海江田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年12月22日

(平成22年12月22日(水) 15:05~15:50  於:合同庁舎第4号館4階408会見室)

1.発言要旨

 お待たせをいたしました。本日、14時から総理官邸におきまして、月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催され、その後、臨時閣議が開かれまして、ここにおきまして「平成23年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」が閣議了解されましたので、その概要を御報告いたします。
 まず月例経済報告でございますが、景気の基調判断につきましては、「このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。」と、これは先月と同様でございます。
 今回こうした判断に至りましたポイントは3つございます。1つは、輸出が緩やかに減少しているということでございます。その背景としましては、アジアの景気回復のテンポが鈍化をしていること、それから世界的な電子部品等の生産調整が行われていること、さらには円高の影響などが挙げられます。これが第1でございます。2番目のポイントとしましては、自動車販売の落ち込みが続いていることから、当然、生産も減少しているということでございます。それから3点目が、こうした1点目、2点目の動きを反映して、企業マインドには総じて慎重さが見られるということでございます。
 次に、「平成23年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」について、簡略に御説明いたします。
 これは言うまでもございませんが、来年度の経済の展望と経済財政運営の基本的な考え方を示すとともに、「3段構えの経済対策」に基づく新成長戦略実現に向けたステップ3の具体的な取り組みを示すものであります。
 まず平成23年度の経済見通しにつきましては、世界経済の緩やかな回復が期待される中で、新成長戦略の本格実施等を通じて、雇用・所得環境の改善が民間需要に波及する動きが徐々に強まることから、景気は持ち直し、経済成長の好循環に向けた動きが進むことが見込まれます。
 この結果、我が国の国内総生産の実質成長率は1.5%程度、名目成長率は1.0%程度と見込まれ、また消費者物価の上昇率は0.0%程度になると見込まれております。一方、先行きのリスクとしましては、海外景気の下振れ懸念や為替市場の動向に留意する必要があろうかと思われます。
 次に、経済財政運営の基本的態度としては、既に実施段階に入ったステップ1及びステップ2のさらなる推進を図るとともに、成長と雇用に重点を置いた平成23年度予算・税制等を動員するステップ3に切れ目なくつないでいくということで、そして、デフレ脱却と雇用を起点として、経済成長の実現を確かなものにしていくということを記述をしてございます。
 それから、最後にもう一度、今回の月例経済報告の閣僚会議に話を戻しまして、この閣僚会議の席上、「3段構えの経済対策」の既に実施に移っておりますステップ1とステップ2について、現時点での主な進捗状況について報告をいたしました。これに対して、菅総理から、今後の経済運営について指示がありました。
 その指示は、総理は、今回の10-12月期の成長率は7-9月の反動減が懸念をされるということでございまして、景気回復に向けた動きを確かなものとするためには、これから来年度にかけてが正念場であると。そして、先般補正予算が成立したステップ2を迅速、的確に実施することが重要であるとの話があったということで、そして、私のもとに新たに「景気対応検討チーム」というものをつくることの指示がございました。そして、この間行ってきましたステップ1、ステップ2の景気対策の効果を早期に引き出すように、私に陣頭指揮をとって、そして景気のきめ細かな実情把握に引き続き努めるようにという指示がございました。
 そういう指示がありましたから、私もこれから直ちに景気対応検討チームを立ち上げまして、そしてしっかりと対応していきたいと、そのように考えております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)月例経済報告なのですが、3カ月連続踊り場ということで、まず大臣の御所見と生産が先行き11月、12月プラスの見通しも出ているのですが、踊り場を脱却するのはいつごろになりそうかということについてお聞かせください。
