松本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年12月3日

(平成22年12月3日(金) 11:08~11:19  於:第5合同庁舎25階会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。発言が二つございます。
 来週、メキシコのカンクンで開かれる気候変動枠組条約第16回締約国会議COP16閣僚級会合に出席をいたします。現地からの報告では、先進国と途上国の意見が依然対立しており、見通しは立てにくい状況と報告を受けております。地球規模で温室効果ガスを削減し、その濃度を安定化させるためには、すべての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際的な枠組みが不可欠であります。こうした枠組みを目指して、先進国と途上国が共に協力し、排出削減を進めていくためのバランスのとれた合意がなされるよう、交渉の進展に尽力をしてまいりたいと思います。
 もう一点、鳥インフルエンザに係る問題であります。島根県で発生した鳥インフルエンザについて、強毒タイプであることが判明したことを踏まえ、樋高政務官を4日、現地に派遣することを決定をいたしました。政務官は、現地で野鳥の現状や追加調査の状況等を把握、行程詳細は、追ってお知らせをいたします。また本日9時10分より、中海及び宍道湖周辺において、カモ類の追加の糞便調査に着手をし、一方、小型野鳥の捕獲調査については、明日より着手の予定であります。これらの調査については、日曜日まで継続する予定で、結果については判明次第公表を予定をしております。さらに環境省が平時より行っている鳥インフルエンザ監視活動を通じて、蓄積されている様々なデータについて、今般の事案で活用できるものはないか検討を進めているところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)国会が今日会期末となりました。大臣にとっては初めての国会だったと思うのですけれども、今回は、環境省でいえば基本法とアセス法が成立できないということになりました。
 まず、今後の方針をどう考えていらっしゃるかということと、あと総理が「熟議の国会」とおっしゃっていたのですけれども、それが果たしてそうだったのかどうか、大臣の御認識をお聞かせいただければと思います。
(答)「熟議の国会」であったというふうには思います。ただ、予算委員会とか様々な委員会審議を聞いて、環境委員会は別ですけれども、それぞれかみ合わないというかそういうことがあったことも事実だし、そういう意味ではやはり、この間も言いましたけれども、このねじれ状況というのはしばらく続く、3年前からもう分かっていたことですから、そういう意味では、もう与党と野党が熟議を重ねていかなければ、これから3年後、これから5年後ということが非常に懸念をされる。ですから、そういう意味でしっかり議論を交わしていく国会を与野党問わずつくっていくというのが私の個人的な見解であります。
 今回は、生物多様性保全活動促進法案が衆議院で、参議院で議論をして、恐らく今日上がると思いますけれども、あとは継続になるということで期待をしておりますけれども、来年の通常国会に向けて、私自身もこれから努力をしていきたいというふうに思っております。
(問)政策コンテストの結果が夜発表になりまして、総体的に見ると環境省関連かなり厳しいという印象があります。昨日も樋高政務官が平野副大臣とお会いになられて環境政策の重要性を訴えたということなのですけれども、大臣は今後どのように対処していく御予定でしょうか。
(答)樋高大臣政務官が思いを伝えて、本当に熱い思いを伝えたというふうに報告を受けておりますし、そういう意味ではこういう状況になったということは残念です。
 それ以上言いません。
(問)COP16についてですけれども、現地からの報道、あるいは現地での話を聞いていますと、相当日本の姿勢に対する批判が強まっていると聞いています。
 特に、やはり京都議定書の延長反対について、そもそも交渉の余地がないのかと受け止められているようなのですけれども、この点について改めて御見解をお願いします。
(答)その状況が極めて厳しいというのは聞いています。ただ、私たちはメキシコ・カンクンでのCOP16を成功に導くためにサポートしていかなければならないというのは一致した思いですし、COP10でもメキシコの環境大臣、あるいはダマソ・ルナというワーキンググループの議長等々ありました。ですから、そういう方々の、10月、頑張ってくれた思いがありますから、そういう意味では議長国をサポートしていく。ただ、いろいろなMRVとか資金とか技術とか、様々な問題もこちら側にあるわけで、京都議定書につきましては、いろいろな意味で27%しかもうないと。これ2008年ですから、恐らくもう4分の1ぐらいになっているだろうというふうに思います。これが延長されて、固定化をするということは何としても避けなければならないし、主要な排出国が参加をしていくという枠組み、コペンハーゲン合意もありますし、そういう枠組みをつくるために様々な国々の皆さんと話をしていきたいというふうに思っています。
(問)我々から見ると、EUの方が今後の枠組みの条件次第では交渉に応じると言っているのに対して、日本はいかなる条件においても応じないというように聞こえるのですけれども、これは閣僚委員会でも一致している方針だということで間違いないでしょうか。
(答)いかなる条件、条件がまずどういう条件なのかということを、明後日行って、いろいろな方々と話してきますし。ですから結論、コアな部分はそういう意味ではありますけれども、そこに至るアプローチというか、様々な角度から、例えばネガティブに言うのか、あるいはもっとCOP16を成功させようという思いでいろいろなことが各国と相談できるのかということは、現地に行ってからやっていきたいと思います。
(問)その話の延長で、日本は京都議定書からこれは脱退するという姿勢なのではないかという質問も多く浴びせられているのですけれども、この点についての御説明をもう一度お願いします。
(答)京都議定書をなくしてしまおうということは全く考えておりませんし、議定書自体は2013年以降も存続をします。ただし、今後はすべての国が参加をするという枠組みをつくらない限り温暖化はとめられないというのは前提でありますし、日本もそうした枠組みの基礎をつくる今回の交渉には建設的に貢献する考えですし、また自ら努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 特に41.3%のアメリカと中国の排出量を考えたときに、彼らが全く外にいて、京都議定書だけが固定化されるということはあり得ないというふうに思います。決して、京都を愛しているのは一番私たちですから、そういう意味では。
(問)そのCOP16で批判が挙がっていたり、日本としてはすべての主要な排出国の参加、意欲的な目標というのを求めていらっしゃると思うのですが、一方で国内で基本法が今回の国会で成立することができなかった。その点についてどうお考えでしょうか。
(答)それは一日も早い成立ということを願って、10月8日に閣議決定したわけですけれども、さまざまな国会の日程で成立ができなかったのは残念であります。
 そういう意味では、それぞれやはり時代も少しずつ変わってきて、大臣を引き受けて2カ月半ぐらいたちますけれども、そういう意味では、環境問題というのは喫緊の課題であるなということをつくづく思いますし、技術とか、新しい産業とか、設備投資とか、前から言っているのですけれども、「コストがかかる、コストがかかる」と言いますけれども、コストが投資になっているぐらい、やはり少しずつ皆の意識の涵養というのが深まってきた。COP10でも子供たちとか若い人たちがそういう意識が高まってきて、そういうものをとらえていきながら、やはり次期通常国会で速やかに法案が通れるように努力をしていきたいし、それと同時並行で産業界、労働界、NGO、いろいろな方々の意見も虚心坦懐に聞いていきたいと。そして、柔軟な姿勢も保っていきたいというふうに思っております。
(問)なかなか国内でまだ法律ができないということで、向こうの交渉にも影響というか指摘する声もありますけれども、その辺はいかがでしょうか。
(答)多分、そういう指摘をされると思いますけれども、そこのところは国会の日程ということを丁寧に説明していきながらやっていきたいというふうに思います。
(問)国内対策としてもこれで通常国会、臨時国会と続けて成立しなかったことで、全体が1年後ろ倒しになるのではないかという印象を持ちますけれども、この点いかがでしょうか。
(答)そういうことになるだろうと思います。

(以上)