荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年8月6日

(平成22年8月6日(金) 17:46~18:00  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 今日で臨時国会が幕を閉じるわけですけれども、4日間の予算委員会で衆議院と参議院とでは実りある議論が行われたのではないかと思われます。私たちの国は二院制でありますから、衆議院と参議院がねじれるというのは決して珍しいことでもありませんし、あるいは地方議会では、知事の与党と野党とが逆転現象を起こしているというところはたくさんございます。あるいは、各国でもそういう事例はたくさんあります。
 そういう中で、衆参の両院でねじれているということをベースにして、どういうふうに議論を集約していくのかということの新しいステージ、日本の民主主義の議論の進め方が新しいステージに入ったのではないかと。これをしっかり踏まえて意見を集約していく、政治を進めていくということが、与野党に求められているんだなということを感じました。
 それから、明日8月7日と8日、大分県の別府市で開催されるAPEC成長戦略ハイレベル会合に出席して、直嶋経済産業大臣と共同議長を務める予定でございます。各国、成長戦略ということには大きな関心を持っております。既にG8、あるいはG20でも、成長戦略と財政再建というものをどういうふうに整合性を持たせて進めていくのかということが大きな課題になっておりますけれども、APECでも、この成長戦略に関して域内の政府、産業界、学会関係者の知見を集めて議論されることになります。その成果は、本年11月に横浜で開催されるAPEC首脳会議でのAPEC成長戦略策定に活用されることになると思います。
 私としては、この機会に、この6月にまとめた我が国の新成長戦略についても、ポイントについて私から説明をしたいと考えてございます。
 なお、詳細は内閣府の経済財政運営国際経済担当にお問い合わせを願います。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)幹事から2問お尋ねします。1つは、アップル社のiPod nanoの製品事故についてですが、これについて、アップル社は経産省の求めに応じて34件の事故があったということを新たに報告しました。いずれも経産省のNITEに報告をしていなかった案件なんですが、消費者庁も安全法に基づいて同じような報告をアップル社に求めておりますが、まず第1に、この34件の未報告案件があったということの受け止めと、アップル社に対して基本的にどういうふうな姿勢で臨んでいかれるのか、お尋ねします。
(答)アップル社のiPod nanoの加熱の事故について、消費者庁の対応についてのお尋ねですけれども、消費者庁がアップルジャパン社に対して事故に関する資料の提出を求めております。その提出を待って、必要な対応については検討してまいりたいというふうに思ってございます。
 ただ、アップル社が、しっかりとした報告がなされていなかったというのは非常に残念に思います。
(問)もう一問です、すみません。これは毎回お聞きしているんですが、消費者庁の新長官、この人事の閣議決定なり、着任なりの日程が決まっていましたら、お教えください。
(答)人事案件でございますので、私の口からは、まだコメントする立場にございませんので、御了解ください。
(問)今、4日間の国会論戦を振り返って御感想を述べていたんですけれども、国家戦略局の話題がかなり出て、大臣への質問も多かったと思います。民主党の中でもいろいろ不安を持っていらっしゃる方がいるようで、今日の政調の内閣部門会議でも、修正があるのかどうなのかというふうな問い合わせ、意見がかなり出たようです。
 古川副長官は、「いささかのぶれもない」というふうな御説明をされたということなんですが、改めて、この政治主導確立法案に対する大臣としてのお考え、どういうふうなものか伺えますでしょうか。
(答)これは、私のマンデートの話でありまして、大変微妙な立場に私はおります。私は、総理からこういう仕事をマンデートとして与えるということで仕事をする立場にあると、特命担当大臣ですから、そういう立場におります。その意味では、シンクタンク機能として、より幅広く総理の直接のシンクタンク、アドバイザーとしての機能を付与するという、そういう内々のことだと思いますけれども、そういう内示といいましょうか、そういう議論の方向にあるということでございまして、その方向で準備をし、また平岡さんをイギリスに派遣をいたしまして、総理がイメージをしているポリシーユニットというものの機能について調査に行ってもらいました。
 その調査報告は、来週の月曜日に国家戦略室スタッフと総理との報告会を催したいと思ってございますし、また、その後、緒方貞子さんをお呼びして、我が国のODAについて議論を深めていきたいというふうに思ってございます。
 そんな中で、私は今の法律をしっかり通してもらうことによって、国家戦略室の役割というものは新たに付け加わる部分、あるいはスタッフの資源というのは限られていますから、その中で、できる部分というものも、おのずと整理をされていくんではないかなというふうに思います。
 いずれにしても、総理に一番近いところで仕事をするということでありますから、決して権能が縮小したとか、そういうことではないというふうに私は理解をしております。
(問)では、法案については修正しないで、今の出していた法案をそのまま審議していきたいということでしょうか。それとも野党との調整、協議というのをこれから進める可能性もあるということでしょうか。
(答)政府として出しているわけですから、政府側のほうからそれを取り下げるとか、あるいは修正をするとかという、そういう立場にはないと思います。
 ただ、与野党が参議院では逆転しているわけですから、当然、与野党で議論をして修正をすることになれば、そういうことになるんだろうというふうに思っています。
(問)アップルのiPod nanoの事故に関連して、お尋ねします。
 今の製品安全の制度では、非重大事故というものは、国の機関への通知が任意とされています。全治29日のけがでも、これは非重大事故として通知は任意です。事業者の中には、事業者というのはメーカー、輸入事業者ですけれども、任意ということを口実にして、実際に重大事故、全治30日以上ですとか、重大事故が起きるまでNITEに通知しないというところもありまして、痛ましい消費者被害を防げていないという現実があります。
 そこでちょっと御質問なんですけれども、重大製品事故の定義、特に全治30日以上としているその重傷事故の定義の見直し、そして非重大事故についてはNITEへの事故通知が任意という、この制度のあり方、これについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)消費者事故の情報の収集のあり方については、消費者委員会や自治体の現場の意見を伺いながら改善の検討を進めるように、指示をしているところでございます。
 今の御指摘のとおりに、そういう制度的な穴といいますか、もう少し補てんするようなことは必要だろうと、今後とも必要だろうと。このあたりについては、有識者や関係者の方々からいろんな御意見を聞きながら、もっときめ細かな運用ができるような、そういう制度の設計といいますか、そういうものを目指していきたいというふうに思います。
(問)もう1点だけ伺います。実は、今のような質問というのは、消費者庁が発足した昨年9月から私は何度かしているんですけれども、まもなく、もう発足1年になります。この間も、事業者の非重大事故の通知漏れ、アップルの34件もしかりですけれども、何回も目にしています。
 まだ1年たっても事態は解決されないという、非常に危機感といいますか、残念な思いでいるんですけれども、消費者庁として、いつごろまでにこの問題、重大製品事故の制度のあり方、決着をつけようというお考えがあるのか、もしあればお聞かせください。
(答)いつからとか何とかというのは、ちょっとまだ、それを明らかにする状況にはないんですけれども、確かに御指摘のように、この問題は決して軽くないですよね。そして、制度的にも、相当詰めて考えていかないといけないところだろうなというふうには思います。
 ただ、消費者庁も限られた人材資源で、200人弱の人材資源で、抱えている法案もこの数年間で8本ぐらいの法案を成立させなければいけないという、大体マクロの方針ですけれども、その中で、この問題がどのあたりに位置づけられていくのかということは、考えていかないといけないと思いますけれども、私自身としては確かにおっしゃるように、制度的にはもう少し、現実的にはしっかりと詰めなければならない案件の一つだろうなというふうには思いますね。

(以上)