枝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年4月1日

(平成22年4月1日(木) 17:01~17:42  於:中央合同庁舎4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 お疲れさまでございます。お世話になります。
 予算も通りまして、色々とこちらから積極的に政策的に新たなものを創造していく、つくり出していくという作業にかなりのエネルギーを使える状況になってきております。事業仕分けについては既に対象となる事業を相当絞り込んで準備を進めているところでございます。もう2週間ぐらいで、前段4月下旬に行う事業仕分けの対象については御報告をできるのではないかというふうに思っております。また党の方で1回生議員の皆さんに事業仕分けに関連した調査をお手伝いいただけるということを聞いておりまして、そうした皆さんの新鮮な目も活かして、更なる深掘りをしていきたいというふうに思っております。
 それから、事業仕分けばかりが注目されるんですが、規制改革の分科会もスタートいたしました。そして昨日、地域主権戦略会議もございましたが、それぞれの地域からより精力的に特区を提起してほしいということをお願いしております。中々時間が短い中でございましたので、必ずしもたくさんの声が上がっているという段階ではございませんが、特に今社会的に問題になっている雇用であるとか、医療や介護について、本当は全国的に規制改革を一気に進めたいという思いもある一方で、先行事例をつくっていくという観点からこの特区について、そして場合によっては規制改革そのものについても積極的に打って出たいというふうに思っております。まだ、最終確定はしておりませんが、早ければ今週末から規制改革や特区に関して私自身が現場実態調査に出向いて実情を把握し、それを踏まえた規制改革や特区についての提起をしていきたいと、こんなことを考えて準備しているところでございます。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)フリーの岩上と申します。よろしくお願いいたします。
 先日、生方さんの発言に関して、この場で記者の方から御質問がありまして、大臣は生方さんの発言に「間違っているところはないと思う」というふうに肯定的な回答をされました。先日、生方さんとラジオで一緒になりまして、直接色々お話を伺ったんですけれども、生方さんのお考えというのは「政調会の復活、それをしてほしいというのが最大の主眼であったんだけれども、そういうことを言い出せない空気を小沢さんが持っている」ということを言っておりました。この「政調会を復活させる」という生方さんの主張に賛成なのでしょうか。それとも、小沢さんが物を言えない空気というものを醸し出しているという、物を言えばいいんじゃないかなという気もするんですけれども、そのことに、例えば不満を抱いていると、私も不満を抱いているという意味で賛成といいますか、生方さんは間違っていないというふうにおっしゃったのか、そのあたりをもう少しかみ砕いて中身を教えていただきたいと思います。
(答)どう受け取られたかはわからないんです。私が申し上げた、私自身の主観的意思としては、意図としては、産経新聞に載っていた生方さんのインタビューを読む限りは、「このことをもって直ちに副幹事長をお辞めにならなければならない中身であるというふうには思わない」ということを申し上げたつもりでございまして、その中身に賛同するとかではなくて、「そのことだけをもって直ちに副幹事長をお辞めにならなければならないという中身とは思わなかった」ということを申し上げたのであります。
 政調会復活については、何度か色々なところで質問をいただいてお答えしているんですが、「内閣に政策決定を一元化する」という内閣としての方針は、これは是非とも堅持していただきたい、いきたいと思っております。そうした意味では、従来の自民党の政調会や総務会のような存在は困ると。あれが二元化をさせていたという認識を持っています。ただ、内閣に入らない与党の議員がその力を発揮する場をもっとつくらなければならないということは、2月9日まで私自身も強く思っておりましたし、そのことを申し上げておりましたし、そのことについては全く変わりません。その組織の在り方が具体的にどうであるのかということについては、これは色々なバリエーションがあるというふうに思っております。
(問)岩上でございます。
