枝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年5月13日

(平成22年5月13日(木) 18:46~19:12  於:中央合同庁舎4号館408会議室)

1.発言要旨

 時間が今日は国会日程の関係でずれまして、お待たせをいたしまして、皆さんには大変申しわけございません。
 私の方から、今日は、政策グランプリについて、グランプリ決定会を開催することといたしました。その日程等決まりましたので、御報告させていただきます。
 ハトミミの一環として、3月5日から23日まで「政策グランプリ~大臣ダイレクト~」と題して、国家公務員及び独立行政法人職員を対象にしまして、国民のための政策提言を募集いたしました。このたび、行政刷新担当政務三役による審査が終了し、優秀と認められた政策提案5件を選定いたしました。これらのプレゼンテーションを5月17日、16時45分から実施いたします。内閣府本府の地下講堂で開催いたしまして、提案者から行政刷新担当政務三役及び、この政策グランプリ、ハトミミをつくられた国家戦略担当の仙谷大臣に対して、プレゼンテーションを行っていただきます。
 プレゼンテーションはオープンで、このオープン会見と同じ形で取材可能とさせていただきます。傍聴についての詳細は、職員の声室の担当にお尋ねいただければというふうに思っております。
 5件の中から、今のメンバーでグランプリを決定したいというふうに思っております。この優秀作品、優秀提案を含めて、これ以外でも参考にできるものなどございますので、整理いたしまして、各省に検討をお願いする、あるいは皆さんにも公表をするということを、この17日の会の前後のところでさせていただくように準備しているところでございます。
 私の方から具体的なお話としては以上でございます。後は質問に対してお答えさせていただければと思います。

2.質疑応答

(問)産経新聞の小田ですけれども、お疲れさまです。
 ちょっと気が早いかもしれないんですが、今日、衆院本会議で質問があったと思うんですけれども、今後の事業仕分けの対象として、特別会計について、大臣は今後ターゲットとして検討したいというようなことをおっしゃったと思うんですけれども、これは実際に時期とか、何か具体的なことは考えていらっしゃるんでしょうか。あと、検討というのはどれくらい検討されているんですか。
(答)むしろ、特別会計については、事業仕分けということでは、個別の事業で見ていきますので、昨年の事業仕分けでも、それから今やっている第2弾においても、実は一般会計、特別会計関係なく事業をピックアップしております。そういう意味では事業仕分けという手法では、取り上げるべきものを順次取り上げてきているというふうに思っています。特に、今回の独法や公益法人のような形で、特別会計の事業に集中したものを今後行うかどうかというのは、あえていえば白紙です。可能性を否定しませんということで、白紙です。
 これらのこれまで行ってきている事業仕分けを踏まえて、間違いなく独立行政法人と、それから政府系公益法人の在り方については、制度論の議論をしていくということになるわけですが、特別会計のさまざまな論点、議論は既に明らかになっているわけでありますが、それを進めていく上で、更に事業仕分けという手法を間に入れたほうがいいのかどうかというのは、現時点では白紙です。
 第2弾が終わったところで、独法、公益法人の制度改革の今後の見通しなどとも照らし合わせながら、それから、もう一つは各省の行政事業レビューが行われます。これ自体は制度改革とかを目指しているものではありませんが、当然、行政事業レビューでは、特別会計の事業もレビューの対象になるわけですから、そうしたものの成果というものも見ながら、現時点では白紙であるということです。ただ、特別会計の見直し、検討については何らかの形で今後進めていくということは、行政刷新会議でも前回も出ておりますので、それの検討は進めております。
(問)週刊朝日の川村ですけれども、来週の20日から公益法人を対象にした「仕分け」がまた始まるんですけれども、事前の報道によりますと、70から75ぐらいの対象ということですが、これは民主党の方々、皆さん、選挙の前に4,500法人に天下りがいて、天下りの人数は2万5,000人で、それにかかっている費用は12兆円というふうに、繰り返しおっしゃっていたと思うんですけれども、この70とか80、ないし80というところ、最初が遅いのは何となく理解できるんですけれども、4,500に及ばせていくというところのストラテジーのようなところを、ちょっとお考えがあればお聞かせください。
(答)特に天下りの問題とか、あるいは政府系公益法人と国との関係ということについては、従来であれば、いきなり制度論をやっていたんだと思うんですね。その結果として、実は本質の宿っている細部のところを見落として、制度は変えたけれども、本質、問題のある本質が残ってしまったということを踏まえて、その反省として、むしろ細部、各論、具体論のところをしっかりと精査、検討をして、その実態把握に基づいて制度論をやっていこうというのが、事業仕分けと制度改革、特に独法や公益法人改革との関係です。
