回は、その意味では、我々としても北方領土についてのロシアの行動に対しては極めて遺憾であるということで、厳しい思いをお伝えしなければならないと思っております。これは相互間の問題でありますので、どの政権、どの政党ということではなく、常に我々としても適切な対応を取っていくということに尽きると思います。
(問)末松副大臣の根室行きというのは、具体的な時期の見通しはいかがでしょうか。
(答)私はまだ末松さんともお話ししておりませんので、昨日、メドヴェージェフ大統領の訪問ということが報道で挙がりまして、具体の事実を確認できたということでありますので、今日にでも末松副大臣とも協議をして、今申し上げた私の思いは伝えておきたいと思っております。
(問)北方領土の関係で、政府としては四島一括返還を求める立場であったと思うのですが、ロシアは二島先行ということもかつて提案したこともありまして、そういう意味では、今回の訪問でその主張が日本政府にとってはかなり厳しいものになったという指摘もありますけれども、それはどのようにお考えですか。
(答)ロシアが今そのような主張をしているとは少なくとも現時点で承知しておりませんので、私どもとしては領土返還ということについては、揺るぎない目的であるということで、あくまで北方担当でありますから、粘り強く、世論啓発というものをやっていきたいと、これに尽きると思います。
(問)八ッ場ダムに行かれてお詫びされると、先ほど言われましたけれども、大臣になられて、八ッ場については、例えば誰が何をしたことについてお詫びをされるのですか。
(答)これは、地元の方々に大変御迷惑、御心配を掛けているということについて、お詫びを申し上げたいと、このように私の思いとしては、訪問についてはどういう思いですかと問われたので今そのように申し上げたのです。ただ、地元住民の皆様方との面談、お会いしたいという思いはございますが、なかなかこれは難しいのではないかという感触を得ておりますので、直接お伝えできるかどうかというのは、今の時点では申し上げられないのですけれども、まずこのことは私の思いとしてはあります。それから、再検証の枠組みの話も、我々ずっとこの1年間、「ダムにたよらない治水」ということで進めてまいりましたので、今後の生活再建や検証の進め方についてもお話をしたいというふうには思っています。
(問)1年間進展がないということをおっしゃられましたけれども、これもお詫びの中の一部には入っているのでしょうか。
(答)少なくとも私は大臣になって、この1年間振り返れば、地元住民の皆様方にとっては先の見えない、見通しのきかない状況にあったことは事実だと思いますので、そのことは率直にお詫びを申し上げたいと思っております。

(以上)