荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月23日

(平成22年7月23日(金) 12:26~12:54  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 お待たせいたしました。
 今日は、長い閣議と閣僚懇談会と、その後のさまざまな議題がございました。
 本日の閣議において、「平成22年度年次経済財政報告」、一般的には「経財白書」と言っておりますが、私から報告いたしました。今年の白書の副題は、私がつけさせていただきましたが、「-需要の創造による成長力の強化-」というのが副題でございます。
 また、閣議後、私の所掌にかかわります子ども・若者育成支援推進本部と薬物乱用対策推進会議を開催し、それぞれ「子ども・若者ビジョン」及び「薬物乱用防止戦略加速化プラン」を決定いたしました。詳細については、政策統括官(共生社会政策担当)までお問い合わせいただければと思います。
 次に、閣僚懇談会でも発言させていただきましたが、最近、国家戦略室についてさまざまな報道がなされております。その辺に関しまして、国家戦略室については、これまで新成長戦略から財政運営戦略、番号制度や新たな年金制度などさまざまな、まさに国家の重要な役割について大きな仕事をしてきたところでありますが、今後の役割としては英国のポリシーユニットのように、総理の直属のスタッフとして、総理に対して直接、政策提言等を行う機能を強化することを検討してございます。
 この一環として、来週26日、官邸において、菅総理、自分を含めた国家戦略担当政務三役、国家戦略室員等が、北岡伸一東京大学教授との間で、日本の外交・安全保障戦略の課題について意見交換を開催することといたしました。これまでの財政や経済に加えて、外交や安全保障も含めた内閣の重要事項全般について、総理に対して直接、政策提言、意見具申、情報提供等を行う役割を最大限に果たせるように、これから組織体制の整備、業務の拡充等を行ってまいる所存でございます。
 次に、私ごとでございますが、私の政治団体の一つでありました荒井さとし政治活動後援会の経費につきまして、6月8日の報道を受けて直ちに荒井事務所として調査を行うとともに、6月10日の記者会見で、領収書の全面公開などを行いました。また、念には念を入れるさらなる厳格な精査を行うという方針を打ち出し、弁護士事務所、監査法人に御協力いただいて、領収書の1枚1枚を丁寧にチェックするなどしつつ、調査を行ってまいりました。
 今般、この第三者の専門家による調査が完了いたしましたので、7月20日になりますが、直ちに政治資金の収支報告書の訂正を行いました。記者の皆様に訂正の事実を速やかにお伝えすべく、資料の作成を行い、監査に当たった弁護士のチェックが完了後、直ちに報道各社あてに送付申し上げた次第であります。送付が夜になったこと、御質問を文書でお願いすることにしたことで、御不便をおかけしたかもしれませんが、事柄の性質上、正確を期す必要があったためで、御理解をいただきたいと思います。仮に御不快に感じられる記者がおられましたならば、本意ではありませんので、その点はおわびを申し上げるとともに、引き続き御協力をお願いできればというふうに考えます。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)昨日来の報道で、消費者庁の長官人事について福嶋前我孫子市長ということが報じられておりますが、交代の意図及び御所見についてお願いしたいと思います。
(答)長官人事は官房長官人事でございますので、本来は官房長官がお答えするのかもしれませんけれども、消費者庁は私の所管でございますので、私からもお答えさせていただきます。
 内田長官は大変有能で、この消費者庁を創設するに当たって極めて大きな役割を果たしていただきました。本当にありがたい限りだと思ってございますが、実は長官は来年度で定年を迎えられます。事務次官クラスは62歳という定年時期の規定がございまして、それに抵触するということから、今回、後進に道を譲っていただくということがございまして、そのような状況の中で、私と官房長官とでさまざまな協議をしたところ、福嶋浩彦さん、前我孫子市長で、今、中央学院大学の教授でありますが、その方が消費者行政に我孫子市時代からも長らく携わっておりましたし、また行政刷新会議のメンバーであったり、あるいは新しい公共のメンバーであったりということで、私が皆様方によく、消費者行政のポイントは地方行政に詳しい方と、それから地方の消費者相談員などのボランティア組織と上手に関係をつくれる方がよろしいのではないかということをお話しさせていただいたのですけれども、まさに福嶋さんはそういう方ではないかということで要請している段階でございます。