 関連で、後半の質問、小沢さんの運営のやり方が強権的であるという批判が生方さんにありましたが、これついて枝野さんは小沢さんのやり方というものは強権的で反発を招くものであるとお考えになるかどうかということと、それからもう一点、今内閣の政府・与党の一体化みたいな問題が出ました。先日、平野貞夫さんとインタビューしてきたんですが、「今の民主党内閣の最大の問題は、内閣の発足時に与党幹事長となった小沢一郎さんを無任所の大臣として内閣の中に迎え入れて、そうしたならば、政府・与党一体化というのは実現できたはずなのに、これを民主党内部の中から色々な横やりがあって入閣できなかったと、これが一番の問題である」ということをおっしゃっておりました。この無任所で小沢一郎さん、小沢幹事長が内閣に入るというやり方、それによって実現される一体化というものについてはお考えはどうでしょうか。
 すみません、2点ですけれども、よろしくお願いします。
(答)1点目については、強権的であるかどうかということではなくて、言いたいことがあれば言えばいいんであって、私自身はどなたに対してでも言うべきことについては遠慮なく今までも言ってきていますし、これからも言っていくつもりでありますので、相手がどういう方であるかということは関係ないと。それは逆にいやしくも国民の皆さんから選ばれている政治家として、国会議員としては当然のことだというふうに思うので、強権的だから物が言えないとか、そういう話は言い訳だというふうに私は思っています。
 後者については、これは閣僚人事の人事権にかかる話で、なおかつ、その間の経緯、いきさつについては全く存じ上げません。それは人事権を持っていらっしゃる総理にお聞きをいただくべき話だというふうに思います。
(問)フリーの松田です。  今日発売のテーミスに財務省の裏金の問題を書きました。2点あります。  最初は、先週お伺いした運用寄託金が70兆円以上ある、そういう問題。外為特会の積立金が今21兆近くあるわけですが、ほかの特会にもありまして、全部それを一回財投に預けて、それを財投機関に配ってということになっています。財投に預けるときに財務官僚の言葉で、「こっちは事業分ですよ」と、「こっちは基金分ですよ」とか、「資金分ですよ」とか言って渡して、それは「元本が減らないようにやってください」と言って渡すんですね。天下っている財務省OBか何かが受け取って、それで国債を買ったり、銀行に預けたりしている。ぐるっと回って銀行に行くと、またそれで国債を買っている。最初、積立金でゼロ金利のはずのものをぐるっと回して、国債を買って、それに利子をつけていますから、70兆に2%の国債の利子をつけたって、毎年1兆5,000億ぐらい国民の負担になっているんですね、これ。それで、実は天下っている、金融機関に天下っている、あるいは財投機関に天下っている人たちを養っているんです。そういうお金の流れがある。これを切るべきではないですかということをさっき党側に特別会議のプロジェクトチームができましたから、主査の高山さんに言ったら、「それをやる」と言っていました。行政刷新会議の方はまだ特会の事務局ができていません。これつくって切り込むかどうか。独立行政法人をやるのは間違いないんでしょうけれども、そこにいくまでの特会の問題に切り込むのかどうか、これが1点です。
 2点目が、不正経理の方の問題。これ実は2年前に枝野さんが決算行政監視委員長のときに、前田雄吉さんが筆頭理事で会計検査院に出した各省庁の領収書を「全部調べろ」と言って調べたんですね。そのときに財務省だけタクシー券が1枚も出てこなかった。これは明らかにみんな乗っていますから、実は財務省だけ乗り放題なんです、この御時世にいまだに。そのこと自体が動かない不正経理があるということの証明なんですよ、実は。全部出さなければいけないんですから、出ていないんですから。どこかでごまかしているということです。調べた、2年間かけて調べました。結局、為替特会の為替差損の中に全部潜り込ませている。そこの中にマル政経費も入っている。自民党のパー券も入っている。色々なものが入っている。ノーパンしゃぶしゃぶで騒いだのが全部入っているということがだんだん分かってきました。これ調査してきっちり明らかにしてください。それをやるとお約束いただけますかいうことで今日はまいりました。
(答)両方とも既に調査を始めております。ただ、調査チームを大々的にオープンに打ち上げて調査するやり方もありますし、実質的なチームをつくって調査をさせるやり方もあります。私は政策テーマごとにその2つの手法を使い分けてやっておりまして、特会については非公式のチームをつくって、色々今の点だけに限らず調査と検討を進めさせております。いずれ、整理がついた段階で特会についてもそれを踏まえたオープンな議論と検討と改革を提起したいというふうに思っております。
(問)フリーランスの小川裕夫と申します。よろしくお願いいたします。
