枝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年4月28日

(平成22年4月28日(水) 19:00~19:34  於:TKP東京駅日本橋ビジネスセンター)

1.発言要旨

 どうも皆さんお待たせいたしました。
 事業仕分け第2弾の前半戦が終わりました。
 総括的なことを申し上げると、今まで、独立行政法人などの外郭団体の改革が何度も繰り返され、なおかつ、今も改革をしなきゃならないという原因の一つが少し見えてきたかなというふうに思っておりまして、それは、今回まさに事業仕分けですので、一つ一つの事業を取り上げました。そうすると、一つの独立行政法人の中に大変意義のある仕事をしている部分と、これは何なんだろうという仕事をしている部分と、それから、独立行政法人がやるにふさわしい仕事とそうでないものと、非常に多種多様なものが一つの独立行政法人に混在をしている、こういうことが浮き彫りになったというふうに思っています。これを組織がどうあるかから入ると、結局、ここは重要じゃないか、ここは残さざるを得ないじゃないかというところから入って、要らない部分も含めて全体が残ってしまう、こういったことが繰り返されてきたのではないかというのが私の印象であります。
 むしろ、分析的に一個一個の事業を本当にやる必要があるのか、そして、それをやるのが独法という形式がいいのかということを今回初めてやって、これに基づいて、今回取り上げなかった事業も、ある部分は昨年の事業仕分けで取り上げておりますので、その成果も踏まえて、独法が行っている事業をどこでやるべきかということを整理して、その上で、それにふさわしい組織を考えていくという、こういうやり方をすることがやはり必要ではないかということを改めて認識いたしました。
 それから、それとも関連をするんですけれども、若干独法の皆さん、今の担当者の皆さんには気の毒だったかなと思うところがございまして、それは、そうしたことなしに、とにかく組織を外に出すとか、組織の数を減らすというところで作られてきた制度の中で、それぞれの組織が、独法が行うにふさわしくないことを仕事として押しつけられているというか、与えられているというか、得ていると。この中でマネジメントを余儀なくされてきているという部分があったというふうに思っています。
 ただ、それにしても、かなりの独立行政法人に共通して、天下りの問題と、それから不透明な発注の問題というものが存在をしていて、この部分のところはかなり共通してメスを入れなければならない。また、今回の仕分けの中で、改めて関連する公益法人との関係というものも浮かび上がってまいりまして、この結果も踏まえて、後半では今度は公益法人のほうからそれぞれの事業を見ていくということをして、全体としての問題点を更に浮き彫りにさせていきたいというふうに思っています。
 なお、皆さんからいつも金額、金額と言われて、金額については余り意識をしないようにしてきましたが、結果的に埋蔵金レベルでは大きなものが幾つか出てきて、これが来年度の予算編成に当たっては、いずれも法改正が必要だと思いますので、短期的には難しいですが、今からなら時間がありますので、来年3月を目標にして、23年度予算に活かしてもらえるのではないかなと。これは結果的によかったなというふうに思っております。
 私からは以上です。

(蓮舫議員)若干報告をいたします。事業仕分け第2弾、来場者数の統計が出ました。4日間の合計で、この会場に足を運んでくださった国民の皆様方、 6,350人。そして、ウェブの訪問者数、これは速報値ですが、初日が37万人、2日目が32万人、3日目が36万人、今日の分はまだです。
 以上です。

