松本内閣府特命担当大臣再任記者会見要旨 平成23年1月14日

(平成23年1月14日(金) 22:28~22:57  於:環境省22階第1会議室)

1.発言要旨

 お疲れ様です。何か、あれから4か月という感じがして、今日は、大臣になるかどうか分かりませんでしたけれども、当時のことを思い出すようにと思って、その日していたネクタイをわざわざ今日は、しめて来ました。もう一回、新たに環境大臣、防災担当、そして原子力安全委員会担当ということで、もう一回身を引き締めて、これからことにあたっていきたいというふうに思っています。
 総理から、午後、話をされたことを4点だけ、まず御報告をしたいと思います。世界に先駆けて、低炭素社会を実現することを視野に入れて、温暖化対策の主要三施策について、これに基づいて関係法令の制定、制度のスタート等に取り組む。二つ目は、次の世代に良好な環境を引き継ぐために、社会全体で地球温暖化対策を強力に推進する。3点目、地球温暖化対策や、生物の多様性など、自然環境の保護を政府全体で推進するとともに、日本が国際的に主導的な役割を果たせるように、関係大臣と密接に連携をし、政策を主導をする。災害対策や、被災地の復旧、復興に万全の対策を行う、原子力安全委員会に関する事務をしっかりやってほしい、という4点でありました。
 この4か月、ずっとやってまいりましたけれども、いきなり3日後に、生物多様性の関係でニューヨークに飛んで、1か月後にはもう、生物多様性条約COP10、名古屋にまいりまして、議長として努力をしてまいりました。正に、最後まで難航を極めましたけれども、先進国、途上国、それぞれ譲歩をし、妥協をし、人類の英知が結晶して、ABSがまとまり、ポスト2010年目標がまとまったというふうに思ってます。いつも言っておりますように、だれ一人欠けてもダメだったというふうに思うくらい厳しい交渉でありました。そういう意味では、国連プロセスが、ある意味では復活をして、COP16も気候変動枠組条約も、メキシコ・カンクンではある程度成果を収めたというふうに思っています。
 いずれにしても、会議が終わったばかりで、これからが大変だというふうに思いますし、生物多様性国家戦略も見直さなければなりませんし、締結に入ってやっていかなければならない。気候変動の方も、COP17に向けて大変な努力が、新しい構想力がいるのだと。米中を巻き込んでいきながら、先般もルース大使には、しっかり、これに取り組んでほしいという申し入れをしましたし、先般、近藤副大臣も中国に行って、メキシコで担当していた解振華さんと話をして、それなりに話をしてきた。
 そういうことも含めながら、これからやはり環境省も、外務省や経済産業省等々と連携をしながら、二国間会議、あるいは様々な機会をとらえて、いろいろな日本の思いとか、そういうものを伝える作業をしていかなければならないなということも、環境省含めて、申し入れたところであります。もとより、国内法の制定といいますか、地球温暖化対策基本法、これの制定に向けて、しっかり取り組んでいきたいと思いますし、主要三施策の問題も、これをしっかり骨格にしていきながら、そのほかの制定に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
 防災の関係につきましても、日夜、防災関係の皆さん、内閣府の皆さんが努力しておられることに、頭が下がる思いを、この間してまいりました。年末年始も地元に帰らずにこちらにおりましたけれども、鳥取、島根の状況を逐一報告をいただいたり、年明けてすぐには、もう対策を考えるという状況を作り上げてまいりました。
 オーストラリアでの豪雨、ドイツとフランスの国が水浸しになるようなブリスベンの近辺の豪雨に関しても、去年、本当にいろいろなところで様々な、世界初というような、そして歴史でも初というようなことが起こっておりますので、皆それに対処していかなければならないというふうに思っております。そういう意味では、様々な情報を集めていきながら、それらに対応するやり方もしていかなければならないというふうに思っています。幸い、局地激甚災害の指定要件の見直しにつきましては、前の中井洽大臣から引継ぎまして、ようやく年末年始、皆で努力をしていただいて、見直しの緩和をすることができました。これからも、適宜いろいろなことで、ことにあたっていきたいというふうに思っております。
 水俣の問題も、まだまだ道半ばでありますし、これから取り組んでいかなければなりませんし、循環型社会の構築、さらには大量生産・大量消費・大量廃棄ということに加えて、先般、大量流通も考え直そうよということも、ちょっと申し上げて、いろいろなところで、これから、いろいろな学者さん、いろいろな人たちの意見を聞きながら、新しい社会作りに向けて努力をしていきたいというふうに思っています。
