馬淵内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月22日

(平成22年10月22日(金) 10:50~11:29  於:国土交通省会見室)

1.発言要旨

 それでは閣議後の定例会見を始めます。私からはまず、冒頭二点報告がございます。一点は、利根川の治水計画についてであります。八ッ場ダムに関しまして、利根川の治水計画について19日に会見で申し上げたところでございますが、その後私の方で調査を指示しまして、本日改めてそのことにつきましてお話を申し上げます。先日申し上げたとおり昭和55年に改定された利根川水系の工事実施基本計画では、基本高水のピーク流量は、確率流量と称するものが八斗島地点21,200m3/s、そして観測史上最大流量と称されるものが同じく八斗島地点22,000m3/sでございますが、これらのいずれか大きい方を採用し、八斗島地点では観測史上最大流量である毎秒22,000m3/sと決定しているということでありました。その上で、この観測史上最大流量、この言葉だけ聞くとあたかも実測値であるかのように誤解を招くということもありますので、ここで私は19日の会見で、これは流量計算モデルによる計算結果であるということを会見で申し上げたところです。現在、河川整備基本方針につきましては、平成17年度に社会資本整備審議会において、昭和55年に定めた基本高水ピーク流量が妥当か否か審議を行った上で策定したものですが、そもそもこの昭和55年の基本高水ピーク流量の計算についてその計算の基礎となった飽和雨量等の定数、あるいは降雨量、これについては地方整備局に保存している資料等から確認はできているものの、具体的にどのようにして流出計算が行われたかという資料が現時点では確認できないことが明らかになりました。このため、観測史上最大流量を計算した時の詳細な資料について、まずは徹底的に調べるようと指示を出しております。つまり平成17年度の社会資本整備審議会の小委員会の中で検討したと、そしてこの21,200m3/sについては、確率流量として計算については報告書に詳細が載っておりますが、22,000m3/sについてはわずか3行で示されているだけと。これについてその根拠はということで昭和55年当時の資料を調べるようにと、これもその資料の存置期間が過ぎているということもありますので大変だということでありますが、しかし報告書としては当然ながらその流出計算をどのようにやったのかと、これを明らかにすべきだということで調べたところ現時点においては確認できないということでありますので、再度徹底的に調べるようにと、こういうふうにも言ったところであります。前から申し上げておりましたが、今後八ッ場ダムの検証、これを行いますが、予断を持たず情報公開を図りながら出来る限り最新のデータやあるいは科学的・技術的知見を用いて、徹底的にデータや流出計算モデルの点検を行って、流出計算モデルの見直しも含めて改めるべき点があれば改めるという姿勢で臨んでまいります。もう一点、15日の会見で「基本高水が結果的に変わる場面も出てくるが、この八ッ場ダムの問題ではない」という趣旨のことを申し上げたことについて、本日配布している資料に基づいて説明を申し上げます。横紙でお渡ししていると思いますが、資料の左側にありますものが河川法に基づく河川整備基本方針というもの、これがまずございます。治水計画としては、この河川整備基本方針がござまして、そして河川整備計画というものが明定されております。河川整備基本方針は長期的な河川整備の最終目標でありまして、ここで基本高水を決定いたします。基本高水につきましては、ここにも記してあるように、社会資本整備審議会の意見聴取ということが定められております。およそ、この基本方針に沿って20~30年間程度を目安とした整備の目標と河川工事の種類、場所などをこの計画の中で定めてまいることになります。ご理解いただきたいと思いますが、河川法の体系です。基本方針によって基本高水が設定され、そして社会資本整備審議会の意見聴取を行う。この方針に基づいて整備計画が作られて、この整備計画ではおよそ20~30年程度を目安とした工事種類、目標、場所などを定めていると、こういうことであります。一方で、この資料のこの右下のところにありますのが今回の検証体制における検証の中身であります。