2.質疑応答

(問)NHKの高井と申します。提言をこの後まとめられるということですけれども、これが確実に実行されるために具体的にこういうことをしようというものがあったら教えてください。
(答)確実に実行していくためには、ここでの議論の結果をきちんと整理をして、クリアな形で-多分一回では済まないと思うんですが-行政刷新会議本体、つまり総理が議長の下に何度かその報告、提言をいたしまして、そこでの議論を経て、行政刷新会議全体としての方針、提言にまとめていくと。こういうプロセスが何段階か必要だろうというふうに思っています。
(問)例えば、より具体的に法的なものも含めて制度上の工夫などをしていくということは考えていますか。
(答)結果的に何らかの形で法改正等を伴わないと、ここでの結果を現実にすることはできないものも幾つも含まれていますので、それはどこかの段階で法改正の提言、あるいは各省に法改正をお願いしなければならない部分もありますし、通則法も基本的には総務省だったと思いますので、そういった意味では刷新会議本体での御報告と、各省にその議論を踏まえていろいろな法改正をお願いしていくというプロセスが多分これから何段階かに分かれてやっていくことになると思います。
(問)毎日新聞の小山です。これまで、独法改革が進まなかった理由というのを枝野さんは今分析していただいたわけですけれども、そのほかの理由として、省庁の抵抗も非常に強かったのではないかと思うんですね。その中で今回の仕分け作業を見ていますと、政務三役のうち、ある省の政務三役などは非常に独法側というか、省庁側に立ったような意見が多かったと。この総理も入った刷新会議でオーソライズしていくという話なんですけれども、果たして省庁の壁を乗り越えることができるのかというのが一つと、政務三役の省庁側に立っているような意見をどのように見ていらっしゃるかというのを、これを教えてください。
(答)政権全体として、政務三役は査定を初歩であれきちんとやってくださいということを総理が従来からおっしゃっておられます。大きな方向としてそうあるべきだということと、それから、個別の問題について、だれがどう見てもこれはおかしいというような種類の話というのは、今回の事業仕分けにおいてもそれは必ずしも全てではないわけでして、どういう側面から見るかによって、その物の見え方というのは違ってくるということは十分有り得るというふうに思っています。
 そうすると、行政刷新という行政全体を見通した立場からの質問や意見に対して、それぞれの省庁の与えられているミッションの立場から見たときの見え方というものは違うことは当然あり得ると。それを一言で省庁の抵抗ということで片付けることは私はできないというふうに思っていまして、ちょっと余計な話になるかもしれませんが、この間の日本の社会保障がこんなにだめになってきたのは、いろいろな理由がありますが、その一つに、社会保障をしっかりと充実、守るべき厚生省が財務省のような発想をしてきてしまったことが僕は一つの大きな問題だと思っています。社会保障をしっかりと充実させるということを厚生省が言い、財政の見地からはなかなかそのとおりになりませんということを財務省が言い、そうした中で全体のバランスを最終的には総理大臣が、あるいは閣議が決めていくということにならずに、厚生省が財政のことまで気にし過ぎた、あるいは遠慮し過ぎてきたということが僕は社会保障がこんなにだめになった一つの原因だというふうに思っています。そういうことからすれば、こうした議論の場において、それぞれの省庁のミッションから考えたらこれは必要だとか、そういった意見が政務三役から出てきてもある意味当然であると。
 問題は、こうした議論を経て、最終的に行政刷新会議や閣議でどういうふうに決めるのか、それぞれのミッションの立場はあるけれども、内閣全体としてはこうするということについては、どういう結論になったとしても、それぞれの省の政務三役はそれに従って判断・行動していただけるというふうに思っています。
(問)読売新聞の栗林です。全体的な話でお聞きしたいんですけれども、例えば科学技術の競争的資金の議論で、寺田さんが、政府としての戦略が立っていない、総合科学技術会議の抜本改革が必要だと指摘されたところに象徴されるように、科学技術の場合は、約半年前の第1弾の事業仕分けでも同じ論点が指摘されて一本化しなければいけないという指摘がされたにもかかわらず、いまだにそういう政府としての効率運営ができていないというのは、そこの部分は鳩山政権の責任だと思うんですけれども、そのように政策目的について、鳩山政権として何か具体的に新たな目標が設定されていれば、その目的に沿って仕分けの議論というのをもうちょっと生産的にできたかなという部分もあるかと思うんですが、そこについての足りなかった点、あるいは今後の工夫ということついてはどのようにお考えでしょうか。
(答)当然、国民の皆さんに対して政府としての責任を負っているわけですから、一刻も早く、例えば科学技術について言えば、国家的な戦略に基づいたメリハリをつけなければならないというふうには思っています。
 ただ、昨年の事業仕分けも踏まえ、また今回、特に独立行政法人という制度につながる話を取り上げたのは、まさに制度として、仕組みとしてそれができない仕組みになっているということであって、その制度、仕組みを変えるために、この半年間、例えば鈴木寛さんと古川さんを中心にして、その科学技術の戦略の在り方という観点から、いわゆる研究開発独法の在り方について検討を進めてきていただき、私たちはそれぞれの事業の効果性・効率性という観点から事業仕分けという視点で取り上げるということで、今、戦略的に組み立てられていない原因になっている制度、仕組みを一刻も早く変えるための最大限の努力は進めてきているというふうに自負をしています。必ず4年以内、つまりこの総選挙で与えていただいた任期の中に、今問題にされている、特に研究開発などについての戦略を組み立てる仕組みが不足している、あるいはその戦略に基づいてメリハリを持って資金を分配したり、研究を促進する仕組みがうまく機能していないということについてはきちんと改めるということをしていけるというふうに思っています。
(問)すみません。朝日新聞の山口です。恐縮ですが、2点質問があります。
 1点は枝野大臣にお伺いしたいんですが、今回、2度目の事業仕分けですけれども、事業仕分けの準備段階の霞が関の方々の準備への応じる姿勢、もしくは独立行政法人の方の準備状況、今日、枝野さんも何回か、こんなことは事前にできていなかったのか、打ち合わせできていなかったのかということを声を荒げる場面もありましたけれども、そこら辺について何か次につながる反省を求めるとすればどんなところが考えられるということが1点。
 もう1点は蓮舫さんに質問なので、この場で質問するのがふさわしいか分からないですけれども、今日、参議院の議員総会の中で御発言をされて、国民の目線が非常に厳しいから、次の選挙に向けて全力で取り組めるような環境をつくるべきだという趣旨の御発言をされたと聞いているんですけれども、国民の目線のどんなところに厳しさがあって、選挙に全力で取り組める環境というのは具体的にどういったことを示すのかということをちょっとお聞かせいただけないでしょうか。
(答)まず前者なんですけれども、率直に申し上げて、こちらとしてはどこが我々が問題視しているポイントなのかということを、前回十分に伝わっていなかったのかなという反省もあったので、事前のヒアリング等を通じて、きちんとお伝えしてきたというつもりにもかかわらず、残念ながらそうでなかった部分があったというのは大変残念に思っています。
 ただ、あえて言えば、前回と比べれば、前回はむしろちゃんと分かってちゃんと反応してくれているところのほうが少なかったような感じだったんですが、今回はそういうところが逆に目立った、つまり、かなり我々の意図とか説明していただきたいポイントとかということを、完全ではないけれども、理解して対応していただけるところが増えてきたかなというふうに思っています。これは、一種カルチャーというとちょっと強過ぎ、大げさかもしれませんが、一種長年のくせみたいなところがありますので、一朝一夕では変わらないというふうに思ってきていますので、事業仕分けを直接今後どうするかということはまた後でゆっくり考えようと思っていますが、広い意味でのこうした手法というものが繰り返される中で、私はこのペースで変わっていってくれれば大分将来には期待ができるんじゃないか、こういうふうには思っています。

