枝野内閣府特命担当大臣 職員挨拶

司会)ただいまより枝野新大臣の職員に対する挨拶式を開催いたします。早速ですが、枝野新大臣、ご挨拶お願いします。 

枝野大臣)おはようございます。この度、内閣府特命担当大臣を拝命いたしました枝野幸男でございます。是非、皆さんと一緒に国民の皆さんから信頼される行政をつくっていきたいというふうに思っておりますので、皆さんのご協力をよろしくお願い申し上げます。
 私達は、私達の政権は、官僚依存体質からの脱却ということを選挙などでも訴えてまいりました。一歩間違えると皆さんの仕事自体が否定されているように聞こえるかもしれません。しかし、大事なところは官僚依存体質の依存というところだと私は思っています。官僚の皆さんに本来の役割をしっかりと果たしていただくために、しっかりとした政治がその仕事をしていく。その部分が、ともすればこれまで欠けていて、本来政治が責任を持って担わなければならない部分まで、官僚の皆さん、霞ヶ関の皆さんに依存してきた。ある時期までは、それが出来る社会構造であったのかもしれません。しかし、まさに時代が変わっていく中で、それぞれが、それぞれの責任をしっかりと果たして、皆さんの力を十分に発揮していただけるような、政治のリーダーシップというものをしっかりと確立すること、それが、私はこの政権に課せられている役割だというふうに思っております。
 その役割を私自身が十分に果たし得る力を持っているかどうか、はなはだ自分では荷が重いというふうに感じておりますが、そうした思い、認識のもとで、新しい行政のあり方、新しい政治と官僚システムとの関係というものを確立していくということを目指しておりますので、そうした認識を皆さんにも共有していただければ、ありがたいというふうに思っています。
 その上で、2点ほど、特に申し上げたいと思っております。1点はこれまで日本の行政には無謬性という言葉がつきまとってまいりました。行政は間違えないんだという一種の信奉、信仰が官僚システムの中においても、あるいは国民の皆様の一部においてもありました。それは2つの面で変わっていかなければならない。1つは、間違えた時には、率直に間違えましたということを、国民の皆さんにお詫びをして、そして、そのフォローをしっかりと行っていくという観点。そしてもう1つは、皆さんが仕事を進めていく上でも間違いを起こさないようにという守りの姿勢一辺倒ではなくて、もちろん仕事の種類によっては間違いが絶対に許されない世界もありますけれども、同時に政治としっかりと連携をしていただかなければいけませんが、しかし、時代の変化に合わせて、新しい提案、新しいチャレンジというものを、失敗を恐れずに進んでいくという、こうした姿勢もこれからの時代では求められているというふうに思います。間違ったときにしっかりと率直に認める、そして間違いを恐れずチャレンジする、この両方の面で、この行政の無謬性というものを脱却していきたい、というふうに思っております。
 そしてもう1点、大変理屈っぽい話になりますけれども、私はかつて民主党の憲法調査会長を務めておりまして、その時に改めて様々な議論の中で、私自身も初めて気付いたのですが、この国の三権は、立法、司法、行政という言われ方をしています。なぜか、立法、司法である一方で「行政」であります。立法や司法と三権ということで並べるのであれば、本来の日本語は、ここは「行法」ではないか、というふうに思います。何が言いたいのかというと、皆さんが、あるいは皆さんと一緒に行政を刷新していく上で考えなければならないこの国の行政というものは、実は、「行法」といわれるべき部分と政治とのコラボレーションによって出来上がっている。いわゆる狭い意味での行政、「行法」というのは、まさに国会で決められた法律を、法に基づいてしっかりと執行していくという側面。しかし、それだけでは行政はまわらない。政治との連携の下で、色々な提案をしていく、あるいは判断をしていくという側面。この2つがくっついて、行政というものが出来上がっている。
 ただ、なかなかそこのところの整理というものが、これまでなされてこなかったし、意識もしてこられなかった、というところが行政のあり方に対する国民の皆さんの一部に存在する不審であったり、分かりにくさであったり、あるいは政と官の関係における様々な問題を生み出している根っこのところにあるのではないか、というふうに思っています。今日集まっていただいている皆さんの仕事は、「行法」よりも政治に近い部分だというふうに思いますが、行政を刷新していくという広い意味での皆さんの仕事を進めていく上では、これは法律を粛々と中立公平、公正に執行していく意味での「行法」の分野なのか、行政の政に係わる分野なのかということを、少し意識していただくと、色々なものの整理の仕方が前に進んでいくのではないかというふうに思っています。
 いずれにしても、私達がこれから進めて行く広い意味での行政刷新の仕事は、色々と、それは困るなとか、その意見では反対だなという声が、行政内部から沢山上がってくる、あるいは国民の皆さんの間からも上がってくる、そういう仕事であるというふうに思います。そうしたなかで、それをしっかりと理解していただく、進めていくためには、まず、自らの足元から刷新を進めていくことが必要であろうかというふうに思っています。
 幸いなことに9月の新政権の発足以降、今日もここに一緒に入っていただいておりますが、民間から沢山の方々がこの行政の場に加わっていただいています。私が、今まで国会議員という立場から見させていただいてもそうでありましたが、行政が行っている様々な細かい事務、例えばコピーの量とか、そういう本当に、ある意味では80兆、90兆の予算の中からみれば、微々たるところかもしれませんけれども、おそらくこの世界の外側、特に民間の企業などで仕事をされてこられた方々から見れば、何なんだろうこれは、と気付かれているところが沢山あると思っていますし、私もそんな思いで見ていたことが沢山あります。まずは自らの行政事務のあり方を、民間のあり方というものを参考にしながら、できるだけ効率化していく、納税者の皆さんに納得していただける方向に持っていくという、自らの足元のところから、変えられるところを変えていく。
 そして次には、内閣府のあり方とか、そういったところを、このままでいいんだろうかということをみていく。まずは自らのことを真っ先に、このままでいいのだろうか、これでいいんだろうかという視点でやっていくという、この姿勢を皆さんに共有していただければ、それぞれの役所、独立行政法人、政府系公益法人、あるいはそこと関係している国民の皆さんにも、私達がこれから進めていく仕事を理解し応援していただけるのではないかというふうに思っていますので、そうした視点を持って一緒に頑張っていただければというふうに思っています。
 いずれにしても、私に課せられた役割は私一人でできるものではありません。皆さんにそれぞれの持っている知識や経験、能力というものを如何なく発揮していただく。そして、チームとして、この国の行政のあり方を時代にあったものに刷新していく、ということだと思っておりますので、先ほど申しましたとおり、失敗を恐れず、積極的に仕事に取り組んでいただきますよう、期待を申し上げまして大臣就任にあたっての挨拶とさせていただきます。
 これからどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

司会)ありがとうございました。これにて挨拶式を終了いたします。

(以上)