荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年8月20日

(平成22年8月20日(金) 12:02~12:23  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 まず、中国の冷凍ギョーザ事件の犯人が起訴された件についてですけれども、先週、中国から連絡がありました。我が国政府としては中国政府に対して、真相究明を一貫して要求してきておりました。今般、容疑者の起訴に至ったものであり、今後、司法での審理を通じて事件の真相が明らかになることを期待しております。
 そもそもこのギョーザ事件というのは、事故情報を関係行政機関の間で共有して迅速な対応を図ることの重要性が認識された事件でありまして、消費者庁が設立される契機となった事件だというふうに理解しております。食の安全は国民生活の基本であり、今後とも消費者の安全・安心の確保に向けた取組に一層尽力してまいります。
 続いて、今日13時から、事故調査機関のあり方に関する検討会の第1回会合が開催されます。この事故調査機関のあり方についても、消費者庁設立のときから大きな課題でしたので、今日は私も短時間ですけれども、冒頭、参加させていただくことにしてございます。検討会では、消費者事故の独立・公正・網羅的な調査機関のあり方について検討いただくことにしてございます。私も先般、被害に遭われた御遺族の方々と直接お目にかかって意見交換したところでございます。
 それから、先ほど総理と・・・経済の実情について、現状について報告するようにという指示を先週いただいてございました。それで、昨日は経産省、今日は内閣府、来週は多分、財務省からそれぞれ実情をお聞きになるということで、今日は私のほうから経済の状況について御報告いたしました。経済状況については、先般の私の記者会見での発表がメインであります。総理とはいろいろな議論をいたしました。中身については、先般、私から皆さんに御説明した状況が中心でございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今、大臣から説明いただきました事故調査委員会の検討が今日から始まります。大臣御指摘のように、この議論を詰めていくと、各省庁の調整、場合によっては各省庁の権限とか組織に手を突っ込むというような議論も出てくる可能性もあります。今後、内閣での政治的な調整とか、あるいは総理官邸との調整、これもまた重要になってくる局面が出てこようと思いますが、改めてそういった内閣での調整について、大臣の御見解をお尋ねしたいのですが。
(答)新しい調査機関のイメージというのは、随分人によって違うということを、この間、理解いたしました。まず、この調査機関は基本的なところからしっかり議論していただいて、何が一番真に必要なのか、機能は何なのかという基本的なところから検討を進めていただけるものだというふうに期待しております。現時点では特定の考え方とか特定の方向とか、そういうものを持つよりは、本当に白地で議論していただくことがより重要ではないかなというふうに思っています。
(問)事故調の関係なのですけれども、以前、大臣が就任直後だったと思うのですけれども、報道各社とのインタビューの中で、事故調は基本的には統一したようなものではなくて、各省庁にそれぞれあったほうがよいのではないかという個人的な意見を述べられていたと思うのですが、現時点ではそのお考えはどうなのでしょうか。
(答)あれは、私が就任したときの個人的な見解でありまして、この調査機関の検討会の設置の前の話でございますので、あらかじめそういう先入観を持ってもらわないで、全く白紙の状態で御議論いただきたいというふうに思っております。
(問)代表選の話なのですけれども、小沢前幹事長が出馬を検討しているということを周辺議員に漏らしたという報道もありますが、この受けとめと、大臣はこの前の講演で、小沢さんとは挙党体制をつくるべきだとおっしゃっていましたけれども、小沢さんが代表選挙に出た場合、やはりしこりを今後残すのではないかという見方もあると思いますけれども、大臣の言う挙党体制というのは、代表選に向けての挙党体制か、それともその後の人事についての挙党体制なのか、その辺のことをもう少しお話しいただければと思います。
(答)私が言っている挙党体制というのは、前も後ろも含めて挙党体制であります。今、この党は、参議院で少数与党というねじれ国会の状態であります。まさしく挙党体制、一致していないと、この国会は乗り切れないという意味で、私は挙党体制が必要だというふうに思っております。その意味では、いろいろな方の御協力をいただかなければ乗り切れないだろうというのが私の見解であります。
