玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年12月21日

(平成22年12月21日(火) 10:34~10:54  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日は、閣議の前に知的財産戦略本部の会合が開かれたところでございます。
 御存じのように、官民フュージョン、言い換えれば官民連携というのは、これから競争力を強化する上では大切なポイントでございます。そういう意味で、国際標準化戦略というのもいわば成長戦略の一つの柱ということになるわけでございまして、総理の指示もありまして、この国際標準化戦略についても検討を加速化しているということで、本日の会合になったということでありますが、私のほうから国家戦略室には、この国際標準化戦略のみならず、それぞれの成長戦略の戦略プロジェクトについての進捗状況をしっかりと把握をし、加速させるべきは加速させるということで指示をしているところでありまして、関係省庁のほうで今相当頑張ってくれていると認識をしております。
 本日の閣議につきましては、皆さんに申し上げなければいけないことは特にはなかったように思います。
 それと、昨日、皆さんに遅くまで残っていただいて、大変恐縮でありましたけれども、夜11時から子ども手当5大臣会合を開きまして、昨日申し上げたような結論を出したわけでありますけれども、特に私から申し上げたいのは、今回、新たに改組という形ではありますが、現物サービスを拡充するなど、そういった新たな交付金を設けることを決めたというのも実は大きいことなのです。
 実はこれは地域の皆さんにとっては大きくて、つまりは、地域の実情に応じた現物サービスを拡大するということはどういうことかといえば、今までの延長保育に加えて、待機児童解消「先取り」プロジェクトというのを今、総理の指示でやっていますが、そういったものとか、あるいは地域の実情に応じてそれぞれ地方が単独で行うような事業を支援するための交付金をつくったということです。
 何を申し上げたいかといえば、子ども手当は現金給付ですが、現金を給付するだけでは子育て支援にはならないのではないかという議論が様々ありました。参議院選挙で民主党は現行の1万3,000円から財源見合いで上積みを目指すということを申し上げてきたわけでありますけれども、そのときに現金のみならず現物ということも申し上げてきました。
 今回は、現金給付を一部上積みし、同時に、正に現物サービスも拡充するということで、現金給付と現物サービスのベストミックスを目指す第一歩にしたということでありまして、そういう意味では、皆様にもこの現物サービスの拡充というところも是非関心をお示しいただいて、子育て支援というものをあるべき姿に近づけていくということをしたいと思っておりますので、御理解をいただければと考えております。
 なお、昨日、年金の物価スライドの問題も決着をいたしました。私は、調整役ではありましたが、個人的にも、今回の物価スライドの問題につきましてはルールどおりがいいと考えておりました。それは、年金制度に対する信頼にかかわる問題で、実は年金制度の根幹の一つが物価スライドであり、物価スライドがあるから年金制度が一定程度持続的であるからであります。
 したがって、世代間格差、将来世代につけを回さないといった原則を貫くことが必要です。基礎年金の方で月200円、確かに減ってしまうことは厳しいという声は、私もそれぞれ選挙区、あるいはその他の後輩たちの、あるいは仲間たちの応援などを回っていても、時々お聞きしますけれども、やはり将来世代のことを考えると、ここは賃金も物価も下がっており、実質的な生活水準に影響があるわけではありませんから、やはりここはルールどおりでしっかりと年金制度の不信感を高めないということが私は大切だと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今、お話にも出ましたけれども、子ども手当や物価スライドといった予算の調整役を今回はほとんど玄葉大臣が担っているわけですけれども、当初は国家戦略相の役割として、予算編成の基本方針はやるけれども、ここまでの調整役を担うという感じではなかったのではないかと思うのですが、改めてここまで重責を担った御感想をいただきたいと思います。
(答)国家戦略担当大臣の役割とは何かということが一つあります。同時に、政調会長を兼任していることの意味をどう考えるかということなのではないかと考えております。
 私自身が多くの課題についての調整役を担うという想像をしていたわけではありませんけれども、結果として調整するようにということで指示がまいりましたので、その範囲で精一杯調整させていただいたということでございます。
(問)その関連で、今回の予算に限っては官房長官の役割が非常に見えにくいという指摘もあるかと思うのですけれども、この辺はどうとらえていますか。
(答)もちろん、官房長官は大局的な観点から総理とともに私どもをしっかり掌握をし、当然ながら一定の指示というか、見守ってくれていたと思います。我々もできる限り官房長官や総理大臣の手を煩わせないようにやれることはやるということは、当然あるべき政権の姿ではないかと考えております。大きな視点で我々を指示していたというか、理解を示してくださっていたということではないかと思っております。
(問)関連して、今年は民主党政権での初めての予算編成でもありますし、民主党政調が復活した形での初めての予算編成で、事実上、玄葉大臣が司令塔役を果たしたと思うのですが、今後、民主党はこういう形をビジネスモデルとしてやっていくことになるのでしょうか。その点についてお考えがお聞かせください。