 先ほどの特区の提案という件でもう少し踏み込んでお伺いしたいんですけれども、時間がなかったので多くの声が上がっているわけではないがという留保つきで、福祉だとか、雇用だとか、医療だとか、そういった特区の提案があったということなんですけれども、以前、内閣府のほうに取材しましたら、例えば、ラジオ局の電波、コミュニティFMの電波の出力規制ですとか、もしくは株式投資特区なんていう、ミクロな特区まで提案があって、それは全部却下されたらしいんですけれども、そういった以前の例えば提案があったやつを復活させるということとか、もしくは今余り具体的な名前が出なかったんですけれども、どこの都道府県市町村でどういった特区の提案があるのかというのを差し支えない範囲であればお伺いできればなというふうに思っています。
(答)前者については、過去の宿題は今現在進行形で各省折衝を政務官レベルぐらいまででやってもらっています。これは全部洗い直しをさせています。しかるべきところで、その結果は公表できるというふうに思っています。そんなに遠くない時期のつもりでおります。私が今日申し上げたのは、さらにそれを超えて、名前のつけ方はまだ決めておりませんが、スーパー特区というのがいいのか、総合特区というのがいいのか、少し包括的に色々なものをセットで規制改革特区にすることで、当該地域でモデル的・先行的に、例えば福祉とか、例えば医療とかということで先行事例を積み重ねたいという少しパッケージ化されたものについて考えています。具体的なところを今の段階で申し上げると色々差し障りあるかもしれませんが、先ほど実は埼玉県の上田清司知事と直接お会いいたしまして、埼玉県も幾つか今のような視点の御提案をしていただいているというふうに伺っておりまして、是非積極的にその提起を受けとめさせていただいて検討したいということを申し上げたところです。
(問)週刊朝日の川村です。
 2つお伺いしたいのですが、先日の郵政の骨格に係る閣僚懇談会で報道ベースでは枝野大臣の御発言は聞かれて─出ていないわけですけれども、そのとき何か意見をおっしゃられたのかどうかということと、おっしゃられていないんだったら率直にどう思っていらっしゃるかということと、それと郵政で郵貯・簡保で集まった資金の運用について亀井大臣のお話を伺っていると、うまく回ったらそれでもいいのかもしれないんですね、いいんですが、どうも財投的な運用の仕方、例えば高架を造るとか、太陽光パネルを造るとか、そういった御発想の御発言があるわけですけれども、そういうところで今まで無駄がたくさんあったというふうに指摘が長年されてきて改まってきたという分野だと思うんですけれども、その辺、また何か妙な格好で復活のようなことになってしまえば、枝野大臣のお仕事がまた増えてしまうのではないかと思うのですが、
 もう一つ、2点目は財政健全化法を6月にまとめるというお話があるんですけれども、これで普通に考えると国債の発行を抑える目標とか、何らかの数値目標が伴う場合の方が多いと思う、可能性の方が高いんじゃないかと、そういうことがなければ財政健全化法をつくる意味がないのではないかと思うのですけれども、そうであれば今度の独法、公益法人の事業仕分けについても、あわせて目標額というのを設定するような時期が来るのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
(答)まず前者については、私も意見は申し上げました。申し上げましたが、最終的に総理に御一任申し上げて、総理が判断をされたことですので、過去のことですので改めて蒸し返すようなことを申し上げるべきではないというふうに思っております。
(問)いや、意見は意見なので。
(答)ですが、私の意見は意見としてその時点までございましたが、最終的に総理が御判断された以上は、閣僚の一員として総理の判断に従いますということでございますので。
(問)判断をするのと意見をお持ちだということは別なことではないでしょうか。
(答)ですけれども、私の立場で総理と違う意見を申し上げることは、総理に一任してお決めいただいた以上は、足並みが乱れると皆さんが喜ぶだけですので、そのことで申し上げることによる利益は何もありませんので、総理が決断をされた判断に従いますということでございます。
 それから、かつての財投復活のような話は、これはあり得ないと。総理もそういったことをお考えになってああいう判断をされたのではないというふうに思っておりますし、あえて申し上げれば、議論の中で、そういったことにならないですよねという確信は私は持っております。そうならないための二重、三重の保険として、いわゆる出口の独立行政法人や公益法人のところについて、厳しい見直しと統一的なルールを更にきちんとつくっておかなければならないとは思いますが、そうはならないと思っています。