 そういった意味では、同じ手法ですべての法人をチェックするということは想定していないと。制度改革につながっていくための実態把握というところにつながっていくということで対象をピックアップして、事業仕分けを行うと。そこでの結果は、もちろん個別の問題の改善につながると同時に、そうした実態把握を踏まえて制度改革をしていくということが、一つの戦略といえば戦略。
 もう一つは、行政事業レビューというやり方で、各省内における内生化を進めていくということを、これは事業仕分け全体について進めています。事業仕分けを何度か繰り返すことによって、どういった視点でどういう議論が必要なのかということについては、政権内部で大分共有化できつつあるというふうに思っていますが、さらに行政事業レビューについては、各省と刷新会議との連携で行いますので、民間評価者などについては刷新会議からこの人を民間の評価者として入れていただくというようなことも、あるいはどういう事業を選ぶかということについても相談しながらやっていく。そういった意味では、事業仕分けではすべてを取り上げることはできないけれども、こうした行政事業レビューを通じた、各省内における改革努力ということを恒常的に行って繰り返していくということで全体に及ぼしていくと。この両面が戦略ということだというふうに理解しております。
(問)すみません。その「制度をつくっていく」とおっしゃる、言葉ではわかるんですが、どういう、どのレベルの制度を変えていくのか。どういうものを、どの範囲で、深さにしてもどういうものをどれぐらい動かそうとなさっているのかというイメージがちょっとわかないので、少し具体的に教えていただいてもよろしいですか。
(答)難しいんですけれども、つまり、これからまさに具体的な検討をするのに当たって、担当大臣があまり具体的なことを話してしまうと、それが一つの決まり事みたいに、決定事項のように外に伝わってしまうと、それは逆に誤解をお与えするということなので、例えば従来は-今実際に事前のヒアリングをやっている中で、非常に印象に残っているのは-とにかく国から公益法人に仕事を出すに当たって、競争性を高めろと。間違ったことではないんですね。一般競争入札に変えていけということをやってきているわけですが、どんなに競争性を高めるようなことをしても、当該事業を引き受け得る能力を持っているところが、実は当該法人しかないみたいな話というのが幾つもある、出てきています。
 こうした場合に、単に「競争性を高めろ」ということを形式的に幾ら制度として作っていっても、結局そこが仕事を受けてしまうと。仕事を受けられる能力を持っていることについては、長年にわたる役所との密接な関係、天下りも含めた密接な関係の中ででき上がっていると。そうすると、従来の競争性を高めれば問題を解決するとかということでは、これは問題は解決しないと。したがって、ではそういう仕事を外に出すということがいいのか、外注するということ自体がそもそもいいのかということもあるし、あるいは、そもそも競争性のないような仕事を民間法人である公益法人がやっているという現状をどう整理したらいいのかというような視点で、公益法人に対するアウトソーシングのあり方というのを、ルールや制度として変えていこうという問題意識を持っています。
(問)何度も……、もう一回言ってもいいですか。
(答)もう一回、どうぞ。
(問)すみません。前回の事業仕分けでもそうだったと思うんですけれども、各省庁の中の事業についても非常に重なっていたり、重複があったり連携があったり、いろいろあったと思うんです。そういうところから変えていかないと、もしかすると、見ていますと、公益法人は各省の各局の各部の、さらに下の各係ごとにあるようなイメージがあるので、そちらの基の方から整理していって、それに連なる仕事ということで分けていかないと、何かすごく効率が悪いような気がするんですけれども。
(答)そういう意味では、今、制度をどう変えるのかということで聞かれたので、その制度という意味では、今のような視点になります。そもそもやらなきゃならないのは、そういう事業をやる必要があるのかということは、これは制度改革の話と別に、これは刷新会議の事業仕分けや行政事業レビュー等を通じて、きちっとメスを入れていくと。これはこういうことだと思っています。制度を変えた、ただ間接的な成果、効果として上がってくるのは、一つはもうこれは既に始まっている-これは前政権からのもので、一定の評価をしていますが-従来、公益法人というのは、各省が設立認可をして各省が事業の一定の監督をしていたものが、これは今移行措置ですが、公益認定を受ければ、公益認定をするのは私ですし、なおかつその後の一定の監督の権限も内閣府、つまり私が、現状では私が担当大臣として持つということで、各省の手を離れるんですよね。これは前政権下でやったことですが、私は一定の評価をしています。そのこと自体の距離が弱くなりました。
