海江田内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月19日

(平成22年10月19日(火) 15:15~15:38  於:合同庁舎4号館642号室)

1.発言要旨

 先ほど、月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開催されましたので、その概要を御報告したいと思います。
 もう既に、お手元に資料が行っているかと思われますが、景気の基調判断につきましては、「このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある」と、下方に変更しております。これは、我が国の景気は、これまで外需や政策効果に牽引されて持ち直してきたものでありますが、足下ではアジア経済の減速などを反映して輸出が弱含んでおります。それから、こうした輸出の動きなどを踏まえまして、生産も弱含んでおります。これらの点を踏まえまして、全体として景気が横ばい圏内で推移していると判断したものであります。
 先行きにつきまして、当面はエコカー補助金終了の影響などから弱めの動きも見込まれますけれども、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、景気が持ち直していくことが期待されるところであります。また、一方、海外景気の下振れ懸念や円高・株安の要因によりまして、景気がさらに下振れするというリスクが存在しております。また、デフレの影響や雇用情勢の悪化懸念が依然として残っていることについても、注意が必要だろうと思っております。
 政府といたしましては、「新成長戦略」に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともにデフレを終結させるよう、政策運営を行ってまいります。
 また、現下の厳しい経済情勢や先行き悪化懸念を踏まえ、補正予算編成を含む「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」を、せんだって決定したところでございます。政府は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行っていくところでございます。
 私からの発言は以上でございます。

