玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年9月17日

(平成22年9月17日(金) 9:44~10:05  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議におきまして、菅内閣閣僚の辞表を取りまとめたところでございます。
 6月8日になりますけれども、党の政調会長と閣僚を兼務するという憲政史上初めての形で入閣をいたしました。3カ月という大変短い期間ではありましたけれども、この間、参議院選挙があり、結果が出ないなど、様々なことがありましたけれども、私からそれぞれの点について、一言まず申し上げたいと思います。
 まず、政策調査会の関係でありますけれども、政府・与党の政策決定の一元化という原則を崩さずに、政府に対する提言機関という形で13の部門会議を設置し、更には調査会、PTを順次立ち上げたところであります。まだ調査会、PTは全体の恐らく半分くらいだと思いますけれども、準備が済んだところから順次立ち上げたということでございます。
 参議院選挙が終わって、政策的な総括をしたのが大きな動きとしては最初だったと思います。様々な総括がある中で、両院議員総会に先立って政策的に一定の総括ができたということは、次の段階に進むためには必要だったと今でも思っております。
 その後、まず概算要求の組替え基準について党として提言をさせていただきましたが、ほとんど9割以上の内容が受け入れられる形で概算要求の組替え基準が決まったということでございます。さらには、昨今の経済対策についても各部門会議にそれぞれ集約をお願いしながら、私のほうで最終的に、いわば一任をいただく形で、今回のいわゆる「三段構えの新成長戦略実現のための経済対策」という形で打ち出された、その内容に9割以上、9割5分と言ってもいいと思いますけれども、反映をされたと思っております。
 また、組織づくりと並行して、普天間問題や高校の授業料無償化にかかわる朝鮮学校の問題など、今までなかなか議論の場の提供がうまくいかなった面があったわけですけども、政策調査会ができて、そういう場ができ始めたということではないかと思っております。
 全体のバランスが非常に難しい役割でありまして、政府・与党が完全に一体になると、つまりは提言が100%受け入れられるというと、事前審査制とほとんど同じということになりますし、全く受け入れられないというと、一体この議論は何だったんだということになりますし、全体のバランスが非常に問われるのがこの仕事だなと思っています。政策調査会はおおむね順調に立ち上がっていると認識をしておりまして、これからが正に本格稼働ということであります。しかも山積する課題が、特に重要課題がございますので、できる限り戦略課題として絞り込んで、恐らく私自身が泥をかぶったり、相当程度腹を据えて取り組まないと解決できない問題が目の前に幾つもあるという認識でいるということだけ申し上げたいと思います。
 次に、公務員制度改革でありますけれども、私が就任をしたのが6月8日ということでありますが、十分な形で私が関われない中で、総務大臣、官房長官中心だったと思いますけれども、新たな専門スタッフ職の創設や現役出向の拡大などを内容とする退職管理基本方針ができました。
 これについて様々な議論が国会の中でもありますが、私からは、この退職管理基本方針の運用については、既にかなり注文をつけております。つまり、新たな専門スタッフ職は、ややもすれば、いわば高給取りのスタッフ職ということになりかねないわけで、私としては、やはり安易に高給スタッフ職につくというのではなくて、既にある専門スタッフ職からスタートして、本当にそれだけの給料に見合う仕事ができるということが立証できた時点で、高給スタッフ職のほうに進むというぐらいに、運用を非常に厳しくする必要があるということを実は注文をつけておりますし、受け継いでもらいたいと思っております。
 また同時に、現役出向の拡大についても、当初はほとんどが役員で出向するという話でありましたので、とんでもないことだと思いました。それはあくまで、それこそ一兵卒で出向すればいいのだと思います。これもまた役員にふさわしい方がいらっしゃって、それを多くの人たちが認めるということであれば、役員になってもいいということで、むしろ役員出向を例外にするという措置が必要だと私は考えておりますし、そういう指示をしてきたところでございます。
 さらに人事院勧告でありますけれども、この人事院勧告制度は労働基本権制約の代償措置ということで、これまで尊重されてきたところでありますけれども、私の立場からは今般の社会経済情勢を踏まえると、やはり厳しい対応で臨むべきだということを給与関係閣僚会議でも申し上げてきたところでありまして、これからこの問題は給与法となって、いわば結実化しますので、この取扱いについてもどのようにしていくか、大変大事な課題だと認識をしているところであります。
 ただ誤解のないように申し上げたいことがあります。総人件費削減を民主党は言っていますが、総人件費削減を言っているからといって、どんな公務員も給与を下げるということでは決してありません。つまり能力・実績主義というのがまず根本にあるべきだということです。民間でいえば目標管理の仕組みというのがあって、総人件費は全体として削減されるけれども、頑張る人はむしろ上がり、頑張らない人は下がるというように能力・実績主義をきちっと徹底していくということです。それが私は、国民の皆さんから御覧になったときに、真に効率的で質の高い行政サービスの実現のために、「ああ、公務員の制度も変わってきたな」ということにつながると思っています。頑張っている人まですべてただ単純に下げるというのではシュリンクしてしまって士気が高揚しませんから、やはり頑張る人はむしろ上げ、頑張らない人は下げるというように、正にその仕事に応じて給与を調整する仕組みをしっかりとつくり上げていくという、正に今、そのプロセスにあると思っております。これも非常に大事な課題ですけれども、幹部人事の内閣一元管理、あるいは労働基本権のあり方も含めた抜本的な法案をこれからつくり上げようとしております。来年の通常国会に提出をするという予定でつくり上げているところでありまして、それらについても最重要の課題の1つだと認識をしております。
 国民の皆さんから理解していただける適正な結論が得られるように、次の私の立場がまだどうなるかわかりませんけれども、私なりに精一杯努力をしたいと思っております。
 次に、「新しい公共」でありますけれども、先般、円卓会議のメンバーの皆様とも懇談をさせていただきましたけれども、何よりこの「新しい公共」については、まず成長戦略の中で21の国家戦略プロジェクトの1つに位置付けたということです。あるいは概算要求の組替え基準で出てきた特別枠などで、「新しい公共」もしっかり書き込むことで、正に「新しい公共」関連予算というのが、今、概算要求でもたくさん出てきています。ですから、恐らくこの分野が目に見える形で前進をする年になるのではないかと思っております。税制改正、寄附税制、いわゆる所得控除だけではなくて税額控除も認めていくということになれば、多くの皆さんがこの分野に自らの、私は「活私奉公」という言葉を使っていますけれども、ボランタリーな拠出をされるという環境も大分整うのではないかと思っております。
 これからも「新しい公共」の推進のための会議、円卓会議に代わる後継の会議体をつくるということで準備をしております。元々、実は夏までにということでありました。私も立ち上げたかったのですが、率直に申し上げて、参議院選挙があって、負けて、代表選挙になるという流れであったものですから、これは中途半端に終わってしまっては、そのメンバーの方に失礼だということで、代表選が終わってから正式に立ち上げようということで、今、正に準備をしている段階でございます。
 少子化の問題でありますけれども、いつも申し上げますけれども、「子ども・子育て新システム」というものを幼保一体化も含めて、民主党政権でかなりの程度前進させたいと思っております。これを自分の担当の中でしっかりと結論を出していこうということで、確実に前進をさせていると思っております。もしこれができ上がれば、幼保一体化はもちろんのことでありますけれども、喫緊の課題、しかも最重要の課題である、子供を預ける施設について、今までと違う事業主体、つまりは株式会社とか、あるいはNPOとか、そういったところまで参入できるような体制が整うのではないかと思っております。その際は、制度設計上、地域主権という観点から地方自治体の裁量が大きく広がっていくということになります。引き続き、これは日本の根本問題の1つだと思っておりますので、推進をしていけるようにしなければならないと思います。
 最後に、男女共同参画でありますけれども、これは第3次男女共同参画基本計画について、会議の答申決定をしたというのが、この3カ月の中でございましたけれども、これもいつも申し上げますが、男性が初めて事実上単独でこの担当大臣になりました。したがって、裾野を広げたいという思いで始めましたし、同時に私はありとあらゆる会議の中で、日本の根本問題の1つとして女性の就業率の低さというのを挙げています。
 確か46%だったと思いますけれども、この女性の就業率の低さというのは、いわば日本のこれからの潜在力に蓋をしているという現状と重なります。逆に言えば潜在力はあるので、蓋開けをすればいいということでもあります。ですから、これからの日本の問題は少子高齢化、現役世代の減少にあるわけですけれども、その現役世代の減少を補うためにもこの女性の就業率の問題、いわゆるM字カーブ解消に向けて、これは日本の根本問題の1つだということで取り組んでいかなければならない課題だと考えております。その上で、そういうことも踏まえながら、本年中に実効性のある第3次男女共同参画基本計画を策定していくということになると思っております。
 大体以上でありますが、3カ月間という短い期間でございましたけれども、今日、御出席のメディアの皆様には大変お世話になりまして、ありがとうございました。お疲れさまです。