 それでも事実上、天下りがあったりとか、仕事をそこに独占的にやらせることで、結果的に天下りの受皿になっているということがあるわけですが、そこを制度論としてやるのは、つまり、そこに仕事を出したからといって、別にその課にとっていいことは何もありませんよというような関係にすればいいわけですよね。例えばこの仕事を外注すると。外注するに当たっては、結局天下りによるその機関しかないから、結果的には、あるいは天下りによるその機関が圧倒的に有利な競争条件にあるから、ということだからそこに仕事が行くと。そこに仕事が行くから、そこに天下りが行けると。
 ところが、その発注の仕方、外注の仕方の仕組み、ルール自体を整理をすれば、自分のところの関係していた天下りがいるところが、必ずしも仕事を受けられるわけではないということになれば、その仕事を発注すること自体が役所にとっての利権にはならないわけだから、当然のことながら、そんなことやってもしようがないよねということになっていくわけで、これは両面です。個々の事業について、重複とかを見ていく話と、そういうふうに個々につまらぬ仕事をやっていても何の得もないよねというような構造に制度として変えていく、その両面からやっていくということです。
(問)フリーランスの小川裕夫と申します。よろしくお願いします。
 ちょっと毛色が違う質問なんですけれども、4月の頭ぐらいに環境省が「環境対応車戦略」というものを発表しまして、バイオ燃料についての促進などを進めているんですけれども、実は、このバイオ燃料というのは、大臣御存じかどうかわからないんですけれども、ガソリンに混ぜて使うものでして、これが今、実は法律で揮発油等の品質の確保等に関する法律というものがありまして、3%までしか混ぜることができないということになっているんですね。
 諸外国を見ますと、ブラジルですとかアメリカなんかは20%とか25%まで混ぜることができるというようなことになっているんですが、こういう特例で国土交通省が10%まで混ぜることができるというような車を、今試験的にやっているんですけれども、そういうものの規制を解除しないと、なかなかバイオ燃料の開発も進まないとか、もしくは環境問題もなかなかクリアにならないと思うんですけれども、そのあたり政策面とか、もしくはバイオ燃料の開発状況、促進なんかを含めて、ちょっと大臣の御所見をお伺いできればと思います。
(答)今のお話を聞く限りでは、技術的に環境への負荷とか安全性とか、いろいろな意味でどこまでできるのかという、その科学的な知見が僕は前提になる話だと思います。私自身は、その科学的知見を現時点では持っておりません。
 そういった意味では、専門家の皆さん含めて、できるだけ環境負荷が小さく、なおかつ安全性等を損なわないという最大限のことを、環境省や国土交通省で努力をしていただく、専門的な知見に基づいて努力をしていただくということだと思っております。
(問)ただ、この前、環境省に、小沢大臣に聞いたんですけれども、そうしたら「品確法は、うちの省庁だけではどうにもならない」と。経済産業省とか国土交通省とか、もしくは農林水産省なんかにもまたがるものですから、多数の省庁でやり合うと、なかなかうまく進まないということもあると思うんですけれども、そこは大臣が旗振り役になってとかというのはない、それとも枝野大臣ではない……
(答)「規制」という意味では、私の所管とも関連をするのかなというふうに思っています。今、規制改革の分科会で具体的に取り上げているとは聞いておりません。関係のところから、あるいは国民の皆さんからそうした声が上がれば、今回の規制改革の具体的検討をしている項目も、ハトミミに基づいて、どういったものを検討していただくかを決めておりますので、皆さん含めて御関心と御意見のある方は、国民の声、ハトミミにそうした声を上げていただければ、今後の規制改革で取り上げるテーマにはなり得るというふうには思います。
(問)週刊朝日の三嶋といいますが、やはり事業仕分けのことでちょっとお教えください。
 3点ほどありまして、最初の点は、1年生の皆さんがやられたこととは別に、枝野さんたちが仕分けたものも、これから入っていくというのが、この前の月曜日のときにあったと思うんですけれども、枝野さんたちがどこを選ぶかというような、この調査というのは、もしよければどんな人たちで、枝野さんお一人でやられているとは思えないので、どんな人たちでやっていらっしゃるんでしょうか。
 2つ目に、前回の独法のときには事業仕分けだけで終わったんですけれども、今度の公益法人も、やはり事業仕分けだけで、その公益法人の存続すべきかどうかみたいなところの議論まで入らないんでしょうか。
 それから最後が、さっきの制度改革に絡むかもしれませんが、こうやって公益法人を減らすと公務員の方が余るんですが、そうすると、その余られた公務員の方を本庁のほうで採用するというようなことになるんでしょうか。つまり、これは公務員改革とも絡むので難しいかもしれませんが、そういった余剰人員をどういうふうに有効活用していくのかというものに知見がありましたら、お教えください。
