平岡内閣府副大臣記者会見要旨 平成22年7月15日

(平成22年7月15日(木) 15:00~15:21  於:合同庁舎4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 内閣府の副大臣で、内閣官房国家戦略室長を務めております平岡秀夫でございますけれども、今日、第4回の副大臣会議がありましたので、従来から副大臣会議があった日には記者会見をするというような形で行われてきたというふうに聞いておりまして、そういう意味では、記者会見ということをさせていただきましたけれども、今日の副大臣会議で取り上げられた議題というのは、基本的に私の所管している事項には直接関係がございませんでしたし、それから内閣官房のほうからも、今日の副大臣会議の中身については、記者の皆さんに会見をするというふうに聞いておりますので、私のほうから説明するという事項は、特にございません。何か御質問事項があるようであれば、お答えをしたいというふうに思います。それから、副大臣会議以外の話題についても、特に私のほうから話をすることがないので、今日は皆さん方の御質問に答える形でお話をさせていただければというふうに思います。

2.質疑応答

(問)一部報道で、成長戦略に関する会議を立ち上げるというような報道が、昨日、通信社電で流れたんですが、事実関係を教えてください。違うのか正しいのか、それとも全く違う形のものを考えているのか、その辺のところを教えていただけますか。
(答)新成長戦略の文書の中に「工程表」というのがあって、それに基づいてこれからの進行管理というのをやっていくというような形になっていて、それのための組織として、例えば国家戦略プロジェクト委員会、これは総理が委員長を務める、そして官民の主だった方々を集めての委員会を立ち上げる、そしてパッケージ型インフラ海外展開推進会議というようなものも設けるというようなことが書いてありまして、私たちも、この新成長戦略の中に書かれているこれらのものについて、そういう会議体のようなものを設けていかなければいけないという、そういう認識は立っていますけれども、まだ正式にというか公式にというか、具体的にこういうものをつくっていきましょうということを決めたという事実は、少なくともないと思います。先ほど申し上げたような組織をつくらなければいけないであろうということで、内々の検討は進めておりますけれども、具体的な人選等についても、まだどういう人ということも決まっていないというふうに思っています。
 それから、ちょっと前提条件として言うと、今の国家戦略室の役割について、これまでどおりでいいのか、それとも見直しをすべきではないかという問題提起もあって、今その作業をしている最中なんですよね。そういう意味で、場合によっては、ちょっと国家戦略室が直接かかわっていないところで、今御質問のあったようなものが検討されている可能性がないとはちょっと言い切れないんですけれども、少なくとも、ちょっと私はそれは、別の動きは承知していません。国家戦略室でやっているのは、内々にはいろいろ検討させていただいているけれど、具体的な人選も含めて、こういうことをやりましょうというふうに決まったという事実はありません。
(問)昨日の総理との面談でも、そういう話だったんですか。
(答)総理との面談というのは、官邸でのですか。
(問)そうです。
(答)官邸での総理との面談は、国家戦略室の今後の役割について、関係者で議論をしたと。この議論も、かちっとしたペーパーに基づいて議論したというよりは、ある程度の考え方を整理したメモで議論をしたという程度であって、こういうふうに決めましょうという確認をするような状況でもなかったと思います。
 ただ、基本的な方向性は、昨日、総理も国家戦略室の皆さんに対する、ある会合の場で、こういう方向で自分は考えているということは言われましたので、そういう方向性で決まっていくというふうに思っています。
(問)総理が言われた方向性と国家戦略室の見直しというのは、具体的にどういうものを考えていらっしゃいますか。
(答)総理が考えている方向性というのは、基本的には、国家戦略室というのは総理直属の組織であって、総理に対して政策提言、あるいは情報提供等を行っていくという中身で、いわばイギリスのポリシー・ユニットというのがあるんですけれども、それに非常に近い、それに似ているといいますか、そういう形のものを基本的な性格にしていきたいというものであります。