ダム事業の検証ということで、この河川整備計画の検証を行っていくということになります。ちなみに、この河川整備計画が策定されていない水系、実は利根川水系もそうですが、こういったものにつきましては検証の中で、まず河川整備計画の目標に相当する目標を設定して、それを基に検証を進めていくことになります。そこで今回私が申し上げたとおり、当時の基本高水の検証モデルというものが明らかに出来ない状況であると。これは徹底的に調べると申し上げておりますが、この中で、当然ながらモデルの検証も行っていくということですから、場合によっては、この基本高水も変更、検討というところで社会資本整備審議会への意見聴取も行うということが当然ながら起きることもあるということです。この基本高水の見直しに、今回の検証が直接結びつくということではなくて、改めて私自身が大臣を拝命してこの問題について詳細な調査を行ったところ、こうした流出モデル等の点検が出来ないという状況であるということでありますので、まずはその資料なり、経過を明らかにせよということで指示を出したところでございますので、今後も基本高水の変更の可能性などについても、検討を行うということでご理解をいただきたいと思います。まずは、この利根川の治水計画について申し上げました。
それから二点目が、日米オープンスカイの実施及び羽田の国際化についてであります。予算委員会でも私が一部触れましたが、来週25日、月曜日にルース駐日米国大使との間で昨年12月に日米間で実質合意をいたしました日米オープンスカイ了解覚書に署名する予定であります。正式発効は日米両政府間での外交上の公文の交換後となりますが、この署名によって日米オープンスカイが実施をされることになります。こちらは首都圏空港を含むオープンスカイとして、我が国にとって第1号となります。また、この日米オープンスカイの実施に先立ちまして、本日、本年6月18日付けで申請のありました日本航空インターナショナルとアメリカン航空との共同事業及び全日本空輸とユナイテッド航空とコンチネンタル航空との共同事業、これらについて独占禁止法の適用除外とすることについて、それぞれ航空法に基づく認可を行うことといたしました。これにより、提携航空会社間で運賃・ダイヤ等を調整することが可能となり、自社と他社の区別なく一体となって航空サービスを提供する体制が整うということになります。これで、発着時刻の調整により乗り継ぎ時間の短縮、また近接していたダイヤの分散化などで、利用者の選択肢を増加させることができます。また、自社便・他社便の区別無く同一の割引運賃を適用することができるということで、利用者利便の増進が図られるものと考えております。このように、日米オープンスカイの実施と独占禁止法適用除外の認可によりまして、ネットワークの拡充、競争の促進、サービス水準の向上というものが期待されて、日米間のビジネス、観光、物流、これらの面で交流拡大に大きく寄与するものと思われます。この覚書、これには羽田=米国線の新規開設についても盛り込まれておりますので、これを含む羽田発着の国際定期便に係る各航空会社の事業計画について、本日認可をすることといたしました。私の方からは以上二点でございます。

2.質疑応答

(問) 昨日の話で恐縮ですけれども、自民党の方で新幹線に関係して調査会の方で、鉄建機構の剰余金を新幹線財源等で使えるようにということで議員立法で法改正していこうという方針が発表されました。中身を見ますと、国土交通省で考えている基本的な考え方にかなり近いのかなという印象を受けたのですが、大臣の受け止めといいますか評価があればお伺いしたいのですが。
(答)これも委員会でもたびたび申し上げていますが様々な意見があります。鉄道整備支援のために使うべきだという御意見も当然ありますし、一方で事業仕分け、あるいは今日の厳しい財政状況の中で御意見としては全額国庫に返納すべきだという御意見もあります。その中で、自民党の議連の中でこういう議論をなされた結果だと私は受け止めておりまして、今後もこういった様々な御意見を基に関係省庁とも連携を取りながら協議を進めてまいりたいと思っております。
(問)いずれにしても国庫返納にせよ、何かの財源に使うにせよ、法改正が必要ということで、しかも今のねじれ国会の状況を見ますと自民党の動きというのも看過できないのが今の情勢だと思うのですが、自民党の方は臨時国会に向けて法案提出を目指すということですが、それに対して政府、あるいは国土交通省としてどのようなスケジュール感でしかるべき法案提出の動き、策定をしていくのか現段階での考え方をお願いします。