(蓮舫議員)国民の目線が厳しくなっているというのは、端的に言えば、内閣支持率あるいは政党支持率の政権交代をさせていただいた後の変化を見て、それは誰の目に見ても明らかなんだと思っています。その上で、参議院として、民主党の会派として、どうやって選挙に臨んでいけるのか、改めて会長にその部分はしっかりとした考え方なり、あるいは方向性なりというものをそろそろお示しいただきたいという意味合いで発言をさせていただきました。それ以上でもそれ以下の意味でもなく、ただ、今日はちょっと仕分けの後の会見なので、これ以上の発言はあえてこの場ではふさわしいとは思っていません。
(問)北海道新聞の舟崎です。枝野さんに2つお聞きしたいんですが、仕分け第2弾が始まる前に、前回のことと比較されて、「2匹目のドジョウはいない」という発言を何回かされていたと思うんですが、実際に「2匹目のドジョウ」がいたのかどうか、いろいろな意味で、というのを一つお伺いしたいのと、もう一つは、今日で4日目なんですが、マスコミの報道を見ても、当初は仕分け一色だったはずが、普天間の問題と昨日の小沢さんの関係で、かなりそういったネガティブな報道にかき消されて、せっかくこういった行政改革の話が隅に追いやられつつあるというこの現状に関して教えてください。
(答)「2匹目のドジョウがいない」というのは、一般論としてそういうふうに思っていまして、今回のことがどういう成果につながるのかということは、むしろこれからある意味では問われているというふうに思っていますので、そういう意味では、去年の事業仕分けも私自身100点だったとは全く思っていませんので、むしろ1匹目より大きなドジョウになるように頑張ってきたつもりだし、これからも頑張らなければいけないという認識です。
 後者については、私は鳩山内閣の閣僚の一員として連帯責任を負う立場でありますから、私は別としても、並んでいただいている国会議員の仕分け人の皆さんや、あるいは大変な御協力をいただいた民間の仕分け人の皆さんに対して大変申し訳ない今の政治の状況であると。ただ、それを乗り越えて、ここで一生懸命やっていただいた成果がしっかりと実を結ぶべく頑張っていかなければならないというふうに思っています。
(問)共同通信の中野と申します。蓮舫さんと枝野さんに感想をお尋ねしたいんですが、前回の事業仕分けに比べると、今回は追及される方々がややソフトになったんじゃないかという印象を持たれた方も多いかと思いますが、何か前回の事業仕分けで、あのときはこうだったから、今回はこういう点は注意してやりましょうというような点がありましたら、その点を踏まえた4日間の御感想をお願いします。
(答)私自身は前回と余り変わっている意識はありません。最初は、大臣という立場にあるので、余り最初のほうで話をしないほうがいいかなと思ったんですが、結局ついつい、嫌いじゃないものですから、たくさんしゃべっていたなと思っています。あえて申し上げれば、前回の事業仕分けの折には、特に発言の部分が切り取られて、全体の発言のニュアンスと報道を通じて受け取られたニュアンスが大きく食い違っていたというケースが幾つかありましたので、そこはそういったことにならないように、それは注意をしましたけれども、ソフトであったかどうかということについては、別にソフトにしようとかという意識は全くありません。