2.質疑応答

(問) 今、内定している党人事あるいは一部閣僚人事等を見ると、「脱小沢」路線の継続という評価が出ていますけれども、挙党一致の観点からどうなのか。実際、小沢氏を支援した議員からは一部批判も出ていますけれども、どのようにお考えですか。
(答)まだ全体が見えておりません。私は若干、例えば幹事長を選任されるプロセスなども垣間見たことが今回ございましたけれども、ひとえに「脱小沢」とか、そういう観点では全くなく、つまりは最も幹事長にふさわしい方を選ぶ。これから困難に立ち向かう党をしっかりまとめ上げていける、そういう経験も含めて、そういう方を選ぶということで選任をされていると心から思っております。結果としてそう見えることはあっても全くそういう意図はないと思いますし、もっと申し上げれば、恐らくは内閣閣僚の人事がどうなるか私には全くわかりませんけれども、全体を見ていくと、一定のバランスのとれた人選になっていくのではないかなと考えております。
(問)あとその小沢氏と輿石氏に代表代行を打診したのは、受けられないようですけれどもいかがでしょうか。
(答)それはちょっと私もお聞きしていませんので、それは総理がお決めになることだろうと思います。
(問)枝野さんは幹事長代理と言われていますけれども、参院選責任論がある中で格下げとはいえ役職につくことについてはいかがでしょうか。
(答)正式にまだそのことは聞いておりません。

(以上)