玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年12月17日

(平成22年12月17日(金) 10:50~11:11  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日は、最初に安全保障会議がございまして、防衛計画の大綱の見直し、そして中期防衛力整備計画について、閣議決定に先立って議論を行ったところでございます。民主党政権になって、民主党としての外交、安全保障政策、特に安全保障政策が背骨としてしっかりしているのかと、こういう議論があったわけでありますけれども、今回、防衛計画の見直しが正式に決まったことで、背骨ができたのではないかと思っております。同時に、この内容については官房長官が具体的に発表されるということでございますので、私が直接触れるわけにはまいりませんけれども、ただ、私の立場としては、民主党の外交・安全保障調査会で提言をされた内容について、かなりの程度、盛り込んでいるということは申し上げることができると思います。特に、世界の安全保障環境が、特に日本を取り巻く安全保障環境が変わってきており、中国を始めとする新興国が台頭してきて、相対的にパワーバランスが変化をしている中で、我が国を取り巻くいわば安全保障環境が複雑・多様化、重層化している。そういう中で、我が国の防衛力はどうあるべきなのかということになるわけでありますけれども、まず一つは、民主党の提言において、基盤的防衛力構想から動的防衛力、動的抑止力と、こういう言い方をしたわけであります。基盤的防衛力構想というのは、もう存在自体が抑止であるという考え方に立つわけでありますけれども、これからはより機動的な対応をしなければならないということで、動的な抑止、あるいは動的な防衛力ということで、いわば一つのパラダイムシフトがあったと申し上げてもよいのではないかと思いますし、南西を意識した体制にしていくということも、いわば事実上、盛り込まれていると考えております。
 さらには、それに伴って、体制、装備、そういったものも変えていく。簡単にいえば、戦車とか火砲とか、そういったものは、かなりの程度削減をしていく。同時に、逆に警戒監視などが重要視されますので、例えば潜水艦であるとか、イージス艦であるとか、そういった装備を増やしていくということだと思います。また、国際平和協力活動に対して積極的に貢献をしていく、PKO5原則というものを見直ししていくということについても、民主党の提言があったわけでありますけれども、そういったことも含めてかなりの程度取り込まれた防衛計画の見直しができたのではないかと考えております。
 次に、男女共同参画会議がございました。これは、私が一時、担当させていただいていたものです。防衛大綱は10年を目途にということでありますが、第3次男女共同参画基本計画は5年計画というものなのです。やはり女性の労働力、女性の就業率を高めるというのが、少子・高齢化社会の日本にあって、それを克服するための最大のポイントの一つであるということを繰り返し申し上げてきましたけれども、このこともしっかり書き込まれております。具体策を強力に推進することが大切であると考えております。
 その後、閣議がございました。閣議では、先ほど申し上げた防衛計画の大綱についての閣議決定など、それぞれなされたということでございます。
 私からは以上でございます。
 昨日も申し上げましたけれども、予算編成の基本方針ができ上がりました。そして、税制改正大綱が閣議決定されましたので、それに基づいて予算編成の最後の調整をしっかりとやって、約束を果たしたいと、責任を果たしたいと、そう考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今日、小沢元代表が政治倫理審査会出席に関する岡田幹事長の要請に対して、出席できないという意向を回答するとされています。その小沢元代表の政治倫理審査会に出席しないという判断をどう受け止められているか、どう評価しているか。また、岡田幹事長、あるいは菅総理は、それを受けて政治倫理審査会で議決する方向で調整すると思われるのですけれども、議決を支持されるか。この2点をお願いいたします。
(答)いつも申し上げていますけど、これについて私は直接、幹事長から相談に預かっておりません。それは何ゆえかということを推察すれば、やはり税と予算がしっかりでき上がるまで、それに私は集中すべきだということだと思います。国家戦略担当大臣、政調会長は、それに集中すべきであるという趣旨だというふうに推察しておりますし、私自身もそう思っております。特に税は終わりましたので、予算編成に集中したいと思います。まだ最後の調整が幾つか残っておりますから、それに集中をさせていただきたいと考えております。
 なお、一部の報道で、子ども手当の問題で迷走しているという議論があったようでありますけれども、全く迷走はしておりませんし、方針も全く変わってございません。地方負担の問題についての議論が、最後の最後までどうしても決着しにくい性質のものだということをよく御理解をいただきたいと考えているところでございます。
 したがって、そういった問題も含めて、最後の最後までしっかり自分の役割を果たしたいと考えております。
(問)党内では、両院議員総会の開催を求める署名をやっていますが、玄葉大臣は署名されましたでしょうか。また、開催の必要性についてはどのように考えていらっしゃいますか。
(答)これについても、全くそういう類は、少なくとも私自身は見ておりませんし、とにかく今は予算編成に集中する、もうそれだけだという気持ちでおります。
(問)開催する必要性は、今のところ、ないというお考えでしょうか。
(答)そのことも含めて、まず自分は予算に集中します。
(問)昨日、決まった税制改正大綱なのですが、結局、法人税の減収分の穴を埋められていなかったり、その分を例えば高額所得者だとか、取りやすいところから取っているのではないか、あまり理念が見えないのではないかという批判もあるのですが、その辺、今回の税制改正を貫いている理念というのは何なのでしょうか。