 御本人からも、お受けするという話がございますけれども、日にちはいつなのかとか、そういうことについてはまだ十分調整が済んでいるという段階ではございません。このあたりは、官房長官の下で調整しているものと承知しております。
(問)先ほど、内田長官の定年という話がありましたが、民主党、政権交代前後から、内田さんが官僚OBであるということから、早々に見直すという意見表明が鳩山前首相付近からもありまして、ただ、1年間、結局手をつけないままになっていたのですけれども、その交代については定年だけが理由なのでしょうか。
(答)定年だけが理由です。私が承知しておりますのは、役人だからとか、あるいは前政権のとかということは、私と官房長官との間では、一切そのような意見は出ておりません。
(問)まだ定年まで少し時間もある中ですが、まだ消費者庁の発足から1年足らずで、大臣も福島さんから荒井さんに代わり、かつまた長官も代わるということで、消費者行政に対しての混乱はないのかという懸念もありますが、その辺はどうお考えでしょうか。
(答)福嶋さんは、消費者行政にずっと地方自治体の場面で長らく携わってきた方でございますし、そういうものはないというふうに信じております。
(問)昨日、概算要求基準の関係で、民主党の政調が提言をまとめました。その中で、いわゆる特別枠2兆円の問題なのですが、ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則からしても、担保する財源は何なのだという指摘があると思います。そもそも政府・与党一元化の中では、もう少しそのあたりの一体性が出てくると思ったのですけれども、こういう状況だと自民党政調とどこが違うのかというような印象も受けるのですけれども、大臣はどういうふうにそのあたりを受けとめられたでしょうか。
(答)あの2兆円というものは、私の理解では、それぞれの経費を、一節には1割という話もありますけれども、削減していく中で出てくるもの、プラス、ペイ・アズ・ユー・ゴーで制度改正なり税制改正の財源を自らが生み出していくということの中から生まれてくるものだというふうに思ってございます。ここは、財政運営戦略の中でも私が書き込んだところでございまして、「政策パッケージ」という言葉を使っておりますけれども、その思想と通じるものだというふうに考えております。
(問)経済関係で2点お伺いしたいのですが、まず直嶋大臣が今朝の会見で、例の「エコカー購入補助は異例の措置なのでいつまでも続けられない」ということで、打ち切りを示唆したわけですけれども、これによる景気落ち込みの影響をどのように見ていらっしゃるかということと、昨今、長期金利、10年国債の金利が非常に下がって、昨日、約7年ぶりの水準まで下がってきているのですが、一部で国債バブルという声も聞かれているのですが、この長期金利の低下をどうお考えになるか、どう見ていらっしゃるか、お伺いできますか。
(答)前のほうの、私が発言いたしましたエコカーの期限が切れる云々ということが、追加の経済政策を考えているのではないかという非常に前向きなトーンで記事が出たことがございますが、そのときの私の発言は、「自動車ですとか、そういう減退傾向のところもあるのですけれども、全般としては個人消費の持ち直し、あるいは設備投資の持ち直しに転ずるかどうかというような状況のところですので、そのあたりは冷静に注意していきたいというふう思ってございます」ということで、その前半のところで、「今後、景気刺激策をもう一度やるのかどうかということも含めて判断していきたいというふうに思っています」というのを前半で言って、後半で、「しかしながら、全般として個人消費の持ち直しがありますから、それを相互に見て判断いたします」ということを言ったつもりなのですけれども、その前半部分がちょっと強調されてとらえられたのかもしれないということですので、ここについてはニュートラル、プラス要因もあるし、マイナス要因もあるということを述べただけでございます。
 それから、長期金利については、確かに株価が下がっておりますので、株式の市場の資金が国債のほうに流れ込んだということも考えられるのだと思います。特に、アメリカとヨーロッパの景気の先行きが少し不透明になったということが、その原因なのかなというふうに思ってございます。
 ただ、我が国に関していえば、厳しい財政状況の下で、長期金利の先行きというものは必ずしも楽観視すべきではなくて、財政運営戦略に沿って取組を進めることによって市場の信任を確保していくという基本的なスタンスは変わらないというふうに思ってございます。
(問)関連して、かなり為替の円高が進んでおるのですが、これについて受けとめと、数字についてどのように見ておりますでしょうか。
