枝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年2月26日

(平成22年2月26日(金) 8:45~9:09  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 おはようございます。
 では、私の方から4件ほどお話をさせていただきたいと思います。
 まず、独立行政法人の役員の公募について。これは独立行政法人の役員の最終的な選考決定は官房長官ですが、従来から公募については仙谷大臣が担当しておられたということで、このたび私が公募の関係業務については引き継ぐということになりました。
 私自身が国会議員の選挙の候補者の、少なくとも衆議院の公募出身議員の第1号でございますので、公募については大変思い入れが強うございますので、ぜひ多くの意欲と能力のある人が独法の役員に応募してきていただきたいというふうに思っています。
 この第二弾の応募が、今週の月曜日、22日に締め切られたところでございます。締め切ったところでこの担当をお受けをいたしましたので、第三弾以降に何かさらなるアイデアがないかなというふうには思っておりますが、今回の第二弾の役員公募では、30法人51ポストに1,158名の応募がございました。なお、公務員OBはこの中で79名でございました。なお、1,158名のうち、複数のポストに応募していらっしゃる方がいらっしゃいますので、重複分を除くと729名、重複分を除いた公務員OBは58名ということであります。
 なお、法人ごとの応募数は、本日中に内閣官房のホームページで公表する予定としております。今後、各府省及び各法人における選考等を経て、決まれば4月1日に任命をするという予定でございます。選考が終わり次第、改めて公表していきたいというふうに思っております。
 2つ目に、4月以降に計画をしております第二弾の事業仕分けに向けての作業が具体的にスタートをいたしましたので、御報告をいたします。
 これまで、事実上のそこに向けたヒアリングといいますか、相談といいますか、そういったことは続けておりましたが、具体的には行政刷新会議本体で決めないといけないわけですが、もしそれを決めていただけるという場合に備えて、その準備として、まず公益法人の絞り込みについて、昨日、公益法人行政担当室と行政刷新会議事務局に資料の整理、作成を指示いたしました。7,000に及ぶ法人の絞り込みのために、7つの視点で絞り込みをかけて資料を作成するようにという指示をいたしました。
 1つ目は、決算もきちんと出ております平成19年度に、国または独立行政法人から1,000万円以上の公費の支出を受けた法人。ある基準、金額で線を引かないといけないということでございますが、できるだけ幅広にということで1,000万円という基準をつけました。
 2つ目は、法令によって権限の付与を受けている法人。なぜ、その法人でなければその権限を付与できないのかということを洗い出す、チェックをする必要があるというふうに思っています。
 3つ目は、今度は金額ではなくて、比率として当該公益法人の収入に占める行政からの公費支出が5割以上の法人、半分以上の収入が国などからの収入に頼っている法人。
 4つ目は、隠れ天下りも含めた天下りを受け入れている法人ということで、これはもう言うまでもないことです。
 5つ目として、正味財産の額が10億円を超えている法人。もちろん、公益法人は民間法人でございますので、民間の皆さんからの拠出によって正味財産が形成されているという部分が本来は圧倒的多数であるというふうに思っておりますが、行政から行った金を貯めているというようなことを今の段階で細かく調べてピックアップするということは困難でございますので、まずはとにかくどういう原資に基づくかを問わず、10億円以上の正味財産を持っている法人をピックアップいたします。
 6つ目は、国だけではなくて、地方自治体から支出を受けている法人。これもピックアップするようにと指示をいたしました。余り表現が上品ではありませんが、私は「みかじめ料」と呼んでいますが、各地方自治体に事実上強制的に金を出させているという団体、これは国民の税金であることに変わりありませんので、国からの支出に限らず、地方自治体からの支出を受けている国所管の公益法人というのはピックアップする。
 7つ目は、今度は国からの公費支出を受けている法人のうち、その支出に関するもので、委託等として事業を外部に更に出している法人、つまりトンネル法人。国から金をもらって、なおかつその事業をさらに外に委託している法人、トンネル法人をピックアップするということでございます。
