玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月9日

(平成22年11月9日(火) 8:45~8:54  於:院内閣議室前ぶら下がり)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議におきまして、包括的経済連携に関する基本方針について決定いたしました。内閣総理大臣から、本方針は「農業再生」を念頭に置きながら、「国を開く」という今後の国のあり方にとっての重大な基本方針であり、今まで歴史の分水嶺にあったけれども取り残されてきた我が国にとって、大変大事な決断である、と同時に、農業について現状を放置するわけにはいかないので、農業構造改革本部の本部長として、総理が陣頭指揮に立つというお話がございました。中身については、後でまた申し上げたいと思いますが、平成の開国で、必ずプラスになるというお話がございました。
 また、私から、今回の基本方針について、特に包括的な経済連携ということだけが注目をされていますけれども、一般的に高いレベルの経済連携に踏み出したことの意義が特に大きいということを申し上げたわけでございます。そして、併せて、菅総理を議長とし、私も副議長として、鹿野農林水産大臣とともに農業構造改革の実現に努力をしたいということを申し上げました。特に、APECはスタートだということで、これからよろしくお願いしたいということを申し上げました。
 併せて、内閣総理大臣から、農業予算に関する4大臣会合についての発言がありました。これは、先ほど申し上げましたけど、来年6月までかけて、3年ターム、5年タームの農業の構造改革についての基本方針をつくるのですけれども、当面、平成23年度の農業予算をどうするかと、長期的視点に立ってどうするのかということを検討する会議であります。平成23年度予算編成において、戸別所得補償制度を含む農業施策に関する要求・要望内容を精査することにより、競争力強化に向けた施策内容の充実を図る必要があり、そのため、私を議長とし、仙谷官房長官、野田財務大臣、鹿野農林水産大臣をメンバーとする4大臣会合を開催し、検討を進めていただきたいという発言がありました。
 理解の促進のために申し上げると、子ども手当で5大臣会合がございまして、私が議長をやっていますけれども、ああいうふうに、いわば民主党の主要施策についての最終調整をしていくという趣旨でございます。特に今回、TPPについては協議というレベルでありましたけれども、間違いなく言える一つの結論は、二国間EPAを積極的に推進するということです。韓国とも早期に交渉を再開し妥結を目指す、あるいは、豪州とも早期の妥結を目指すということですから、そういったハイレベルなFTAを持った国との二国間EPAを結ぶとなりますと、間違いなく農業の構造改革が迫られるということでありますので、そういったところについても来年度予算からどうするのかということを検討していくことになるのではないかと思います。
 ですから、繰り返しになりますけれども、今回のTPP、あるいは経済連携に関する議論で、この1カ月間、民主党でも本当に精力的に議論していただいたし、報道の皆さんにも感謝しているのは、それぞれの角度、切り口で、立場はあっても上手に取り上げていただいたと思っています。そのおかげで一気に議論が盛り上がって、この国の歩むべき道はどうなんだということについての一定の議論がなされたと思っていまして、このことは本当に報道の皆さんにも感謝します。
 二国間EPAについては、日本はシンガポールと締結したのが最初です。確か2002年だったと思います。それから、確か11の国、機構と結びましたけど、世界では130以上のスキームができています。あっという間に遅れてきてしまったということで、「TPPというハイウェイを走れ」という話になったわけですね。だけども、自民党は普通の道路を今までずっと走ってきた。乗り越えられなかった。TPPはハイウェイであり、我々は、まず高規格道路を走って、二国間のEPAをどんどん進めて、それでどこかのジャンクションでハイウェイに上がることもあれば、「いや、高規格道路を走っていたら、もう既にそれがハイウェイになりました」ということもあり得るのではないかと思っていまして、私は今回の基本方針については、全体として国益、国民益から見て、現状ではベストな基本方針になったと思っています。
 以上です。

2.質疑応答

(問) 今、お話がありました農業予算に関する4大臣会合ですけれども、年末の予算編成を考えると、それほど時間がないかと思いますが、いつごろ会議を始めるのですか。
(答)これは、早急にということになると思います。早ければ今週中には、1回目の会合をやらないといけないのではないかと思います。子ども手当の5大臣会合のように、キックオフの会合を、論点整理も含めてやらなければいけないと思っています。
(問)そこで戸別所得補償のあり方などについても、ある程度、一定の結論を出すということになるのでしょうか。
(答)初会合の日に出るということではないと思います。ただ、今の戸別所得補償制度自体は、関税措置があることを前提にしています。ですから、例えば関税措置がなくなった品目が出たときにどうするかとかいったシミュレーションをしながら、やはり平成23年度の予算編成を、農業予算については考えていかなくてはいけないのではないかと思っています。
(問)経済連携が進んだ場合に、規模感としてどのぐらいの農業関連予算が必要だとお考えなのでしょうか。
(答)それは、どのくらいの経済連携が進むかによりますし、もっと申し上げると、どういった品目が例外品目になるかにもよります。そしてまた、どういう制度設計をするかにもよります。例えば、農林水産省の試算によると年間4.1兆円の農業生産額が減少するとありますが、そのうちの半分は、実は米です。では、米が仮に例外になったらどうなのかといったら、減少額もまた半分になってしまうわけですね。
 ですから、そこは今のところ、なかなか確たることは申し上げにくいと思います。
(問)マニフェストでは、1兆円規模の戸別所得補償をうたっていますけれども、最終的にはそれを超える規模にはなりそうですか。
(答)そのことも含めて、やはり関税措置がなくなった品目が出たときにどのくらいかかるかというのは、私なりにいろいろと調査をさせているところでございます。
 ただ、そういった戸別所得補償、守りの政策も大事ですけれども、一方で、やはり成長産業化という、あるいは6次産業化という攻めの政策、輸出といったことも含めて、極めて大切になるのではないかと思ってます。

(以上)