 グリーン・イノベーションということも、私はあまりよく分かりませんでしたけれども、いろいろなところを視察したり、いろいろな人の話を聞いたりしていく中で、これはスピードがもっといるなというふうに思っております。というのは、年末に、中国の重慶で、スマートシティのいろいろな国々、訪ねているということがあって、あれだけ大気汚染がひどいところで、やはりそういうことが深刻になっている、公害も深刻になっているということをとらえていけば、やはり日本が、最先端の技術でそれに対して対処していく、そしてそれを、環境とビジネスということ、環境と経済ということに結びつけていくということも、これは大いに喫緊の課題だろうというふうに思っています。コストがかかるコストがかかるも、分からないではありませんけれども、やはりこれから、課題を先取りしていく社会にしていかなければ、資源のない日本は、逆に立ち後れていくなというふうに思っているところであります。
 いろいろなことを申し上げましたけれども、これからまた、いろいろな意味で、ここにおられる皆さんが、いろいろな意見をいただいたり、いろいろな叱咤をいただいたりしてやっていかなければなりませんので、改めて、引き続き大臣ということで、よろしくお願いをしたいと思います。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の江口です。大臣、先ほど、COP17では、新しい構想力をというようなこともおっしゃっていたのですけれども、COP16では、日本の姿勢が京都議定書の延長反対にスポットが、やや当たりすぎたような印象が残っています。大臣がやるCOP17に向けて、新しい構想力というのは、どのようなことを考えていらっしゃるのか、もう少し具体的に教えていただきたいのですが。
(答)COP16につきましては、初日に化石賞をもらうようなことで、京都議定書の第二約束期間にコミットしないということを、愚直にずっと訴えていきました。27%しかない京都議定書だけが、法的拘束力をもって固定化されれば、それ以外のところが、中国とアメリカ併せて41.3%ですので、そういうところが参加する枠組ができないということを訴えて、それが最終的には、アフリカ諸国、あるいは島嶼国、グレナダとか、そういう諸国にも理解はできましたし、アフリカにも理屈としては理解ができたと私は思っています。そういうことを訴えていきながら、アメリカの背中を押して、中国にしっかり入っていただいた枠組を作っていく。新しい構想力というのは、今、具体的にどうこうということは申し上げることはできませんけれども、カンクン合意をもう一度バージョンアップしていくようなことを、やはり日本が発信していくということが必要だろうというふうに思います。
(問)神戸新聞の磯辺です。先ほど官邸の会見で、17日に神戸の追悼式典に参加されるとおっしゃいましたが、去年は総理が政府代表で来られたのですが、今年は松本大臣が政府代表で来られるということでよろしいのでしょうか。
(答)はい、そうです。去年は15周年という節目でしたから。防災担当としてというか、震災のプロジェクトの座長をしてましたけれども、そういう関係では行ったことがありませんので、やはり、神戸の街を見てみたいというふうに思っております。
(問)再任おめでとうございます。改めてお聞きしたいのですけれども、温暖化基本法の25%目標等の考え方ですね。これは基本的に維持したまま、法案継続審議に臨むのかどうか、そこが一点と。同じく国内排出量取引制度、1月4日の時点で、改めて省内で考えるとおっしゃられましたけれども、その後、対応の変化というか、具体的な進展はあったのかどうか、その部分をお聞きしたいと思います。
(答)それぞれ今日も話しましたし、4日の日も冒頭これについては話をしてますし、今日も話をしました。とりわけこれからは、今までは産業界とか、いろいろなところと話をしてまいりましたけれども、今度は、国会審議の中で、野党の意見というのが非常に大きな意味を持つだろうということもあって、その辺のところもにらんでいきながら、柔軟な対応していかなければならないと思いますし、主要三施策は、骨格はしっかりと維持をしていきながら、これに向けて取組は進めていきたい。まだ具体的にどうこうということはありませんけれども、意気込みとか、姿勢そのものは20年に25%削減というのは、やはりまだしっかりと維持をしていきながら、訴えていきたいというふうに思っております。
(問)その25%についてなのですけれども、まだ国内削減分というのが明らかになっていませんけれども、大臣として、どの程度、最低でも国内でやらなければいけない、今のお考え、また明らかにするべきときというのはどうお考えになっているのかということを。