(問)小沢さんが出馬を検討していることについての受けとめというのはどうでしょうか。
(答)それは、この場でコメントする立場に私はないですから、コメントはいたしません。
(問)今日、菅総理に報告された経済状況について改めて教えていただきたいということと、先ほど総理といろいろ議論したということをおっしゃられましたけれども、その議論の中身について教えてください。
(答)議論の中身については、ちょっと勘弁してください。
 経済情勢については、既に先般、今週月曜日に私からお話しさせてもらいましたけれども、基本的にはそのときと同じなのですけれども、現状は、輸出と経済対策で景気はこれまで支えられてきました。自律的回復への基盤が徐々に整いつつあるというのが認識であります。この理由は、企業収益も改善していますし、賃金の下げどまりも統計上、出ております。先行きは、安定的な経済環境が続けば自律的な回復に向かうというのが私たちの見方であります。これは、設備投資が増加しておりますし、個人消費も増加している。つまり、経済基盤の一番ベーシックなところが改善しているというところであります。
 しかし、だからといって大丈夫かというと、そこはリスク要因もあって、特に海外景気の下振れ懸念があり、円高、そしてその円高がもたらすデフレなどによって景気が下押しされる懸念がある。また、雇用情勢の悪化、特に新卒の若年者の雇用というものが、ここに来て深刻化しているという状況もあります。いわば、景気は未だ脆弱で、踊り場入りする可能性も排除できないと――ここのところの表現は微妙ですから――可能性も排除できないということであります。
 自律的な回復への要件は、今後、安定的な経済環境を維持するということ、自立的な回復への基盤を強化するということが大事だというふうに思っております。その意味では、雇用を重視した、あるいは内需というか、需要をつくっていくということを基本的な考え方で新成長戦略をつくりましたので、今、概算要求に入ろうとしておりますけれども、その概算要求でもこの新成長戦略の基本的な考え方を踏襲していただけるものだというふうに思っておりますので、自律的な回復に一層力強さを増すように期待しているところであります。
(問)先ほどの代表選に関することなのですが、昨日、荒井大臣は鳩山さんの研修会に御出席されて、小沢さんと記念撮影もされたと思うのですが、菅総理の側近とされる大臣がそのような行動をとったねらいといいますか、理由というか、そういったことを教えてもらえますか。
(答)別に、ねらいはないですよ。偉大な政治家ですから、私も記念写真ぐらい撮っていただけたらということで、一緒に撮っただけですよ。別に何も意図はございません。
 鳩山先生の軽井沢に私も行かせていただいたのは、総理補佐官として約8カ月間お仕えして、十分お支えできなかったという忸怩たる思いもありまして、鳩山先生とはしっかりと、そのあたりの自分の気持ちもお伝えしたかったという思いがありましたので、軽井沢に行かせていただきました。
(問)それに関連してなのですが、小沢さんが出馬を検討されているということなのですが、政治と金の問題で幹事長を辞められた方が、代表選にもし出られるとすればですが、出る資格はおありだというふうに大臣はお考えですか。
(答)そこは、小沢先生が御判断されることではないでしょうか。
(問)改めて伺うのですが、追加対策の必要性について大臣はどうお考えかということと、来週にも日銀総裁と総理の会談があるかと思うのですが、日銀との協力関係をどう考えていらっしゃるか教えてください。
(答)日銀との関係は、この景気対策というのは両輪ですから、しっかり連携をとっていくということだと思いますけれども、今のところ私どものほうから何らか公式に働きかけていくことはございません。
(問)追加対策の必要性は。
(答)追加対策の必要性は、これから総理が、今日は私のところ、昨日は経産省から、来週、野田さんの財務省からお話を聞くということで、その上で関係省庁が集まってまた議論があるのか、その次の展開ということになるのかどうか、それを含めた状況がまた出てくるのかなと思いますけれども。
(問)今の質問に関連なのですが、今日、総理との議論の中では、大臣のほうから必要か、必要ではないかとか、具体的にはこういうことが必要なのではないかとか、そういうようなお話というのはあったのでしょうか。
(答)先ほどの経済の実情の話をいたしました。そのための先ほどの自律的な回復の要件、その要件としてどんなものが考えられるのかというようなことは議論いたしましたけれども、その具体的な内容については、ここでは差し控えさせていただきます。