(答)これは、予算のつくり方もそうでありますけれども、ある意味、一つのトライアルだと思います。ですから、一つのこのトライアルを改めて整理をして、どこをどうより良くできるのかということを自分なりにも、あるいは国家戦略室なりにも、あるいは政調なりにもよく検証したいと思っています。
 今回、特に政調幹部は、この予算、税制の山場のときには、もう毎日集まっておりました。情報を共有して、しかもそれぞれの部門会議、あるいは調査会、PTの議論もでき得る限り大切にさせていただいたと考えておりますし、同時に、いわゆる政府・与党一元化、そして、あくまで政府に一元化されている中での提言機関としての政調のあり方については、恐らく皆さんもある意味、戸惑いも含めて当然あったと思うんですね。今までのような政策決定過程とは違ったということはあるのではないかと思っていまして、今回は、考え得る現状ででき得る限りのことをさせていただいたと思っておりますが、まだまだより良くできるのではないかとも考えております。
(問)その関連ですけれども、予算編成に当たって、党内の意見を十分吸い上げて反映することができたのかということと、当初言われた族議員的な動きがあったのか、それを押さえ込むこときができたのか、そこはいかがでしょうか。
(答)完全に党の意見と100%一致させるということになると、一方で、一種族議員化が進む可能性もなくはないというところがあります。
 ですから、ここは正に案配とバランスの世界だと考えておりまして、私としては、いつも大体目安として9割ということを申し上げておりますけれども、今回、例えば税制については、主立った項目については9割5分も反映できたと申し上げても過言ではないと思いますし、予算についても、主要項目については、これまたほとんど取り入れることができたのではないでしょうか。
 ただ、もちろん部門会議の個別の議論が一部反映できない、これは全体の整合性の中で反映しにくかったとか、そういうことは当然あると思いますし、当然そういったところで不満を持つ方々だっていると思います。ただ、それは世の常でありまして、そういったことに対する責任はすべて自分が負えばいいと考えております。
(問)政策が順調にいっているということですが、政局抜きにしての政策の実現というのは語れないと思うのですが、小沢議員が政治倫理審査会出席を拒否されました。これが今後の予算や税制の成立にどのような障害になると、どのように影響するとお考えでしょうか。
(答)予算、税制は順調でありますけれども、まだ若干の調整が残っておりますので、私自身の役割としては、24日まではとにかく油断せずに、まずは予算を最後までしっかりと仕上げていきます。しかも、民主党政権になって初めての本格的な予算編成の中で、民主党らしい予算にする。デフレ脱却、成長、雇用と、「国民の生活が第一」ということについて、財源捻出できた分だけしっかりとマニフェストを前進させる体制、姿勢で進めてきておりますけれども、それについてまた最終的な姿が明らかになった時点で、是非私なりの説明をさせていただきたいと思っております。
 私としてはまずは24日までは油断をせずにしっかりと、最低でも24日までは予算に集中したいと考えております。
(問)政調の話に戻りますけれども、各省政策会議から政調に変わって、党内ではいろいろ意見を述べる場が多くなったという評価が高いと思います。一方、永田町の一歩外に出ると、各省政策会議のときには、会議の日ごとに資料が出たり、どういう話題が出たかというのがちゃんとホームページにアップされていたのですが、民主党の政策調査会になってから、例えば提言がまとまったらちゃんとアップされるんですけれども、そのプロセスというのがほとんど公開されていません。そういう点では、政調になってかえって政策プロセスの透明性が下がったのではないかという指摘をする人もいます。この点についてはいかがでしょうか。
(答)確か政策会議のときは、政府の会議という位置付けだったものですから、どうしてもオープンに議論するということだと思います。できる限り我々もオープンにしたいと思いますし、確か税調などはすべてオープンだったのではないかと思います。
 ただ、一方で、政府の政策会議がオープンなゆえに本音の議論ができなかったという話もよく聞きます。ですから、出席者が非常に少なかった。当時は、税調の出席者も最後は10人か20人でした。
 今回の党税調は、常に50~60人、70~80人は出ていて、最後はもう百数十人の議員が夜8時からの会合に出てきたということでありますので、私は政調会長をさせていただいているから、どうしてもそういう立場になってしまうのかもしれませんけれども、少なくとも政策会議のときよりははるかに多くの皆さんの意見を吸い上げることができていると思っています。先ほどの質問にあったように、一方で、どうやって族議員化を防いで、専門議員であるということにとどまってもらうかということも必要でありまして、やはり今回、政調は幹部、役員、あるいは部門会議の座長のみならず、調査会、PTの座長、幹部の皆さんが、本当にそれぞれ持ち場、持ち場でしっかりと全体の利益、国益、国民益、あるいは民主党全体の中でどうあるべきかということを考えて物事をまとめていただいたなと思います。
 もちろん、政調幹部との連携も随時させていただいておりました。連携をとりながらやってきたことが、例えば、恐らく皆様からすれば、調整が不可能なのではないかとか、まとまらないのではないかとか、そう思われたような項目も率直に言えばすんなりとスムーズにまとめることができたというのは、そういった政策調査会の中での汗をかかれた皆さんの力がとても大きいと考えております。

(以上)