(蓮舫議員)私に至っては、メディアを見ますと笑顔の分析もしていただいているみたいですけれども、個人的には変えているつもりはないです。というよりも、前回は、事業そのものを一本ずつ見ていった仕分けでした。ただ、今回は、事業そのものを見たんだけれども、その事業を担当している独立行政法人をどういうふうな形にしていけばいいのかという視点があったものですから、この事業そのもの、事業だけで見たら明らかに廃止なのか、あるいは民間に委託なのか、地方なのか、国に戻すのか、そういう視点で考えていくと、再構築という論が必ずついて回った。ただ事業そのものを仕分けて終わりというものではないものですから、そこはやりとりという形が随分と大きくなったんだと思います。そこでは、前回と比べて余り刺激的ではなかったんじゃないでしょうかね。
(問)NHKの草ヶ谷です。先ほど、枝野さんの話の中でも、今回の仕分けの中で、関連する公益法人との問題点が改めて浮き彫りになったとおっしゃっていたんですが、来月の後半戦に向けて、今回、仕分けの結果で得られた公益法人の改めての問題点、どんなところを、今回の結果をいかして次にいきたいか、その視点についてお聞かせください。
(答)独立行政法人は、俗な言い方をすれば、国の子会社のような組織である、国が決めたことについて執行する機関であると。まだこの関係ならばまだしも、公益法人というのは本来民間法人です。民間法人であるにもかかわらず、国の下請けであったり、独立行政法人の下請けであったりという業務を現にしているということが今回の事業仕分け、事業の分析を通じて明らかになっています。これは、公益法人のあり方としてもおかしいし、それから、特定のところが、しかも特定の民間法人が国の子会社のような形で天下りもあったり、特に有利な条件で公的な仕事を受けたりというようなことがやはりあることは、両面からいけないだろうと。これは両方とも行政刷新なんですが、余計なお金が、コストがかかっていてフェアじゃないという、俗に行政改革と言われる視点からもそうですし、私自身、公益認定も大臣として所管していますが、新しい公共というか、民間の公益法人であるという側面の、民を育てるという意味からもおかしい。そこのところに後半ではしっかりとメスを入れていければというふうに思っています。
(問)日本テレビの平本と申します。蓮舫さんにお伺いしたいんですけれども、事業仕分けは分かりやすい形でこれまでやってくるという目標を立てられていましたけれども、前半4日間が終わってそれができたのかどうかと、改善する点があればどこなのかということをお聞かせください。
 あと、細かいことで恐縮なんですけれども、国民生活センターの商品テストの部分で、事業仕分けということでは、民間に委託できるかという視点の中で、アメリカではコンシューマーリポートという民間の業者がある程度世の中からの信頼を得ながら商品テスト業務を行っていますけれども、今日の議論でも出なかったように、日本ではそういう土壌がないというのが現状にあるのかなとも思いますが、なぜ商品テストが日本の中で民間企業に委託できないような今現状にあるかという御所見を伺えますでしょうか。
(蓮舫議員)前者の部分なんですけれども、分かりやすさというよりは、枝野大臣が常日ごろから私どもに指示をしているのは、とにかく情報を公開する、皆様と同じ情報を共有した上で議論を始める。ただ切るだけではなくて、今回は制度そのものをどうするかという、次につながるある種の行政改革のスタートでありますので、その部分では、その目的は、メディアの皆様、これだけ来ていただいたことも含めて果たせたんではないか。
 先ほど、来場者数が6,350と言いましたが、内訳でいうと、報道関係者の方が実に多く2,390人の方にお越しをいただきました。あるいは説明者は860、一般の方は3,100だったんですが、他方で、ウェブで速報値で言ったら30万を超える方たちが見てきてくださっている。あの編集された報道を見るか、それとも生で見てくださるかという違いはあるかもしれませんが、そういう部分では、一緒の情報を共有して、税金の使われ方がどうやって決められていくのか、何に使われているのかという部分の情報公開はできたと私は思っています。
 後者の部分、これは消費者行政は大臣の御専門なので大臣に答えていただきたいと思うんですが、アメリカと日本で商品テストですとか消費者行政の在り方が、やはり訴訟社会というアメリカと日本との違いも考えて、文化的にアメリカ並みのことを今すぐ日本も行って、何らかの機関紙を中心に商品テストの中立性とか、あるいは信頼性というのをこの国ですぐつくり上げることができるかどうなのかは、ちょっと私にはまだわからないと思います。