(答)3カ月続いて足踏み状態ということでございますから、やはりここから1日も早く脱却しなければいけないということでございまして、そのためには既にステップ1、ステップ2で対策を講じたわけでございますから、1つは、この1-3月期に向けて、やはりこのステップ1、ステップ2、とりわけ補正予算で手当てをしましたステップ2ですね、これをやはり着実に実行するということがまず第一ではないだろうかと思っております。
 そして、いよいよその後、新しい年度に入るわけですから、この新しい年度ではしっかりと予算を、今本当に大詰めの作業をしておりますが、予算を編成をして、その編成された予算、そしてその予算の関連法案がしっかりと国会で年度内に通るということが、今のこの踊り場状況を抜け出す上で一番大切だというふうに考えております。
(問)この経済見通しには、今回行われた法人減税の内容が含まれて、織り込まれているとお聞きしていますが、今回の法人減税によってどれくらいの実質GDP成長率の押し上げ効果があるのか、その辺をちょっと御説明いただきたいです。
(答)法人税の実効税率の5%下げというのは織り込んでございますが、ただ、その細かな、例えば法人税が実効税率5%下がることによって、ではどのくらいのインターバルを置いて、それが投資にどのくらい向かうのか、それから雇用はどれくらい向かうのかという数字がまだ確定されておりませんので、これはもう少し時間をいただいて、その中でいろんな聞き取りもございます。それからいろんな調査もあります。そういう中で、およそこのくらいだなという数字を見きわめた上で、その効果というものをこれから細かく出していきたいというふうに思っております。
(問)経済産業省が出している数字、産業連関表を使ってつくっていると思うのですけれども、それとは別に内閣府でマクロ経済モデルか何かでつくられるという方向なのですか。つくるのは内閣府という理解でいいのでしょうか。
(答)はい、私どもでもこれは行います。
(問)来年度の経済見通し、実質で1.5、名目で1.0ということなのですけれども、ちょっと難しいと思うのですが、この数字の評価なのですが、今年度の例えば実質で3.1から1.5の数字だけを見ると、国民的にはかなり下がっているのではないかという認識もあるかと思うのですが、純粋に来年の1.5という数字を見たときに、大臣としてはこの数字をどう受け止めていらっしゃるのか、お願いします。
(答)今年度の数字が何%になるかということは、まだ確定をしません。とりわけやはり気になっております10-12月のGDP統計が出るのも2月に入ってからでございますから、まだ大分先のことでありますが、ただ、やはり今年度は特に酷暑、猛暑、それから非常にわかりやすいエコポイント、エコカーという政策の後押しがあったわけでありますね。それが途切れて、もちろん一部は延長するものもあります。それから新たに拡充するものも、住宅エコポイントなどは新たに拡充をしますが、やはりそうしたものの効果がどれだけ出てくるのか。それからやはり何といいましても、私は成長戦略にのっとって、着実に日本経済を成長戦略に沿った方向で、まさに成長させるということが大切だろうと思っているわけでありまして、その意味で言うと、今つくっている予算がその具体的な中身になるわけですが、別な表現をすれば、「成長元年」というふうにもとらえられるわけでありますから、本当の意味でのカンフル剤でない、新しい成長の─新しい成長の、「新しい」がついたほうがいいですね。「新しい成長の元年」というふうに考えられるわけでございますから、それでいけば、私はこの1.5%という数字は妥当な数字かなというふうに思います。
(問)CPIについてお伺いします。11年度の見通しなのですが、0.0%ということで、今年度からは上向くのですけれども、年度の途中からプラスに転換するというシナリオになると思うのですけれども、そのプラスに転換するというシナリオの根拠というか背景をどのように考えていらっしゃるのかお伺いします。
(答)これはなかなか難しいお答えになろうかと思います。お答えというか難しい判断になろうかと思いますが、これはいろいろな要素がございますものですから、特にこの数字を出します中身の入れ替えもございます。ただ、これは私どものほうではありませんで、総務省のほうですか、入れ替えもありますので、それからやはり例えば為替がどういう水準になるだろうかとか、そういういろいろな不確定な要素もございますので、私どもとすれば、やはり今あるこの材料の中で出した数字ということになりますので、これから具体的に、特に総務省がどういう数字を出してくるかということも見せていただいた上で、必要があれば、特に年の半ばの見直しということもありますから、そういうこともあろうかと思いますが、今の段階ではこれが私どもの皆様方にお示しできる数字だということでございます。
