海江田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月18日

(平成22年11月18日(木) 19:25~19:49  於:合同庁舎4号館642号室)

1.発言要旨

 皆様、お疲れさまでございます。
 先ほど6時半から、首相官邸で月例経済報告等に関する関係閣僚会議を終えたところでございます。もうその中身は、皆様御案内のとおりでございますが、基調は先月、10月と同じでございます。「このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある」ということでございます。
 こういう判断をしました理由、ポイントは3つございまして、1つは個人消費がこれまで持ち直しを見せておりましたが、特にエコカー補助金などが終わったことにより、個人消費が落ち込んでいるということでございます。それから、輸出も弱含みでございますので、その結果、生産が減少しているということでございまして、あと、雇用情勢、引き続き持ち直しの状況はございます。ぎりぎり5%ということでございますが、ただ、その中身を見ますと、男性の働き盛りの方たちは先月と比べて高くなっているというような状況もございまして、依然として厳しい状況にあるという判断でございます。
 これからでございますけれども、今、まさに国会、参議院で補正予算の審議が行われているわけでございますが、こうした政策効果、それから海外の経済の持ち直しなどにより、景気の持ち直しが期待されるところでございます。従来も私は申し上げておりますが、ただ、リスクが幾つかございますから、海外の経済が緩やかに持ち直しをするのかどうなのか。下振れのリスクもないわけではありません。それから円高、最近ここ数日は、少し円が安くなっております。それでもまだ83円台でございますから、この方向が今後どうなるのかということ。それからもう一つは、先ほど申し述べました雇用がどう動いていくのかという、この3つの下振れのリスクがございますもので、ここはしっかりと注目していかなければいけませんし、同時に一日も早く補正予算が通って、そして、このしっかりとした対策を執行に移していかなければいけない、このように考えております。
 私からの報告は以上でございます。