(答)スケジュール感を申せば、年末までに予算編成過程の中で一定の結論が得られるように、これは法案の取扱いも含めてですが、しっかりと取り組みたいと思っております。これも繰り返し申し上げておりますが、国民的なコンセンサス、合意が必要だと思います。これだけの莫大な財源となるわけでありますから、真に必要な財源として取り扱われるべきでありまして、1つは行政刷新会議の中での御意見もありました。また財政当局による御意見もあります。ただ一方で、我々も歴史的な経緯、更には公共交通機関の重要性というものがこれからより一層叫ばれる中で、高齢化、あるいは少子化が進む中でこの財源の確保ということを考えていかなければならないということで、本当に幅広い観点から国民的なコンセンサス、合意が得られる方向というものをしっかりと模索し検討し協議してまいりたいということです。年内にしっかりと成案が得られるように取り組んでまいりたいと思います。
(問)JALについて伺いたいのですが、人員削減を巡っていくつかの組合の方が、一部の運航乗務員に対して白紙のスケジュール表を作って、実質上、乗務をさせずに退職を強要されているという訴えをしてまして、大臣の方にも航空労連の方からそういう対応を正すように指導してくださいという要求書が届いていると思うのですけれども、この組合の訴えに対してどのように答えるおつもりなのでしょうか。
(答)個別の具体的な事案については、まず事実関係の把握というものについて慎重に行わねばならないと思っておりますし、まず国土交通省としての立場で申せば、この経営再建は、まずは更生計画をしっかりと進めていくというJALの取組を見守るのが私どもの立場であると思っておりまして、現にこの人員削減に関しては本日が締切となっておりますので、当然JALとしても本日の締切、そしてその上での様々な結果の分析、対応というものを検討されるというふうに私は承知をしております。今御指摘の点については、こういったトータルのJALの再建の中で判断されていくべきものであると思っております。
(問)今日、蓮舫大臣が国土交通省の所管するスーパー堤防の視察に行かれる予定だと聞いているのですが、いよいよ事業仕分け、特別会計を対象としたものが始まるわけですが、大臣もかつては国土交通省の持っている特別会計の問題点については国会で厳しく追及されていたと思いますが、今回は仕分けられる側の責任者ということになりますが、どういったスタンスで臨まれるのか、特別会計制度自体の問題、改革の必要性をどのように考えていらっしゃるのかお聞かせください。
(答)まずスタンスで問われれば、どんどん遠慮なくやってくださいと。スタンスで問われればですね。当然ながらこれはコスト縮減、ムダの廃止ということで、当然ムダの削減というのは徹底して行わなければならないと思っておりますから、ここはしっかりと厳しく見ていただきたいと思います。ただ、特別会計だからとか、法人改革もそうですが、独立行政法人だから、あるいは他の公益法人だからという1つの括りで見るべきではないと私もかねてから申し上げてまいりましたが、特別会計の中でも様々な勘定があります。そしてその個別の事業、事案というもの、とりわけ、今日はスーパー堤防を御覧いただくということですけれども、河川事業として治水、利水のために必要な事業ということの観点も忘れずに見ていただきたい。だからといって、ここは必要だからこの事業を何としてもということではなくて、徹底的なコスト縮減、ムダの排除というものは必要だと思いますので、あるいは工期の短縮、場合によってはその構想事業プロジェクトの抜本的な見直しも必要でしょう。そういう意味で私は臨機応変に対応したいと思っておりますので、担務でおられる蓮舫大臣が取り組みなされることについては、徹底的にやってくださいというのが私のスタンスです。
(問)JALの件で質問です。今JALで希望退職を10月22日まで募集してまして、出なかったら整理解雇みたいな話も出ておりますが、JALの場合、会社を倒産させてしまった旧経営陣の多くがグループ会社に天下るか、もしくはそのままJALの経営を引き続き担ってきていると思うのですが、大臣自身は以前大阪で会社を実質的に経営なさってきた御経験があると思うのですが、会社経営者というお立場にあられた大臣から御覧になって、今のJALのリストラの有り様はどういうふうに思っておりますでしょうか。