(答)株価は、一時下がったのですけれども、今日の時点では持ち直しをしているのかなというふうに思ってございます。円高の背景としては、マーケットでは海外の景気に対する懸念などから、投資家のリスク回避姿勢が強まっているということなのだろうなというふうに思います。我が国の景気は、着実に持ち直してきておりますが、依然、外需に牽引される面も大きくて、先行きについては海外景気の下振れ懸念、金融・資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在しております。株安・円高が急テンポで進めば、景気の下押し要因となりかねないということから、今後もマーケットの動向とその影響については、十分に注意してまいりたいと思っております。
(問)「経済財政白書」についてお伺いしますが、政権交代してから初めての「経済財政白書」になりまして、今回、担当大臣として、白書の中身についてどういうふうに評価されているかということを、まずお伺いしたいと思います。
(答)民主党政権になって初めての、いわゆる「経財白書」と言われているものでございます。この白書の副題を私がつけたのですけれども、「-需要の創造による成長力の強化-」ということで、端的に私なりの気持ちを込めたつもりでおります。
 具体的には、次のようなメッセージが挙げられるのかなということで、まず第1が「デフレと財政」ということを規定したつもりでおります。デフレの背景は、バブル崩壊後の慢性的な需要不足があって需要面からの成長が課題となること。財政については、長期金利の動向が楽観視すべきでなく、堅実な収支改善努力が求められているということ。それから、家計が持続的な成長力の原動力とならなければなりませんが、そのためにはイノベーションを通じた新たな製品の開発、新しいサービスが次々と市場にあらわれ、それが家計で消費されることによって、全体として所得の増加につながり、消費が増加するという好循環の実現が鍵であるということ。それから、需要面を支える供給面の強化については、規制の見直しによる潜在需要の顕在化が重要であること。環境問題への対応を成長につなげるには、リスクマネーの供給等による研究開発の促進が鍵となること。税負担のあり方、人材面を含めたビジネス環境改善が必要であることなどが挙げられておりまして、この点を私なりに書き込んだつもりでございます。
(問)国家戦略室の今度のヒアリングについてお伺いします。北岡伸一さんから、日本の外交・安全保障がテーマということですが、具体的に米軍普天間飛行場を含む日米関係というのがテーマの中心になってくるのでしょうか。その辺のテーマについて教えてください。
 それと、このヒアリングは、総理の指示を受けた戦略室としての取組という理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。総理と議論しながら、総理の意向を帯して、まずは、北岡さんは国連大使だったと思います。外交研究家の第一人者であると同時に、実務についてもニューヨークで携わった方でありますから、北岡さんから第一に話を聞こうということを戦略室の仲間とも議論しながら決めさせていただきました。
 普天間の問題については、直接この場で議論することはないだろうと思いますけれども、アメリカに行った方ですから、アメリカから見た普天間問題というような問題についても言及があるかもしれませんけれども、私たちのほうからそこを期待して、北岡さんという方を選んだわけではありません。
(問)消費者庁長官人事の件なのですけれども、大臣は、内田長官が来年度定年を迎えられるという時期の話をされましたけれども、であれば、来年度いっぱいまで務められてよいのかなというふうに思うのです。あるいは、最近、こんにゃくゼリーの対応ですとか、自転車に取りつけるチャイルドシート、そういうまさに安全に対する消費者庁の対応が後手に回っているのではないかという指摘もあり、そうしたことを含めて、「責任」と言うと強いかもしれませんが、長官の果たしてきたお仕事はどうなのかというようなことを考えられた交代ということになるのでしょうか。
(答)今、後者のようなことは、私は考えておりませんで、来年3月、つまり今年度で定年を迎えられるのです。通常、長官人事というのは7月とか8月、今年は通常国会が早く終わってしまいましたので、通常国会が終わって新しい内閣がつくられてからということで7月末でありますけれども、一般的には長官人事というのは、普通は通常国会の一区切りついた5月とか、あるいは通常国会が終わる7月、8月というのが大方の人事異動の時期になると思うのですけれども、それを3月に定年を迎える方にお願いするということはいかがなものかなということもあります。3月というと、ちょうど予算委員会がピークのときを迎えているわけですので、そのためには準備、助走期間もありますので、早目にということを私なりに考えさせていただきました。
(問)先ほどの外交・安保にも関連すると思うのですが、今回、金元工作員が拉致の関係で来日して、特に新しい情報はなかったというふうに伺っております。多額の国費をかけて今回来日して、かつ、金工作員への聴取とか、会見というものもないことに関して、今回の訪日の意義ということについて、大臣はどのようにお考えですか。