(答)2013年以降のことについて、まだまだ国際交渉等々ありますから、今ここですべての主要国による公平かつ実効性のある枠組というものが、まだ見えてこない状況の中で、予断を持って、ここで申し上げることはできませんけれども、2020年25%真水がどのくらいかということは、今ここでは申し上げることはできません。
(問)与謝野さんが経済財政担当として入閣されました。与謝野さんは麻生政権でも同じように閣僚をされていて、その時に、日本の中期目標を決める際に、排出枠を外から買ってくることを前提に、国内目標を決めるべきではないなどと、非常に厳しい意見を言われていたのですけれども、今回また経済担当ということで、非常に閣内で厳しい議論になると思われるのですが、どう対処されていかれますでしょうか。
(答)そのことについては、またしっかりと議論をしていきたいというふうに思っていますし、与謝野大臣は、実は、存在は20数年前から存じ上げていて、どこの党にあっても、自分は国のためにいろいろなことをやっていきたいんだという意気込みは、昔からあられる人なので、そういう意味では、あまり違和感はありませんけれども、そういうことについては、これからも、我々は我々の立場をしっかり言っていきながら、議論をしていきたいというふうに思います。
(問)NHKの森野と申します。防災担当として、内閣に御就任されるときは、中井大臣から引き継いだものをしっかりと、まずまとめていくというような形でおっしゃっていたと思うのですけれども、それで実際、指定要件の見直しをされたということだと思うのですが、今回、再任にあたりまして、御自身で4ヶ月間見られてきて、これがおかしい、もしくは、まだここが足りないということで、御自身のリーダーシップで、なにか進めていきたい具体的な施策というのはおありでしょうか。
(答)具体的にというのは、やはり局激の話をやはり深掘りしていって、なんとかこれを要件緩和していきたいというのがあって、年末年始にかけて、財務省等々と議論していきながら、中井大臣がやってきたことが、引継ぎでやれたということがあります。私も今度の山陰の豪雪については、いろいろな意味で、船が何隻、そして漁協の何割とかいう話があって、しかも今、新しい機器でGPSとか、魚探とかいろいろなことがあって、新しいものができてきたときに、昭和37年にできた様々な激甚の要件が、そのままで良いのかということをもう一回精査をしていきたいというふうに思っております。しかも、さっきも言いましたように、新しい現象というか、凄いことが世界で今、少しずつ起きているなというのを肌で感じますから、そういうことも含めて、今いろいろなことを、私自身も勉強しますし、防災の担当のみんなにも、いろいろなことで考えていこうよということは投げかけています。具体的に、今度の山陰が、どうできるかということは、今のところは精査中でありますし、船の全壊、半壊あるいは廃業される方等々の把握も、まだ水産庁とか県で精査が終わっておりませんので、それを見ていきながら、現行制度で対応できるものとして、いろいろな要求があったら、それに対してもいろいろ、承ることはやぶさかではないと思っています。
(問)水俣病問題についてですが、水俣病問題に取り組んでいかなくてはならないという言及がございました。この間、原因企業のチッソの分社化についての手続きがトントンと早く進んできたなという印象があるのですが、大臣としては今後どの様に水俣病問題、リードして、省として取り組んでいきたいと思っておられるのか。
(答)あたう限りの救済をやっていかなくてはならないというのは前から申し上げていることであって、それに向かって最大限努力をしていきたいと思っています。事業再編計画の認可が、トントンというふうに言われましたけれども、我々も去年、精査をいたしましたし、いろいろな意味で、補償責任を完遂するために財政基盤を確立しなくてはならないという趣旨で判断したものでありますし、言ってみれば補償責任はチッソの、親会社にあるということは、ずっとこれは、スキームの中で言われていることですから、ある意味では、その先にもしあるとしたら、株式譲渡ということになれば、補償が終わっていない中でそういうことは、我々はしっかりみていかなければなりませんし、これについては環境大臣の承認がいるわけですからそこのところは私たちもしっかりやっていきますし、いずれにしましても認定患者とチッソとの関係は変わらない、しかも、一時金の確実な支給、補償責任の完遂ということを、しっかりと我々はやっていきますし、そのことを見ていきますから。そこのところは私どもはやっていきたいと思っております。