(答)まず旧経営陣を含め実態を問われると、今現実に詳細を承知しておりませんのでお答えしにくいのですが、経営陣ということで一般論で申し上げれば、当然ながら経営に対する責任というものは常に一義的に背負うものだと思っております。これは株主、あるいは顧客、金融機関とそれぞれのステークホルダーに対する責務を背負うものであると。私自身はその経営陣の方々がそれ相応の責務を背負って取り組まれていると現時点では思っておりますし、旧経営陣のことについては承知をしておりませんが、今回、この旧経営陣うんぬんではなく、会社再建のためにまずは人員削減ということに取り組んでおられると私は理解をしておりますので、これについてはしっかりと取り組まれているということ、それ以上でもそれ以下でもないと思います。経営者の方々の問題については、私も詳細を承知しておりませんので、また今後どういう状況かということを踏まえた上でお答えする機会があればお答えしたいと思います。
(問)西松さんが日航ジャーナルの理事長に転出されたのは御存知ですよね。
(答)どなたがどういう立場でどういう条件なり状況かということについて、個別個別で今コメントする必要はないと思うのです。むしろ、JALという会社が経営再建を今後しっかり果たせていくのか、そこに我々は目を向けるべきであって、経営者に対する責任というものについてはまた別途問われるべきものだと思います。
(問) JALの再生ですと、ANAと2つで、国際線を持っている航空会社2つというのが今後も共存できると思っておられますか。
(答)これも何か方向性を私が今立場的に申し上げるべきではないと思います。あくまで市場の中で競争にさらされるわけでありますから、特にメガコンペティション時代に突入するわけです。その厳しい競争状況の中で今後この2社にしっかり頑張っていただくことがまずはスタートだと思いますし、それ以降に関しては、正に経営陣の努力、あるいは社員の皆様方の努力、これによるものだと思います。
(問)冒頭の基本高水の関連で確認させてください。計算モデルが確認できないというのはよくわからないのですが、今まで河川局の皆さんは、例えば社会資本整備審議会などで貯留関数法で計算しましたと説明していますし、私が最初その48ミリはおかしいのではないかと質問したときには、一時流出率であるとか、遅滞時間とか、KとかPとか、他の定数で計算しているから大丈夫なんだということを常におっしゃっていたのです。大丈夫だったという根拠が、自分たちが計算した根拠がわからないという意味なのでしょうか。確認できないという意味がよくわからないのですが。
(答)まず、私もこれはおかしいということで、調査を命じました。それで、断片的に出ているものというのは確認ができるのです。ですから、例えば河川局なり担当者が申し上げた数字というのは、少なくとも確認ができた数字を述べていると思います。ただし、全体像として、どういう流出モデルでどのような検討を行ったかということの、昭和55年当時のそれが何か一冊で確認できるものというのは、今現時点で確認できないということでありますから、平成17年の小委員会の報告書を詳細に見ながら、確率流量についてはすべて記載されているのですけれども、肝心の観測史上最大流量の部分については、わずか3行です。これはおかしいということで、徹底調査を命じたところです。これについては明らかにしなければならない責務があると思っておりますので、当然ながらそのモデルの検証ができなければ、このルートにありますように、今回の検証の過程の中で必要とされる基本高水の変更の可能性ということも十分に検討していかなければならないということになります。ただ申し上げたいのは、我々が今回このダムの検証と言って進めてきたのは、河川整備計画、あるいはそれに代替するものをしっかりと定めて検証を行おうということで進めてきました。これは有識者の皆様方の御意見の中でこのように進めようということになったわけです。頭の基本方針からやるということではなく、この整備計画からやろうということで、有識者の皆様方から御意見を頂いた、これは尊重して進めましょうということですが、私自身は一方で別の問題意識を持っておりましたので、調査を命じたところ、今のような事実が明らかになってきたということで、このままでは駄目だと、モデルの検証もしっかり実態としてデータの確認も行えということを指示したということであります。ですから、このルートができたということになります。