 一応、この7つの視点でピックアップするようにと指示をいたしました。実はすべてについて資料があるのかどうかという点については、若干の落ちがあり得るというふうにも見ておりますが、とにかくこの基準でピックアップをしてもらう。そうすると、今度は今7つ申し上げたそれぞれの基準の重なり合い等を見ていく。つまり金額、例えば国からの支出が金額が多くて、それから収入に占める比率が高くてとか、あるいはトンネルになっていると。あるいは天下りがいるとか、この辺のクロスをさせていくことによって7,000余りの法人を絞り込んでいく。こういう作業をしていくということで、昨日、公益法人行政担当室長と行政刷新会議の事務局長に指示をいたしたところでございます。
 こうした形で一つの基準に基づいて絞り込んでいく作業と、それからハトミミを始めとして、具体的個別的に問題があるという指摘を受け、あるいは我々が掘り出して選んでいく事業との二本立てで、事業は選ばれていくということになっているというふうに考えております。
 3つ目でございます。
 私の記者会見についてでございます。今日のこの会もそうですが、クラブの皆さんの主催で週2回閣議後の定例会見を開いておりますが、これとは別に、原則として週1回、記者クラブに所属されていない記者の皆さんも含めたオープンな形の大臣記者会見を、私の主催で開催することといたしました。
 詳細については資料を配付いたしましたので、御参照いただきたいと思います。
 第1回は来週の木曜日、3月4日の開催に向けて準備をいたしておりますが、国会日程等によっては変更になる場合もございます。原則として開催2日前までに、開催日時と場所について、内閣府のホームページに掲載をいたしますので、御確認をいただきたいと思います。
 なお、これはオープンな形の会見でございますので、クラブに所属をされている方も御参加いただくということは当然歓迎いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、カメラも回っているようなところで言う話ではないかもしれませんが、議員としての私は、周囲の皆さんに「先生と呼ばないでください」とずっとお願いをしてまいりましたが、ぜひクラブの皆さんにおかれましては、呼びかけるときの言葉を「大臣」と呼ばないでいただきたいとお願いを申し上げます。
 大臣就任前からおつき合いいただいている記者の皆さんもたくさんいらっしゃいますが、そのときの声のかけ方と同じ声のかけ方で私を呼んでいただきたいというふうに思っています。もちろん、会話の中とかその他の中で「大臣」と出てくることはあり得ると思いますが、ぜひ私の呼び方は従来どおりにしていただければと。それから、行政の方にも、少なくとも大臣室や行政刷新会議事務局などの皆さんにはそうしてくださいと、お願いを昨日あたりから事実上し始めているところでございます。実質には余り関係ない話でありますが、物事、形も大事でございますので、是非皆さん御協力をよろしくお願いいたします。
 以上です。

2.質疑応答

(問)先ほどおっしゃった公益法人絞り込みなんですけれども、大体いつぐらいまでにまとめるようにという指示をしてるんですか。
(答)これは、昨日指示をしたものは数日中に、反応がまず出てきます。それを見て、次の段階でどういうマッチングをさせていくかというようなことを検討して指示を出します。こういうことを何度も繰り返していく中で絞り込んでいく、こういう形になります。ちなみに、今日申し上げたのは公益法人だけです。
(問)先ほどの7つの絞り込む条件なんですが、3点目のほうでは公費から5割負担して。6つ目の地方自治体からのお金というのはこれは金額とか、割合は問わず。
(答)問わずです。私から言わせれば、例外はあると思うんですが、国所管の公益法人が地方自治体から金を取っているというのは、僕はそもそも疑問がある。それは全部どういう根拠で、どういう理由で出していただいているのかというのはちゃんと調べたほうがいいと思います。
(問)天下りを受け入れているというのも、それは特にあっせんが証明されなくても、それはOBを受け入れていれば、それは天下りとしてこの場合カウントするんでしょうか。
(答)このスクリーニングというか、抽出の段階では公務員のOBがいるということで抽出します。
(問)これと別途、独法のほうの絞り込みの基準というのは、今のところどんな形でやっていこうと。