(答)ちょっと私の担当ではございませんので、コメントする立場にはございません。
 ただ、もともと拉致問題という問題が大きな社会問題、あるいは国際的な問題になったきっかけの横田滋さんという方は、あの横田滋さんのお父様が、私の高等学校の恩師でありまして、そんなこともあって横田滋さんという方は、随分このように大きな問題になる以前から知っておりました。そして、あの方が拉致されたのではないかといってお嬢さんのことを心配されて、いろいろな方のところに運動していく。その運動がなかなか成果を示さないので、結局、街頭に立って署名活動をしようということを決意されたわけですけれども、そのときに家族の中でも、署名活動をするということは、北朝鮮にいるであろうめぐみさんにとって不利益になるのではないかという心配もして、取りやめようと考えていた時期もあったようですけれども、結果的には横田滋さんの決断によって街頭に立ったのですね。そのとき、私も街頭に立って署名活動をした一人でありまして、その後、徐々に政治的にも取り上げられ、このような努力の積み重ねが出てきて、一部には帰国された方も出てきたということにつながったのだろうというふうに思います。
 この拉致問題というのは、私の所掌ではありませんので、あまり申し上げられないのですけれども、しかし、できることはすべてやるということしかないのではないでしょうか。その意味では、今回、成果があったかなかったかということをも含めて、私はむしろよかったのではないのかなというふうに思いますけれども。
(問)先ほどの国家戦略室の関係なのですけれども、外交・安全保障については体制強化ということでお話も以前ありましたけれども、スタッフの調整ですとか、そのあたりは何か動きはございましょうか。
(答)これは、これから考えさせていただきたいというふうに思ってございますし、スタッフの皆さんとも議論したいというふうに思います。実は、今日、スタッフのミーティングをすることにしておりまして、皆さんから意見をちょうだいすることにしておりますし、さらに、国家戦略室は菅総理が初代の国家戦略大臣ですから、極めて自分が一人一人の戦略室の職員をリクルートしたという強い思いがございますので、今回、いろいろな方からいろいろな御意見をいただいているのですけれども、それも踏まえて月曜日に、北岡さんと意見交換する前ぐらいに少し時間をとって、職員と意見交換してはどうかなということをも、今、考えているところでありますし、総理からもそんなお話がございました。
(問)国家戦略室ですけれども、提言機関にするということであれば、それはそれで提言の法的な位置づけとか、どういう方がどういう権限で提言をまとめるか、あるいはやはり各省庁との調整が必要な場面も出てくるのではないかとも思うのですけれども、そういうことを考えると、やはり法改正は必要なのではないかという気がするのですが、それはいかがなのですか。
(答)鋭い御指摘でございます。今、提言というか、アドバイスができる機能を持っているのは総理補佐官なのです。私自身は、総理補佐官も含めた形で国家戦略室の機能化というものを図っていくことがよいのではないかというふうに、今、思ってございます。法的な権能をしっかりつくり上げるために法改正が必要かどうかということについては、今後、議論したいというふうには思っております。
(問)収支報告書の訂正について、3点だけ確認させていただきたいと思います。
 そもそもこの問題の発端が、「主たる事務所」の定義の問題から始まっていると思うのですけれども、前回、大臣にお聞きしたときに、「総務省の見解などというのは法律ではない」と、「法律でなければ破ってもよい」というような感じに聞こえたのですけれども、まず「主たる事務所」というものがどういうものかという大臣の見解をお聞かせください。
 2つ目に、最後の09年度の収支報告書というのは、監査制度が適用されているものになると思うのですけれども、この監査制度で監査人に直接作業してもらう場所として、主たる事務所で行ってもらうということになっているのですけれども、この一番最後の後援会を解散されるときに監査を受けたときに、どこで監査を受けたのかというのを聞きたいと思います。
 最後に、誤記載による支出ミスの訂正というのが、弊社の質問で20万円あるというふうになったのですけれども、そもそも誤記載が20万円もあるというのは、一般の企業では経費など落ちるわけがないのですけれども、領収書の読み取り間違いとか、そういうものがなぜ生じて、結果的に資金残高との整合性がとれなくなってくると思うのですけれども、こういうところがどうなっていたのかというのが最後まで疑問として残っているのですけれども、最後にこれをお答えいただければと思います。
(答)極めて専門的で、細かいことも含んでいますので、正確を期するために文書で答えたいと思いますので、今のことを、恐縮ですけれども――もう既に出ておられたかな――文書で回答したいと思います。

(以上)