(答)残念なことなんですけれども、日本の国はまだ、官は正しくて、民は必ずしもそうではないという昔からの文化のようなものがまだ残っているんだというふうに思っています。決してそうではないということ、つまり行政の無びゅう性というのは間違いだと、これは私も就任以来申し上げていますが、民も間違えることもあるし、正しいこともある、官も正しいこともあるし、間違えることもあるということなので、官がやっているから正しいという、その理由にはならないはずなんですが、そこのところの文化・土壌が私は日本は若干他の欧米先進国とは違うかなと。これはぜひ変えていきたいし、変えていく一助として、この政権では新しい公共という概念を一生懸命アピールして、そこを育てようとしている、こういうことだと思っています。
(問)フリーランスの上出と申します。初めて参加しました。今おっしゃった天下り、それから、予算の無駄使いということを国民に代わって非常に税金の無駄を洗い直してくれているということを肌で感じまして、それには大変敬意を表します。
 ただ、非常に違和感を感じまして、ちょっと大きな問題ですが、いろいろこういうやりとりをする中で、一方で、防衛予算とか、大変大きな無駄があると思うんですが、その辺には手をつけられていないという違和感を非常に感じました。これは今後、それがどうなるかわかりませんが、そういうことも含めて、枝野大臣はどういうふうにその辺を思われているでしょうか。
(答)防衛予算が今回入っていないのは、独法を取り上げたということなので、防衛予算について独法を通じてやっている部分は基本的にはないということです。第1弾においては防衛省の予算もやりました。ただ、防衛予算について無駄と言われるときに、実は2種類あって、一つは調達等において高いコストがかかっているのではないかと言われているもの、この部分については当然行政刷新の対象としてやっていく話ですし、前回もそれをやりました。
 ただ、よく言われているのは、そもそも防衛予算にこんなに金をかける必要が日本にとってあるのかといういわゆる政策判断の部分のところは、これはちょっと行政刷新の話とは違って、内閣であれ、国会であれ、それは政策論争として別の視点で行うべきなので、行政刷新としては、国務大臣としてはもちろん私の担当ですが、行政刷新の範囲ではないと、こういうふうに思っています。
(問)毎日新聞の田所ですけれども、最初に大臣が、埋蔵金レベルで大きなものが出てきたので、来年度予算に活かせるのではないか、これは来年度じゃなくて、毎年の予算に活かせる恒常的なものは、例えば3桁億円とか、どの程度出る見通しかというのが今の時点であればというのが一点。
 蓮舫議員が、ただ切るだけではなくて、制度そのものにつながる次のスタートとおっしゃいましたけれども、一般傍聴者の中には、前回より突っ込みが激しくないんじゃないか、ただ切るというところが少なくて、突っ込みが足りないと感じた人も一部いたんですけれども、そういうのはどう受けとめていらっしゃるか。
(答)前段については、まさに計算はしていません。計算はできないと思っています。それこそ、制度改革にどうつなげていくか、その制度改革の中で結果的にフローでの財源も一定程度は出てくるというふうに思っていますが、これも制度改革には、来年からできるものもあるし、二、三年かかるものもありますから、結果的にトータルでいつから出るか、この仕分けから幾ら出るかというのはなかなか計算できない範囲だというふうに思っています。
 それから、後者については、ここは難しいところなんですが、この事業仕分け自体がパフォーマンスではないかという御批判も一方ではいただいたりします。私たちは、前回も含めて一貫してそういうわけではありませんので、シンプルにこれが無駄か、無駄じゃないかみたいな話のところの取り上げやすい部分をたくさん取り上げれば、ばっさり切って、非常にわかりやすい。パフォーマンスとしてはいいのかもしれないけれども、第1回目は、別にそういうことを選んだわけじゃないけれども、いろいろなカテゴリーのものをやってみると、やはり大きく変えていくためには、制度改革につながるもの。制度改革につながるものというのは、どうしても性質的に、先ほども蓮舫さんがおっしゃったとおり、どう再構築していくのかというところも議論の中にどうしても入ってくるので、そこは見え方としては、前回のほうがおもしろかったという方が一部いらっしゃるとしてもそれはやむを得ないし、別におもしろく受け取ってもらうためにやっているわけではないので、そこはやむを得ないなと思っています。