(問)今まで会見でも申し上げたのですが、例えばモデル図とか、54分割の分割図を出すべきではないかと質問して、それは大臣は理由もいろいろあって出せないと。それはそのモデル図が不存在だったということなのでしょうか。
(答)モデル図はあります。これは資料請求を頂いている中で、墨塗りをしているところ、私も2枚確認しました。モデル図、ブロック図あります。これはちゃんとあるのですが、前にも申し上げたように、洪水調節施設がその場所、あるいは規模が推計できるような中身になりますので、これについては反社会勢力の土地の買い占めだとか、様々なことが予見されますので、ここは慎重に取り扱うべきだろうという判断で控えさせていただいたということです。ただこれがなくても、今申し上げたように、そもそも22,000m3/sだということの精査した成果そのものが見つからないということは、これは私はあってはならないと思っておりますので、徹底調査を指示したと。これは昭和55年当時ですから、当時のことを知る者も含めて、これはなかなか大変な調査だと思いますけれども、ただこれが明らかにできない以上、そもそも22,000m3/sの妥当性そのものが問われることになりますので、徹底調査を命じております。
(問)いよいよ法案の国会審議が本格的に始まると思いますが、この中で高速道路の法案が継続であがっています。その中の審議で一つ重要になっているのが料金ではなくて、高速道路の整備の方の話があると思うのです。東京外環と名古屋2環なのですが、大臣は野党の時代から、合併施行の方式は駄目だということで、薄皮まんじゅう方式だということで批判されましたが、今回の案だと会社施行方式でやるけれども、お金は利便増進の税金を充てるという形にするのですが、合併施行は駄目で今回の利便増進のスキームで、手当済みの国費を充てることについてはOKとするような、その理由を改めて教えてください。
(答)法案を出したときに御説明したつもりなのですが、現状で名古屋2環、東京外環については整備すべきものというのは国幹会議で定められたということで、また、かつ必要性は十分に理解できると、必要性はあるだろうという中で、整備をしていく手法を検討する中での財源の確保、これが利便増進ということで進めたということでありますが、ただこれは法案が通っておりませんので、現時点でも棚上げになっております。もちろん今後の国会の御審議によるのですけれども、仮にこの法案がなかなか審議いただけない、あるいは前に進まないとなれば、改めて検討をしなければならないかもしれません。いずれにせよ、私は前から申し上げてきたのですが、副大臣時代に申し上げてきましたが、ネットワークの整備の在り方、そもそもこのことをしっかりと俎上に乗せて議論を進めなければならないと思っておりますので、これは新政務三役並びに党、そして国会の進捗もありますので、議論をさせていただきながら整理をしたいというふうに思います。
(問)必要性はわかるのですが、合併施行はNOで、どうしてこの会社施行だと大丈夫なのでしょうか。
(答)会社施行と言いますか、これは財源的には国がということになりますから、私どもはそもそも高速道路というものは無料化をさせていく中で、今後一般国道の自動車専用道路の整備をしていくということですから、国費で負担をして造っていくべきだということの主張であります。高速道路を道路会社に任せて、採算性だけでということになると、これはなかなか採算がもう合わない状況が出ておりまして、これの苦肉の策が合併施行だったわけです。これだと採算の合う道路と言いながら不採算の道路を造り続ける仕組みを結局温存させることになるので、そこは整理しましょうということで、今回4月に法案を出させていただいたということですから、ただこれも繰り返しになりますけれども、法案の行く末というものが今後明らかになる中で、我々としてもネットワークの整備の在り方、再度検討が必要なのかもしれないというふうに思っております。
(問)先程の利根川についてなのですが、公文書の保管期間というのは3年間だと思うのですが、大臣は、昭和55年当時の資料をこれから探して見つかるのはなかなか難しいという認識をお持ちでしょうか。また、22,000m3/sという高水の経緯が載った資料が見つからない場合、もう一度基本高水を最初から計算し直すということがあり得るのでしょうか。