(問)もう1点だけ、別件なのですが、先ほどおっしゃった景気対応検討チームなのですけれども、これはどういうメンバーで、どういう時期からどういうテーマで、今大臣の頭にあるお考えをお願いします。
(答)なるべく早めにということを言いましたので、年が明けてしまいますと早目にというわけにいきませんので、できたら今週中が一番早いでしょうね。明日お休みだと、そうすると24日になるのか、そこが一番最速かなと思いますが、週をまたいでしまうかもしれません、これは集まらなければいけませんから。主に副大臣を中心に必要な省庁から集めてということで。
 それから、有識者を入れるかどうか、ちょっと先ほど総理から指示がおりたばかりでございますので、これは少し考えなければいけないと思いますが、有識者がメンバーに加わらない場合でも、やはりそこはしっかりと実際のマーケットの動き、あるいは本当に町場の景気に対する皮膚感覚と申しますか、やはりそういうものがしっかりと政府に届くような組織にしたいなというふうに思っております。
(問)先ほどのCPIの話で、今の大臣のお話の解釈なのですけれども、総務省のお話があって、基準改定のお話をされていましたけれども、市場では0.5ポイントぐらい下がるのではないかというふうに言われています。「必要があれば」という大臣の御発言があったと思うのですけれども、年度半ばでCPIの見直しを基準改定にあわせて見直すことがあり得るということでしょうか。今の御見解をお聞かせください。
(答)基準改定は8月ですね。ですから、6月に年央の見通しもまた決めなければいけないというところですから、例えばそのところでどれだけその中身がそろっているのかとかいうこともありますので、とにかく年央の見直しはやりますので、そのときにどういう材料がそろっているかということだろうと思います。
(問)月例の関係なのですけれども、先ほどの総理の発言についてちょっと言及されていましたが、官邸のほうで総理は10-12月はマイナスに陥る可能性があるというような発言をされたように聞いているのですけれども、そのあたり大臣はどういう御見解をお持ちかということを教えていただきたいのと、あとあわせて先行きについてのリスク、どのあたりを特に懸念されているかということを改めてお願いいたします。
(答)7-9月が年率換算で4.5%という大変大きな成長でありましたし、それから10-12月についても、特に車の販売は、やはりもう10-12月は非常に大きく落ちたと、そういうデータも今日はお示しをしましたから、非常に大きく落ちた。販売だけではなくて生産も落ちていると。ただ、家電などは一部、11月までは伸びていたようでありますが、これも12月になって落ちるということですから、それから私どもは民間でほとんどマイナスになっていますという民間の調査機関の10-12月のデータをお示しをしましたから、その意味で総理は、私の耳には「民間でマイナスということもあるから、ここは大変厳しい状況」というか、そういうふうに言ったというふうに聞こえておりましたけれども、そういう意味では、やはり政策効果の後の副作用と申しますか、そういうもの。
 それからあと、総理は、これは今日に限ったことではありませんが、やはり雇用の問題に大変関心を払っておりますから、雇用の問題をなかなか厳しい状況があるということを伝えましたので、それも懸念の一つだろうと思います。失業が高止まりしているということが。
(問)成長率と物価見通しですけれども、民間に比べると両方とも相当強めに見込んでいるのではないかなと思うのですね。それで、やはりデフレ脱却が政府の最優先課題ということで、そちらのほうから数字を考えているのではないかという気がするのですけれども、非常に高めで、実現可能性について疑問符もちょっとつくのではないかというふうに思うのですが、これは本当に実現できるのでしょうか。
(答)民間もさまざまなデータがありますが、私どもとしましては、やはり先ほどお話をしました、まだ精査はしてございませんが、やはり例えば法人税の5%減税ということも、これはやはり何らかの形で成長に寄与すると思っておりますし、それから今まさに編成中、最終局面であります予算などにつきましても、あらあらの最新情報がございますので、そういうものを加味してはじいたのが、この数字でありますので、その意味では私どもは、この数字に信頼を置いているということであります。