(蓮舫議員)前回も、今回と類似のような議論は確かにありました。例えば事業を独立行政法人が行っている必然性であるとか、基金を多額に積んで、基金の剰余金でその事業を回している、そこに国費がさらに入っている。ではこの事業自体はもうそろそろ時代を終えたんじゃないか。ただ、次の発展的な展開として、国費が入っている部分は、国において持続的に発展した事業としてお渡しをしたほうがいいんではないかという発展的な議論はあったんですね。残念ながら、報道ではこの切った部分しか報道されなかったものですから、それが私たちはただ切った、廃止したというある種のメディアを通じた印象というのを与えた部分はあったかと思っております。その印象が随分残像として残っておられる方たちが今回来られたときに、切り取るわけでもないし、継続的な、特に組織についての議論をしているわけですから、そこでは衝撃度が足りないと思われた方も、私はこれはあってもいいと思っています。ここだけで終わる話ではないので。
(問)日本消費経済新聞の相川と申します。消費者問題、消費者行政について、少し大臣のお考え方をお教えいただきたいのです。今日の仕分け結果を拝見していて、3独法の将来的な統合というようなものをにおわせつつ、あと、在り方の整理というようなところでとどまっているのですが、枝野大臣はもともと消費者行政は強化すべきだとずっとおっしゃってくださっていまして、それがどのような制度の見直しにつながるのか、どこまで考えていらっしゃるのか、どうもよくわからなかったのですが、今お話しいただけることがありましたらお教えください。
(答)気をつけて話さなければいけないと思っていて、今日の事業仕分けの結果というのは、私自身、評価シートも書かないことにいたしましたし、私を除く仕分け人の皆さんで判断をした一次評価の結果であります。それ自体は隣でもちろん聞いておりましたから分かっているわけで、3独法の商品テストやそれに類似するものを一つにしようというのが今日の仕分けの結論だったというふうには認識しておりません。それを連携して、特に国民生活センターが受けた話について、他の2つの独法の検査の部分のところで受けてもらえる部分があるとすれば、そこの連携をちゃんとやるべきだというのが仕分けの結論だったというふうに認識をしています。以上が今日の仕分けの結論として申し上げられることで、国務大臣として消費者行政はどうあるべきかということについての話はありますが、今日ここで申し上げると、恐らく仕分けの結果と私の国務大臣としての個人の意見が混同される可能性があると思いますので、それについて今日お話しするのは避けたほうがいいんじゃないかと思っています。
 ありがとうございました。

(以上)