 後者について、財政健全化法そのものは、いわゆる定性的な健全化目標を立てるものであるという認識をしております。ただ、それとは別に、財政の中期何とかというのをつくるということになっておりまして、そこは定量的な話が当然入ってくるというふうに認識をしております。そこの議論に行政刷新の担当の立場から関与も当然してまいりますし、非公式には既にしております。そういったマクロの目標の話と、今回の事業仕分けで幾ら目標にするのかみたいなミクロの話はちょっと別次元の話であって、何度も申し上げておりますが、仕分けというのは仕分けるためにやるので、初めから目標数値があって、そこに達するのが自己目的化したら、切ってはいけないところまで切ってしまうことになるわけで、事業仕分けというのはそういう性質のものではない。これは残すものは残す、残さないものは残さない。仕分けるのが目的で、その結論がわかっていて、幾らになりそうとわかっているものは仕分ける必要が逆にないわけです。仕分けとは別の世界で当然こんなものは切るとか、ここは圧縮するとかということがはっきりしているところは、むしろ仕分けの外にあるわけで、マクロとしてどれぐらいの、いわゆる狭い意味での無駄削減ができるのかということを見込みながら、全体としての中期的な財政ビジョン、その時点で全体のビジョンの中に私の所管範囲では幾らぐらいで、仙谷さんの所管範囲ではどれぐらいでという区別がつくかどうかは別として、そのトータルとしての歳出についての削減目標みたいな話にはなるというふうに思っています。
(問)産経新聞の小田と申しますけれども、お疲れさまです。
党の話になるんですけれども、参院選の話なんですが、小沢幹事長が2人区に複数の候補を擁立するという方針で、今党内では「ちょっと厳しいんではないか」という声も上がっていると思います。それについて、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)最近の個別の選挙区の状況、事情について、全く所管でないというだけではなくて、そういったことについての情報を集める余力がないものですから、一概に何とも言えないんですが、一般論として申し上げることができるのは、参議院選挙の地方区といっても47種類いろいろな事情が違いますから、一定の基準は必要かもしれませんが、それぞれの抱えている事情によって、色々なことがあるというふうには思っております。ただ、それぞれの地域の色々な事情については、残念ながら最近情報を集める余力もないものですから、何とも申し上げにくいという状況です。
(問)北海道新聞の土田と申します。
 枝野さんの冒頭の発言の中で、「仕分けについて相当絞り込んでいる」というお話がありました。4月下旬ということですが、今日から4月がスタートしまして、下旬というのは大体いつごろなのか。あと事業数で言うと、大体どれぐらいの規模になりそうなのかという現時点の見通しをお聞きしたいのが1点。
 それと、繰り返しのお聞きになるのかもしれませんが、やはり第一弾の昨年11月のかなり膨らんだ概算要求は削り込んでいくという部分の事業仕分けと、今回の事業仕分けの第2弾の性格の違い、枝野さんが意図していところ。つまり、長期的な制度改革につなげていくんだというようなところなのかなと思うのですが、今一度、性格の違いなどについてお考えをお聞かせ願えますでしょうか。
(答)1点目は、20日過ぎぐらいからになると。今、最終的な詰め、場所との関係で最終的な詰めをしています。そう遠くない時期に日にちと場所を御報告できるんではないかという状況です。もう20日以降の28日までの間のどこかというところに絞り込まれております。
 事業数なんですが、逆に言うと、それが最後まで決まらないんだと思っていまして、どこまで具体的なことを申し上げていいのかわからないですが、例えば独立行政法人の場合ですと、一つの独立行政法人で多数の事業をやっているんですね。例えば、実は今日も検討会で議論の中であったのは、「ここは問題がありそうだということで、5つあるうちの4つぐらいの事業を取り上げましょう」と言っていると。そうすると、残っている1つも一応取り上げておかないといけないのかなとか、逆に事業が10も20も30もあるようなところだけを細かく見ると。そういうところを全部やるとなったら、これはとても時間がないけれども、どういう抽出の仕方をしようかとか。
 前者のほうの5つ目は、実は物すごい短い時間で結論が出る話なので。だけど、逆に後者のほうは10、20ある同じような種類のものを代表選手として議論するから、1つのものに物すごく時間がかかる。そういったどの種類のものがどれぐらいやらなければならないかということの組み合わせで事業の数が決まってくるということになるので、実は最終段階までなかなか見えてこないということです。