 ですから、具体的な仕事の中身というのも、これまでどちらかというと、各省調整が必要であるような政策事項について、各省の間に立ってというか、各省との間でと言うべきなのか、そこはちょっと表現がいろいろあり得るかもしれませんけれども、各省調整の役割を果たしてきたというような部分が、各省調整の部分というのは、あまりなくなってくると。なぜなら、総理に対して意見具申、政策提言、情報提供をすれば、それであとは総理が必要なところに必要な指示をして調整が行われるというような流れになるかなということです。
 これも、かっちりと決まったというか、何か指示書が出るとか、何か出たとか、あるいは規則が変わったとかということではなくて、今そういう方向で詰められているということであります。
(問)その見直しの時期というか、決定はいつごろになりそうなんですか。
(答)今いろいろなものが動いている最中でもありますから、ある程度、このタイミングというのがあろうかというふうには思います。そう遠くない将来じゃないかなというふうには思いますけれど。
(問)その見直しをやった場合に、国家戦略室のテーマが違ってきたりとかいうことはあるんですか。
(答)基本的には総理直属の組織で、総理に対して提言、意見あるいは情報提供という、そういう立場でありますから、分野として見れば内政、外政にかかわらず、極めて幅広いものになっていくということであろうと思いますけれども、逆に、総理からの指示があれば、その分野にかなり集中してやるという、そういうケースもあるということなので、非常に幅広いものをにらみつつ、やる仕事の具体的な仕事の中身は、その時々によって違ってくるというような状況だと思いますね。
(問)あと、そうした場合の、後で必要になる政策調整というのは、だれがやるんですか。
(答)それは、政策事項によって異なってくると思いますけれども、基本的には、今の内閣法でいけば、内閣官房長官が重要な政策事項についての調整をするというのが書かれていますから、そちらのほうが中心になって調整をしていくということになるだろうと。個別マターであれば、それぞれ例えば環境にかかわる話であれば環境省が中心となって調整するというのもあるでしょうし、いろいろなケースはあり得ると思いますけれども、基本は官房長官のところということだと思います。
(問)そうしますと、予算編成の基本方針ですとか、そういった今回も財政運営戦略をまとめられたわけですけれども、そういったものは国家戦略室の役割からはちょっと外れてくるものになるんでしょうか。
(答)もともとの理解が、ちょっと国家戦略室というものであったのかどうかということも、ちょっとあるとは思うんですよね。これまでの経緯でいくと、国家戦略担当大臣は経済財政政策担当大臣であったりしたこともあって、そういう立場の人が予算編成の基本方針というようなものをつくったりというようなこともあるわけで、必ずしも国家戦略担当大臣でなくなった、国家戦略室を担当しなくなったら、今の経済財政政策担当大臣がそれをやらなくなるのかというと、必ずしも、やっぱりちょっとイコールではないとは思うんですよね。ただ、その部分については、基本的には本来の筋に戻っていくということだと思いますけれども、本来の筋がどこなのかというのは、基本は経済財政政策担当大臣か、または官房長官というようなところのラインじゃないかなと思いますけれども。
(問)先ほどおっしゃった、国家戦略室は総理直属の組織でということなんですけれども、そういう意見具申して政策に反映しようと思うと、やはり強い総理という存在が欠かせないかと思うんですけれども、参院で過半数割れして、なかなか強い総理が難しいというのか、なかなか厳しいのか、低下している現状を平岡先生はどうごらんになっているか、お伺いしたいと思います。
(答)強い総理というのは、与党の議席が多数というのもあるかもしれませんけれども、多分に個性の問題もあるかもしれませんけれども、菅総理自身は、強いリーダーシップを発揮することのできる人だとは思います。
 ただ、議席が参議院で過半数いっていないということで、政府そのものの提案した法案というものが、なかなか成立が困難になるということも、それは当然あるだろうと、それは思いますけれども、それは今回の国家戦略室が新しく総理直属のアドバイザリー機関みたいなものになったからといって、変わるものではないと思います。