(問)今回、月例は4項目下方修正していまして、3カ月前からすると前回は個人消費も下方修正になったと。総じて見ると、結構なところで足踏みに入ってから下方修正をされていると思うのですが、今回判断を維持したということの、その辺との関係はどうなるのか。来月さらに下方修正があるとなると、ほとんどの項目が足踏みになって下方修正になるのではないかと思うのですけれども、どういう見通しでいらっしゃるのか、要するに判断をなぜ4項目も下げたのに維持するのかというところを教えてください。
(答)確かに一つ一つの項目については、おっしゃるような下方修正がございます。ただ、総体としてどういう表現をとればいいかということになると、やはり足踏み状態であって、「踊り場」という表現をとることもありますが、その踊り場の上にいるということで、階段を下に向かって歩いているということではないという、総体的な判断をしたということだろうと思います。
(問)先ほどの「景気対応検討チームをつくる」ということなのですけれども、これは総理が10-12月期にマイナスになるというような、そういう短期的な判断から対応されるというふうなことなのでしょうか。
(答)10-12月がマイナスということよりも、むしろやはり、これは1-3月ですよね。1-3月が、本当に先ほどもお話をしましたけれども、これは私も1-3月がその意味では一つ大きな注視をしなければいけないというか、最大限の注意を払って、かなり細かく景気の動きを見ていかなければいけないという認識がありますから、そのときにやはり種々の情報をきめ細かくとらえて、そしてそれをきちっと総理に報告として上げるというチームが必要だというふうに判断したのだろうと思います。
 あと特に、ステップ2の補正でせっかく通った対策がありますが、これがやはりしっかりと実行に移されているのかということも大切な状況でありますから、大切なこの要素でありますから、だからそういうこともチェックしたいということだろうと思います。
(問)先ほど大臣は、来年について成長元年、「本当の意味でのカンフル剤でない成長元年」というふうにおっしゃられましたけれども、「本当の意味での」というのはもうちょっとどういう意味かということを解説いただきたいのとあわせて、今回政府が来年どういう経済になるかというのを国民に示されたわけですけれども、できるだけ平易でわかりやすい言葉で、来年の経済はこういう気分で迎えてほしいと、こういうふうになると見ているのだよということを解説いただけないでしょうか。
(答)ですから、これまで特に今年打ってまいりましたエコポイントでありますとか、あるいはエコカーでありますとか、そういうものはまさにカンフル剤だったと思うのですね。特に、この9月以降の車の動きでありますとか、車の販売あるいは生産の動き、あるいは12月の家電の動きなどを見ていますと、やはりそういう一時的なカンフル剤では持続的に景気が回復をしていかないわけですから、ではそういう持続的な回復というのはどこに指針を求めればいいのかということで言うと、やはり今年の6月に決めた「新成長戦略」ですから、その「新成長戦略」に基づく新たな成長の元年ということで、7つの分野があります。21の政策のプロジェクトがあります。それぞれの分野で、特にグリーン・イノベーションでありますとかライフ・イノベーションでありますとか、そういう日本の経済を元気にしていく、そして日本の成長を確実なものにしていくという、そういう1年にしたいなというふうに思っておりますので、まだ平易でないかもしれませんが、もう少しあと数日中に考えておきます。次回の記者会見までに考えておきます。
(問)ーケットでは、3月の税法等の流れを見て、「最大の景気のリスクは政局ではないか」という話が持ち上がっておりますが、大臣の御見解はどうでしょうか。税法を通せるのかどうか。そうするためにはどうしたらいいのかということを、お考えがあれば教えてください。
(答)やはり、私は前にもお話をしたかと思いますが、今回、税制改正の大綱をつくりましたけれども、これまでの税制改正の大綱と違うよということでありまして、それはもう衆議院では多数を占めておりますが、参議院で残念ながら少数であります。ですから、やはりここはしっかりと、まず本当に謙虚になって、野党の皆さん方にも詳しく丁寧に税法の意味を、税制改正の意味を説明をして、そして協力を願うしかないわけでありまして、とにかくひたすら謙虚にお願いをするということだろうと思います。

(以上)