玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年10月19日

(平成22年10月19日(火) 9:50~10:19  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日は、早朝から安全保障会議がございまして、防衛計画の大綱の見直しの議論を構成メンバーでいたしました。
 その後、閣議がございまして、私から二つ発言をさせていただきました。
 一つは、国家戦略室の新体制についてということで、今般、新内閣における国家戦略室の新たな体制案がほぼ固まり、より本格的に始動する準備が整ったので、この機会にその任務について御説明をさせていただきました。
 もう一つは、「元気な日本復活特別枠」要望に係るパブリックコメントの終了について報告をいたしまして、改めて特別枠要望と既存予算の要求全体を一体として把握をして評価に反映をする必要があるということ、そして、大胆な予算の組替えを行うという総理の強い思いを実現するために、評価会議の議長として不退転の決意で取りまとめを行いたいということを申し上げた次第でございます。
 その上で、本日は、国家戦略室の新体制について少し説明をさせていただきたいと思います。
 9月17日の内閣改造により国家戦略担当大臣を拝命して以降、国家戦略室のあり方、あるいは官房長官との役割分担などについて、様々検討を行ってまいりました。総理、官房長官とも何度か話合いの場を持ちました。本日、一定の区切りがつきましたので御報告をいたします。
 まずは国家戦略室の機能でありますが、これは従来の考え方でもありますけれども、国家戦略室は重要政策の企画立案・総合調整及び総理直属のシンクタンク機能の二つの機能を持つということを改めて明確にいたしました。
 重要政策の企画、立案及び総合調整については、私と平野副大臣が統括をし、総理直属のシンクタンク機能については、私の統括の下で阿久津政務官、加藤総理補佐官に実務を担っていただくことにしています。
 また、スタッフについても、それぞれの機能に官民の人材を混在して配置をし、官民融合の長所をそれぞれの分野で発揮していただくという考えでございます。
 もう一つは、官房長官と国家戦略担当大臣の役割分担でありますけれども、従来、官房長官の担っていた政策の総合調整のうち、特に戦略的な対応が必要な攻めの政策については、国家戦略担当大臣において担当することといたしました。官房長官におかれては、危機管理を含む主に守りの部分を御担当いただくことで整理をいたしました。
 なお、私が行う調整も、私としては、最終的には官房長官に判断をいただくという形にしたいと思います。
 この整理に基づきまして、本日付で私の国家戦略担当大臣としての担務にEPAに関する総合調整が加えられることとなりました。
 こういう形で、戦略課題が総理指示で幾つか出てきたときに、新たに担務に加わっていくという理解でよろしいかと思います。
 次に、国家戦略室の強化でありますけれども、今申し上げた官房長官と国家戦略担当大臣の役割分担の整理に合わせて、官房長官の担務については内閣官房副長官補室が、国家戦略担当大臣の担務は国家戦略室が補佐するとの区分を明確にいたしました。その結果、新成長戦略実現会議の運営を含む新成長戦略のフォローアップなども国家戦略室が一元的に行うことになります。
 また、総理直属のシンクタンク機能も極めて重要な役割でありますので、それらも勘案して国家戦略室の体制強化を図ることといたします。
 具体的には、重要政策の企画、立案及び総合調整を担当するスタッフの束ね役として、審議官級の人材を配置をいたします。私のほうから個人指名をさせていただきました。もう具体的に申し上げてもよいかと思いますけれども、一人は道盛大志郎審議官、財務省出身、昭和54年入省、もう一人は日下部聡審議官、経産省出身、昭和57年入省ということであります。
 民間から来ていただいている梶山審議官とも協力をして、官民の力を結集した業務運営に当たっていただきます。
 言うまでもないことでありますけれども、国家戦略課題の調整は、正に難しい調整課題になりますので、私と平野副大臣が当然主導して行います。やはり省庁間の調整の部分は束ね役がいたほうが進むということで、そのようにさせていただいたということであります。さらに、これから二つの機能、双方の戦力拡充を図るために人員増を順次、本日を皮切りに官民双方ともでありますけれども、進めていきたいと考えております。