2.質疑応答

(問)今回の下方修正ということですけれども、特に生産と輸出、今まで景気を引っ張ってきたこの2つが落ち込んだ点について、どういうふうに御覧になっていらっしゃいますか。
(答)おっしゃるとおり、生産と輸出ということがございまして、生産はやはり自動車が大きかろうかと思います。これは、これまでのエコカー補助金の問題もこれありということで、何と言っても自動車は経済のすそ野が大変広いわけですから、そこにブレーキがかかってきたということ、それから輸出は、もう言うまでもございません。世界経済の下振れ、とりわけアジアの景気が、ところによってはまだ伸びておりますけれども、全体としてやはりこれは下振れているということがありまして、その両方が、今回、下方修正しました大きな理由となっております。
(問)今回、足踏みということですけれども、これは上昇局面の中での足踏みということなのか、それとも相当期間、足踏みが続くのか、その辺は大臣、どういうふうに御覧になっていらっしゃいますか。
(答)これは、9月までの判断が持ち直しているということでございますから、持ち直している中での足踏みというふうにとらえております。もちろん、円高が長引いたときのリスクでありますとか、それから雇用が大変厳しい状況にある。それから先ほどお話ししました海外の経済が、やはりこれも下振れのリスクなどがありますから、そういった下振れリスクについて十分注意を払わなければいけないわけでありますが、私どもは、そうした今回の足踏み状況が、さらに景気の悪化ということにつながらないために、せんだっての緊急総合経済対策、そして今もう間もなくでき上がろうかと思いますが、補正予算をつくっているところでありますから、ぜひこれは政府の政策で回復基調に戻したいと思っております。
(問)政府の対策ということですけれども、エコカー補助金の打ち切りが相当深くきいているのではないかと思うのですが、今後、対策を打つのであれば、もっと前広にエコカー補助金の延長をやってもよかったのではないかという考え方もあると思うのですが、これはいかがなのでしょうか。
(答)このエコカー補助金につきましては、大変それによって需要、特に販売台数が伸びたということは事実であります。
 しかし、これはあくまでも需要の先食いでありますから、どこかの点でやめれば、その後の売上の落ち込みというのは当然予想されることでありまして、今回はこのエコカーの補助金を、その意味では復活させることなく、やはり景気をよくして、その中でしっかりと車を買ってもらえるようにしなければいけないという考え方をとっているわけであります。今、これからこのエコカー補助金をもう一回、元に戻すということは、政策の選択肢の中に、今のところ入っておりません。
(問)大臣は以前から景気について、「踊り場」という言葉を使ってきました。月例経済報告の表現としては、例えば今、「足踏み」ということなのですが、大臣の認識としては、景気が今現在、「踊り場」という状況にあるとお考えなのでしょうか。
(答)この「踊り場」についての定義というのはいろいろあろうかと思いますが、今回の足踏みの状態が続いているということ、そして問題は、やはりこれからになっているわけであります。冒頭にもお話ししましたけれども、やはり政府がしっかりと対策を打って、それで一定の足踏みの期間後、また持ち直しを見せれば、これはまさに「ああ、あのときが踊り場だったのだね」という話になりますが、もちろん下方リスクというのもこれありでありますから、今の足踏み状態を一日も早く持ち直し、そして自律的な景気回復へ持っていかなければいけないということです。
(問)今の足踏み状態は、どのくらい続くというふうに御覧になられていますか。
(答)日銀なども、せんだっての短観で、やはり10月-12月というものが大変厳しいというような見方がございました。私どもも、その意味ではやはり当面、10月-12月というこの時期に、足踏み状態からの立ち直りを目指して、そして年が明けますと、いよいよ第3弾の、ステップ3の来年度予算の議論がスタートしますから、それから補正予算を決めていただければ、その補正予算の具体的な執行にも入っていくわけですから、それで来年、そして来年度という形へつなげていきたいというふうに思っております。
(問)10-12月は、足踏み状態が続くというふうに御覧になられていると。
(答)そこは、先ほど来お話ししておりますように、当面厳しいのは10-12月でありますが、11月、12月はまたその時々に月例経済報告を発表いたしますので、その中でどういう状況かということは明らかにします。
(問)では、年明けには脱出を目指すということでしょうか。
(答)もちろん、自律的な回復ではありませんが、一日も早く、やはりこれまでの景気の持ち直しというこの方向性、ここへ持っていきたいというふうに思っております。
(問)今回の変更で、自律的な回復には遠のいたというふうにお考えになりますか。
(答)やはり自律的な回復のためには、幾つか超えなければならないハードルもございました。ですから、そうした自律的な回復に向けて、まずやはり足踏みから持ち直し、そして持ち直しから自律的な回復というステップを踏むことになろうかと思います。
(問)経済対策は、前回までの持ち直しの傾向のある中での経済対策だったと思うのですけれども、今回、足踏みという新たな展開になったということで、今、検討されている補正予算の規模等で、それでも大丈夫だという判断でよろしいのでしょうか。
(答)前回の経済対策は9月10日でございまして、御案内のように、私がこの職に就きましたのは9月17日ということで、私がこの職につきましてから一月、9月の月例経済報告から40日という状況でありますので、私は、この持ち直しの中にかなり下振れのリスクがあるということを私なりの表現で伝えてきましたので、せんだっての緊急総合経済対策が10月8日ですから、その意味ではこの10月8日の中に、私とすれば今日のこういった足踏み状態というものを織り込んでいるということでございます。
(問)今回発表された中の現状としては、輸出と生産ということで、直接的に円高についての影響はそれほど書いていないのですが、大臣として、その円高の影響が書き込まないほどなかったのかということと、先行きについては円高のリスクというのは書いてありますが、これは必ずしも日本の対策だけで何とかなるものでもないかと思うのですが、その辺の見通しといいますか、お考えはどうでしょうか。
(答)1つ、これからの持ち直しに向けたデータ的なことでいうと、設備投資が比較的堅調ということもあります。ただ、その設備投資の前提、為替の水準がどのくらいかというと、概ね89円台、しかも90円に近い89円台の後半であります。これが、今、81円台でありますから、こういう状況が長く続いてくれば、この設備投資のところにやはり下振れのリスクが顕在化してくるというふうに思っておりますので、この円高がこれから比較的長期間続くということになりますと、大変深刻なものになってまいりますから、ですから今回ここでは、その意味では「円高」と直接的な表現はありませんが、経済対策のほうには「円高・デフレ対策」ということで、わざわざタイトルに「円高」という言葉を使ったわけであります。

(以上)