(答)独法については100に満たない数ですので、一応一通り全部の法人について、何らかの形で状況を聞いて、その上で絞っていくという形になると思っております。
(問)その作業はまだ始まっていない。
(答)そこまではやっていません。ただ、1個1個ではないですが、独法にもいろんなカテゴリーがあるので、そういったことについては、これは独法を一番詳しくわかっているのが行革本部事務局なので、行革本部事務局から説明をいただいています。
(問)7つのスクリーニングによって、大体幾つぐらいの公益法人が抽出されると見込んでいらっしゃいますか。
(答)分かればスクリーニングする必要もないので、逆にその数を見て、第2段階の絞り込みを判断するということになってます。
(問)最後に、「大臣と呼ばないで」ということなんですけれども、記者、職員の方に「大臣」と呼ばれることによって、どういう弊害が生じるのでしょうか。
(答)弊害というか、自然じゃないではないですか。もともと「枝野さん」と呼んでいただいていた方にとって、私は「枝野さん」なので、逆に「大臣」と呼ぶのが不自然だというふうに思っていて、その不自然が慣習化してしまうと、みんなそうしないといかんかなという感じになってしまうだけでして、そういうふうに思うので不自然な慣習は乗っからなくていいのではないかという思いです。
(問)昨日、官房長官が天皇陛下の公的行為の法令解釈について示されたんですけれども、長官は、枝野大臣はかかわっていないと、就任前のことなので私がやったとおっしゃっていたんですけれども、中身としては、政治利用が存在することはあり得ないということと、あと統一ルールをつくるのが難しいという考えなんですけれども、これについて受けとめをお願いします。
(答)政治利用があってはならない、まさにこういうことだと思うんですよね。国事行為というのは、国事行為をしていただくに当たって政治が何らかの決定をするわけですから、まさに一種政治が関与しているわけですよね。それが利用にならないようにしなければいけない。ただ、公的行為というのは、政治の側で具体的にこうしてください、ああしてくださいということを言って、それで決めるわけではありませんので、そこは政治が決めるわけではないということでは政治利用はあり得ないということだと思いますし、そういったところで、陛下が御判断をいただいてなされる、あるいは宮内庁が御判断されることが、結果的に政治利用と見られることがないように、政府としては最大限留意しなければいけないということは、そのとおりだと思います。その上で、何しろ多種多様な種類のものが公的行為についてはあり得るわけですから、政治利用をされているというような誤解を招かないように、政治の側でも最大限の配慮をするという以外に、あらゆる公的行為について共通で申し上げられることは、これはやっぱりあり得ないんだろうというふうに思いますので、私も昨日出された見解については違和感なく受け入れております。
(問)大臣の就任前ということで、長官が解釈を示したことについては、それは了とするというか。
(答)それはそうでしょう。
(問)それに関連しまして、もう少し明確なルールを決めないと政治利用につながるんではないかという懸念も指摘されていますけれども、そういう懸念はないでしょうか。
(答)一般論としての公的行為について、作りようがないんだと思います。何しろ多種多様、あらゆるものがあり得るわけですし、それからまたそういったことについても非常にケース・バイ・ケースのようなものもあり得るわけですから、あくまでも象徴天皇としての公的な御活動として適切に御判断をいただく、あるいは我々からも御要請することがあれば御要請をするということであって、あらゆることに通用するルールというのはちょっと考えにくいなというふうには思います。
(問)もう一点、党内のお話なんですけれども、政策調査会、政調を復活させたらいいんではないかという声がくすぶっておりますけれども、政調会長を経験された立場を踏まえて、必要性についてはどのように考えていらっしゃいますか。
(答)党の立場から、政府の政策形成にどう関与するかということについて、いろいろな御意見があることは存じ上げておりますし、私も2週間ちょっと前まではそういった立場からいろいろなことを考えていましたし、いろいろな話も仲間としておりました。ただ、気を付けないといけないのは、例えば政調をといったときの、どういう政調、政策調査会なのか。具体的な中身はそれぞれ持っていらっしゃるイメージが違うというふうに思います。