 この国家戦略室の体制を整備する過程で、スタッフがより意欲的に仕事ができる環境を整備したいと思っておりますので、これからは私自身の考え方を直接伝え、また、スタッフの能力を十分に発揮させるようにしたいと思っております。
 今まで、私が担当大臣になってから、国家戦略室の役割が明確になっていなかったので、あえて私は直接触れ合うことをやや避けてきたようなところが実はありました。最初にスタッフ全員の話を聞いた後はあえてそうしてきましたけれども、これからは直接、でき得る限りではありますけれども、コミュニケーションをとらせていただきたいと思っています。本日から国家戦略室を本格的に再稼動させてまいります。
 国家戦略担当大臣は、予算編成の基本方針の策定、税財政の骨格、経済運営の基本方針の企画、立案及び総合調整、そして新成長戦略の実現、EPA基本方針の取りまとめなど、正に国家的な戦略課題を担当いたします。極めて難しい判断も必要になると思いますが、国益・国民益を実現する立場から、私自身が泥をかぶる覚悟で事に当たってまいりたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
  私からは以上です。

2.質疑応答

(問) この国家戦略室の体制一新について、まず総理から何か具体的に指示なりお言葉があったのかというのが一点と、細かい話になって恐縮ですが、提言機能、シンクタンク機能について、具体的に例えば民間の企業経営者とか学識経験者とか、そういう方の声を聞く場などをつくるのかというのが一点、あと、税と社会保障の関係は官房長官とどちらが担当されるのでしょうか。
(答)三番目の質問から申し上げますけれども、税と社会保障の関係は、これは官房長官のほうで担っていただくことになります。ただ、担務としてはそうですが、私は、政調会長でもあります。そして、政府税調の会長代行でもあります。したがって、いわゆる取りまとめ責任者ではありませんけれども、当然ながらかなりの関与をせざるを得ないと考えております。
 そして、二つ目の質問、いわゆる総理のシンクタンク機能、ポリシーユニットのほうでありますけれども、これは今、加藤総理補佐官と阿久津政務官により具体的なプランをつくっていただいているところでありますが、一つはやはり外交安全保障のいわゆるセカンドオピニオン機能を果たさなければならないと私自身は考えておりまして、当然、いわゆる有識者の方々などの意見が的確に総理にもたらされるような体制をつくるということが必要だと思っておりますし、また同時に、内政の面でも、恐らく総理を囲むような、例えば経済などのアドバイス機能のロジなども行うことになるのではないかと考えておりますが、より具体的なプランを作成中であります。
 最初の質問で総理からの指示、お話という話でありますけれども、それは正にこの間、精力的に意見交換してまいりましたが、総理としてはやはりセカンドオピニオン機能が欲しいということはよくおっしゃっていました。役所の情報が内閣官房を通じて上がってくるだけではやはり判断しにくいところがあるので、様々なアイデアとか、様々な意見が自分のところに直接もたらされる、そうして最終的に自分が判断できる体制をつくってほしいという思いは強いと思います。
 したがって、総理のシンクタンク機能はそれとして一つしっかりと強化していくということになりますし、もう一つは、やはり内閣官房長官も大変な任務でありまして、すべての総合調整を担っているということになりますので、特に戦略的検討が必要となるような課題については、やはり国家戦略担当大臣が受け持つというのが適当だというようなお話でございましたので、まずは近々ではEPAの問題、TPPの問題がございますし、これから難しい調整課題としては地球温暖化対策の問題が出てきますし、更には恐らくは子ども・子育て新システムなども入ってくる可能性があると思いますけれども、そういった形で順次戦略課題について指示が出てくるということではないかと思っております。
(問)確認ですが、子ども・子育て新システムは国家戦略室が所掌する重要政策ということでよろしいのでしょうか。