 前にも申し上げたかもしれません。コマ数というか、物理的な時間と場所の話として、前回は3班体制でやりましたが、今回は2班体制になるのかなと。それから、前段、4月中が恐らく4日間になるかなと。4日か5日ぐらい。若干前回の反省で、取材をされる皆さんもそうだったと思いますが、やっている仕分け人の方も相当消耗が激しかったので、もうちょっと1日の量を減らして、その分密度を上げたほうがいいのかなということがある。そういう範囲の中で何事業できるかということを調整するということです。
 それから、今回の、前回との違いを含めてで言うと、前回もいわゆる横串を通すということで、事業仕分けはサンプリング調査みたいなものですから、全部をやることは物理的に不可能です。ただ、そうはいっても、横串を通すのがなかなか困難な部分もある。それが反省で、それを踏まえて、今回は行政事業レビューという形で各省の内部でできることはやってもらおうということを一つ進めているわけです。
 そしてもう一つは、初めから横串を通すということを前提にして、対象を少し限定して行おうと。その結果として、一番問題の多そうな、国民的な関心も高そうなところからということで独法と公益法人。したがって、そこで出てくる金額ではなくて、そこでの議論も踏まえて、もちろん、その結果、こんな事業をやっていること自体が問題だというのは、去年もやった事業仕分けとほぼ同じような意味で、これで切られる部分もそれなりに出てくると。何らかの形でその手の事業は必要なんだけど、今の制度では非常に効率が悪いとか、無駄が多いという部分について、事業仕分けの議論を踏まえて、独法についても公益法人についても、何らかの制度改革の提案と実現につなげていこう、こう考えています。少なくとも独法については相当大胆な抜本的な制度改革の提案につなげられるという見込みのもとに今進めています。公益法人については、実は非常に多様性があるものですから、一律にできるところはどこまであるのかということを事業仕分けの対象のセレクトの段階でもうちょっと議論、検討が要るかなと思っています。
(問)フリーランスの畠山理仁と申します。
 来週4月5日と6日に、自民党も政策棚卸し(事業仕分け)というのを予定しています。これは「民主党が聖域として隔離した、マニフェスト関連予算案に切り込みます」といううたい文句で消費者委員会の運営経費や栄典事務の適切な運営、それから高速無料化社会実験、子ども手当等々を対象にして行われる予定です。この結果が出た場合に、大臣は何らかの参考にされるお考えというのはおありでしょうか。
(答)私が聞いている話だと、いわゆる事業仕分け的なことをなされる部分と、今のような政策評価みたいな話をする事業仕分けではない部分、性格的には、両方の部分をなされるということだというふうに聞いています。少なくとも、事業仕分けを行う部分、つまり過去の事業の実績に基づいてそれを仕分けするという部分については、一定の参考にする余地はあるんだろうなというふうに思っています。まだやっていない政策、これからやる政策について、いいとか悪いとかというのは、まさにそれは事業仕分けとは全然関係ない、各党の政策判断の分野であるので、それはそれぞれの党がそれぞれ政策検討するのと何も変わらないというふうに思っています。更に付け加えてもう一言言えば、消費者委員会については、まだ事実上ほとんど動き出していなくて、なおかつ超党派で、確か全党一致でつくったものについて何を議論するんだろうなと非常に不思議に思いますけれども。
(問)共同通信のアベといいます。お疲れさまです。
 憲法について2点伺います。
 1つは、党の政調の廃止に伴いまして憲法調査会がなくなりました。マニフェストの中では「国民との積極的かつ慎重な憲法論議をする」というふうにマニフェストで公約に掲げていたわけですけれども、それにもかかわらず、憲法論議をする場が党内にすらないと、党内で憲法について議論する場すらないという状況についてどう思っていらっしゃるのかということを1つ伺いたいのと、それから国民投票法が今年の5月18日施行されますけれども、成立してからの3年間で行われなければならなかった公職選挙法の改正であるとか、民法の改正、これが実現していないんですが、それについてもどのように考えていらっしゃるのか、2点お答えください。