(問)2点あります。一つはCOP10で採択された名古屋議定書ですが、日本政府としての署名をいつごろ目途でやっていかれるお考えかということ。もう1点は防災の担当と兼務されていて、COP10の時も閉会して、議長終わられて、徹夜で奄美の方に行かれたと思うのですが、災害、今後、大臣言われたように、どういう災害がどこで起きるのかわからないし、かつてなかったような大災害が起こる可能性があると思うのですが。今年はCOP17で国際交渉も大変になると思うのですが、兼務もこれだけ重要な内容をされていて、それが非常に大変だと思うのですが、その点については。2点お伺いします。
(答)大変です。確かに大変ですけれど与えられた任務ですからやっていきたいと思います。名古屋議定書の関係で言えば一日も早く、一刻も早い時期に署名をしていきたいと思っていますし、締結に向けても一日も早く、議長国ですから、その責任もあって、最大限努力していきたいということであります。
環境と防災の兼務につきましては、とにかく、年末年始も東京におりましたし、副大臣・政務官等々必ず東京にいるようにということはしっかり体制を組んで、万端怠りなくやっておりますので、そこのところは、かなりハードではありますけれども、国際会議、COP10、COP16、まあ、COP10の場合は名古屋でしたけれど、1時間圏内の場所にいないということがありました。そういうこともあって、その時その時で考えていって、万全を期していきたいと思っております。万全を期すということであります。齟齬がないようにだいたいやっておりますけれども。
(問)日刊工業新聞齋藤です。基本法に関するところですが、三施策について骨格を維持しながら、という話がありましたが、排出量取引に関して、ここは譲れない、ここを維持しなくてはいけないという骨格というのは、大臣としてどういうものをお考えでしょうか。
(答)排出量取引制度を基本法の根幹に据えるということです。
(問)キャップアンドトレードというものは維持しなくてはならない骨格とお考えですか。そこまでは。
(答)そういうことです。主要三施策は基本法の柱であるということには変わらない。
(問)日経新聞の辻です。冒頭の挨拶でも、大量物流の見直しを学識経験者の方からの意見を聞いていきたい、と。昨年はCOP10、COP16とあってばたばたで、大臣主導のリーダーシップの発揮された国内政策というのがまだだと思うのですが、大量物流の見直しみたいなものが一つ出てくるのだと思うのですが、大臣主導の施策としてアイデアベースでもこんなのがあります、というのがあれば教えてください。
(答)さきほどありました、大量流通ということは、地産地消につながるということで、2、3日前も省の関係のみなさん集まっていただいて、これもちょっと見直そうよということで、徐々に、それではプロジェクトチームをつくるのか、審議会みたいなものを作るのかということがありましたが、まず、とっかかりはいろいろな学識経験者のお話とか。私、これは昔から問題意識を持っていましたが、ある方がテレビでこのことを言ったときになるほどなと思ったので、それは申し上げました。今これからいろいろな意味で、地産地消を含めてコンパクトな流通を成し遂げていかなければ、69億、そして70億という、世界の人口が増えていく時に、世界的に見ても、食物の自給率とかそういうものをみても、森林の、今年森林年ですけど、森林の伐採とかそういうことを含めてみても、コンパクトな地産地消というのが、これからの人類が生きていく姿だろうなと思って、そのことを言ったのですが。そのことを含めてすこしずつ勉強を重ねていきながら、自分が言ったことの真ん中みたいなものを見つけていきたいなと思っております。
(問)COP17についてですが、大臣が一番はじめに、日本がリーダーシップをとって動いていかないといけない、というお話しだったのですが、COP17に向けて、日本がこういう提案がいいんじゃないか、新しい枠組、いつぐらいまでに提案していくのかと。
(答)夏ぐらいまでにまとめていかなければならないなと思います。
(問)総理から指示があった原子力の防災対策の件ですが、具体的に何か新しいことを考えておられることがあるかということが1点。また、直接の所管ではないかも知れませんが、以前から原子力保安院の分離独立という件もありますが、今の御所見をお伺いしたいのですが。
(答)原子力の安全については、ことあるごとに正月にも集まっていただいて、万全を期すようにということで訓辞をいたしました。見直しというのは。
(事務方)御質問の趣旨は、2年前でしょうか、総選挙の時も政策インデックスの中で原子力規制体制の見直しというのが書かれており、それに関する大臣のお考えをお聞きしたいという御趣旨ということでしょうか。
(答)それについても鋭意取り組んでいるところです。

(以上)