(答)まず1点目なんですけれども、調査、検討は私だけではなくて、国会議員の仕分け人の皆さん、それから今回は、前半後半通じて、民間の評価者の皆さん、既にお決めいただいておりますので、民間の評価者の皆さんとで、それぞれの各公益法人や事業を所管している役所の皆さん-そこにオーダーをすると、ほぼもれなく当該法人の方もいらっしゃるんですが―から、その事業の中身や法人の具体的な中身のヒアリングをさせていただく。同時に、そのときには財務諸表を始めとして関係資料を出していただくと。基本的には、そうした作業の中でピックアップをしていっているということになります。
 ピックアップをするに当たって、ヒアリングをかけている対象は、従来お話をしてきているとおり、幾つかの項目で絞り込んだ中から、絞り込んだものはほぼ網羅的に聞いて、初めからこれは同じような性質のもので、ここを取り上げればいいや、みたいなことで絞っていって、今かなりの候補に絞っていると、こういうことになります。
 それから2つ目は、いずれにしても事業仕分けは「事業」仕分けですから、「組織」を仕分けるわけではない。組織を調べるには、今のやり方では合理性がないと思っています。あくまでも事業を仕分ける。その事業の仕分けの結果に基づいて、結果的に当該組織が要らなくなるとか、当該組織の形態が変わるとかいうことが出てくるのは、仕分けの結果を受けて、来週の行政刷新会議で前半戦の報告をいたしますが、その報告と同時に、この結果を踏まえて、独立行政法人の組織の改革の今後の方向性、段取りを私から提案をするということにしておりますので、前半戦も別に事業の仕分けだけで終わっているんじゃなくて、あれが出発点で、これから刷新会議のもとで組織の改廃、制度の改革を進めていく。公益法人も同じことになります。
 ただ、公益法人の場合は、直接に国がこの組織をやめますとかという性格のものではありません。あくまでも民間の組織、民間の法人ですので、民間の法人に、ここは出す仕事がなくなれば、結果的にその組織が成り立たなくなるところが出てくる可能性はありますねということなので、ここは特定組織について、ここはもう廃止しろとか、そういう話にはなりません。それはもう民間法人ですから、民間の土木建築会社、性格はゼネコンに公共事業を発注しているのと一緒ですから、「その会社をなくせ」と言えないように、公益法人に「なくなれ」とは言えないわけです。ただ、そこに仕事は行かなくなりますよということが、幾つも出てくるだろうなということです。
 ですから、3番目の御質問も、公務員が公益法人仕分けで余るということにはなりません。全部あれは民間ですから。国からの仕事が行かなくなった場合に、それは大規模に事業を縮小するとか、組織自体のあり方をどうするかということをお考えいただくことがあり得るのかもしれませんが、あくまでも民間の団体ということです。
(問)日本テレビの平本ですけれども、小沢幹事長が政治倫理審査会で説明する意向を示しているということなんですけれども、この政倫審での説明に枝野さんは一体何を期待するのかということと、この説明で、小沢さんの説明責任というのは果たされることになるのでしょうか。
(答)「政倫審において」ということを限定されてしまうと、なかなか話をしにくいんですが、国民の皆さんが持っている不信というものを、もちろん人間、多様な意見がありますから、すべての国民を説得することはできませんが、かなりの比率の皆さんが、現在の説明には、残念ながら納得していただいていないというのは、これは皆さんの世論調査でも出てきているわけですから、そのかなりの人たちに納得していただくということが、いわゆる「説明責任」という言葉で言われていることだと、私は認識、理解をしていますので、そのことを実現していただくことを期待しています。
(問)東京新聞の後藤です。
 民主党のマニフェストの件でお伺いします。検討委員会のほうで、衆院選後の消費税の増税を盛り込むという方向が決まりましたけれども、それについて選挙に、参院選に与える影響と、あと枝野さんがやられている「仕分け」などに与える影響について、どのようにお考えでしょうか。
(答)参議院選挙にはプラスだと思います。仕分けなどに、つまり行政刷新に対する影響は、私はそれほど大きくないと思っています。率直に申し上げて、収入を増やせる余地があるんだということは、歳出削減の努力に対するマイナス要因でありますけれども、その間まだ3年あるわけですから、その間は、逆に言うと消費税は上がらないということですから、その間、徹底して無駄を削減し、そして予算の使い方、優先順位にめり張りをつけるということを徹底してやっていかないと、この3年間もちませんから。そういった意味では、でもそこを乗り切れば、あとは何とかできるんじゃないかみたいなことが、若干の影響をしないことは否定しませんが、むしろ財政規律に対する責任ある立場として、選挙にはプラスであるし、今申し上げたとおり、当面の3年間は上げないということは、私の今の所管については、必ずしもそんな大きなマイナスではないと思っています。

(以上)