(答)1点目については、民主党の憲法調査会がなくなったのは、政調の廃止に伴ってではなくて、その前からなかったと認識をしております。いつからなくなったか忘れましたけれども、その前からなかったです。私は、今民主党が新たな政権をつくって、国会の2分の1だけで改革できることについてしなければならないことが山ほどある。まずは国会の2分の1でできることの大きな改革を徹底的にやるという時期だと思っています。それをとことんやって、でも、憲法が障害になっているために前に進まないということが出てきた段階で初めて憲法についてやればいいので、現時点で憲法について議論をする、少なくとも公式な議論をする必要はないと。むしろ、国民の皆さんとそれぞれ我が党の所属議員であるとか、地方組織であるとか、そういったところとの間で、既に私が憲法調査会長としてまとめた憲法提言を軸にして、いろいろな議論をして、幅広いところで国民的な憲法に対する認識の共有や議論が深まっていくということが求められている状況であるというふうに私は思っていて、国会の中で、国会議員の中で何らかの議論をしなければならない段階ではないというふうに私は思っているので、現状でいいのではないかというふうに思っています。
(問)1年生の百数十人の議員の方、憲法─その議論には全く加わっていなかったわけですね。党内での……
(答)いや、議論には加わっていなかったけれども、憲法という大変重要な我が党の政策について、重要なテーマについての我が党としてまとめた憲法提言については、皆さん、当然お読みになって、御理解をして納得をされて我が党の候補者になったと思っていますので、それをベースに、例えばそれぞれの地域であるとか、有権者の皆さんとか、色々な所で-もちろんそれがベストで、固定的に、変わってはいけないものだとは思っていませんが-色々な議論をしてもらえばいいんだというふうに思っていますが。
 それから、「3年以内に」というところは我が党の政権ではなかったのでよかったのですが、逆に言えば、我が党が政権をとってから3年以内には、党派を超えて、あのとき18歳選挙権、18歳投票権ということを合意しているわけですから、前政権が3年間の間にやらなかったことについては色々な思いがありますが、少なくとも昨年の9月に我々が政権をとって、それを進められる状況になってから3年以内には、附則で決められている18歳選挙権と、その前提になるべき諸制度の改正はやらなければならないのではないかということで、ここは千葉大臣が主たる所管だと思いますが、鋭意進めていただきたいと思っております。
(問)フリーのジャーナリストの岩上です。
 記者会見のオープン化に関連して、原口総務大臣が事務方のお役人に命じて各省のオープン化の状況を調査させたそうです。そしてこれを閣議でペーパーも配って各大臣に御説明されたと。そこで話し合いも行われたというふうに伺ってはいるんですが、これはまだ配られていないんですか。
(答)これからではないですか。
(問)これからですか。
(答)はい。
(問)まだ配付はされていない。
(答)はい。
(問)そうですか。失礼しました。実はこのペーパーの内容にいささかの問題があるようなんですが、それはちょっと本題からずれるので今ちょっと置いておきますけれども、大臣にお聞きしたいのですが、こうした記者会見のオープンの仕方はいろいろバリエーションがありまして、例えば一番最初の初回のときに「たくさんの人にいろいろな形で見てもらうのが実は非常にいいことだ」とおっしゃって、例えば、今日は私はビデオカメラとユーストリームを同時にやっております。この瞬間、見ている方もいらっしゃいます。複数、たくさんの人に、できるだけ色々なチャンネルで見てもらいたいと私も思いますし、大臣もそのことを積極的におっしゃっておりました。ところが、他の省庁で、例えば個人の、フリーランスの記者に対してはなぜか動画は認めない。しかし、法人には認める。全くこの理屈が意味がわからない。どうしてか、それについて「なぜですか」と言っても、その記者会見を仕切っている記者クラブが、「いや、理由はわかりません」みたいな感じで、ただ意味なく制約を加えられるということも多々あるんです。こういった状況を「どこの省庁が」とは申しませんが、一般論として最も会見のオープン化、その情報の多チャンネル化ということに熱心な枝野大臣として、その意義というものをできればもう一度お示しいただけないかなと思うのですが。
(答)私は本当は全ての国民の皆さんと質疑・応答ができればそれがベストだと思いますが、1億3,000万の皆さんとできるはずがないわけです。ジャーナリズムにかかわっていらっしゃる皆さんというのは、その代わりに私どもに対して質問していただいているというふうに思っておりますので、できるだけ幅広く、できるだけ多くの皆さんにそれが伝わるように、色々なチャンネルでということが望ましいことだというふうに思っています。私自身も、できる範囲内において最大限のことをさせていただこうと思っています。