 それからもう一つは、従来の自民党政権下における党と政府内閣との関係とは我々は違うものを作っていくんだということは、これはみんな共通していると思います。ということの中でありますので、一般的に政調があったほうがいいかどうかということのお尋ねには、ちょっと答えにくい。体制、こういう政治主導、政策一元化の中における政調とはどういうものをイメージしているのかが人によって違うので、ちょっと誤解を招く恐れがあるというふうに思います。
 ただ、内閣、政務三役に入っていらっしゃらない議員の仲間の皆さんの知恵や経験が、政府としての全体としての政策形成により活かされやすいことは、さらに努力をしなければいけないというふうに思っている。一方で、政策を決定するのは政務三役であり、あるいは閣議であるというこの大原則を守らなければならないという範囲の中で、いろいろな応用はあると思うし、私自身は試行錯誤しながらこういうものはでき上がっていくものだと思っているので、その範囲の中で試行錯誤していけばいいと思います。
(問)公的行為の解釈についてですけれども、過去の政府の憲法解釈だと、公的行為というのは、国事行為とは違うけれども、例えば200ぐらいある国の中から一つを選んで訪問するというのは、やはり政策的判断は絶対働くわけで、そこは内閣が責任を持つということで引き受けるという解釈だというふうに、私は理解しているんですけれども、そうした場合、昨日の官房長官の会見で、長官は「政治的利用というものが存在することはあり得ない」と、「憲法で言っている概念からすると」とおっしゃっているんですけれども、そうすると、内閣の判断、責任を持って行う限りは、どういう政治的判断に基づくものでも何でもできるという、制約が存在することはあり得ないということは、逆に言うと、制約はないということになると思うんですけれども、そこは公的行為の制約というのはあるのか、ないのか。ある場合はどういう原理に基づいて制約されるのかというのをどうお思いでしょうか。
(答)官房長官がどういうニュアンスでおっしゃられたのかを直接伺っておりませんが、政治的利用があってはいけないのは間違いないわけでありますし、そうした中で、陛下というか、宮内庁というか、が御判断をされるに当たって、政府、内閣の意見あるいは申し入れを参考にされることというのは当然あり得るわけで、その場面において、象徴天皇としてのお立場でお願いをするということであって、それが政治性を帯びない、政治的な利用に当たらないと、特に、全国民の象徴でありますから、国民の皆さんに政治利用だというふうな御指摘を受けないような御要請なり、お話をさせていただくという制約はあるというふうに思っています。
(問)そうすると、その制約を越えたようなことを内閣がした場合というのは、それは政治利用と言われる行為、要するにそれは存在するということなんですね、理論的には。
(答)政治利用という言葉の定義によるんだと思いますね。政治利用があってはならないわけだし、政治が例えば陛下の公的行為を決定できるわけではありませんから、そういう意味では利用があり得ない。政治が決めることはできませんから、あり得ないというのはそういうことになるし、だけども、実質的に内閣が国事行為における助言とは違いますが、御要請をしたりということで公的行為がなされるということがあり得ることを考えれば、政治利用という異議を持たれるということがあり得る。そういうことがあってはならないということです。
(問)最近よく「民主党らしさ」という言葉が首相もよく使われるんですけれども、「民主党らしさ」について、枝野さん自身はどのように考えているか。この「民主党らしさ」というのは、いつを起点にする。例えば、結党時を起点とするのか、あるいは衆議院選前にするのか、どうお考えでしょうか。
(答)民主党らしさ、まず起点というのはよくわからないです。それは、「らしさ」というのは要するに印象の問題ですから、それぞれ民主党というのはこういうふうなものだとそれぞれ国民・有権者ごとにみんな持っていらっしゃるイメージは違うんだと思うので、なかなか一義的には申し上げにくい。ただ、副総理がどこかのテレビで名前を挙げて、「私(枝野)が民主党らしい」みたいなことを言っていただきましたので、その私の視点からすると、先ほどの「できれば大臣と呼ばないでください」という、別にほかの大臣がされていないことは全然構わなくて、それは逆にそんなことを頼むと皆さんに迷惑をかけるのがわかっているので。でも、あえて言ってしまうということだけなんですけれども、私の場合は。でも、そういう感覚ではないですかね、あえて言えば。「大臣」と呼ばれることに違和感を感じる、みたいなところが民主党らしさなんではないですか。

(以上)