(答)そこは最終調整中でありますので、先ほども「恐らく」と申し上げましたが、「待機児童ゼロ」と銘打って特命チームをつくるという発言が今日も総理からもありましたし、昨日も私のところに電話がありましたけれども、そういったことを整理をしているところです。ただ、システム全体をつくるとなると、これもなかなかの大仕事になりまして、各府省間の調整がかなり必要になりますので、いざというときにはそういう心構えをしておかなければならないと思っています。
(問)政治主導確立法案が通るか通らないかはっきりしない中、国家戦略室は重要な政策課題に取り組んでいくわけですけれども、EPAを始めとして、答えを出していく時期的なメドというのがあれば教えてもらいたいのと、体制強化の上で、増員の規模を順次増やしていくということですが、最終的に何人ぐらいを念頭に置いているのでしょうか。
(答)それぞれの時期というのは、今、区切ってしまうと様々な制約が出てくるかなという感じがいたしますので、ちょっと慎重に申し上げなければいけないかなと思っています。ただ、予算の基本方針などはもう時期が決まっているわけですから、当然その時期に出さなければいけないと思っております。
 APECのときに、やはりTPP、EPA、FTAの問題について何らかのメッセージは当然出さざるを得ないと思っておりますので、そういう意味では、一つの節目にはなるでしょう。ただし、それで終わりでは恐らくないので、EPAについてはその後も重要な調整が出てくるということになるのではないかと推測をいたします。
 地球温暖化対策の話も、結局、固定価格買取制度とか、あるいは地球温暖化対策税、排出権取引と、3つ生産面での抑制策があるわけでありますが、いずれにしても、地球温暖化対策税の結論が出るころには、政府として、あるいは政府・与党として、この地球温暖化対策についての戦略というか、トータルなトーリーができていないと、それぞれ個別に取り上げて結論を出すわけにはいかないのではないかと思っていますので、地球温暖化対策の問題で全体の答えを出すところまでいかなくても、何らかのストーリーを描いた上で地球温暖化対策税なり何なり、一つ一つの答えを導いていかないと間違えてしまうのではないかという危惧の念を持っていますので、そういう一定のスケジュール感というのが自分の念頭にはあるということであります。
 最終的な増員の規模については、それぞれの担務について走らせてみて、実際その重要政策の企画立案、例えばEPAについては私と平野副大臣、その下に審議官がいて、恐らく5、6人スタッフがいると、そういう状況ですがしょうけれども、その人たちだけではなくて、実際はシンクタンク機能のほうを担う人も時々行ってもらうとか、実際は明確な区分を設けずにではなくて、やってもらったりもすると思います。どのくらいの人員が不足するのか。明らかに不足すると思います。ですからので、そこは少し走らせながら、順次、対応したいと思っています。
 確かに、新聞報道などでは50人規模という話が出ていますけれども、イメージとしては最終形はそのくらいのイメージで考えていただいてよろしいのではないかなという感じはしております。
 若干ややこしいことを申し上げるようですけれども、先ほど、官房長官の補佐は副長官補室で、私の補佐は国家戦略室でやると申し上げましたけれども、人員が最終的にきちっと拡大をして、最終的な姿になるまでの引継ぎ期間は併任を副長官補室と一部かけたいと思っています。
 例えば、今まで副長官補補室で地球温暖化対策の問題は多分6人、7人ぐらいの人が担当してきたわけですね。いきなり全く分断するというのは現実的ではありませんから、やはり引継ぎ期間は次の人員が全部そろうまでは、彼らにも併任をかけて、私の下でこの地球温暖化の調整に当たってもらうと、例えばの話でありますけれども、そういうふうにさせてもらいたいと考えております。最終的には明確に併任が解けるような状況をつくりたいということであります。
(問)国会に提出している国家戦略室を局に格上げする法案について、修正とかは考えていらっしゃいますか。また、室長、局長についてはどのように考えていらっしゃいますか。
(答)政治主導確立法案と国会法等改正法案の二つあるわけですけれども、最終的にはこれは官房長官のところで答弁する話だとは思いますが、今、民主党の中で最終調整中であります。継続審議になっていますので、是非、他党の協力も経て速やかに成立を図りたいという思いでおります。