 ただ、他省庁のことについて、私が言い訳してあげる必要はないのですが、私の会見も全て今日のような形で私の立場からはやりたいと思っておりますが、閣議後会見はクラブの主催であるということで慣習的にもずっとなされてきているので、クラブの主催の会見を私のほうから、「どうしろ、ああしろ」というのは、これはやはり筋が違うということですので、2種類の会見をやっていると。できるだけ、この会見であらゆることについて、ほかの2回に出れない方がそのことによるデメリットが少ないようにということでやらせていただいているつもりでいます。それぞれの役所でいろいろな制約が、特にクラブ以外の方について、事情と背景がそれぞれあるんだろうと思いますので、私の立場から言えることは、私はこういうやり方でやっているので、そういった意味では3回に1回しか出れないと形式的にはなっているけれども、そのかわり全くオープンであると。もしかすると、クラブ主催のところにほかの方もオーケーにしている場合でも、同じところに出れるけど制約があるとか、色々あるんだろうと思うので、試行錯誤のプロセスだと思いますから、「私はこういうやり方でやっています」ということを他の閣僚の皆さんにもお伝えをして、参考にしていただいて、私の今のやり方もベストとは必ずしも思っていませんので、いろいろな試行錯誤の中でよりオープン化していくと。
 官邸について、総理についても色々言われていましたが、色々と段階、段取りは必要だったけれども、結局オープンな会見ができて良かったなと思っています。若干、特にフリーの皆さんからは「早く劇的に変われ」というお気持ちなのは非常によく分かるし、ただ、色々な経緯がある中でやっていますので、自分の事例もほかの皆さんの参考にしていただいて、私もほかの役所の事例も─原口大臣がもし閣議、あるいは閣僚懇でそういったことを御報告されるのであれば、その時議論になる機会があると思いますので聞いてみたいとも思っています。
(問)首相が先日オープン記者会見を開きました。私も出席させていただいて質問したんですけれども、「このようなオープン化というのを他省庁に広めていただけるのですか」という質問に対して、「できるだけ、それはお話はする」というふうな働きかけといいますか、「お話はする」というふうにおっしゃっていました。何か首相から他の大臣に対して、「オープン化、私はしましたよ」ということで皆さんに促すような発言とか、閣議での発言というか、そういうものはございましたでしょうか。
(答)いや、まだないんですが、総理が閣議や閣僚懇でものをおっしゃるというのは結構重たいことなものですから、当然準備をされた上で御発言等があると思います。推測ですが、もし原口大臣からそういった調査の報告が上がれば、そのときに合わせてとかいうことなのか、そこはわかりませんけれども、現時点でないのが、別に遅れているというわけではないというふうには思っています。
(問)わかりました。ありがとうございます。
(問)フリーランスの畠山です。
 記者会見のオープン化について関連して。
 先日発表のあった総務省の調査では、鳩山総理の会見というのはA、フリーランスの記者も質問ができるというふうになっておるんですが、同じ内閣官房の官房長官の会見というのはクローズドです。ぜひ、もし平野官房長官とお話しする機会がありましたら、このことを話題にしていただきたいと思っておるのですが。
(答)これについては、私は前にも申し上げたことあるのかなと思うのですが、官房長官の場合は毎日2回、恐らくこれはクラブ主催で官邸の中でなされていると。官邸の総理のオープンの会見に出られた方はお気づきだと思いますが、各役所の出入り以上に色々なロジが大変だということもあって、少なくとも、毎日2回やっている会見をオープン化するというのは、多分物理的なロジが相当困難なのだろうなと思います。それは大臣としての責任ですから、今から私が申し上げることをもって「だからできない」とは言ってはいけないことだとは思っているんですが、会見で皆さんからいろいろな質問を受けてお答えするというのは、相当なエネルギーのかかることなので、1日2回やっている官房長官の場合、2回やっていることすらもっと減らしたほうがいいのではないかと個人的には思うぐらいで、私の場合は週2回だからこういう形で別にこちらの主催でということでオープン化できた。そういったことを考えると、官房長官については相当酌量の余地はあるかなというふうには思っています。ただ、官房長官ももちろん総理の女房役として、総理がオープン化をされた思いとかは誰よりも分かっていらっしゃるわけですから、いろいろな知恵を一生懸命出そうと努力はされているんではないかなと。私も何かいい知恵があれば助言をしてあげたいのですが、現時点ではいい知恵はないので、というのが状況だと思っています。

(以上)