2.質疑応答

(問)個別項目で見ると、個人消費を1年9カ月ぶりに下方修正と、あと、鉱工業生産も2カ月連続で下方修正と。景気に大きな影響を与えるこの2項目を下方修正したにもかかわらず、基調判断を維持した理由をお聞かせください。
(答)足踏み状態ということでございますから、今お話のありました生産、あるいは個人消費が本当にこれからどうなっていくのかということ、まさにもう少し情勢を見なければいけないということでございますので、今月のこの段階で全体の基調判断を下方修正というところにまでは、まだ至っておりません。今後、注意して、今言ったような項目をしっかり見ていかなければいけないと思っております。
(問)会議の中で、総理から何か発言はありましたでしょうか。
(答)今日、総理は途中で退席しましたが、始まる前に、ちょうど株が1万円に戻したということを私がお話ししましたら、総理も知っていまして、「いや、よかったね。あと一息だけれども、これからさらに上がるように努力しなければいけない」という話がありました。
(問)今の株価1万円の話ですけれども、この踊り場の中での株高というのはどういうふうに分析されていますか。
(答)やはり企業の業績がよかったということだろうと思います。それから、円高に一服感があるということではないだろうかというふうに思っております。
(問)先行きについてなのですけれども、今、足踏みということなのですが、先を見たときに、ちょっと上向いているのか下向いているのかというのは、どのように御覧になられますか。
(答)そこは、今の段階ではまだニュートラルでございます。せんだっての7-9月期のQEのときにもお話をしましたけれども、例えば個人消費がこれから本当にどういうふうに動いていくのか。特に、この11月までは家電のエコポイントは従来どおり機能していますが、12月になるとその中身が変わるということですから、自動車のような形になるのか、あるいはそれぞれの販売店が努力して引き続き伸びるのか。それからあと、やはり住宅の動きを見なければなりません。マンションの首都圏の動きなどは比較的良いようでありますから、そういうことを併せて考えますと、今はまだニュートラルで、これからの動きを本当に注目して見る。そして、政府としても、まずこの補正予算を通すということが、私どもに課せられた喫緊の課題だと思います。
(問)為替なのですけれども、83円台まで戻りましたが、やはりまだ依然として警戒すべき水準であるという御認識でいらっしゃるということでよろしいでしょうか。
(答)企業が決算を発表する段階で、為替の水準の数字を出しております。もちろん83円というのもありますが、まだもう少し円安のところで数字を出しておりますので、それはやはりさらに今の段階で十分ということでは決してありません。
(問)株についてなのですけれども、率直に1万円台に回復したということについての御感想といいますか、御所見はいかがでしょうか。
(答)これも、前回もお話をしましたけれども、私が就任しました9月17日が9,626円でございましたから、当面、とにかく1万円に乗せることということを自分の中で、ずっと毎日株価とにらめっこでおりましたので、その意味では「1万円に乗ってよかった」というのが正直な感想ですが、ただ、まだまだ経済は大変厳しい状況ですから、今、質問も出ましたけれども、これが持続するのかどうなのかということについても、もう少し注意を払わなければいけない。テクニカルですけれども、200日の移動平均線のところでも、大体ちょうど上に来ているというようなこともありましたけれども、まだもう少し株が買われている原因といいますか、それから、これからいよいよ税制改正もやらなければいけませんから、この税制改正の中で証券税制がどうなるのかということも影響してくると思いますので。
(問)柳田法務大臣が、「2つで国会答弁は乗り切れる」とおっしゃいまして、野党側が問責決議案を来週提出する方向です。社民党も賛成する意向を示していますので、通るのは確実だと思われるのですが、大臣は柳田法務大臣の進退についてどうお考えか。更迭すべきであるか、もしくは自発的に辞めるべきであるか、もしくはこのまま残っていくのか。
(答)前回、馬淵さんのとき、私は「政治家というのは、出処進退は自分で決めるべきだ」という発言をしましたところ、一部の報道で、何か辞めることに賛成だというような発言をしたというふうな報道もありましたので、その点では誤解のないように申し上げておきますが、私は、これは誰であろうが、政治家の出処進退というのは自分で決めるということは、もうずっと昔から言ってきたことですから、今回もそれを変えるつもりはありません。ただ、実際にこの問責決議案、今度は問責でしょうけれども、仮に衆議院で不信任の決議案が出れば、私は反対票を投じるということでございます。
(問)ねじれ国会で国会対策が極めて重要な状況になっているにもかかわらず、ああいう発言をした柳田法務大臣の発言についてはどうお考えになりますか。
(答)二の矢、三の矢が来ますね、これは。
 先ほどお話をしましたけれども、御自分で決めていただければよろしいと。
(問)景気の話に戻ってなのですが、これから年末を見ていったときに、例えば今、ヨーロッパのほうで、ちょっとまたソブリンリスクの問題がクローズアップされていたり、自動車のこれまでの押し上げ効果というのは落ちてくる。はっきり言って、あまり明るい材料が見当たらないように思うのですけれども、そこはどのように見ていらっしゃいますか。年が明ければまた戻ってくるのか、しばらく厳しい状況が続くのか、あるいは足踏みがしばらく続くと見ているのか、どのように御覧になられていますか。
(答)先ほどもお話をしましたけれども、厳しい状況であるということは、ずっと考えておりましたから、その意味では厳しい状況が続くだろうと思いますが、ただ、やはり海外の経済も、今お話がありましたヨーロッパの問題があります。
 ただ、アメリカなどでは、いよいよクリスマスシーズンが始まるわけでございますから、やはりここでどれだけ小売の売上が伸びるのか。インターネットの販売では、かなり好調な出足だというようなこともございますから、そういうことも全体的に見ていかなければいけないなというふうに思っております。
(問)今日発表のOECDエコノミック・アウトルックの件なのですが、物価の部分で、食料、エネルギーを除くベースのCPIの見通しで、来年も2012年もマイナスという見通しが出ていました。大臣の思い描く道筋とはだいぶ違う厳しい見通しなのかなというふうに思うのですけれども、受け止めと必要な対応というのをどう考えていらっしゃるのかお聞かせください。
(答)OECDのアウトルックのデータは、先ほど見たばかりでございます。ただ、見てやはり一番気になったのが、これは暦年ですから、まさに来年、2011年の物価が0.8という見方ですから、大変厳しい見方をしているなというふうに思いました。私どもも、何としても来年度中に、私どもは暦年ではございませんから、2012年3月31日までプラスに乗っていって、そして一日も早いデフレ克服ですから、これはかなり本当に気合を入れて、対策をしっかりしなければいけないなというふうに思いました。
(問)デフレ脱却の意味ですけれども、定義はどういうことを考えていらっしゃるのですか。
(答)これも国会で答弁いたしましたが、まずやはり物価をプラスにして、そして、そういう状況がある程度の期間続いて、しかも、そこから先、また物価がマイナスに戻らないというある程度の予測が可能になった時点で、デフレ克服、デフレ脱却ということになろうかと思いますので、それを基準にこれからもしっかりと経済財政の運営に当たっていきたいというふうに思っております。

(以上)