 今までの他党の発言などを調べたりいたしますと、どうしても民主党の案の中でのめないというものが幾つかあるのですね。ですから、そのことを踏まえながら、どういう案ならのめるのかということを最終的に検討している最中でありまして、例えば野党からは、政治家の増員などについては、国会法でやるのではなくて、政治主導確立法案の中にきちっと入れ込んだほうがいいのではないかという議論はかなりあります。ですから、そういうことももちろん検討しなければいけないかなと思ったりもします。今は民主党の中で最終調整中ですが、いわゆる当事者間では大体腹は固まっているというか、意見は統一されてきていると思います。
 ただ、最終的に了解を得なければいけない方々が何人かいらっしゃいますから、その了解を経た上で、他党の理解を得る作業をしていかなければいけないのではないかと思います。いつも申し上げていますけれども、与野党どちらが政権をとっても政治主導で内閣、政府を運営していくということには賛同は得られると思いますので、是非、他党の皆さんの理解を得たいという思いでおります。
 局長、室長については、先ほど申し上げたように、当面は私の統括で基本的にこの国家戦略室を動かしていくということであります
(問)財務省と経産省から2人補充ということですけれども、特定の省庁から2人出すと、また各省の争いになるのではないかという懸念もあると思うのですけれども、そういう全体の取りまとめ役というか、政治家が仕切ると言いつつ、幹部級の官僚を2人入れるということについて、いかがですか。
(答)例えばEPAにしろ、地球温暖化対策にしろ、民間の人が例えば束ね役になったとして他省庁との調整が本当にできるのかといったら、正直言ってできないと思いますね。
 ですから、明確なのは、EPAにしても、今、何をやっているかといったら、平野副大臣の下で、関係の副大臣が集まって精力的に極めて深い議論をしています。当然、私がいろんな意味で指示をしながら、そういうことをしています。その下に、実際の細かな役所間の調整みたいな話、技術的な調整みたいな話に入るわけですけど、そのときに民間の人がやれるのかというと、正直、それはやりにくいと思うのですね。ですから、そこはやはり現実的にならないといけないのではないかと思います。
 先ほど申し上げたように、審議官を個人指名させていただいた意味というのは、当然のことでありますけれども、出身省庁を忘れてほしいということになります。バックにある省庁については全く忘れて、国益と国民益のことだけ考えて動くということに当然徹してもらわないといけないと思っています。
 ですから、そうすることで、私は、それぞれの省益が取りまとめの際に影響するとは考えていないし、考えられないと思います。
(問)この2人の現在の肩書きを教えてほしいのですが。
(答)道盛氏は関東信越国税局長、そして、日下部氏は大臣官房審議官(経済産業政策局担当)ということであります。
 ですから、国家戦略室の一つのよさは、官民が協力して、いろんな意見はあったのですけれども、良い融合が起きているようなところもあります。その長所はやはり活かしながら、しかし、やはり組織ですから、ラインで仕事をしてもらわなければいけないところもあります。ですから、そこができないと、結局、何をやっているのかわからないと、統率もとれないということになってしまうという危機感をずっと持っておりましたので、あえて束ね役を私の強い希望で置かせていただいたということでございます。ですから、梶山審議官を入れて3人の審議官体制にすると。場合によっては今後も増やしたいと思っています。
(問) 1点確認ですけれども、これまで国家戦略室が所管してきた新年金制度の検討は今後、官房長官の下で検討されるんでしょうか。
(答)新年金制度の検討は、基本的には、共通番号制もそうですけれども、官房長官のほうになります。
(問)政治主導確立法案については党内調整を進めているということですが、これは成案を得られれば議員立法で修正を図るということですか。
(答)本来は閣法で出しておりますけれども、どちらがいいのか、そこはこれから判断をしたいと思います。
(問)場合によっては今国会はあきらめて、通常国会で閣法として出し直すということもあると思いますが。
(答)いや、できればというより、是非、この国会で成立させたいという思いでおります。これは他党の協力次第だと思います。

(以上)