(答)先程も申し上げたように、モデル自体はございますし、まとめた資料ということではなくて、データ自体については、具体的なものというのはこういう部分だということで御提示もしてまいりましたので、あるのです。ただそれがどのような形でそれを使って計算したかという、その経緯、プロセスが今明らかにできないということでありますから、これは膨大な資料の中に、何かどこかに1冊にまとめてということではなくて散見している場合もありますので、これについては調べて、場合によっては調査をすることによって明らかになることもあると思います。ただ明らかにできない場合は、当然ながら再度全く新しいところから考えなければならないのか、あるいは得られるすべてのものから検証を行うのか、いずれにせよ、このモデルも含めた検証を行うと私は申し上げておりますので、そのプロセスの中に乗るというふうに思っております。
(問)沖縄担当大臣として伺いたいのですが、来週月曜日と火曜日に沖縄政策協議会の下にある部会をそれぞれ開くと思うのですけれども、特に沖縄振興に関する部会について、どれくらいのペースで今後開催していった方が良いかとお考えかということと、沖縄振興に関しては既に内閣府の中に審議会という形で協議する場もあったりすると思うのですが、これまでにある沖縄振興審議会というものと今回新しくできた部会の役割分担というか、メンバーもそれぞれ違うのかと思いますが、役割分担をどのようにして動かしていくのでしょうか。
(答)25、26日で行われるということで、基地負担軽減部会と振興部会それぞれを行うことになっていると聞いております。この振興部会で、まずは審議会、それから専門委員会での議論を御報告申し上げると。そして、県の要請というものをしっかりと受け止めていきながら意見交換を行う場だと、私は承知しております。今までも審議会でいろいろと御意見を集めていただきましたが、また議論を交わしていただきましたけれども、この部会については、メンバーに関しては官房長官が構成員を今後お決めになると思いますけれども、政府側、そして関係する自治体、地域の方々の御意見を調整する場だと思っておりますので、審議会の議論がよりさらに具体的にそこで議論される場だと認識しております。
(問)開催頻度については、どのようになりますか。
(答)9月10日に設置が決定されたものでありますので、ようやく調整が整ったということでありますから、それぞれの構成員の調整次第だと思います。これは、官房長官の方で御調整いただいていると思います。
(問)先日の中央新幹線小委員会で示されたB/Cの資料ですが、例えば1.24、1.51というデータですけれども、この差がルート決定が決着したと言えるほどの優位な差があるのかどうかということと、7分の時間差というのが需要予測においては大きな差となって表れているようですが、地元からすると40分と47分でそれほど差が出るのかなという疑問が出ておりまして、評価手法についてどのようなお考えをお持ちなのかお願いします。
(答)今回のB/Cに関しては、委員の皆様方がどういった数値になるかということのために試算をされたということであります。したがいまして、これは参考にしていただく数字だと思っておりますが、まず大前提として御理解いただきたいのは、B/Cの数値が高い順にこうした事業というものが決定されるということではありません。今回は、JR東海さんの事業ということでありますけれども、例えば私どもが所管する国の公共事業であれば、B/Cが1以上であることが条件であってB/Cの高い順番に事業を行うというような定めがあるわけではありません。ですから、まず御理解いただきたいことは、1.24、1.51という数字が出ておりますけれども、これによっていずれかのルートがどのような形で決定するかということに何か大きく要因として出るのかというと、私はそれぞれのB/C以外の様々な要因があると思いますので、それらの総合的な判断の結果になるのではないかと思います。ですから、これが出て一義的にルートが決まったというような報道もあるかと思いますが、まだまだそうではないと私は思っています。
(問)八ッ場ダムの件ですが、25日に1都5県の知事が現地視察をしますが、大臣の出席を求めているのですけれども、現時点での出席の可能性についてお願いします。