(問)その件と関連してなのですが、そこで経済対策のある程度具体的なビジョンなどについては、お話しなさったのでしょうか。
(答)そこまで議論しておりません。具体的なそういう議論はしてございません。全般的な状況、要件、リスク、そういうものの議論が中心であります。
(問)また事故調査機関の話なのですが、新しい事故調査機関のあり方の検討会でも、警察の捜査と事故調査機関の調査の関係性は、恐らく議論になるかと思います。今月12日に前原国交相は、事故調査を優先させるということで運輸安全委員会と警察庁との間で話し合いを進めていきたいとおっしゃったわけなのですけれども、荒井大臣は警察の捜査と事故調の調査の関係性について、どのような所見をお持ちでしょうか。
(答)前原国土交通大臣がそのような発言を行ったということは承知しております。消費者庁における検討では、国土交通省も来ていただいて一緒に検討を進めていくということで、刑事捜査と事故調査の関係など国土交通省における議論も踏まえた効果的な検討となるということを期待しています。
(問)荒井大臣御自身の所見についてはいかがでしょうか。
(答)いや、これは今のとおりでございます。
(問)荒井大臣は、さきの代表選というか、菅首相が出馬された際は中心になって支援されたと思うのですけれども、今回、菅首相の旗揚げというのはまだ正式には発表されておりませんが、その点についてどういうふうにお考えか。それと、代表選となれば政党内での公約というか、そういったものも出す必要があると思いますけれども、そのあたりの検討は、荒井さんも含まれてやっていらっしゃるのでしょうか。
(答)そういう質問をされるとは全く考えていなかったですが、もちろん私は菅さんを支持しておりますし、菅さんが再選されるべく、私にできることはこれからもしたいというふうに思っておりますけれども、ただ、閣僚ではありますから、閣僚としてできる範囲というのは、ある種の限界があるというふうに思っておりますので、具体的に公約づくりですとか、そういうものを表立ってやるかやらないかというのは、限界があるのだろうというふうに思っておりますけれども。
(問)小沢さんの話なのですが、この間の講演で荒井さんは、挙党一致体制が必要だと。小沢さんと菅さんとの政治姿勢は違うけれども、そこを乗り越えてやることが必要だとおっしゃっていました。そういう線でいくと、具体的にでは小沢さんの処遇をどうするかというのは、理想的な形として何かお考えですか。
(答)それは人事を含めた話でしょうから、それは私の範囲を超えておりますので、コメントできる立場にはないです。
(問)景気に関連してなのですけれども、以前、大臣は、円高が長期化するとは思わないというような趣旨のことをおっしゃられていましたが、昨夜も84円をヒットして、引き続き円高基調が続いていると思うのですけれども、改めて現状と見通しについてどうお考えか教えてください。
(答)この円高の背景というのは、我が国の経済が極端に強くなったとか、状況が変わったということで円高になっているわけではなくて、むしろアメリカの景気が思ったより高くないとか、あるいはアメリカの経済政策が金利を引き下げたということで我が国との金利差が縮まったということ、あるいはヨーロッパ圏の景気がなかなか回復していないという、今回の円高というのは、どちらかというと外部的要因で起きていることであります。
 しかし、一方、日本の景気というものも、円高に対応した幾つかの有力な企業が、それに対する防衛態勢もかなり敷いてきていて、円高のメリットを受けているという企業も幾つか出てきているというのも現実だと思います。つまり、我が国の経済全体が、今度のこの間で大きく変化しつつあるというか、変質しつつあるのではないかと。
 そういう中でのこの円の為替レートの話というのが出てくるのだと思うのですけれども、それにしても私の見解、私の見方では、円高が少し急速に進み過ぎていて、これはある種の投機筋がかなり動いているのではないだろうか。投機筋の動きというのは、それが定着するということは今までもありません。そういう意味で、先般私が話したのは、そういうバックグラウンドであります。
(問)今のお話を受けますと、追加経済対策などを急いでやる必要はないということなのでしょうか。今の状況を注視した上で、例えば今月中でありますとか、代表選の前に打ち出さなければならないという非常に切迫した状況にはないという御認識なのでしょうか。
(答)景気というのは、微妙な動きがあるときに手を打ったほうが、その後ほうっておいて、その動きが大きくなってから手を打つよりも、はるかに効果的だということもありますので、そういうことも踏まえながら判断していきたいというふうに思います。

(以上)