松本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月12日

(平成22年10月12日(火) 8:37~8:48  於:衆議院本会議場中庭側廊下)

1.発言要旨

 冒頭、発言が3つございます。
 1つは水俣病関連で。9日に、初めて水俣に訪問し、慰霊碑にお祈りを捧げたあと、認定患者さんや被害者団体からの、生の御意見をいただきました。さらに明水園の訪問、水俣病資料館の視察、熊本県知事、県議会の水俣対策特別委員長、水俣市長との面会を行いました。半日という限られた、半日といっても朝の9時から17時ぐらいまでだったので、だから丸1日みたいなものですけれども、直接現地を自分の肌で感じ、また、いろいろなお話を聞いて、私としてもこの問題に解決に向けて改めて意を強くしました。まず救済措置と、和解に向けた取組をしっかりやっていきたいと思います。さらにその後のもやい直しや医療福祉対策、町おこし、地域振興といったものにもしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
 2点目。明日、10月13日に、南雲弘行事務局長をはじめとする日本労働組合総連合会の皆様と、環境政策に関する意見交換を行います。環境省からは、私や近藤副大臣、樋高政務官をはじめ、事務方も参加をする予定です。今月中旬から名古屋で国連地球生きもの会議、COP10が開催されるほか、この臨時国会では地球温暖化対策基本法案を含めて、改めて御審議いただくことになりますが、会議を成功させるとともに、基本法案の成立を図っていく上では、私自身が産業界や労働界、NGOなどから広く意見を聞いた上で判断していく事が重要と捉え、今回は、日本労働組合総連合会の皆様と意見交換を行うものであります。
 3点目であります。COP16に関する件ですけれども、先週の4日から9日まで、中国・天津市において、国連気候変動枠組条約の作業部会が開催をされました。今回の会議は、COP16前の最後の会合でありましたが、最大の課題である2013年以降の排出削減については、先進国が主要排出国全体の削減が必要と主張した一方、途上国は京都議定書附属書Bの改正により先進国が大幅な削減をすべきと主張し、議論は平行線をたどりました。我が国からは、京都議定書は重要な一歩であったが、世界全体の排出削減のためには、コペンハーゲン合意に基づき、全ての主要排出国が参加する公平で実効的な枠組みの構築が不可欠であり、世界全体の排出量の30%弱しかカバーしていない議定書の改正では意味がないと主張をいたしました。COP16での合意案に関する作業はある程度進展しました。ただ、分野別にみれば、先進国が重視する途上国の削減努力のMRV、測定・報告・検証の検討が遅れる一方、資金等の途上国支援については検討が進み、バランスがとれていないというふうに思います。今回の議論を踏まえて、11月4日、5日の閣僚級準備会合、プレCOP等において、COP16の合意案についての議論が行われる見込みであり、我が国としても交渉の進展に尽力をしたいと思います。なお、南川地球環境審議官は、6日にベルリンでメルケル首相が中心となって開催された生物多様性・気候変動対策会議に出席し、直前に迫った生物多様性条約COP10の成功に向けた協力要請を行ってきたところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問) 昨日、MOP5が正式にスタートしまして、責任と救済に関する補足議定書の採択の見通しがつきました。今後、COP10も控えているわけですけれども、前回の名古屋会議にあたえる、補足議定書の採択というものがですね、全体にあたえる影響というのはどのように見てらっしゃますでしょうか。
(答)今日も鹿野大臣とお会いしましたけれども、昨日、一昨日とやきもきしましたけれども、補足議定書が固まったという事で、COP10に向けた弾みになるなというふうに思いました、まとまって良かったと思います。それだけ今度のCOP10がですね、責任の重さを感じて、議長国としてしっかり後を継いでやらなければという認識を新たにしました。
(問)関連してなのですが、カルタヘナ法の改正は、今後議論になってくるでしょうか。
(答)なるとは思いますけれども、今度はCOP10のステージになりますから。
(問)水俣の訪問なんですけれども、実際現地に入られて、被害者の方々の声を聞いて、皆さんどんな要望が一番大きなものだというふうにお感じになられましたか。
(答)チッソの分社化の不安と、やはり、対象外の人達の救済が一番多かったですね。それこそ、チッソの分社化については、事業再編計画が出来てくるというところでの、私の認証がありますから、しっかりそこは私が見ますよということを申し上げましたし、情報公開ということについては、会社の守秘義務、あるいは競合する会社のこともありますから、どの点で皆さんにお伝え出来るかというのはなかなか難しいですけれども、私もしっかり見ますし、いろんな意味でモニターもたくさんの方からしますので、そこはしっかりやっていきたいと、救済が終わらなければ株式譲渡も出来ませんから、そういうことも含めて、正しく不安の無いようにということは伝えてきたつもりであります。対象外については、悉皆調査といいますか、全ての住民の健康を調べろということもありましたけれども、これはかなり金額的にも、全ての対象になったら不可能ですし、そういう意味では手を挙げていただいた方については、様々努力をしますけれども、根本的にいうと、今度の特措法での救済の中で「聞いておらんやったばい」とか「手を挙げられんやったばい」とかいう話が無いような形を、一日も早い救済をしていきたい、漏れが無いようにしていきたい、そのことを申し上げました。
(問)それで、被害者の方々の不安はある程度軽減されたというようにお考えですか。
(答)分社化についてはある程度、かなり、説明をですね、させていただいたと思います。ただやはり、日々、被害者の皆さんはいろいろな思いをされるわけですから、加害者優先であってはだめですよ、被害者のことは一番に考えてくださいと、そのことは私もわかってますから、そのことは現地の人に伝えて、納得はいただいたと思っております。
(問)天津のAWGなんですけれども、議論は平行線になったということで、京都議定書の延長論とかですね、もしくは、新しい議定書と京都議定書の併用論みたいのが出てくると思うのですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
(答)京都議定書の単純延長はですね、さっき言いました、全ての主要国の公平で実効的な枠組みの構築ということでいえば、30%弱しか入っていない中で、それを深掘りして単純延長ということは、これは考えられない。コペンハーゲン合意のほうは80%あるわけですから、そこのところで、そこを膨らませていって、いろいろな、アメリカ始め大きな国がありますから、背中を押していく作業もしていきたいなというふうに思っております。
(問)温暖化対策基本法案なんですけれども、閣議決定した先週金曜日にですね、産業界8団体が反対の声明を発表されたんですけれども、これに関する御所見をお願いできますでしょうか。
(答)分かります。そういう情報があったということは知っておりますけれども、この間も経団連とお話をしまして、いろいろな懸念が示されたことは分かりますけれども、やはり、生物多様性でもそうですし、気候変動でもそうですし、産業革命から、ざっと200年。日本もこの1950年から2000年の間の50年が、どれだけのエネルギーを消費したか、化石燃料を使ったか、そして、生物多様性がどれだけ破壊されたかということを、もう一度検証して、肝に銘じていけば、やはり、このままではダメだという思いを皆さんと共有できたらなというふうに思います。

(以上)