(答)是非、現地を訪れたいという思いもございましたので、調整をさせていただいたのですが、国会日程で25日は予算委員会ということで、私は国会が最優先されるということになりますので、現時点においては調整は非常に困難であると思っております。いずれにしても、国会の日程というのは理事会の協議によって決まることですからまだ正式ではないのかもしれませんが、現在のところ25日は予算委員会集中審議ということでありますので、私自身は現時点で調整を行っておりますが、難しいのかなと思っております。
(問)一括交付金について、地域主権戦略会議が今週、各省から聞き取りをして一括交付金化できる補助金をさらに上積むようにという観点から各省の意見を聞きましたが、国交省も含めて上積む回答というのはありませんでした。一括交付金化に対して、現時点で大臣はどういうふうにお考えなのか、どの程度ひも付き補助金を一括交付金化できるとお考えかお願いします。
(答)既に平成22年度予算の中で社会資本整備総合交付金という形で、先取りという形で我々として提示をしておりますので、上積みと言われると、私どもは1年目から交付金化をしているということで、昨年から比べればという御評価になるのかもしれませんが、ミシン目のない形で御提示するという方向に向けては取組をさせていただいていると思っています。もちろん、今後、地域主権戦略会議の中でさらなる要望というものがあれば、今後省内でも議論していきたいと思いますが、基本的に我々としては他の省に先駆けて前向きに取り組んでいるという姿勢でおりますので、御指摘の部分というのは当たらないのではないかと思っています。
(問)地域主権戦略会議の中でも、社会資本整備総合交付金は一括交付金化の趣旨とは必ずしも合致しないという意見が多く出ているかと思いますが、この辺りはいかがでしょうか。
(答)例えば、補助金の継続が99%ではないかという、これは党内からもそういった議論があったこともありますが、まずはシームレスな執行と。この4月から自治体の皆様方は切れ目無く執行したいということで、継続という形の申請を多くなされたということが実態です。私どもは、だからこそ自治体の皆様方には新たな計画を出してくださいと。我々からはこれはひもは付いていませんと。子育て施設という形で保育所もできますと。あるいは、介護施設、さらには図書館といった各省縦割りだった施設もこれで全部可能ですということを申し上げています。自治体の担当者レベルにはそれが徐々に伝わっていって、新たな計画の提出ということで取り組んでいただいていると思っておりますので、今回99%ということで補助事業の継続ではないかとお叱りを受けましたが、過渡期ですから、自治体の皆様方が熟度を高めていただければ、この交付金の使い方も正に使い勝手の良い交付金に変わっていくと思っています。
(問)海保の関係ですが、中国政府がガス田の周辺で海洋調査の実施を通報してきたということの一部報道がありますけれども、その事実関係と、そういう通報があった場合に海保として、海域の調査はEEZの日本側も含めているようですけれども、態勢強化なり警備強化というのはどうするのでしょうか。
(答)事実だけで申し上げると、御指摘のような通報があったということは承知をしておりません。私どもの方ではありませんが、外務省の方でも、特に衝突事件後に御指摘のような通報があったというような事実はないというふうに承知しております。
(問)リニアの関係で確認なのですが、東京と大阪で見れば1.24なのですが、東京と名古屋だけを見ると0.94という数字があって1を割っているのですが、この辺りはいかがでしょうか。
(答)先ほど申し上げたように、国の公共事業であればそういった整理になっていますと。B/Cが1以上なければ公共事業はできませんと。そういう仕組みの中のB/Cの計算値を今回、委員の皆様方が参考のために求められて出されたと、そういう理解ですから、今後、工法も含めてコストをどう変えていくのか、あるいは便益をどう見るのかということも含めてさらなる議論が必要だと思いますので、今回の小委員会の検討の場に出されたもので何か決定したかのような報道がございますが、私どもはそのようには理解をしていないということで、繰り返し申し上げておりますけれども、御承知いただきたいと思います。

(以上)