(答)もう理念は明らかだと思います。つまりは、雇用と成長、デフレ脱却が一つ、もう一つは格差の是正で、この2つは明確な理念だと思います。税だけで中立にするという考え方は確かにございますが、成長を重視するという立場に立つと、過去も、例えば平成10年もそうでありますし、その次の年もそうでありますけれども、決して中立にはしておりません。そうやって初めて成長軌道に乗せることができる。
 ただ、ではどうやって財政規律を保つかといえば、いつも申し上げておりますけれども、国債発行をしっかり約束した国債発行額に抑えるということが、正に一番大切なことですし、歳出の大枠も71兆円と約束していますので、そこにきちっと抑えることが大切です。
 私自身、夏から一貫しているのですけれども、まずはデフレを脱却し、経済を成長させて、その上で社会保障の有り様を示して、税の抜本改革をやる。ですから、まず強い経済があって、そして、その次に強い社会保障をつくるためにも、強い財政が必要だと、こういう順番です。最初に財政健全化だけ考えたときに、果たして来年、税収が上がるのだろうかということが私は問われていると思います。ですから、最初から私は、今年はとにかく44.3兆円の国債発行枠を守る、71兆円の歳出の大枠を守り、このことをきちっと今までの財政運営戦略で定めていますから、そういったルールを守る、その中で最大限、成長、雇用、デフレ脱却、そして「国民の生活が第一」という理念に基づいて予算をつくる。そして、税制は、格差是正も含めてでありますけれどもつくる。そのように考えてきたということでございます。
(問)では、やはり財務省が言っているように、法人税3%減だけでは成長には、減税幅としては少ないということですか。
(答)私はそう思います。今回は、中小企業減税も18%から15%にいたしました。そして、同時に投資減税、これは環境投資に対する減税でありますし、雇用促進減税もやりました。そうやって、まずは税収を上げるということから始めていかないと、逆に言うと、税の抜本改革もできません。税収がこれからもずっと減り続けて低成長で、どんどん経済が悪くなりますという状況の中では、果たして国民の皆様が消費税を上げるということを許容していただけるか。私はなかなか難しいと思います。
 ですから、まず一定の成長、そして来年、どこかできちっとCPI、消費者物価指数をゼロから上にするということを大切にして、しかし、10年計画の財政運営戦略、3年計画の中期財政フレームを守ることで、やはりマーケットに対しても、しっかりこういった規律は守っていますということを出していくことが大切なのであって、私は元々考えていたとおりになってよかったと思っております。
(問)予算に関連してですけれども、社民党と本日協議を行う予定になっていますが、今のところ、社民党は法人税の減税などに対しても非常に批判的ですし、安全保障をめぐる予算に関しても非常に隔たりが大きい状況ですが、今後、社民党とどこまで合意を目指していくのかということについて、スタンスをお聞かせください。
(答)連立パートナーである国民新党とも、引き続き協議をしております。連立パートナーである国民新党と社民党とでは、やはり差は当然なければおかしい、国民新党に失礼だと思います。その中で、どれだけ取り入れることができるのかということについて、私も努力をしたいと思っています。
 ただ、私たちの政権、特に民主党が、正に今回の予算編成の根本の、あるいは税制改正の根本に関わる部分について、既に決めたもの、特に法人税の引き下げとか、そういったものを変えろと言われても、変えるわけにはまいりませんので、ここは互いに大人の間合いをきちっと考えていくことが大切なのではないかと思います。
(問)2011年度の公的年金の支給額の議論が、今、政府内で進められていると思うのですが、国家戦略室は、この検討作業に加わっているのかということと、ルールどおり物価スライドを適用して引き下げを図るべきかどうか、大臣のお考えをお尋ねします。
(答)私は私の考えがあります。ありますが、今、申し上げるのは適当ではないと思っておりまして、私が調整役であるのかどうかということは分かりませんけれども、もう近々、決着させます。
(問)子ども手当の地方負担の関係ですけれども、先ほど最後まで決着がつきにくいお話だということで大臣はおっしゃいましたけれども、子ども手当の5大臣会合を取りまとめておられる立場として、今後、どのように調整を進めていかれるおつもりでしょうか。
(答)内々、もう調整をしております。毎日調整をしておりまして、決着すべきところにきちっと決着させたいと思います。結局、これは国と地方の問題に様々な意味で関わってくる話です。
 ですから、やはり地方の関係者の皆さんと丁寧に話をする。そうすると、丁寧に話をするということは、最後の地財の問題も含めてしっかり考えていかないといけないことになりますから、どうしても少し時間をかけたいということなんですね。でも、しっかり決着させます。
(問)確認ですけど、これから残っている調整事項は、先ほど出た社民党、年金、子ども手当、これ以外にどんなものなのでしょうか。
(答)国民新党ともまだ最終的に合意したわけではございません。それと、予算編成そのものについて、私の頭の中には最終の絵は一定程度ありますけれども、今日も大臣折衝があります。野田財務大臣と私で、いくつかの調整事項を担当大臣と折衝いたしますし、そのほかにも若干出てくるかなという推測をしております。
(問)念のためお聞きしますが、そういったことを踏まえて、税と予算に集中する時期が終わるわけですけれども、いつでもって終わるのでしょうか。
(答)前から申し上げておりますが、24日には終われればよいということをずっと申し上げてきましたし、私は終われるのではないかと考えております。当初の目標どおりということではないかと思います。
(問)そうしますと、24日以降は、小沢元代表の問題について考えることになると思うのですけれども、やはり年内には、この問題は決着させたほうがよいとお考えになりますか。
(答)いずれにしても、まずは予算にきちっと集中させていただきたいと思います。

(以上)