(問)今の国家戦略室は、総理直属ではないんですか。内閣官房に置かれて、そもそも総理直属の機関として、鳩山内閣のときに発足したんではないんですか。
(答)総理直属ということ自体は、別に前と変わったわけじゃないんですけれども、総理直属ということであって、総理に対して、今度は直接意見を言うとか政策提言するとか情報提供するという、今までは総理直属の組織で、各省調整みたいなことも含めて政策調整することも含めて、その機関が各省との関係でやっていたと。それが、今度は総理直属機関であるけれども、総理に対して今度はものを言うという、情報提供するという、そういうふうに変わるということですね。
(問)菅総理は、そういうふうに見直すねらいというのは、どういうことなんですか。つまり、菅総理自身が経済財政担当相でもあり、副総理にもなり、国家戦略室の担当という立場だったわけですね。それから総理になって、そういう見直しをするということは、どういうねらいがあるんですか。
(答)ねらいというよりは、やっぱり自分にとって、最も機能する内閣といいますか、政府であるべきだということが大前提だと思うんですけれども、私も間接的、間接的というのは、直接体験したわけじゃないんですけれども、総理が話された中には、去年、古川――今の官房副長官と2人でイギリスに調査に行ったときの、自分の描いていた国家戦略室のイメージというのは、まさにイギリスのポリシー・ユニット型であったと。これは菅総理だけじゃなくて、古川副長官も、当時は立場が野党ですけれども――も同じような認識を持っていたということで、鳩山内閣のときには、それはもっと各省調整もするという意味で、大きな存在になることを考えていたと思うんですけれども、自分の、菅総理としての組織の使いやすさといいますか、機能をより発揮するという意味においては、国家戦略室はさっき言ったような形のものがいい、というふうに判断しているというふうに思います。
(問)つまり、法律が通らないので、やり方を変えようという、そういう理解でいいんでしょうか。
(答)そこはちょっと違うのかもしれませんね。というのは、問題提起そのものは、選挙の前から問題提起はされていたんですね。経緯的に言うと、例えば番号制度とか新しい年金制度とかということを、これからパブリックコメントをしますよということを、あれは検討会議ですか、閣僚が入った検討会議、それは総理も入っていますけれども、そこで議論したときも、これからどうするのかという、運び方をどうするのかというときの、私の司会進行としての最後のくくりというのは、これから総理の判断もいただきながら、どういう体制でこれを進めていくかということについては、また、追ってよく相談した上で、皆様方にお示ししたいというようなことを言っています。そのときは、既にもう国家戦略室が今までどおりの役割を果たすということについて、そのままいくかどうかということを考えていたんじゃないかなという気がします。そういう問題提起は選挙前からありましたので、法律からどうのこうのということではないと思いますね。
(問)組織のイメージとしては、今までおっしゃいましたような総理の知恵袋的な役割になるかということと、あと局への格上げというのは、もう検討しない、あるいは断念したということなのでしょうか。
(答)総理の知恵袋という意味においてはそうだと思いますけれども、ただ自分が知恵袋になるということもあるかもしれませんけれども、総理に対して、例えばこういう問題はどうなるのかという指示が総理からあったときに、いや、その問題については、この人に話を聞いてみるといいですよ、とかという、ある意味では知恵袋につなぐ役割というのもあるのかなと。知恵袋であるという意味においては、それは否定はしませんけれども、それ自身がすべて抱えているということではないだろうなという気はします。
 もう一つの点は、局への格上げの話ですけれども、これは私はちょっと、まだ菅政権がどういう枠組みでこれから政権運営していくのか、つまり連立というものがどうなるのか、あるいはパーシャル連合と言われているようなものがどうなるのか、まだそれが定まっていない状況の中でありますから、もし仮に連立がうまくできたら、法律を通すこと自体は、それほど難しくないという可能性もあるかもしれませんね。そういう意味で、今から、法律が通りにくくなったので局への格上げはやめたのかという質問については、まだ、そこまでは判断していないというふうに思います。

(以上)